日々の生活のなかには、ただそこに音があるだけで救われる瞬間がある。阿部芙蓉美とゆうらん船の音楽は、まさにそんなときに鳴っている音楽だ。バンドとソロ、世代の違いはあれど、どちらも人間のままならなさを捉え、その感覚を音に潜ませ、漂わせたまま手から放つ。そこには音楽に対する希望や祈りが含まれているように感じる。今回、〈SHIBUYA SOUND REVERS2025〉での共演を果たす、阿部とゆうらん船の内村イタルのふたりを招き、対談を行った。お互いの楽曲に抱くイメージや制作において心がけていること、そして音楽と…
シンガー・ソングライター、mei eharaが5年ぶりとなるアルバム『All About McGuffin』を〈カクバリズム〉よりリリース。シングルのリリースを重ねつつ、フェイ・ウェブスターやCorneliusとの客演などを経て完成した今作。演奏は前作の録音も担当し、現在もライブのサポートとして脇を固める鳥居真道、浜公氣、Coff、沼澤成毅が参加。録音はファースト・アルバムでもタッグを組んだ中村督、マスタリングは〈Stones Throw〉関連作品を手がける、Jake Viatorが担当、ソングライティング…
日韓合同サバイバル・オーディション番組『THE IDOL BAND:BOY’S BATTLE』で優勝を果たした5人組ボーイズ・バンド、Hi-Fi Un!corn。オム・テミン(Vo.)、フクシマ・シュウト(Vo.)、キム・ヒョンユル(Gt.)、ソン・ギユン(Ba.)、ホ・ミン(Dr.)という日韓混成メンバーから成り、互いに言語の発音をアドバイスし合うなど、その特性が彼らの強みとなっている。インタビュー中は終始屈託のない笑顔を見せ合い、仲の良さが伝わってきた一方で、終了後にはライターに楽器機材について熱心に…
相対性理論での活動や、anoの「ちゅ、多様性。」の楽曲提供でも知られる真部脩一。彼が10年以上かけて温めてきた音楽的アイデアが、Hinanoの透明な歌声と融合し、ついに動き出す。その名は「Widescreen Baroque」。SF的なテーマを軸に、真部ならではの鮮烈なメロディと独自の詞世界が広がるサウンドは、聴く者を未知の旅へと誘う。そしてその物語が初めてステージで幕を開けるのは8月26日、東京・WWW X。ライゾマティクスの真鍋大度氏をはじめ、第一線で活躍する映像作家やメディアアーティストが集結し、視覚…
洗練されたトラックと透明感のある歌声が魅力の次世代チル系シンガー、Melが、2ndアルバム『LIFE』をリリースした。いびつさや疎外感までもをありのままの自分の人生だと受け入れ、タイトルである“LIFE”に昇華させた今作は、前作『ノンフィクション』から地続きでありながらもさまざまなアレンジャーを招いた意欲作となっている。今回OTOTOYでは、各曲の魅力を解き明かすインタビューを実施。前作のリリースから現在に至るまでの心境の変化や、今後の野望についても語ってもらった。...…
11年ぶりに活動を再開させた『GREENISH BLUE,BLUISH GREEN』(2023年)から約2年。oono yuuki bandから最新アルバム『まわり道、風の三角』が届けられた。本作に通底するのは、ポストロックやパンク、ハードコアの冷たく鋭い眼差し。そこにフルートやサックスといった管楽器や、oono yuukiと「凍れる」でゲスト・ボーカルとして参加した浮の歌声が入り混じり、有機的な温度を帯びていく。彼らの音楽の核には譜面に縛られない変拍子のリズムがあるが、この独自のサウンドはどのように作ら…
言葉を丁寧に選び、隠れた心の深層にそっと光を当てる——南壽あさ子の音楽は、いつも静かでまっすぐだ。6年ぶりとなるメジャー4枚目のフル・アルバム『AMULET』には、音楽に向き合う真摯な姿勢が滲んでいる。青森のローカル番組のために実際に現地を訪れ、肌で感じた空気や文化をすくいとった“あおもりもりもりのうた”“幸せの途中”。タイアップの枠を離れ、ゼロから自らの感覚を試すように書いた“珈琲フロート漂流記”。どの曲にも、「前を見ている」まなざしと、聴く人の心に静かに響く普遍性がある。酒井駒子によるジャケットの黄色…
motoki tanakaを知っているだろうか。高知県を拠点に活動するミュージシャンだ。彼の名前で検索をかけると、海辺に突如現れる大男(?)──落書きがほどこされた謎めいたコラージュのアーティスト写真が目に飛び込んでくる。 2025年4月25日(水)にリリースされた『Catch Me If You Can』は彼にとって2枚目となるアルバムだが、音楽活動歴はすでに10年以上に及ぶという。さらに高知でギターショップ&カフェ〈slowhand mojo〉を営むほか、2021年までは〈鏡川フォークジャンボリー〉と…
聴く人を励まし、共に未来を願うことを信条とするアーティスト、野田愛実によるニューシングル「衝動」がリリースされた。アニメ『神統記(テオゴニア)』の主題歌として書き下ろされた本楽曲には、理想を描き動き出すことで未来を切り開く、そんな姿を後押しするような詩が綴られている。...…
paya(Vo./Gt.)の思考に長らく棲みついていた「文明の欠伸」という言葉の真意を探るべく、幽体コミュニケーションズは音と言葉の壮大な旅に出た。その道すがら、手に入れた重要なキーワードは、「バグ」や「幻」、「遊び」、「街」。どれも人間という生き物の不思議な特性を表す言葉だ。これらを手がかりに浮かび上がってくるのは、「文明」の最小単位は私たち一人ひとりであるという実感。そして今、このアルバムが新たな「文明」を育てていることに違いないだろう。幽コミが緻密に作り上げたファースト・アルバム『文明の欠伸』。その…
現代の音楽シーンに、とんでもない独創的な世界観を持つアーティストがいる。 それが守乃まもだ。2023年には、舞台『LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」』の主人公・後藤ひとり役に抜擢され、その天然なキャラクターから“リアルぼっちちゃん!”と話題を集める彼女。先日開催されたツアー「魔物大戦 vol.2」を大成功に収め、守乃まもはこれからどこを目指すのか。ライヴの振り返りから楽曲の制作方法、これから目指す場所についても語ってもらった。...…
「THE SUPER FRUIT」「世が世なら!!!」が所属するつばさレコーズの男子部門「つば男」から新たなグループが2組誕生した。それが7人組ボーイズ・グループ・POCKET PANiCとデュオグループ・峯脇だ。それぞれ候補生ユニットである、つば男YOUTHで切磋琢磨しながらも、この度新たに動きはじめた2組。今回OTOTOYでは、その魅力をメンバー自身の言葉で語ってもらいました。また今回のリリースを記念して、OTOTOYではPOCKET PANiCの「恋のイロハも勉強中」、峯脇の「ありがとうを言えるよう…