アイヌ、琉球をルーツとする2人の夢のコラボレーションが実現した。

OKI meets 大城美佐子 / 北と南

【価格】
MP3 : 単曲150円 / アルバム1500円
WAV : 単曲200円 / アルバム1800円

ひとりは、樺太アイヌの伝統弦楽器・トンコリの奏者であり、世界を見つめた斬新な音作りでアイヌ音楽の可能性を切り拓いてきたミュージシャン/プロデューサー。ひとりは、唄の道を歩み続けて55年、御年76歳にして現役、“絹糸の声”を持つ沖縄民謡界の女王として君臨する唄者。誰も想像しなかっただろう北と南の出会い。

豊かなリズムが対話する

アイヌ音楽と沖縄音楽。互いに伝統がある。それがそれぞれの豊かな暮らしに密接に結びついた遊動的で多彩なリズム=生活感覚であるとしたら、この『北と南』というアルバムは、生活の環境も大きく異なる日本の北端と南端で培われたそれぞれのリズム感覚を持つもの同士の対話である。そう、OKI DUB AINU BANDを率い、カラフト・アイヌ伝統弦楽器「トンコリ」の奏者であるOKIと、沖縄民謡界を代表する唄者・大城美佐子によるこの『北と南』からは、アイヌ音楽と沖縄音楽のリズム、生命の鼓動が聞こえてくる。そして、その生命の交感が描きだすものは、新しく、そしてどこかでノスタルジーを感じさせる音の風景であり、響きである。

この『北と南』という作品は沖縄民謡・歌謡を中心に据えて制作されている。そして、この作品に大きな陽だまりを描き出しているのが、二色の音の鳴りである。メロディを作り上げるだけではなく、曲の響きとその曲が抽出する世界をさらに拡張させているのがこのトンコリと三線だ。それは一曲目の「固み節」の冒頭にはっきりと聞きとることができる。リズミカルな太鼓と幽玄なトンコリの音色に連なるように鳴り始める艶やかな唄と、甘美な三線の鳴り。3分余りのこの曲から浮かび上がってくるのは、OKIと大城のおおらかで楽しげな演奏風景であり、そして彼らの生活に存在するであろう豊かなリズムが交錯する瞬間である。その交錯にはあっと驚かずにはいられない。

そして、その「固み節」から連綿と綴られる、伸びやかで優雅な大城の「絹糸の声」。その唄をさらに引き立てるための、OKIの精妙なアレンジ・ワーク。そこから感じ取ることができるのは、OKIが沖縄民謡を、そして大城の唄を濃厚に、綿密に聞き込んでいるということである。「ヒンスー尾類子(じゅぐりわー)」における、三線の隙間を縫うように刻まれるベース・ラインに施された緻密なダブ処理。あるいは、三線やトンコリにディレイやリヴァーブをかけながら、優しく鼓膜を刺激していく「ヤッチャー小(ぐわ)~泊(とまい)高橋(たかはし)」。さらにマスタリングに菊地成孔DUB SEXTETのリアル・タイム・エフェクト・エンジニアでもあるパードン木村を起用することによって増した、音の厚みと深み。このようなアレンジの豊穣さによって鳴らされる音の一音一音には、OKIの大城に対する尊敬の念が滲み出ている。

ルーツの異なる北からの波と南からの波。その二つの波が、唄と三線とトンコリを媒介にしなやかに、そしてきめ細やかに合流する。その波が親密に寄り添う音を聞くのは、我々にとってスリリングな体験になるであろう。なぜならば、そこではOKIと大城美佐子の濃密な対話、すなわち今まで決して交わることのなかったアイヌ音楽と沖縄音楽のリズム感覚の交感が行われているからだ。そして、その瞬間はどこか懐かしく、美しい。(text by 坂本哲哉)

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PROFILE

OKI
アサンカラ(旭川)アイヌの血を引く、カラフト・アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」の奏者。アイヌの伝統を軸足に斬新なサウンド作りで独自の音楽スタイルを切り拓き、知られざるアイヌ音楽の魅力を国内外に知らしめてきたミュージシャン/プロデューサー。ここ数年オキが取り組んでいるプロジェクトの一つ「OKI DUB AINU BAND」は2005年以降、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界各地をツアーし、世界最大規模のワールド・ミュージック・フェスとして知られる WOMADや、日本国内でも数多くの夏フェスに出演。2012年には、OKIのドキュメンタリー映画『DUB AINU』(仮題/企画・製作 シネグリーオ)が公開される予定。

大城美佐子
大阪、大正区に生まれる。幼少期を沖縄本島北部・辺野古(名護市)で過ごす。20歳頃本格的に三線を習い始める。料亭の仲居をしているときに知人の紹介で知名定繁の門をたたく。1962年シングル「片思い」でレコード・デビューし大ヒット。情歌、速弾きと何でもこなし、嘉手苅林昌、知名定男等とのデュエットでも知られる。1997年「絹糸声」のリリースはその存在をファンに再認識させ、翌年の映画「夢幻琉球つる・ヘンリー」、1999年の「ナビィの恋」、2002年「ホテルハイビスカス」、2011年公開の「涙そうそう」に出演するなど、その芸の広さと独特の存在感を全国にアピールした。2002年にはパリ公演を行い、NHK-BSにてその特集番組が放映され、雑誌『SWITCH』(2003年1月号)でも特集される。2007年1月に約10年振りのCD「唄ウムイ」をリリース。同年7月8日、那覇市民会館大ホールにて『芸能生活50年記念リサイタル』を開催。いまや沖縄を代表する女性唄者の第一人者である。

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