2022/03/02 18:00

Wataちゃんがいるからこのバンドを見たくなる

──TOKIEさんはアルバムにもゲストプレイヤーとして参加されています。

Wata:TOKIEさん、すごく活躍されてる方なので。「私たちと一緒にやってくださるんだ!?」とワクワクしましたね。“知 -You Will Know- "Ohayo" Version”は、曲自体がグリッドに縛られてなくて、リズムがすごく揺らいでたり、要は自分たちが気持ちいいように作ってるんですね。そこに後からTOKIEさんは入ってくださるんですけど、それでもバッチリ合わせてくださって。

TOKIE:あの曲は、コロナになってからライヴもなくなって、私にとってもはじめての宅録で。データのやり取りでベースだけ録って送る、しかもクリックもなく音だけ合わせて録るって、なかなかスムーズにはいかなくて。何回かAtsuoさんから「もっとこういう感じで」っていうリクエストもらいながら録り直して、やっとOKをもらったので。自分にとっても特別な曲ですね。

──クリックを使わないとか、凄まじい揺らぎがあるとか、Borisの手法ってミュージシャン視点から見ても普通じゃない部分が多そうですね。

Wata:私たちはセルフ・レコーディングをずっとやってきてて、ベーシックを録るのもジャムセッションからスタートするし、同じ部屋のなかで目とか合わせながら作っていくので。クリックがないことにそんな不便を感じることはないんですけど。逆に、TOKIEさんとかシュガーさんは入ってきたときにどう思われたのかなって……ちょっと気になったりします(笑)。

シュガー:でもそこがBorisの良さだから。長年の、3人の勘とタイミング。でもそこに合わせるの、TOKIEちゃんは大変だったと思うわ、どう考えても。

TOKIE:はははは。大変だった。

シュガー:TOKIEちゃんが、たぶん一番大変なところをスラッとやってくれたんだと思いますね。一緒に演奏してるかのようにね。

TOKIE:わりとそういうの得意みたいです。やってみたら。

シュガー:ほんとすごい。そこもTOKIEちゃんの長年の勘ですよね。

──続いてシングル「Reincarnation Rose」について。ものすごいインパクトのビデオになりました。

Wata:ふふふふ。これは、確か最初にpays des féesっていうブランドの衣装が決まって、その後にYutaro監督にお願いすることが決まったんです。イメージとかは全部お任せだったんですね。 「メイクはこんな感じでやります。みんなウィッグを被ります」って説明だけを聞いてて……いざ現場に行ったら、ああいう感じだったんですよ。

シュガー:あの当時ってコロナの真っ最中で全然人前にも出てなくて、髪の毛とかも最近染めてない、このまま出るのもなぁ、みたいな気分もあって。だから「ウィッグ被りませんか?」って話が出たら「あっ、喜んで!」って。ウィッグ被るのに全然抵抗がない時期だった(笑)。

Boris - 「Reincarnation Rose」 EarthQuaker Devices
Boris - 「Reincarnation Rose」 EarthQuaker Devices

──Borisメンバーではなく、女性4人の出演っていうのもすごい話です。

シュガー:そうそう、TOKIEちゃんと私は弾いてるからいいけど、でもドラムがなぜAtsuoじゃないのかっていうところからセンセーショナル(笑)。

Wata:まぁAtsuoのアイディアです、これは。レコーディング以前、コロナ以前の話ですけど、METALCHICKSを一緒に見に行ったんですよ。ドラムはよっちゃん(吉村由加)で、シュガーさんと2人でやってて。そのときにAtsuoが「ここにWataとTOKIEさんが入って、4人でHEAVYMETALCHICKSをやったらいいんじゃないの?」って勝手なこといってて。その話の流れもあって、TOKIEさん、シュガーさん入ってくださったし、ここによっちゃんが入ったらほんとに実現するんじゃないかって。

──4人はHEAVYMETALCHICKSってバンド名なんですか(笑)。

シュガー:METALCHICKSに2人加わると、4人で倍になって重くなる(笑)。まぁプロデューサーはAtsuoなんで。詳しい話は彼に聞いてください。

(同席していたAtsuo):なんか、EQDツアーをアメリカでやるっていう話があって、そのときに、3人に来ていただいて、BorisとHEAVYMETALCHICKSでアメリカツアーできたらいいなぁとか。そういう妄想も当初はありました。

──楽しそう。ちなみに全員が女性の映像をBorisの名義で出してしまうのはオッケーなんですか?

Wata:Borisは基本的にそういうこだわりがなくて、やりたいことをどんどんやってしまうバンドなので。全然、私は何も問題なかったですよ。

シュガー:私たちはファンとして、「いいのかな?」って最初は思ったけど。あと最初のMVのときは……私がTakeshiだと思われてるらしくて、世界では。

TOKIE:反応が面白かった。あと「Atsuoが女装してる」とか。

シュガー:Atsuoが女装してるのか吉村由加なのかわからない。

Wata:最初はけっこうドキドキだったんですよ。いきなり女性4人になってどんな反応が来るのか。なんの説明もなかったから。でも、いざ公開してみるとわりと好評だったり。あとはTakeshiとAtsuoがなかにいるって思ってる人も……いまだにいるんでしょうね(笑)。

シュガー:いるでしょう(笑)。

──私も最初は女装なのかと思いました。ただ、それが笑いには繋がらなくて、すごくハマって見えたんですね。そもそもBorisのバンドイメージと、女性性というものが非常に相性がいい。

Wata:あぁ、そうなんですね。だったら良かったです。

シュガー:それをわかってるAtsuoくんとTakeshiくんがいるから、その意味でもスペシャルなバンドだと思う。やっぱね、Wataちゃんいなかったらこのバンド見ないかもしれない、っていう瞬間があるんですよ。Wataちゃんがいるから見たくなる。このバンドの女神だから。

Wata:いやいやいや。

シュガー:そういう意味では女性性はWataちゃんの存在の大きさなんだと思う。でね、その周りに私がいても、女装したTakeshiがいても、別に違和感ないんですよ。そこがBorisの面白いところだと思いますよ。ほんと特異な例。なかなか出てこないですよ。他のヘヴィロックバンドとは異質なこういう存在。

TOKIE:そうだね。あと私、Atsuoさんってすごく女子だと思う(笑)。

シュガー:女子同士的な感覚あるよね(笑)。

Wata:あぁ。女子会に違和感なく入っていけるところはありますね(笑)。

[インタヴュー] Boris

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