
INTERVIEW : あっぱ
ついに伊澤啓太郎率いる“あっぱ”が、前作から約4年ぶりとなる新作『MANTRA』を完成させた。もし「伊澤啓太郎」という名前に馴染みがない方でも、「東京事変の伊澤一葉」といえば、おわかりになって頂けるだろうか。あるときは土岐麻子や大橋トリオ、そしてthe HIATUSなどの制作や演奏に関わり、またあるときは東京事変のメンバーとして楽曲制作の中核を担ってきたこの男が、その前からパーマネントな活動を続けてきたバンド。それが“あっぱ”だ。
もしかすると、この作品にプロフェッショナルな作家 / ピアニストとして巧みで軽やかな演奏を披露する伊澤一葉の姿を期待すると、少しばかり肩すかしをくらうかもしれない。ここから見えてくるのは伊澤啓太郎という男の志向に限りなく寄り添った音像であり、彼自身のヴォーカルによる赤裸々な感情の発露だ。ポップスにジャズ、ラグタイムなどを混在させた楽曲群。あるいはピアノとドラム、ベースという形態を越えた、圧倒的な情報量を放つアンサンブル。伊澤がここで体現するものは、すべてが狂おしいほどにエモーショナルで、とにかく過剰だ。そしてこれこそが伊澤啓太郎というミュージシャンの核心にあたるものだということも、ここで断言してしまおう。伊澤の心血が注がれた、圧巻のセカンド・アルバム『MANTRA』。その深部に迫るべく、“あっぱ”の3人に話を訊いた。
インタビュー&文 : 渡辺裕也
あっぱ / MANTRA
伊澤啓太郎(ex.東京事変)率いる3ピースバンド“あっぱ”のセカンド・アルバム。ほかのバンドには奏でることのできない唯一無二のポップ・ソングは、強く温かく、たくさんの感情がつまって耳と心に残る全天候型。キラー・チューンぞろいの全12曲!
1. MANTRA / 2. HIP / 3. Choice joy / 4. 開化点 / 5. 中二 / 6. うつてあり / 7. デカダンス / 8. こわい / 9. 迷える人よ / 10. エイト / 11. SOS / 12. rem non rem / 13. エイト(ハマモト・バージョン)
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救済と健康第一、これがコンセプトですね(笑)
――かなり長期にわたる制作だったようですね。
伊澤啓太郎(以下、伊澤) : そうですね。それぞれの仕事もあったし、スケジュールの都合で中断したこともあって。一度ポシャった時もあったな。録ったものの、なんか気に食わなくなっちゃって、もう面倒だからこれは止めようと(笑)。そういう経緯もあったせいで時間はかかりましたね。

――アルバムの完成形が見えてきたのも比較的最近のこと?
伊澤 : はい。ただ、よくある音源制作のように「こういう作品をつくろう」みたいな狙いはまったくなくて。まず、このアルバムに入っている曲のほとんどは、それほど新しいものではないんです。もちろん曲の鮮度が落ちないうちに届けたいっていう気持ちはあるんですけどね(笑)。前作の『ラシポ紀』を出した時からあった曲もあるし、比較的新しい曲も、書いたのは1年前とか、そのくらいで。古いものだと、もう結成当初のものになるか。
堀田秀顕(以下、堀田) : 結成前からの曲もあるでしょ?
伊澤 : 「うつてあり」なんかはそうだね。とにかく、長いスパンをかけたもので。
――生まれた時期もさまざまだと。
伊澤 : でも、曲はともかく、アレンジに関してはこの音源が一番の新しいモードっていうことにはなりますね。僕らのレコーディングは、まずは「いっせーので」で演奏してリズムだけを押さえたら、そのあとはピアノとヴォーカルを別録りして、そこから僕が自宅でひたすらダビングをやっていく感じで。そこから苦悩が始まるんです (笑)。ふたりも、そこからはよく知らなかったりするんだよね。
堀田 : ちょっとは途中経過を聴かせてもらったけどね。『ラシポ紀』の時もそうでした。だから、僕からすると、この場で初めて今の伊澤くんの本音を聞くようなところもあって(笑)。
――もともとこのバンドは伊澤さん個人の活動を前身として始まったそうですが、どのような経緯でこの3者が揃ったのでしょう。
伊澤 : 昔、自分がつくった舞台音楽を、実際に舞台のシーンに応じて生演奏したことがあったんですけど、その時に大学からの知り合いだった彼らと一緒に演奏したのがきっかけです。それが面白かったから、一緒にやってみようと。それまで1年間くらいはひとりでライヴをやっていたので、ドラムやベースがいた方がいいなと思って。
――“あっぱ”という名前は?
伊澤 : これは、ホントに大した意味はなくて。親友に僕と同じ誕生日の娘がいるんですけど、その子が僕を“あっぱ”と呼ぶので、じゃあバンド名はそれでいいんじゃないかと。
――(笑)。意味合いもなにもないと。
伊澤 : ないですね。あえてあるとすれば、その子が僕と同じ誕生日だっていうことくらいで。
――“あっぱ”には指針やコンセプチュアルなものなんかなにもないと。
伊澤 : まったくないですね。ただ、このふたりは僕の曲に対して、僕が想像のつかないようなアプローチをしてくることが多くて。だから、この3人で自分が書いた曲を転がして、楽める機会をつくろうというのが、ひとつのコンセプトといえるのかもしれないですね。
――では、バンド結成当初の伊澤さんはどのような音楽に関心が向いていたんでしょうか。
伊澤 : その当時はまさに過渡期だったんですよ。外で鳴っている音楽が自分を動かしていたというか。言ってしまえば、“あっぱ”っていうグループは自分にとっての救済機関みたいなものだった。

――救済?
伊澤 : 自分は性格的に一点ばかりを見てしまうタイプなので。そこから脱却するために、まったく違う畑のふたりとこのバンドを始めたんです。救済と健康第一、これがコンセプトですね(笑)。
佐藤一人(以下、佐藤) : (笑)。そんな話、初めて聞いたよ。
伊澤 : え、そうだったっけ。
堀田 : で、俺達はどのくらい救ったの?
伊澤 : 今もこうして続いているくらいだからねぇ(笑) 。
――一方の堀田さんと佐藤さんは、これまで伊澤さんとどのように接し、どんなモチヴェーションでこのバンドに臨んできたのでしょうか。
堀田 : もともとは単発で終わるものだと思っていたのが、こうしてバンドをやろうという話に進んだのは、僕にとってもいい機会ではあったんです。とはいえ僕は伊澤くんが作曲した音楽をその舞台でやっていたものしか知らなかったから、一体彼がどういうものを書いて、それをどう歌うのかがまったくわからなかったんですけど、ライヴをやっていくうちにどんどん面白くなっていって。で、僕が彼とどんな感じで接しているかというと、ガラパゴス諸島にいる動物を眺めているような感覚といえばいいかな(笑)。面白い生き物がどう進化、もしくは退化していくのかを見つめている感じですね。
――ちょっと距離感があるんですね。
堀田 : そうですね(笑)。いわゆる精神的な交わりみたいなものは、あまりないかもしれない。お互いの向いているベクトルはけっこう近いところにあるとは思うんだけど。
佐藤 : たしかに僕もそんな感じかもしれません。でも、たとえば曲をもらうときに、伊澤くんのなかではもちろんイメージが出来ているんですけど、それが僕らにとってはちょっと強烈なものばかりで。とにかく彼のもってくるものは僕が聴いたことのない音楽だったんですよね。
堀田 : だから相当勉強になったよね。だって、まわりからも“あっぱ”に加わってから、ベース・プレイが変わったって言われたもんな。ずいぶんプレイが落ち着いたとも言われました。動きの多いラインに行きがちだったのが、シンプルなものになっていったというか。
佐藤 : 僕と堀田くんはインストゥルメンタルな音楽に接してきたので、それまでは楽器が主張してなんぼみたいなところがあったんですよね。
「あぁ、またやっちゃったよ」と思いながらも、またアレンジが始まっていく
――さきほど伊澤さんはこのバンドで「救済された」とおっしゃってましたが、お二人は“あっぱ”の活動を通して伊澤さんにどんな変化があったように感じていますか。
堀田 : それはもう、変わりましたよ。発言とかにはなかなか出てこないかもしれないけど。
伊澤 : (深くため息をついて)俺も変わっちまったよなぁ。
堀田 : こういう面倒くさいところは変わってないんですけどね(笑)。でも、今は物事を相対的に見ている感じがします。バランスを取るのがうまくなったと言った方がいいのかな。根本的な部分は同じなんだけど、視点の置き所がより広くなったというか。

――それは東京事変の活動を並行してきたことの影響もあるんでしょうか。
伊澤 : それは、いきなりあんな大舞台に立ったら、ねぇ。いろんな方とプレイするようになっていけば、自然と身体のなかを様々なものが通過していきますよ。特定のなにかに感化されたり、それについて掘り下げて考え直してみたりしたことはないけど、気づかないうちに変化した部分はあるのかもしれないですね。
――単純に伊澤さんのここ数年間というのは、いちミュージシャンとして音楽との接点がものすごく多面的になった時期じゃないかと思って。それらが“あっぱ”の作品に還元された部分も少なからずあるだろうと。
伊澤 : そうなのかな。そこはふたりの方がわかるんじゃない? たぶん僕が一番そこを把握できてないような気がします。
佐藤 : リハーサルでのやりとりとか、曲に向かい合う姿勢は基本的にずっと変わってないと思います。でも、伊澤くんがツアーから帰ってきたりすると、やっぱりスキルや経験値がぐっと上がっているのを感じるんですよね。単純に出てくる音が違う。
堀田 : MCとかはまったく変わんないんだけどね(笑)。結成7年目にして改めて思う本当に変わらないものっていうと、きっとそういうところだよね。
――さきほどの救済という話にしても思ったのが、伊澤さんはご自身をセルフ・コントロールしきれない部分があって、そこをカヴァーするのがおふたりなのかなって。
伊澤 : 本当にぶっちゃけたことをいうと、そのセルフ・コントロールできないのが僕は普通だと考えてて。で、そこはなくしていけないところだとも思うんです。もしかすると、自分が音楽をつくる上でひっかかっている部分もそこなのかもしれない。それって自分を起動させる時は邪魔にしかならないんだけど、それが曲作りとなると、僕はその部分を捨てられないんですよね。でもそれってただの甘えなのかもしれない。こればっかりはすぐに結論がでませんね。
――これはどちらかというと“あっぱ”の伊澤さんというより、東京事変の伊澤一葉に向けられたものかもしれませんが、伊澤さんには職業作家的なパブリック・イメージもきっとあると思うんです。でも、少なくともいま僕がお話した印象では、まったくそんな感じがしなくて。
伊澤 : (笑)。
――実際は与えられた題材に対して次々と楽曲を提示出来るような方というより、むしろ内側に抱えた創作欲求をそのまま吐き出していかないと気持ち悪くなっちゃうタイプなのかなって。
伊澤 : そんな感じですね。で、それをひとりでやると気持ち悪くなりすぎちゃうので、彼らに救済してもらってるんです(笑)。ただ、あくまでもアルバムに関して言うと、リズム録りが終わったところからはすべて自分の作業になっちゃうので、どうしても僕個人が言い訳のできないものにはなるんです。だから、“あっぱ”とこのアルバムはまた別モノでもあって。
――“あっぱ”とこのアルバムが別?

伊澤 : そんなこと言ってもなかなか伝わらないですよね。これは“あっぱ”のアルバムなんだから。だから、あまり彼らを巻き込みたくないんです。僕はどうしても自分の曲を破壊してしまうから。「これ、誰がやるんだ? 」っていうパートが加わってたりね。
堀田 : あ、それはいっぱいあるね。なんか、伊澤くんがいっぱいいる感じなんだよね(笑)。
佐藤 : 骨子は変わらないんですけど、そこに重ねられたものがすごくてね。
伊澤 : 過程でなぜかそうなってしまうんです。
――素直に曲が完成することはめったにないんですか。
伊澤 : そんなことはないですよ。単純に新曲を録ろうということになれば、もっとシンプルな形で出すこともできたんですけど、今回のアルバムに入っている曲はもう何度もライヴで演奏してきたものばかりだから、そこにどうしてもメスを入れてしまうんですよね。そこで「あぁ、またやっちゃったよ」と思いながらも、またアレンジが始まっていくんです。
――もはやそういう制作方法をとるバンドがイコール“あっぱ”ということにもなるんじゃないですか。
伊澤 : まあ、こういうものをもう2枚も出すんだから、そうなっちゃいますよね。前作もいろいろメスを入れちゃってるんですよ。あれを今になって聴くと「あぁ、この時はそういうことを思いついたんだ」って気づかされることもあって、それはそれで刺激的で面白いと思えるからいいんですけど。
――ひとつの曲にさまざまな時期の感情や発想が込められてしまうから、より重層的で複雑になってしまうんですね。12曲のなかに無数のシチュエーションが収められてしまうと。では、作詞にはどういう意識で臨んでいるんでしょう。
伊澤 : そこも書いた当時の話になってしまうので、もはやいまとなっては覚えていなんですよね。どれも辻褄は合わせて書いているので、説明できるはずなんですけどね。すぐ忘れちゃう。でも、ライヴでやると書いた当時のピュアな気持ちには出会えるんです。そういう日記みたいな感じなのかな。
――そうなるとやっぱりライヴ表現と録音表現はまったく別なんですね。
伊澤 : はい。録音の方がいやですね(笑)。『ラシポ紀』が終わった時に「もう絶対こんなことやらねぇ! 」と思ってましたから(笑)。本当に疲弊したんですよ。今回もやっぱり疲れましたね。あぁ、またマイナスな方に話がいっちゃってるよ〜。
今回はすごく間違ったかっこつけ方をしちゃってる(笑)
――(笑)。じゃあ少し質問を変えてみましょう。この『MANTRA』というタイトルはどんなところから?
伊澤 : この2012年にマントラっていうのが、なんかいいかなって(笑)。いまってすごく混沌としているじゃないですか。そこで悪行みたいなものを浄化するっていう意味合いでも、ひとつの区切りとしてやってみたかったというか。言いだすと、どんどん気持ち悪くなっちゃうからこの辺でやめておきますけど、歌詞もそんな感じなんです。
――そういう時代性みたいなところも意識されるんですね。ちょっと意外な気もしました。
伊澤 : まあ、それは考えるまでもなく、普通に生活していれば自ずと感じるものですよね。まわりの人達もみんなそうだし、自分だってもちろんそうで。こうやって作品を出すっていうのは、記録としてひとつのラインを引くことでもあるじゃないですか。のちのちの指針になるというか、過去から未来の自分に渡すためのメッセージみたいなものでもあるし。
堀田 : 時代っていうと、伊澤くん、アニメとか好きだよね?
伊澤 : それほどでもないよ。なにかいい出会いがあったら観るくらいで。『これゾン』(『これはゾンビですか? 』)と『じょしらく』以外は特に観てないよ。
堀田 : でも、ドハマりするじゃん。極端なハマり方をして、そのあとは何事もなかったかのように興味を失う感じだよね。
――じゃあ、他にそのようなのめり込み方をしたものがなにかあれば教えて頂きたいです。
伊澤 : 特にないなぁ。趣味もないし…。僕、ホントかわいそうなくらいになにもないんですよ。「なにが楽しくて生きてんの? 」って言われそうなくらい、なにもない。
――(笑)。そんなことないでしょう。
伊澤 : そうだなぁ。渡辺さんはなにか趣味ってあります?
――相撲観戦ですかね。
伊澤 : おぉ、それはいい趣味ですね(笑)。僕の場合は、さっきのアニメにしても、それが続けば趣味になるんだろうけど、それが途端になくなっちゃうから。単純に飽き症なんですよね。
――それは周囲の物事に関心がなかったり、人嫌いなわけではなくて?
伊澤 : まったくそうではないですね。むしろ、いろんな人と会うのが好きですね。人との付き合いのなかに発見を求めることもあれば、忘れ物を見つけることだってある。そういう刺激を好むのって普通のことだと思うし、単純にだれかが頑張っている姿を見たら、俺もちょっとがんばってみようかなと思うもんですよね。まあ、僕が自分のことでわかっているのは、自分はつまらないやつだってことくらいなんですけど。

――(笑)。でも、伊澤さんにはなにかをクリエイトしようという欲求があるじゃないですか。それは決してつまらないものではないですよ。
伊澤 : それは、一旦メスを入れちゃった以上は責任を取らなきゃ、みたいな感じですね。生理的にやらなきゃ気がすまないと言った方が近いかな。自分が感じている気持ち悪さに別の気持ち悪さをぶつけて、滲んだ黒を真っ黒にしたり、もっと別の色に飛ばしてみたり。
――どちらにしてもエクストリームな方向に持っていくんですね。
伊澤 : そうですね。刺激を求めていくと、どうしてもそうなるというか。
――実際に『MANTRA』はすごく過剰な作品です。
伊澤 : あ、そう感じましたか? 自分だけはすべての意味合いを知っているから、ちょっと怖いんですよ。あと、恥ずかしい。今回はものすごくかっこつけて歌っちゃった感じがするんですよね。しかもそれがすごく間違ったかっこつけかたというか(笑)。シャイなだけなんですけど。
――それはわかる気がします。
伊澤 : だから前作はわざと変な歌い方をして、今回はすごく間違ったかっこつけ方をしちゃってる(笑)。これはひとつの美学として、はっきりいって僕はミュージシャンなんてダサいと思っているから、この作品ではそれをそのままお届けした感じでもあって。それでも僕は一生懸命やったんですけどね(笑)。まあ、なんとなくわかりますよね?
――わかりますわかります。
伊澤 : だからそれって要するにシャイってことで。これは“あっぱ”じゃなくて俺のことになっちゃうけどさ。
堀田 : たまにそういう面を見せるのもいいんじゃない?
――では、伊澤さんは“あっぱ”でポップスに取り組んでいるという意識はありますか。
伊澤 : “あっぱ”はポップだと思っていますよ。成り立ちもそうだし、ライヴでよくわからない方向に進んでいっちゃうところもポップだなって思う。もしポップに対していろんなことを言う人がいたら、こっちもこっちで、俺らもポップだよって言いたいというか(笑)。作品をどう捉えるかはその人に任せますけど、“あっぱ”っていう機関そのものはものすごくポップだと思います。

――リリース前の現在はどんな思いを抱えていますか。
伊澤 : やっぱり緊張していますね。かといって、たくさん売れたら正解ということでもないし、誰かひとりからめちゃくちゃ絶賛されたらOKってわけでもない。東京事変みたいな大きなバンドも経験したが故に、そこがよくわからなくなっちゃってるんですよね。そういう聞き手の感想や意見が返ってくるときに自分のバリケードがとけていたら、喜んだり落ち込んだりもすると思うんですけど。こればっかりはもう、この先ずっと揺さぶられていくもんですからね。あと、また次に取り掛かるときに苦労するから、曲ができたらすぐ録るっていうシステムだけはなんとか作りたいですね(笑)。やっぱりレコーディングって王道なやり方が正解なんですよ。フレッシュなうちに録って、ツアーをやって、また次をつくるっていうね。
――でも、伊澤さんはきっと“あっぱ”でそれはやらないような気がします(笑)。
佐藤 : なんか油絵みたいだよね(笑)。油絵って、たとえば模写を描いている過程を見ていると、「あ、これでもうだいたい出来てきたな」っていうのがわかるんですけど、そこからさらに色を重ねていくじゃないですか。その作業って見ている側からは意味がわからないんだけど、完成したときにようやくそれが必要だったんだってわかる感じがあって。
伊澤 : それ、めちゃめちゃいいたとえだね。すごいしっくりきた。油絵だよ、これは。“あっぱ”の音源は油絵ですね(笑)。
LIVE SCHEDULE
レコ発 第一弾 LIVE!
2012年9月29日(土)@LIVE HOUSE BUDDY(東京・江古田)
open 18:00 start 19:00
前売 ¥2,800(ドリンク代¥500別) 発売中
当日 ¥3,000(ドリンク代¥500別)
チケットのお求めは、 LIVE HOUSE BUDDY(ライブハウス バディ)
TEL : 03-3953-1152(15:00~)
FAX : 03-3953-1152
E-Mail : buddy@abox2.so-net.ne.jp
HP : http://www.buddy-tokyo.com/index.html
秋に全国ツアー予定。追加情報は随時HPにてアップ予定!!
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PROFILE
あっぱ
伊澤啓太郎(Pf&Vo)、佐藤一人(Dr)、堀田秀顕(B)からなる3ピース・バンド。2004年、舞台音楽の制作をきっかけに出会った3人で結成。都内を中心にライヴ活動を続け、2008年1stアルバム『ラシポ紀』、2012年2ndアルバム『MANTRA』をリリース。強く温かく、たくさんの感情がつまって耳と心に残る全天候型のポップソングを奏でている。