2006年9月の結成以来、マイペースかつ着実に成長を続けてきた日本産アフロ・ビート・バンド、KINGDOM☆AFROCKS。メンバーはキューバ帰りのIZPON(パーカッション&ヴォーカル)、アフリカにもたびたび足を運んでいたタナカ慶一(ドラムス)、ニューオーリンズで経験を積んできたDaisukeBeing(ギター)など海外で腕を磨いてきた強者ばかり。そして、それぞれのバックボーンが反映された多彩な音楽世界が彼らの魅力だ。

今回リリースされたニュー・アルバム『SanSanNaNa』は、前作『Fanfare』に続く2枚目のオリジナル・アルバム。アフロ・ビートというサウンド・フォーマットを持ち前の遊び心と創造力で拡張し、彼ら独自の世界観を確立した力作となった。フジロック・フェスティヴァルをはじめ、各地のフェスへの出演も決まっている彼ら。IZPON、NAOITO(パーカッション&ヴォーカル)、南條レオ(ベース)、sumilady(キーボード)という4人にインタヴューを試みた。

インタビュー&文 : 大石始

今、時代が求めるのはこのバンドKINGDOM☆AFROCKS!!

HUNGER、Leyona、三宅洋平、鎮座DOPENESSが参加した先行シングル「2vs98」の盛り上がりで、現在の東京ライヴ・シーンをリードする彼らのニュー・アルバム! ここにあるのは新次元にたどりついた日本人最強のサバイヴするサウンドだ。

KINGDOM☆AFROCKS / SanSanNaNa(DSD+mp3 ver.)
【配信形式】
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【配信価格】
1200円(まとめ購入のみ)

【TRACK LIST】
01. P.E.O.P.L.E / 02. No Son Tuyas (Not Yours) / 03. SanSanNaNa / 04. fire fire(interlude) / 05. CONEXÃO / 06. BonBonBon / 07. 2 vs 98 -Loud Minority!- feat.HUNGER、Leyona、三宅洋平&鎮座DOPENESS / 08. jinja jinja (outro)

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誰かに植え付けられた欲望なんじゃないか?(IZPON)

——今回の『SanSanNaNa』は前作『Fanfare』からインターバルを置かず、結構素早いリリースになりましたね。

IZPON(以下、I) : 「1年に1枚ペースで出していかないとみんなに覚えてもらえないだろう」と思い始めて、去年の秋ぐらいから曲を作り始めたんですよ。前は自分たちのスタイルが見えなかったところがあったんだけど、あのアルバムを作って、「ここかな? 」っていうのが見えたような感覚があって。それで新作の話を持ち出したんだけど、メンバー間でも全会一致というわけにはいかなくて(笑)。「そんなに焦ってどうすんの? 」っていう意見もあってね。
sumilady(以下、S) : とりあえずやってみよう、と。ライヴでやったことのない曲を録ったのも今回が初めてだったんですよ。前のアルバムの曲はライヴで固めたものがほとんどだったから。

——『Fanfare』でそれまでのAFROCKSを全部吐き出しちゃったような感覚?

I : そうそう。全部吐き出して何もなくなっちゃった感じ(笑)。
S : 今回のレコーディングでそれぞれの役割がはっきりしたんですよ。ネタ出しが得意な人、アレンジが得意な人、言葉を乗せるプロ、ディレクション… ホーン・アレンジはサックスのKIDSが中心になったし、あとは運転が得意な人(笑)。これまでは(制作期間に)余裕があったから、そこまで役割分担は必要なかったんだけど、締め切りに追いつめられて必然的に役割分担が出来てきた(笑)。

——「曲を作らないといけない」という状況がバンドに刺激を与えたとも言えそうですね。

I : うん、それは確実にあるね。

——NAOITOくんは震災以降で歌や言葉に対する変化はありました?

NAOITO(以下、N) : 言葉を発するときに以前より慎重にはなりましたよね。確かに歌詞を書きにくい状況にはなったけど… 今回のアルバムについて一番消極的だったのは僕だったんですよ。この状況で無理に作るのはどうかとも思ったし、なによりも締め切りを作られるのが苦手だから(笑)。どういう歌を歌いたいか、その意識は(震災以降も)変わってないんですけど、さじ加減に対しては慎重になりましたよね。

——さじ加減?

N : なんというか… 日本各地、住んでる場所でこの状況に対する解釈は違うだろうし、僕が本心を伝えることで困惑する人もいるだろうと思って。正直、自分の考えが偏ってるっていう自覚もあるから。それで言葉のチョイスに対する意識するようになった。

——前はもっと直接的だった?

N : もちろんその時もその時なりのさじ加減は考えてたけど、より慎重になった感じ。「痛い」メッセージはなるべく削ろうと。たとえば前作では「デカダンス」とか「家畜」みたいな言葉を使ったんだけど、今はそういう言葉は使わない。

——IZPONさんはどうですか?

I : 正直(震災以降も)オレはそんなに変わってない。考えてもワケ分かんなくなるだけだし… このバンドにおいては生命力と爆発力みたいなものを表現したいと思ってるし、なおかつ明るく楽しいものをやりたい。そこは全然変わってないですね。AFROCKSのライヴを説教の場にしたくないし、宗教的な場所にもしたくない。あくまでもイライラを発散できるような場所できるような「パーティー」でいいと思ってるんですよ。結局、エネルギーがなかったら困難な状況も覆せないだろうし、人の意見も聞けないだろうから。

——なるほど。では、ここから各曲を解説していただきたいんですが、1曲目は「P.E.O.P.L.E」ですね。

N : これはレオくんがベーシックを作って。
南條レオ(以下、南) : アゴゴっていうサンバで使う楽器が入ってるんですけど、AFROCKSというフィルターを通してブラジルを表現した感じの曲。この曲はやりたいことがはっきりしてたから、最初のイメージからそんなに変わってないですね。あと、アッパーなライヴばかりやってきたので、ゆったりめなんだけど踊れる曲を作りたかった。アフロ・ビートのリズムを基調にしてないからどうなるかと思ったんですけど、AFROCKSならこういう曲もできるんじゃないかと。以前トニー・アレン(全盛期のフェラ・クティを支えた名ドラマー)と話したとき、彼も「アフロ・ビートは進化途中の音楽だから、必ずしもフェラ・クティのイメージに囚われなくてもいい」って言ってたんですけど、僕らも同じ意識でやっていきたいんです。
N : この曲の歌詞を書き始めたとき、頭の中には“北風と太陽”のイメージがあったんですよ。去年からいろんなことがあってみんなの意識も変わっただろうし、一方では何万人という人がデモに集まっても報道されなかったり。デモのイメージって取っ付きにくいものだと思うんですけど、どんなデモだろうと参加してる人が輝いていないと(沿道の人に)伝わらないだろうと。太陽が人々を照らし出していって、そこから変化に繋がっていったらいいなと思って。

——なるほど。

N : ボブ・マーリーやフェラ・クティがメッセージを投げかけていた時から考えると長い歳月が経ってるわけで、レベル・ミュージックをやるにしても先に進みたいんですよ。何ふり構っていられない状況のなか、自分たちも変わっていかないといけないし、みんなで変わっていかないといけないと思ってるので。

——2曲目はIZPONさんが歌声を披露している「No Son Tuyas」ですが、これはスペイン語ですよね?

I : そうそう。「No Son Tuyas」は英語にすると「Not Yours」。それはお前のものじゃない、と。これは個人の欲望の話なんですけど、直訳すると、「みんなお金のために満員電車に揺られて、こういう暮らしをしたい」、「こういうものがほしい」とばかり願うけど、それは本当にお前が望んでるものなのか? 誰かに植え付けられた欲望なんじゃないか? … そういう歌です(笑)。この曲はモッシュができるぐらいのアフロ・ビートのイメージ。ホーンのテーマはサックスのKIDSに作ってもらいました。

——ホーンのアレンジはKIDSくんが考えることが多いんですか?

I : スミレちゃんが作ることもあるんだけど、KIDSが多いかな。彼はブラック・フラッグが好きだったりして、僕とルーツが似てるんですよ。

2パーセントの捉え方も人によって全然違った(NAOITO)

——3曲目はタイトル曲の「SanSanNaNa」ですね。

S : 震災後、自分たちなりに音でメッセージを伝えられないかと考えていたときに浮かんだアイデアを元にした曲。90ぐらいのBPMに三三七拍子がハマるんじゃないかと思って、GarageBandで遊んでたんですよ。そのときできたビートから組み立てていって。子供とかお年寄りでも反応してくれそうな、誰でも分かるモチーフの曲を作りたかった。

——あのリズムに三三七拍子を組み込むのは大変でした?

S : いや… 最初アフロビート感が出なくて苦労したんですよ。どうもロックな感じになっちゃう。そこにアフロ・ビート感を足していって。

——何を足すとアフロ・ビート感が増すんですか?

南 : シェケレとかで音色を足せば… (笑)。
S : あとね、アフロビートのリズムって土着的でアーシーなイメージが強いと思うんですけど、意外と細かくてお洒落なんですよ。そこも出したいと思って。
N : この曲は録り始めてから急に化けたんです。それまではインストとして作ってたんですけど、レコーディングのとき、ディレクターと古語の話をしていたら「ありをり侍(はべ)りいまそがり」っていうフレーズが出てきたんですね。そこに「SanSanNana」「いわずもがな」という言葉を繋げて「ありをり侍りいまそがり/いわずもがな/三三七」という一節ができた。

——最初聴いたとき、アフリカの言葉かと思った。

N : 古語ぐらいまで古い言葉になると日本人でも外国語に聞こえるのかもしれない。言葉自体に魅力があるんですよね。

——インタールードの「fire fire」を挟んで5曲目が「CONEXÃO」。

S : タイトルはポルトガル語なんですけど、英語だと「Connection」。今回はいろんな言語がタイトルになってるんですよ。スペイン語、日本語、英語、ポルトガル語。

——曲としてはどんなイメージがあったんですか。

S : 明るい曲があったらいいなと思って。AFROCKSの場合、攻めの曲が多いので、早くも遅くもない和やかな曲がほしくて。
N : この曲が制作に入った段階で「Connection」っていうテーマがあって、そこから歌詞を書き始めた感じ。世代間の断絶を越えていかないと何も変わらないと思うし、大衆に向かって何を言おうとも、自分の親や子供と同じ価値観を共有していけないと無闇に吠えていても意味がない。そういった世代間の「Connection」もここに集約できたらいいなと思って。

——6曲目の「BonBonBon」はいかがですか。

S : これは中東~東欧のブラス・バンドみたいな曲を作りたくて。途中のホーンのアレンジはレオにも手伝ってもらいました。ちょっとした異色ネタですね。

——ちょっとバルカン・ビート・ボックスみたいな雰囲気がありますよね。

S : そうですね、まさに。だから最初はふざけて「BBB」っていうタイトルを付けてたんですよ。そうしたらドラムの慶一が「BonBonBonは? 」っていうアイデアを出してきたので採用、と(笑)。

——7曲目はHUNGER(GAGLE)、Leyona、三宅洋平、鎮座DOPENESSをフィーチャリングした「2v98 -Loud Minority!」。

南 : これは2年前に洋平くんとか鎮くん、Leyonaとかと横浜のパーティーに出たことがあって、その時みんなで作った曲。

——歌詞のテーマは誰から出てきたんですか。

S : 洋平くんだよね?
I : そうそう。洋平と話すなかでいろんなワードが出てきて、そのうちの1つが「2対98」だった。今回の曲の中で言えば一番みんなで作った感じの曲ですね。
N : 「2対98」っていうコーラスにしようって俺とIZPONと洋平で決めて、あとは16ヴァースずつみんなで書いていった感じですね。
I : 「2パーセントの富裕層が残りの98パーセントを牛耳ってる」っていう話がありますけど、「2対98」の捉え方もそれぞれでいいと思うんですよ。
N : 洋平くんは陰謀説が大好きだから2パーセントの捉え方にしても持論があったし、オレは「101匹目の猿」の話じゃないけど、突出した考えを持っていたとしてもどこかで共有できるヤツはいるんじゃないかと思ってて。

——NAOくんは2パーセントのほうに自分を置いてるんだ。

N : そうそう。1パーセントじゃないところに希望を持ってる。2パーセントの捉え方も人によって全然違ってたので、それでいいと思ってて。

——で、ラストがアウトロの「jinja jinja」。この曲名は何語なんですか?

I : これは神社でフィールドレコーディングした音源なんだよね。それで「jinja jinja」(笑)。
N : ま、「イチカバチカーノ」以降、駄洒落が多いんです(笑)。
I : 「2vs98 -Loud Minority!」でゴツく終わるとナンだから、ラストで浄化するイメージというか。

——このアルバムのリリース後、いくつかのフェスへの出演も決まってますね。そのなかでも一番大きいのはフジロックですかね?

南 : 嬉しいですよね。前回は朝方の出演だったので、出演者もお客さんもベロベロに酔っぱらってて(笑)。ちゃんとリヴェンジしたかったんですよ。AFROCKSには専属のPAもいるんですけど、フジロックにも来てもらうつもりです。
N : 海外でもやりたいんだよな、フイリピンとかタイとか。あと、「2vs98 -Loud Minority!」はシリーズ化してもおもしろいと思うんですよ。韓国のキム・バンジャン(WINDY CITY)を呼んだりして、海外ヴァージョンを作りたいですね。

>>>「2vs98 -Loud Minority!」リリース時の特集はこちら

LIVE INFORMATION

Happy Farm Music Festival 2012
日時 : 2012年7月7日(土)、8日(日)@長野県上高井郡高山村山田牧場カリヨンホール(野外)
開場 : 10:00(7日)~雨天決行
出演 : Dachambo / KINGDOM☆AFROCKS / Likkle Mai / Spinna B-ILL / bocca / UCND

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1st album『雑食familia』が、まだ記憶に新しいシンガー・ソングライターNAOITOのセカンド・アルバム。精力的にライヴ活動を続けながら379日の間に書き続けた楽曲達は、更に雑食性を増した。デモCDを自主制作していた頃から各地にファンを多く作った名曲『FLOWERS』もバンド・バージョンとしてリメイクするなど、チャレンジ精神に溢れた渾身の一作です。


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2007年発表、前作「Life is Beatfull」に続く犬式のセカンド・アルバム。前作からよりグルーヴィになったサウンドに三宅洋平によるリリックがのり、更に世界観が広がった全11曲。

PROFILE

KINGDOM☆AFROCKS
2006年9月、結成と共にセッションを重ねすぐにレコーディング開始。アフロ・ビートを軸に、ジャズ、ブラジル、ラテン、ロック… 様々なバック・グラウンドを持った彼らの熱いエネルギーが感じれるライヴは、主にダンス・ミュージック好きの間であっという間に口コミで広がり、様々なレーベル、イベント/音楽関係者の間で話題となる。メンバーはセネガル帰りでアブライ・ンジャイというセネガル名も持つ田中慶一(Dr)、5年間のキューバ修行から帰国したIZPON(Per)、ブラジル生まれの南條レオ(Ba)、孤高の旅人NAOITO(Per&Vo)の極太リズム隊に加え、紅一点の爆裂キーボーディスト、スミレディ(Key)、ニューオリンズ帰りで作曲にも定評のある野本大輔(Gt)からなるコード楽器コンビ、セネガル仕込みのパフォーマンスで話題のダンサー、Yussy(Dance&Chorus)、新メンバーのKid's(B.Sax)からなる超個性派揃いの8人。2007年5月より「afrontier」「CAMPS」などの人気イベントに出演し各地で大好評を得る中、7月には結成約半年にして「FUJI ROCK FESTIVAL 07'」に出演。以後、現在までに「TOKYO JAZZ CIRCUIT 07'」、「U.F.O presents JAZZIN'」「Gilles Peterson presents WORLDWIDE SHOWCASE 2008」等に出演し無名のバンドながら堂々のステージングで観客を魅了する。2008年6月6日には待望の1stアルバム『LIVE IN AFRO CITY』も発売! 更に8月にはフェラ・クティと共にアフロ・ビート創世記を支えた伝説のドラマー「トニー・アレン」との共演も果たし、名実ともに国内最強のアフロ・ビート・バンドとなる。2009年には初のスタジオ収録アナログ「イチカバチカーノ」を発表し、B面に収録されたBased on KyotoのDaichiによるREMIXと共に世界のフロアを揺らし、2011年6月15日1stアルバム『FANFARE』をリリース。全国各地で話題沸騰中!

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