2013/05/15 00:00

OTOTOY連載企画、熟JUKE塾の第ニ回目!!

話題のダンス・ミュージックの“ジューク”とはいったいなにか? OTOTOY編集部の和田ボンゴと、新宿LOFTで「SHIN-JUKE」というイベントを始めてしまうほどジュークに取り憑かれた新宿LOFTのブッキング担当・望月慎之輔が、日本のクラブ・シーンの未来を担うであろうそのジュークの“今”を追求する熱血企画がスタート!

第ニ回目は、ジューク / フットワークやヒップホップを織り交ぜるするDJスタイルで、都内を中心に活躍するDJユニットHABANERO POSSEとThreepee Boysの2組をお呼びして、ジュークとヒップホップというキーワードを中心に、インタビューを収録。また、ジュークとヒップホップを繋いだコンピレーション・アルバム『160 or 80』の首謀者Trinitytiny1へのインタヴューを行い、ジュークとヒップホップの親和性を追求する! この組み合わせは必見!!

左から和田ボンゴ、望月慎之輔

>>>ジューク / フットワークって何? 第一回目の収録はこちら

第ニ回目 : HABANERO POSSE×Threepee Boys

——まずそれぞれのユニットがどんな活動をしていらっしゃるのかお訊きしてもよろしいでしょうか。

BINGO(HABANERO POSSE) : HABANERO POSSEとして曲を作るのとDJをするのがメインの活動をしています。そのときどきで自分たちがひっかかったものをやるというスタイルでずっとやってるので、そのなかにジュークがきた瞬間もあったりっていう感じですね。

BINGO

——Threepee Boysのみなさんは?

DONSTA(Threepee Boys) : 最初は「Threepee Times」というブログを2007年からスタートしたんですよね。そのあと、同名のイベントをやるようになってそのうちThreepee Boysって名前でやってみようかってことになってはじめました。わりとヒップホップが3人とも好きっていうのは共通してて、そのなかでちょっと変わったヒップホップのジャンルが好きっていう部分がそれぞれあって。それをブログで古いものから最新のものまで紹介しつつDJに反映しつつってことをいまでもずっとやってます。

——みなさんは基本的にはヒッピホップが好きだということですね。

DONSTA : そうですね。そこが共通項でみんなあるので、どっか話があったりしてるんだろうと思います。

——みなさんのルーツとなる、ヒップホップを教えてもらえますか?

SIr Y.O.K.O.((Threepee Boys) : 僕は90年代のヒップホップですね。聴きはじめたのがだいたい90年とか91年とかなので。普通にNYのヒップホップですよね。ビート・ロックとか、そのへんを聴きはじめて。レコード屋もやっているので幅がすごく広がって、オールドスクールとかエレクトロとかマイアミ・ベース(注1)まで入って、どんどんそっちのおもしろい音楽みたいのにハマり出しました。一貫してずっとヒップホップかなって感じはありますけどね。
DONSTA : 僕はヒップホップのことを知りたかったのにあまり情報がなくて、たまたま図書館に「ラップ」という本があって年表とか覚えちゃうくらい読んじゃって、音楽を聴いてないのにヒップホップの歴史を最初に知ることになりました(笑)。なのではじめからヒップホップ全体が好きで。同世代のなかにあんまりヒップホップとか好きな子がいなかった時期なので、レコード屋とか行ってラップものならなんでもとりあえず聴いとけみたいな感じでしたね。そのとき2アンリミテッドとかプロディジーとかはやっていて、同時に電気グルーヴもスチャダラパーもはやっていた時期なので、まとめて全部聴いて広がっていった感じです。東も西も古いのも新しいのもだいたい全般が好きで、グラフティとかダンスも好きです。特に、最近は普通になったからたいして大好きって感じでもないんですけど、ちょっと前まではあんまり取り上げられてなかったのもあってベース・ミュージックがすごい好きでしたね。
YO!HEY!!((Threepee Boys) : 僕の場合はヒップホップにハマるのがちょっと遅いというか、ナズの1stとかビギーとかそのぐらいからなんで。それまでネオアコとかインディー・ロックみたいなのが好きで聴いてて。ヒップホップにハマったのも流行ってるからみたいな。流行に忠実に好きになっていくって感じでしたね。サウスが流行ればサウスっていうか。旬の音楽が好き、みたいな感じはありますね。

——なるほど。ハバネロさんの音楽的なルーツというのは?

BINGO : 僕はプレイするとか関係なしで1番はじめといったらメタルなんですよ。もう80'sメタル。それこそ「Walk This Way」とかではじめてヒップホップを知った感じです。で、同時期かそれより前に風見しんごのブレイクダンスや、久保田利伸とかトシちゃんが早口で歌うっていうのがおもしろいっていう風に思っちゃって。いま考えるとそれがヒップホップとかクラブ・ミュージックにハマるきっかけでしたね。メタルからの流れでミクスチャーも好きで、フェイス・ノー・モアとかラップを取り入れていたり、メタルはメタルで早口で歌うようなスタイルとかもあって。だからはじめはラップとか早口スタイルへの興味ですね。そこからだんだんとヒップホップ自体が好きになっていき、いろいろディグるようになりました。僕も地方出身で、輸入盤屋っていうのが県に1、2個しかなかったので、DONSTAさんと一緒でそこにあるヒップホップはとりあえず全部聴いて買うみたいな感じでしたね。で、20歳前くらいにハワイに留学したんですよ。当時のハワイのローカルのシーンというかストリートやクラブはLAギャング的なノリが強く、ウエストコーストのヒップホップかMTVで流れるようなメジャーな音楽しか耳に入らなくて。だから実は僕はあんまり当時のNYのヒップホップってオンタイムで通ってないんですよね。ドレとかも好きでしたけど、69・ボーイズとかそういうチャラいベース系が大好きでした。でも1年に1回くらい日本に帰ってたんですけど、日本ではそういうチャラいベース系ってめちゃくちゃ否定されてましたね。

DONSTA

DONSTA : そうなんですよね! ずーっと馬鹿にされてた。
BINGO : でも自分は大好きだったんですよ。で、日本に帰ってきたのが1997年ぐらいだったんですけど、日本語ラップ・ブームで。僕は地元の静岡でラップをはじめました。まわりにダンサーが多くて、だんだんラップからダンスのショーケースやDJのサイドMCに変わっていって。それが2000年前後の、それこそチキチキ(注2)とか流行はじめのときですね。僕はそこまでNYに傾倒してなかったのでサウスにハマっていったんですよ。サウスにいって、そこからレゲエの先輩が近くにいたのでレゲエに移行していって、当時は少なかったんですけどレゲエとヒップホップをうまい具合にかけるグループでMCをずっとやってました。そんなこんなで東京に来て、ラバダブ・マーケットに出会ったんですよ。彼らもレゲエらしくないレゲエの表現方法をしてたのでシンパシーがあってイベント出させてもらったりとか。そうやって、ヒップホップの現場も行ってたんですが、レゲエの現場に染まっていくようになって。で、あるときマッシュアップのミックスを聴いたのかなあ? なにか忘れてしまったんですけど4つ打ちっぽいものが入っていたんですよ。ハウスやテクノにラップが乗っていたり、ダブっぽいノリになったり、レゲトンっぽい感じになったりとか。そこでハマっていってかなり雑食になったなって感じですね。そこからどんどん止めどなく広がっていってジュークもひっかかったりとかそれ以外のものも全部ひっかかって、自分のなかでフィルターを通していまもやってるって感じですね。

——なるほど。GUNHEADさんは?

GUNHEAD(HABANERO POSSE) : 一番最初は小学生の頃にダンス甲子園を見て。れいかんやまかんとんちんかんっていうグループがいたんですけど、その人たちがパリスの曲を使ってて、この曲格好良いなって思って近くのレンタル屋さん行って借りて聴いてました。でもしばらくはそこから似たようなものを掘るっていうのはなくて。中学にあがったときに家に親父のステレオセットがあったんで、レコードを買ってみようと思って偶然はじめて買ったのがツー・ライヴ・クルー(注3)でした(笑)。

一同 : すごい(笑)。

GUNHEAD : 同時期に電気グルーヴのオールナイトニッポンも好きな少年だったのでテクノも聴いてて。テクノにハマってる時期はヒップホップ聴いてなくて、ヒップホップにハマってる時期はテクノ聴いてなくて、っていうのを交互に大学生ぐらいまで繰り返してました。大学卒業したぐらいでDJをちょこちょこやるようになってから、この2つをミックスして遊ぼうみたいな感じでハードテクノにラフ・ライダーズとかをミックスして遊んでたりとかそういうプレイをずっとしてて。で、いまに至るって感じですね。スタイルとか聴き方とかは昔からずっと変わんないですね。

みんなで協力してシーンを盛り上げていこう感がすごいいい(GUNHEAD)

——前回特集をしたときにジュークが生まれた流れは少しわかったんですけれども、それを現場で発信してるみなさんはジュークってどんな定義だったり、解釈をしていますか?

GUNHEAD : 僕は最初誰かに聴かしてもらったときに、全然興味ももてなくて、BINGOさんに「年内に終わるんじゃないですか、これ」って言ったぐらいなんですよ(笑)。 で、その後にサウンドシステムでたまたま聴く機会があって。その差がすごくて。すげー迫力あるこれ、と思って。そこからハマった感じですね。
望月 : やっぱり家で聴くのとシステムだと全然違うんですか?
GUNHEAD : 全然違います。すっかすかなものがものすげえ勢いで飛んできて、「なんだこれ」みたいな。

左からBINGO、GUNHEAD

——BINGOさんはその前に早くから?

BINGO : 僕は結構早かったですね。ハバネロを結成する前にソロでミックスをつくってるときはBPM160のミックスとかもつくったことがあるので。だけどその時はジュークって言葉は聞いてたと思うんですけどシーン的なものは感じてなかったですね。例えばゲットーテックの早い4つ打ちに、チョップした声ネタが変な感じで入ってくるゲットーな曲という風に捉えてました。今もそれは変わらずゲットーなジャンルとして捉えてます。あとプラネット・ミュー(注4)ですね。プラネット・ミューが入ってきて浮遊感があるようになってきて。そっちはそっちでゲットーじゃない部分で好きになったって感じはありますね。
YO!HEY!! : BINGOさんが言うようにプラネット・ミューの前と後ではがらっと変わりましたね。あそこから別物っていう感覚なんですよね。ゲットーテックとかに全く興味なかった人にもジュークが知られるきっかけとなって、新しい進化が始まったのがプラネット・ミューの後って感じですね。
DONSTA : 僕はちょうどそのときにNYに行ってて、向こうは全然流行ってないんですよ、ジューク。街中でも絶対聴くことないし、なんで日本でこんなに今盛り上がってるのかなって。Twitterとかでもジュークのことちょっこっと書くとすごいRTされて(笑)。俺、前にネットラジオやってたんですよ。そのときとかはかけてても全然反応がなかったのになんで今こんなに盛り上がってるの!? と思って。そしたらプラネット・ミューからコンピが出てたっていうのがあったんですよね。

Sir Y.O.K.O.

YO!HEY!! : ジュークもヒップホップ以外の人に引っかかってる感じがありましたけど、この間の『160 or 80』(※5)。ここからなんか変わったって感じがします。
DONSTA : シカゴのジュークはサンプリングとか、ネタがヒップホップっぽい使い方っていうか。DJの選曲とかも。
Sir Y.O.K.O. : ヒップホップとジュークの関連性の話をすると『160 or 80』とか以前の問題で、シカゴではジューク以前からヒップホップの声ネタやサウスの声ネタとかをサンプリングしてたりするのが多いですよね。それが脈々とあるからヒップホップとジュークはリンクする部分が多いのかなと。例えばサウスがBPM80前後のビートが多いので、その倍のBPM160で音をはめ込んでいくパターン。サウスはよく使われてるんですよね。
YO!HEY!! : 海外だとサウスが定着して一応ちょっとだけジュークとの絡みもあったもんね?
Y.O.K.O. : あった。
DONSTA : サウスがポップ・ミュージックなんですよアメリカだと。日本だとヒップホップがポップ・ミュージックじゃないからジュークとヒップホップがなんで一緒にやるか不思議に思う人がいるかもしれないんですけど、向こうだと有線の感覚でデリにいってもリック・ロスがかかってる。そういう感覚なので、誰の中にもヒップホップが染み込んじゃってるんですよ。黒人も白人も関係なく。そのぐらいアメリカの一番売れてる音楽がロックとかじゃなくてヒップホップだから、ジュークでそれを使っても別に当たり前っていうか。不思議なことでもなんでもないっていう気が僕はするんですけど。

——なるほど。

YO!HEY!! : あとは… ビヨンセだよね。
DONSTA : … え?

一同 : (笑)

Sir Y.O.K.O. : ジュークと言えば(笑)?
YO!HEY!! : ヒップホップの方面で最初にジュークを聴いたのがビヨンセの「Check On It」のリミックスで。ヒップホップに初めてジュークが入ってきたって思って「わー! 」ってなって。いわゆるど真ん中のヒップホップにオフィシャルでジューク・リミックスが収録されたのは僕の中ですごい重要だったんです。
DONSTA : そうだね。そこからちょっとカニエ・ウェストとかがそういうの作って。キッドシスターとかが早いビートでジューク・ミックスみたいの出してガント・マンがやったりして。
BINGO : あー! あった。
YO!HEY!! : ガント・マン・リミックスの影響はすごく大きかったです。
DONSTA : でもそこまで盛り上がらなかったですよね、あれも。で、終わったと思って普通になったとこでプラネット・ミューがきて。
Sir Y.O.K.O. : そこでいうと僕はガント・マンが好きなので、ガント・マンが結構早い段階からヒップホップとジューク作ってるんじゃないかと思って調べてたら、あったんです! ガント・マンがシルク・ザ・ショッカーの声ネタを使ってジュークのちょっと前くらいの、今でいう3連符のジュークの前段階みたいな曲を作ってて。ガント・マンやっぱやってんなーと思って改めてクレジットみたらB-1の曲だったんです。全然違う人だったんですよね。DJトーンって人だった(笑)。でもシルク・ザ・ショッカーを使ってこういう曲を使ってるっていうのは結構早いはず。それがこれです。(「レコードを皆に見せる」)
BINGO : さすがレコード屋。でも、はじめにジュークって聞いたときにダンスのジャッキンの、シカゴの呼び方かな、と思いましたね。
DONSTA : ローカルだけのはやりってアメリカの様々なところにあるんですけど広がらないんですよね、何十年も。レゲトンとかも似たようなものでしたね。ずーっと同じビートでいまだに出てますからね。同じリズムパターンで。
BINGO : これを2000年以降、ディプロが開拓して外にアウトプットしていったって感じですね。

——ジュークでこれからも集まり場ができると思いますか? OUTLOOK FES(※6)はお祭りですけど。普通の週末に毎週ここでやってる、みたいな。

Sir YOKO : 最近は多いですよね。月に何回もジュークのイベントがあったりする。
GUNHEAD : ジュークのイベントは意外と増えてましたね。
Sir Y.O.K.O. : 今ではジュークカレンダーってのがありますからね。
GUNHEAD : みんなで協力してシーンを盛り上げていこう感がすごいいいですよね。去年のOUTLOOK FESでそれはすごい感じて。そこは素晴らしいなって思う。自然発生的にデモでCDを作ってまく人がいて、その感じはすごい良いなって思いますね。
YO!HEY!! : それはうらやましいですよね。

ヒップホップの人ってビートに関する変化は早いですからね(Sir Y.O.K.O.)

——APRILさんがジュークのイベント行っても知り合いが誰もいないような状況がなくなって欲しい、って言ってましたね。そうじゃなくなるといいなって。本当にそういうことなんだなーと、1つの盛り上がっていくシーンとして。

YO!HEY!! : APRILさんの役割でかいですよね。
BINGO : うん、でかい。あの人いなかったらやっぱりないと思いますね。変人で、喋れない人ばっかりなので(笑)。
Sir Y.O.K.O. : 変人(笑)。ちょっと気になるのは、僕たちはわりとヒップホップとかを聴いててジュークを好きになってるわけじゃないですか。でも『160 or 80』でラップしてる人とかは、全然ジュークを知らない人もいるわけですけど、そういう人はその後好きになってるんですかね?
BINGO : いや、結構ラッパーのなかでも特殊な人たちというか、頭が柔らかい人たちだから成立したと思うんだけど、いわゆるメインストリーム系のラッパーだったりDJの方は多分ひっかかる確立は低いと思います。
GUNHEAD : おもしろいと思って踊れるかもしれないけど、作品に取り入れるかどうかは別問題ですよね。キャラクターもありますからね。
Sir Y.O.K.O. : 『160 or 80』に関してはとても作品的ですよね。
BINGO : アーティストのピックアップとかすごく良かったと思うんですよ。
Sir Y.O.K.O. : フットワーク重視とかそういうわけでもなくて、そういう曲ももちろんあるんですけど、フットワークしづらい曲もありますよね。だから作品としておもしろいし、ああいうのはすごいなと思って。
DONSTA : ある意味ジュークの新しい楽しみ方ではありますよね。フットワークしなくても楽しいっていうのを作ったっていうのは。

Y0!HEY!!

——ただ現場で見られるかっていうとまた別かもしれないですね。

BINGO : そうですね、それはまた別かもしれないですね。またとんでもないやつが現れる可能性もありますしね、逆に。
Sir Y.O.K.O. : ジュークを作っている人たちのなかにも自分でラップもしてる人もいますもんね。ヒップホップ視点じゃなくて、ジュークを作っている人からの視点。
GUNHEAD : ああ、なるほど。ケニーさんとかねえ! サタポもそうですね。
BINGO : 僕はもろサグいやつでジュークやってるやつがでてきてほしい(笑)。全然気負わないやつでいいんですよ。格好だけでもいいから。そういうやつがいたらちょっと変わるかなって気がするんですよね。
Sir Y.O.K.O. : それは見たい(笑)。
YO!HEY!! : 新しいステージって感じがするね(笑)。
BINGO : ヴィジュアル的なイメージも、最近はYouTubeもみんな見てるんで。自分はジュークといったらゲットーな黒人のイメージしかないんで。
GUNHEAD : すっげーデブとか。

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——ヒップホップとジュークの次の見え方ってとこでそれが出てきたらおもしろいですね。

Sir Y.O.K.O. : 激しいものからメロウなものまである。もう海外のいろんな人が取り入れてるし、発展性っていうのはすごいあるんじゃないかな。ただ薄まる可能性はありますけどね。それとフットワークで踊れるようなものが平行していくのかなっていうイメージはありますね。
DONSTA : あと、さっきもYO!HEY!!が言ってたビヨンセ! ビヨンセの曲って女の子受けがいいんですよ。そういう要素が今ほとんどの人にないんでそこが大問題かな。だってここ全員男じゃないですか。人口の半分捨てちゃってるようなもんですよ。女の子も楽しめるような、広い視野を持って曲を作らないと、好きもんだけの集まりになっちゃうんで。

DJ Rashad「Rollin」
DJ Rashad「Rollin」

望月 : 結局第1回目と同じ結論に… (笑)。

Sir Y.O.K.O. : だから『160 or 80』でいうと、PUNPEEとか入れてった部分はすごいでかいはずなんですよ。それで買った人ってすごい多いし。『160 or 80』で反応が多かったのって女の子だと思うんですよ。だからやっぱりビヨンセ的な人のリミックスとかがあったらいいと思いますね。
GUNHEAD : それ必要ですよね!
Sir Y.O.K.O. : 実際に現地のシカゴのトラックスマンとかにしても、モテてんのか? っていうところありますからね。
BINGO : ビデオを見てても男しかいないですからね。
GUNHEAD : もうあきらめよう(笑)!
Sir Y.O.K.O. : (笑)。でもフットワークをする子は結構女の子が多いですよね。

望月 : じゃあダンサーとかのほうがいいのかもしれないですね。

GUNHEAD : あとはDJとかよりもマイクを握る人のほうがわかりやすく人気はでるので、そういったジューク専門で歌うラッパーとかが出るとそういう可能性は広がるのかなって気はしますけどね。
BINGO : 最近はラシャドのYouTubeでアップされていた新譜やEPのローリンって曲とかそうだけど、トラップに近いジュークものがきてるなって。やっぱそうなんだなって感じがして。自分は音的にはすごい好きで。使いやすいし。そっち方向にいきそうなそうな気もするんですよね。
Sir Y.O.K.O. : なんかおしゃれになってきてますね。
GUNHEAD : それもいいんじゃないですか。異性を感じさせる気配が現れてるんじゃないですか(笑)。
Sir Y.O.K.O. : でも確かにラシャドの曲はそういうアプローチを感じましたね。
BINGO : YouTubeで流れてたのは、あれはフル尺ではないとは思うんだけど、ハーフでとる部分が多くなってきてる。どっちがブレイクかもわかんないような感じで。そこが早いのが苦手な人も、いわばバウンスしたい人にもいいのかなって。

Sir Y.O.K.O. : この間、ボイラールーム(注7)のTa-Ku(タ・ク)のアーカイヴ見ましたけど海外ではバウンス感覚っていうのはこんなに浸透してるんだって思ったし、そういう感じがジュークにも反映されてくるとまた使いやすくなる。
GUNHEAD : テクノとか4つ打ちメインの現場でバウンスっぽい曲をかけると全く踊らないんですよ。バウンスに対する踊り方っていうのがわからないとか、それこそ半分でとっていいのか倍でとっていいのかわからないので。そういう考え方をするとヒップホップのほうが入り方としては可能性はあるのかなって気がしますね。
YO!HEY!! : ヒップホップの人ってビートに関する変化は早いですからね。テクノとかハウスってずっとビートが変わらないじゃないですか。
GUNHEAD : 楽しみ方も違うんで。いろいろな人が、ループの中にある覚醒っていい方をよくしますけどね、
BINGO : 逆にダブステップのシーンってジュークとの親和性はどうなんですかね?
GUNHEAD : 一番近いのはフルーティじゃないですか。今でも完全ジュークの人ですけどね。
Sir Y.O.K.O. : 日本のジューク・シーンにも色々な人いますね(笑)。いろいろなジャンルが混ざりあうイベントはこれからすごい増えてくると思うので、そういった意味では幅はどんどん広がる可能性は高いと思いますよ。
BINGO : 僕たち自身はあんまり分けて聴いてるわけではないですからね。
DONSTA : そうですね。なんかおもしろいのが出てきたらみんなに紹介するのがDJの役目だと思います。

編集部注

1. マイアミ・ベース : その名の通り、マイアミのローカルなエレクトロ・ヒップホップのスタイル。下世話なラップと、同時代のヒップホップと比べると早めのBPM、TR-808の異常にブーストされたベースが特徴のエレクトロ・ヒップホップ。ジュークなどのゲットー・ハウスとも共鳴する部分も多い。女性のセクシーなお尻とウーハーがトレード・マークのようにジャケットに描かれることが多い。
2. チキチキ : それまでのヒップホップ・ビートの方法論であるサンプリングではなく、打ち込みを主体とし、シンコペーションするヒップホップ / R&Bのビート。ハイハットがチキチキと鳴るため、日本ではそう呼ばれた。ティンバランドやスウィズ・ビーツが主なプロデューサー。
3. ツー・ライヴ・クルー : マイアミ・ベースの代表格的アーティスト。ちなみに中心人物の名前はルーク・スカイウォーカーを名乗り、ジョージ・ルーカスに訴えられた。
4. プラネット・ミュー : Planet μ。イギリスのアーティスト、μ-Ziq(ミュージッく)ことマイク・パラディナスのレーベル。エイフェックス・ツインとも親交の深いマイクの主宰だけに、初期はエレクトロニカ色が強かったが、最近は平行してダブステップやジュークなどベース・ミュージックをリリースを多くリリース。ジュークが世界的に知られるきっかけとなったジューク / フットワーク系のコンピ『Bangs & Works』や、シーンの中心アーティスト、TRAXMANなどをリリースしている。>>>official HP
5. 160 or 80 : 世界初の企画。ジューク / フットワークと呼ばれる音楽・ダンスのムーブメントの160BPMビート上で、日本におけるそうそうたるメンツのラッパーがアクト。ジュークが広まる機会にもなった話題作。
6. OUTLOOK FESTIVAL : 欧州クロアチアのプーラで9月の第1週の週末に4泊5日で開催される。欧州、さらには世界最大ともされるベース・ミュージックとサウンド・システム・カルチャーのフェスティバル。今年も新木場ageha / STUDIO CAOSTにて開催されることが決定。>>>OUTLOOK FESTIVAL 2013 official HP
7. ボイラー・ルーム : BOILER ROOM。ドイツやロンドン、ロス、NYなどにあるクラブで、dommuneのようなDJプレイのライヴ・ストリーミング、そのアーカイヴを公開している。>>>official HP

ジュークとヒップホップを繋いだ『160 or 80』の首謀者、Trinitytiny1登場!

——Trinitytiny1さんとジュークの出会いを教えてもらえますか? 出会った時の衝撃を教えてもらえますか?

それは完全に偶然だったんですけど、プラネット・ミューの『Bangs & Works Vol.2』(The Best Of Chicago Footwork)が出たときの、2011年11月でした。どこかのレコード屋さんのWEBで視聴してたら、ダブステップのジャンルに『Bangs & Works Vol.2』がまじってたんです。視聴して気持ち悪かったので買ってみたんですけど、本当にわけがわからなくて、ジャンル名も知らないし、アーティストも一人も知らないし、「シカゴ・フットワークってなに?」って。海外に住んでるんですけど、音楽検索するときとかも割りとTwitterを検索したりしますが、Twitterでシカゴ・フットワークって調べても、ほぼ該当するような発言ってないんですよね。でも、D.J APRILさんを、そのCDを買ったその日に見つけましたね(笑)。で、彼のツイートからいろいろ学ばせていただいたり、あとは 前述のコンピ参加アーティスト名でひたすらレコードショップのWEB SITEを見あさって、DJ ROC / CRACK CAPONEがなにかをひたすら聴いていた記憶があります。

——ジュークとヒップホップが合体した『160 or 80』の制作にあたるまでの過程を教えてもらえますか?

もともと日本のヒップホップといわれる音楽を聴いたりすることが多いのと、自分でビート制作のまねごとをしていたんですけど、昨年10月ころですかね、ちょうどジューク / フットワークに出会って1年くらいで、その1年新譜なんかは結構フォローしていて、そのなかでサンプルの切り方、ハットの刻み方、スネアの音色のアプローチはヒップホップでしかないな、って思った曲があったんです。あわないわけないだろう、やってみようって思ったんです。日本でもD.J. Fulltonoさん、G.O.さん、DJ SEKISさんはMCと絡んでいたことも知っていて、ただGRIMEのMCだったり、日本語ラップの畑でやっている方々ではなかったので、しっかりやってみようって。で、食品祭りさんに相談したら、手伝ってもらうことになって。本格的にILLICIT TSUBOIさんとか、APRILさんに相談して動き始めたのが2012年10月ですね。2013年の2月にリリースして、3か月経ちますけど、いまだにお陰様で超大好評です。思った以上に皆さん買ってくれました。そして皆本当に好んで聴いてくれましたね。

左から左からD.J. Fulltono、クレイジーケニー

——APRILさんは、日本におけるジュークの今後はオリジナルなものになっていくとおっしゃっていました。Trinitytiny1さんはどう見据えていますか?

アーティストさんも面白いもの出されてる方がすごく多いし、良い作品しかないし、今後も日本独自のいい音楽として発展していくんじゃないでしょうか。ダブステップが日本でも大爆発してた頃のダブステップの日本人ビート・メイカーよりジューク / フットワークを作っている人のほうが多い気がしますしね、根強い気がしますし。JUNJUKE / CRZKNY等、あんなトーン&マナーのジューク / フットワークが出てくるのって世界中で日本だけじゃないでしょうかね。

――今、HABANERO POSSEとThreepee Boysをインタヴューの場に招いているのですが、何か伝えることはありますか?

企画立ち上げ当初から色々助けてもらってまして、その節はありがとうございました。日本に住んでいたら皆さんに沢山お会いしていただろうな、と。離れた所にすんでいる、寂しさをかみしめてます。1月のDOMMUNEで『160 or 80』の特集組んでもらったときにHABANEROさんとTHREEPEE BOYSのSir Y.O.K.O.さんにお会いすることができました。

——また今後、企てていることがありましたら、教えて頂けますか?

『160 or 80』でまだ動いてることが結構あるので、まだ注目してて欲しいです。

OTOTOY'S JUKE MUSICが続々入荷中!

VA. / Footwork on Hard Hard Hard!!

80年代からシカゴで活動し、2012年『"DA MIND OF TRAXMAN』をPlanet-Muから発表し、多くのシーンを震撼させたシカゴ・ゲットー・サウンドのゴッドファーザーTraxmanや、収録曲が「ジューク / フットワーク」スタイルでの初CDリリースとなるKID606、世界中の「ジューク/ フットワーク」プレイヤーによる楽曲をコンパイルする「World Wide JUKE」シリーズの主宰者Juke Ellingtonらの海外勢に加え、日本国内に向けて精力的に「ジューク / フットワーク」を紹介しつづけ、海外でもその名を知られるD.J.Fulltono。そして、彼が主宰するジューク / ゲットー・テック専門レーベルBooty Tuneに所属するD.J.G.Oがここに集結! とどまることを知らない進化の過程をぶっ壊れるほどの重低音と共に体感しろ!

Y.A.S / D.J. G.O. footwark Remix
Y.A.S / B-komi D.J. G.O. Remix

静岡を代表するMCでありながら、UMBでの活躍もめざましいY.A.Sが、ありのままの現状を詰め込んだ2nd Album『ワルアガキ』を発表。その2nd Album『ワルアガキ』のリミックス・ヴァイナルが2013年の春に発売予定だが、それに先駆けてOTOTOYで収録曲3曲を先行配信! レーベル主宰Cge za farmerの働きかけにより、東京在住のジュークのトラックメイカー / DJのD.J.G.O.にリミックスを依頼。また大阪のSota Furugenにマスタリングを依頼し、全く新しい音源として世に送り出す。

>>>Y.A.Sの特集はこちら

日本最大のベース・ミュージックの祭典を見逃すな!!

今年で3回目を迎えるOUTLOOK FESTIVALのJAPAN LAUNCH PARTYが5月19日(日)に新木場ageha/STUDIO CAOSTにて開催される。メインアリーナ、WATER、BOX(TENT)、ISLAND BARそれぞれに強烈なサウンドシステムが登場し、重低音を轟かせる。

OUTLOOK FESTIVAL 2013 JAPAN LAUNCH PARTY
2013年5月19日(日)@ageHa/Studio Coast
OPEN / START : 14:00
SKREAM+BENGA (from UK) / IRATION STEPPAS (from UK) / MUNGO’S Hi Fi (from UK) / PART2STYLE SOUND / 1945 a.k.a KURANAKA / DJ KENTARO / DEXPISTOLS (ROC TRAX) / HABANERO POSSE / BROKEN HAZE / D.J.APRIL (BOOTY TUNE) / PAISLEY PARKS (PAN PACIFIC PLAYA) / D.J.FULLTONO (BOOTY TUNE) / GOOD WEATHER / Jah-Light Sound System / KEN2-D SPECIAL / クボタタケシ / LEF!!!CREW!!! / MIGHTY MASSA… and more!

>>>OUTLOOK FESTIVAL 2013 official HP

PROFILE

HABANERO POSSE
FYS a.k.a. BINGOとGUNHEADによる"GWIG"なDJ / トラックメイカー。その他グラフィック担当の405mhz(http://www.405mhz.com/)も加入。音楽性をあえてジャンル分けするなら【SEXY BASS & DIRTY GHETTO MUSIC】。2012年、国内最大のBASS MUSIC FES「OUTLOOK JAPAN FESTIVALに於いて、見事サウンド・クラッシュ・チャンピオンに輝く。!!!KYONO+DJBAKU!!!、RYUZO、DJ LEAD、ZEEBRA、倖田來未などさまざまな国内のアーティストへの楽曲提供 / REMIXの他、THE PHARCYDE「RUNNIN」、KEYSHA COLE「LOVE」など、フロア・アンセム化している「MOOMBAHTON BASS TRAP REMIX」も制作。また、U.S.のコンピ・アルバム『MOOMBAH MARAUDERS』やJUKE+RAPのコンピ『160 or 80』への参加や、盟友KAN TAKAHIKO氏とのコラボレーションMIX CD『MOOMBAHTON GODZILLA』、アルバム『XMAS MOOMBAH EXPRESS』のリリースなど、国内外でさまざまな作品を発表している。BLOCK.FMのレギュラー番組「WICKEDPEDIA RADIO」のパーソナリティー兼DJ。。

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Threepee Boys
DONSTA、YO!HEY!!、SIR Y.O.K.O.の3人から成るオルタナティブ・ヒップホップ・DJユニット。常に進化するヒップホップ・カルチャーを新解釈し、提示し続けるブログ“Threepee Times”を主宰する。DJとしてはOld SchoolからNew Schoolまでヒップホップはもちろん、ローカルバウンスとしていち早く日本で取り上げた。New Orleans BounceやJuke / Jitなどを複合的ダンス・ミュージックへ昇華させ、縦横無尽にミックスする常にF/R/E/S/H/なグループ。Threepee Boys関連のリリースとしては、Mix CD『Threepee Times Mix 1』、Zen-La-Rock、HNCへのリミックス提供。只今ソロのフリー・ミックスがblog“Threepee Times”にて公開中!

Threepee Boys official HP

Trinitytiny1
32歳会社員。会社の命令で現在バンコク在住4年め。
172cm、61kg、体脂肪率14%。似ている有名人はセルジュゲンズブール、板尾創路、宗教の頃の保阪尚希、体が弱い。

[インタヴュー] Y.A.S

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