2019/01/30 19:00

KORG Nu 1で聴く、Brainfeederの10年、そのサウンドの秘密に迫る──試聴会レポート

当日の会場の様子。ほぼ満席の状態でそのサウンドを堪能した

去る1月15日(火)、OTOTOYにて行われた、KORG 1BIT USB-DAC / ADC + プリアンプ『Nu 1』と再生アプリケーション『AudioGate 4』を中心にしたハイレゾ / 高音質再生環境の試聴会。今回は、2018年冬に設立10周年を迎えたフライング・ロータス率いるレーベル〈Brainfeeder〉のサウンドに迫る会となりました。当日はメインMCに音楽評論家 / オーディオ評論家である高橋健太郎、ゲストにフライング・ロータス / 初期〈Brainfeeder〉の立脚点とも言えるLAビート・シーンのこの国における最も重要な紹介者でもあり、さらにはLAのジャズ・シーンなど、現在の〈Brainfeeder〉の文化的背景にも精通する原雅明が登壇。満員の聴衆のなかで、KORG Nu 1+AudioGate 4が描き出すその高解像度のサウンドから、その音楽性の核となる部分を解説したトーク・パートも必見の内容です。

写真 : 大橋祐希


イベント協賛 : 株式会社 KORG
イベント協力 : 株式会社 メディア・インテグレーション
       : 株式会社 小柳出電気商会
       : ビートインク有限会社


KORG「Nu 1」とは?


「Nu 1」は、これまで「原音の再現」にこだわり続けてきたコルグが、ノリタケ伊勢電子(株)と共に共同開発した新世代真空管「Nutube」や、オノセイゲン氏がプロデュースしたオーディオ・ドライバー「S.O.N.I.C.リマスタリング・テクノロジー」などを搭載し、同社のオーディオ・カテゴリー製品で初めて「コルグだけが出せる音」に挑戦したUSB-DAC / ADC + プリアンプ。DSD11.2MHz録音 / 再生にも対応しており、レコード・プレーヤーの直接接続、最大4台による8トラック・マルチDSD録音なども可能となっている。商品の詳細スペックは、本ページの下方、もしくは下記のメーカー公式ページからチェックしよう。

>>「KORG Nu 1」製品ページはこちら


レーベル、Brainfeederとは?

2018年に10周年を迎えた、フライング・ロータス主宰のレーベル(ただし、フライング・ロータス本体のリリースは〈WARP〉から)。UKの老舗レーベル〈Ninja Tunes〉の傘下(とはそのリリースは完全に独立している)で、初期はフライング・ロータス〜その影響元ともいえるパーティ〈Low End Theory〉周辺、言い換えればLAのビート・ミュージック・シーンに立脚。その後はUKのベース・ミュージックやLAのジャズ・シーンなどとも交流することで、多様な音楽性を獲得した。現在ではジャズやR&Bといったサウンドがひとつ主軸になっているが、同時にアンビエントものやドリアン・コンセプトのようなビート・ミュージックの“その後”とも言える作品をリリースするなど、そのサウンドは幅広い。

〈Brainfeeder〉10周年のコンピ

KORG Nu 1を中心とした当日の機材セッティングについて

両サイドのスピーカーはフォーカルのパワード・スピーカー「Trio6 Be」。スピーカー・スタンドはコンクリートブロックでOTOTOYのスタッフが作ったもの。電源、音声ともにケーブル類はオヤイデ電気提供のものを使用。詳しい機材紹介は記事後半にて。

当日の機材セッティングの概要は「KORG Nu 1」とパワード・スピーカーによるある意味でシンプルな構成。PCからのUSBと、フォノ入力にアナログ・レコードのターンテーブルを直接接続。DACとプリアンプ、そしてフォノ・イコライザーを搭載した「KORG Nu 1」だからこそできるシンプルかつ、アナログ、デジタルともにシームレスに楽しむことのできる構成。まずは音楽評論家 / オーディオ評論家である高橋健太郎の当日の解説にて、機材の説明を。(河)

KORG Nu 1

高橋 : 電子楽器メーカーとして知られるKORGですが、今日使用する「Nu 1」はピュアなハイエンド・オーディオ製品という位置づけです。価格的にも40万円以上します。KORGはこれまでもUSB-DACは作ってきているのですが、こういうハイエンド・オーディオの世界に入ってきたというのは大英断だなと思いました。「Nu 1」の特徴はアナログとデジタルのハイブリット的な思想で作られていること。例えば、フォノ・イコライザーも純粋なアナログ回路のフォノ・イコライザーが備えられている一方で、アナログの信号を一度、DSDに変換して処理することもできるんです。その場合はPCと接続して、KORGのAudioGateというアプリケーションを使うのですが、するとフォノ・イコライザーのEQカーブも何種類も使えて、デジタル処理ですので、非常に正確な設定ができる(※)。あるいは、11.2MHzのDSDの再生、さらには録音までできるスーパーなデジタル機器なんですが、この「Nu 1」の中にはコルグが開発した真空管「Nutube」が入っています。真空管というと「ガラス管の中でオレンジ色に光っているもの」というのを想像すると思うのですが、「Nutube」はそんなに大きなものではなく、小さな真空管素子です。デジタルな素材でも「Nutube」を通すことでアナログの温かみやコクをつけることができます。その効果も好みに応じて三段階に調節できます。僕は家で2週間ほど使用したのですが、全体の印象としてはすごくストレートで澄み切った明るさのある音がします。KORGさんの録音機器のサウンドにも「澄み切った音」というイメージがあるのですが、そのイメージに近いものを感じることができます。楽器メーカーらしいアイディアが詰まった面白い製品ですが、すごく使いやすく作られています。

※AudioGate 4によるDSDフォノ・イコライザー(RIAA、SPなどカーブ9種)と、PCなし/本体のみで動作可能なアナログ・フォノ・イコライザー(RIAAカーブのみ)を搭載。本体内蔵フォノ・アンプはMM/MCカートリッジ対応。

KORG Nu 1背面、当日は、左端にフォノ端子+アース用のGNDで直接ターンテーブルに接続。中央のアウトップット部は、パワード・スピーカに直接XLR端子で接続。そして電源左上のUSBにはPCを接続、AudioGate4で再生されるデジタル音源、YouTubeの音声データなどを入力

当日の機材詳細に関しては記事下方のパートにて紹介

原雅明 x 高橋健太郎──試聴会トーク・パート

高橋健太郎(左)、原雅明(右)

ということでこちらでは、ディープに〈Brainfeeder〉の音楽性に迫ったトークパートをお届けします。高橋健太郎をメインMCに、原雅明をゲストに迎えて繰り広げられる音楽談義。途中、『Jazz The New Chapter』監修の柳樂光隆も飛び入りで登壇。内容的には、ロサンゼルスという土地、そこに集まるアーティスト、そしてカルチャーからなぜ〈Brainfeeder〉は生まれたのか? ビート・ミュージックを音響的下地に展開されたレーベルのジャズ・サウンドは、いかにどこが革新的だったのか? そして2017年以降、サンダーキャットのブレイクをはじめ、多様かつポップなアプローチはどこからきたのか? などなど、レーベルの足取りをそのサウンドから読み解きます。〈Brainfeeder〉という唯一無二のレーベル、そのサウンドをKORG Nu 1を中心としたシステムによる高音質再生で余すこと無く体感できた、そんなイベントになったのではないでしょうか。

当日プレイされた楽曲を一部をプレイリストで試聴可能

45秒の試聴ファイルがリスト順に連続再生されます

ビート・ミュージックの音響的秘密は低音の存在感にあり

高橋 : OTOTOYでは2019年はさまざまなテーマでハイレゾ試聴会を行っていこうとこう考えているのですが、本日がその第1回となります。2018年に10周年を迎え、大躍進したレーベル〈Brainfeeder〉をメイン・テーマに、システム的にはKORGの「Nu 1」というDACプリアンプを中心に組んでお送りいたします。では、今日のメイン・ゲスト、原雅明さんをご紹介します。原さんは〈Brainfeeder〉主宰のフライング・ロータスと、彼が出てきた土壌となるLAのシーンをずっと追いかけてきていますね。

原 : ロサンゼルスに知り合いがいたというのもあるのですが、はじめてロサンゼルスに行ったのは2007年でした。ちょうどフライング・ロータスが『1983』というデビュー作をリリースした翌年だったんですね。〈Warp〉からの『Los Angeles』をリリースする直前でした。彼が出てきた〈Low End Theory〉というビート・ミュージックに焦点を当てたDJパーティーを観に行ったんですよ。そのパーティーは、基本的にはインストでビートがかかっているだけのパーティー。だけどお客さんもたくさんいて、すごくいい音でそういったサウンドがかかっているんですね。普通のクラブだと低音がボコボコなっているだけになってしまいそうですが、このパーティーでは全然違う音楽体験ができて、すごい強烈でしたね。

高橋 : ちょうど〈Brainfeeder〉がはじまる時期に、原さんとロサンゼルスのシーンの関わりも強くなってきたんですね。〈Brainfeeder〉の歴史を考えると、同じくロサンゼルスの〈Stones Throw〉というレーベルが先に大きな存在としてあったと思うんですが、それに対して〈Brainfeeder〉はどのような新しさを持っていたのでしょうか?

原 : たぶんJ・ディラの存在が大きいと思っていて。体が悪かったので療養のためにデトロイトからロサンゼルスに来たのが2004年ごろ、当時インストの作品ばっかりを作っていた時期で、みんなそういうものを欲しているような状況があったんだと思います。LAの場合はレイヴのシーンも、ヒップホップのシーンもあって、だけどみんなバラバラで。そういったシーンをまとまるような受け皿として、ビート・ミュージックがちょうどよかったんでしょうね。フライング・ロータスのような音楽って、テクノを聴いている人やドラムンベースを聴いている人も入り込めることができる。なので〈Stones Throw〉が出していたものと、〈Brainfeeder〉で劇的に違う点というのは、低音がすごい出ること、ダイナミクスレンジが広い。あと〈Stones Throw〉の音は、どうしても昔ながらのヒップホップの美学というか、サンプラーで作って、レンジが狭くて荒っぽいサンプリングの音というイメージですよね。フライング・ロータス以降は、もうちょっとエレクトリックでクリアーになって、ラップトップでトラックを作成するというのも大きかったと思います。

高橋 : 2010年の来日時に西麻布〈eleven〉に観に行って、僕もフライング・ロータスの低音には圧倒されました。低音がなっているクラブって、ほとんどループ・ミュージックが鳴っているじゃないですか。だけどそうじゃなくて、リズムも、アンサンブルも、コード感もどんどん変化してくるし、こんな低音でこんな複雑な迷路のような音楽ができるんだ、ということにびっくりしたんです。

原 : 〈Low End Theory〉に出るDJは曲を1分以上かけない人が多い。1分でどんどん曲を変えていくんです。それで30分のDJをするのが彼らのスタイルなんですけど、どんどん次から次に曲を入れていっても、うまく繋がっているという世界なんですね。その延長線上でフライング・ロータスは曲作りもしているんじゃないですかね。だから彼の曲って、長くても1曲3分くらいなんですよ。

高橋 : では10年を振り返りつつ、曲を聴いていきたいと思います。去年リリースしたブレインのコンピ『Brainfeeder X』の1曲目、ティーブス(Teebs)「Why Like This?」です。

Teebs「Why Like This?」を再生

原 : これは2010年、彼のデビュー作『Ardour』の収録曲ですね。フライング・ロータスがいまやっている音楽は、いろんな要素が入っていて、めまぐるしく展開していくし、複層的なものですが、彼がいちばんはじめにビートで組み立てているのは、このティーブスの感じなんじゃないかと思っていて。揺らいでいる感じとか、ディレイの音色とかが大元にあって、それが実は〈Brainfeeder〉のサウンドの基本になったものじゃないかなと思っていたんですよね。

高橋 : なるほど。今回原さんにはこの10年を振り返りつつ5曲ほど選曲していただいたので、聴いていきたいと思います。

〈Brainfeeder〉産ジャズの音響的秘密

LONE「None an Island」を再生

原 : これは2010年ですね。それまではロサンゼルスのアーティストばっかりだったんですが、ローン(Lone)はイリノイ州のアーティストなんですね。レーベルとしてはこの時期、ドラムンベースの影響下にあるアーティストを出してきたりして、強烈な低音が増え始めてきたんですよ。ちょうどイギリスでダブステップなどのベース・ミュージックが流行っていた時期だったんですけど、そのあたりで〈Brainfeeder〉もまだ初期ですが、そういう音楽を取り入れてきたという感じですね。次は、ジャズ。ピアニストのオースティン・ペラルタ(Austin Peralta)「Capricomus」です。彼は残念ながら2012年に亡くなってしまったんですけど。

Austin Peralta「Capricomus」を再生

高橋 : ラップトップのエレクトロなビート・ミュージックから、急にこうしたアコースティックなものが出てきたんですけど、人脈的には繋がっていたんですよね。

原 : そうみたいですね。アルバムをリリースする前に〈Low End Theory〉とかでも彼らは演奏をしていたり、この曲のマスタリングもダディ・ケヴ(Daddy Kev)がやっていたりしていますね。アコースティックのものしか使っていないんですけど、やっぱり低音が出ているんですよ。普通のジャズのマスタリングではありえないくらい。由緒正しいジャズの人が聴いたらこのマスタリングに怒るかもしれないですよ(笑)。ただ彼らはこういうスピード感ある演奏をアコースティックにやって、しかも低音が出ている演奏を録音したいという思いがあったらしいです。

高橋 : オースティン・ペラルタが死ぬ直前のオースティン・ペラルタ・トリオのメンバーって、ドラムがルイス・コールで、ベースがサンダーキャットなんですよね。彼らもアコースティックなことをやっていたんですね。

原 : ずーっとセッションをしていたみたいですね。この作品と同じ年にサンダーキャットのデビュー・アルバム(『The Golden Age of Apocalypse』)も出るんですよね。その2作品から〈Brainfeeder〉が生楽器を弾いているアーティストを出しはじめました。ここからはいわゆるビート・ミュージックだけではないレーベルになってきましたよね。次はラス・G&ジ・アフリカン・スペース・プログラム(Ras G And The Afrikan Space Program)「One 4 Kutmah」です。

Ras G And The Afrikan Space Program「One 4 Kutmah」を再生

原 : ひとりで架空のバンドみたいなものをやったんですけど、これが2013年の作品ですね。ラス・Gはラスタファリアニズムとサン・ラーに影響を受けている巨漢の黒人なんですが、彼の音楽も、すごくフライング・ロータスに影響を与えているなと感じますね。カマシ・ワシントンのデビュー作のリリース・パーティーで、DJをやっていたり、カマシ・ワシントンのようなジャズ・アーティストにも影響を与えていたようですね。次はDJ Paypal「With Uuuuuuu」です。

DJ Paypal「With Uuuuuuu」を再生

原 : 彼は〈Teklife〉というシカゴ・ジュークのクルーの一員なんですけど、アメリカ出身の白人ですがいまベルリンにいるんですね。彼と契約したことは意外ですごく驚きがあったんです。でも、結構手弾きしているところがあったり、ベースの出方なども、共通する言語があるかなと感じました。この頃からヨーロッパのアーティストとかとも一緒にやるようになっていて、あんまり地域性にとらわれないレーベルになっていきましたね。

〈Brainfeeder〉がロサンゼルスにもたらしたものとはなにか?

高橋 : 次のセレクトはカマシ・ワシントン「Re Run」ですね。これはアナログで聴いてみましょうか。

KAMASI WASHINGTON「Re Run」を再生(アナログ盤を当日は再生)

Nu 1は直接ターンテーブルとフォノ端子で接続できるのでチャンネルを切り替えるだけで、デジタル、アナログ双方を簡単に再生できる。この日も直接、テクニクスのターンテーブルのケーブルをNu 1のフォノ端子についないで再生

高橋 : アナログ、いい音ですね。ちなみに、アナログはOTOTOY編集長の河村さんの私物のテクニクスSL1200MK3に、僕が持ってきたオルトフォンのMC10を装着しています。それから「Nutube」をオンにして、一番控えめな「1」の設定で聴いてみました。

原 : そうですね。これはアナログだと3枚組、よく3枚も出したなという感じですね。これはベンジャミン・ティアニー(Benjamin Tierney)というエンジニアが、マスタリングとミックスをやっているんですけど、彼はLAのいろんなアーティストを手がけているんですが、いわゆるジャズの専門のエンジニアではないんですね。この作品は、録音自体はかなり前にやっていたんですけど、1年くらいミックスに時間をかけたらしいんです。その1年間なにをやっていたかというと、セッションして録った音源なので、レコーディング作品として、どう鳴らすかというところにすごく神経を使ったみたいなんです。

高橋 : 名盤ですよね。カマシのこの作品がでたことで、〈Brainfeeder〉はLAのビート・ミュージック・シーンのローカル性から、もっと大きなローカル・コミュニティーの歴史に繫がった気がしますね。ロサンゼルスの1950年代、1960年代くらいから繋がっているジャズ・コミュニティともリンクしているんだということが見えて来ましたよね。

原 : 実際、ロサンゼルスはジャズのコミュニティが脈々と続いていたんですけど、それが世にでるアウトプットがなかったんですね。〈Brainfeeder〉がきっかけとなって、ロサンゼルスの若いジャズ・ミュージシャンが出てくるようになったのがでかいんでしょうね。

高橋 : 10年でもすごい振り幅ですね(笑)。歴史を振り返るのはここまでにして、2017年くらいの怒涛の展開を振り返っていきたいんですけど、やっぱりサンダーキャットのリリースがかなり大きかったですよね。これは日本でもかなりヒットしました。よくポップ・アルバムとして受けたなというジャケット写真ですけど(笑)。そのなかでもマイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスと組んだ楽曲を聴いてみましょう。

Thundercat Feat. Michael McDonald & Kenny Loggins「Show You The Way」を再生

原 : ついにAORまで来たかって感じですね(笑)。

高橋 : エンジニアはアンドリュー・コールマンという、ファレル・ウィリアムスと長くやっている人です。最近はアリアナ・グランデやジャスティン・ティンバーレイクもやっている。個々のアーティストが好きに作ったものをダディ・ケヴが〈Brainfeeder〉の音としてまとめるというやり方とは違いますよね。もっとメジャー・プロダクションに近づいている。

原 : そうですね。

高橋 :それがポップ・アルバムとしてヒットした要因かなとも思いますね。

現在の〈Brainfeeder〉を彩る、キャラクター濃いめのアーティストたち

高橋 :次はロス・フロム・フレンズ(Ross From Friends)ですね。

Ross From Friends「Thank God I’m A Lizard」を再生

原 : ロス・フロム・フレンズは20代前半だったと思うんですけど。こういう若いイギリスのアーティストもフックアップするようになったんですよね。

高橋 : 2018年は新しいアーティストもデビューしましたけど、もう何枚もリリースしているジョージア・アン・マルドロウというアーティスト。これまでの作品もいいんだけど、もうひとつ頭抜けないかなと思っていたら、〈Brainfeeder〉に移籍して、素晴らしい作品をリリースした。でも、音楽性は変わっていないんですよね。ただ、サウンドの空気感というか雰囲気が一変した。ジョージア・アン・マルドロウ「Overload」です。

Georgia Anne Muldrow「Overload」を再生

高橋 : 音いいですね~。

原 : いいですよね。彼女は2月に来日しますね。

高橋 : そろそろ前半も終了ですが、もう1曲だけ聴きたいと思います。これは僕がライナーを描いた作品でもあるんですが、ルイス・コールというアーティスト。彼のアルバムから「Real Life」を。

Louis Cole「Real Life」を再生

原 : 後半出てくるピアノはブラッド・メルドーですが、無理やりはめ込んでる気もするんですけど(笑)。

高橋 : ノウワー(KNOWER)というユニットでは、一昨年くらいにサックスなんかも入れた5人組のバンドをやっていて、レッチリとヨーロッパ・ツアーとかもして、あれはあれで生バンドですごくかっこいいことをしていたんですけど。ノウワーが終わってしまったみたいなので、またひとりでやっていますね。

原 : ひとりマイケル・ジャクソンみたいな感じですね(笑)。

高橋 : 次はブランドン・コールマンの『Resistance』というアルバムから「All Around The World」を聴いていきたいと思います。これがまた、「〈Brainfeeder〉、こんなことをやりますか?!」というミュージック・ビデオになっています。

Brandon Coleman「All Around The World」を再生(YouTubeのMVを当日は再生)

高橋 : ビーチでショルキーを弾いて美女と戯れるというビデオですね(笑)。ブランドン・コールマンはカマシ・ワシントンのグループのピアニストだったり、サンダーキャットの作品にも参加していますね。彼はジョージ・デュークが好きなんですよね。前作はキーボード奏者のソロ作品らしかったけど、今回の作品はポップ・ファンクに完全に振り切りましたね。愛と宇宙が大好きなんですね。いまファンクをここまで恥ずかしげもなくできる人っていないと思って(笑)。でも、よく聴くとすごい細かい音作りをしているんですね。あとデイブ・リドーというエンジニアがミックスをしていて、調べてみたら1970年代のジョージ・デューク『Follow The Rainbow』にクレジットされている人なんですね。当時はアシスタントなんですけど、そんな人を捕まえてきて、今回ミックスをしてもらっているんですね。こういう部分も、〈Brainfeeder〉が変わったなと思われる部分ですよね。

YouTubeなどのストリーミング動画サービスの音声や、AppleMusicやSpotifyなどのサブスク系ストリーミング・サービスといったデジタル・データの再生もNu 1の得意分野。この日はディスプレイでMVを見ながら、Nu 1でサウンドを再生した

原 : カマシもクラシックからの影響を表明したり、作曲家的な側面を出しても来ましたよね。

高橋 : そうですね。1970年代のファンク、ブギー、ディスコみたいなものって、あんまり〈Brainfeeder〉のなかになかった。だからこそのおもしろさがブランドン・コールマンにはあったかなと思います。

オランダ、ブラジル、多様に結びつくレーベルの現在

高橋 : では、ここで本日飛び入りのゲストをご紹介したいと思います。柳樂光隆さんです!

柳樂 : よろしくお願いします。

左から、高橋健太郎、柳樂光隆、原雅明

高橋 : ここからは、〈Brainfeeder〉といえばこの曲というオール・タイム・ベストを聴いていただこうと思います。原さんの選曲は、すごく原さんらしいですよね。

原 : ジェイムスズー(Jameszoo)というのはオランダのアーティスト / プロデューサー。最近僕はオランダのシーンがおもしろいと思っていて。ジェイムスズー自身もキーボードは弾けるんですけど、彼の周りにも、ビンクビーツというマルチプレイヤーや、ダディー・ケヴのレーベルからリリースをしているサックス奏者のニルス・ブロースとかおもしろい人がいるんですよね。そういうなかでいちばんブレイクしたというか、おもしろい才能を持っているアーティストですね。彼はアルトゥール・ヴェロカイ(Arthur Verocai)というブラジル音楽界の大物をフィーチャーしたんですけど、これがかなり破天荒で。1時間くらいスタジオにこもらせて、録ったものから無理やり作ったものなんですね。

Jameszoo / Flu (Featuring Arthur Verocai)を再生

原 : サンダーキャットとか、リチャード・スペイヴン(Richard Spaven)というドラマーが参加していて。ジャンルもよくわかんないという(笑)。

高橋 : すごい国籍を超えていますね。おもしろすぎて言葉を失うというか。

原 : このごちゃごちゃの感じはフライング・ロータスの影響をかなり受けているんですね。ただ、彼の場合は曲が長いんですよ。フライング・ロータスだったら1曲3分で収めるんですけど。

高橋 : それはやっぱりヨーロッパな感じもしますね。おもしろいな~と思うんだけど、本当に言葉が出てこないんですよ。では、柳樂さんもお願いします。

柳樂 : ぼくはフライング・ロータスなんですけど、「MmmHmm ft.Thundercat」です。

高橋 : あっ被った。僕もこのアルバム(『Cosmogramma』)の最後の曲「Galaxy in Janaki」をかけようと思っていたんですよ。まず先にこっちを聴いてみていいですか。

Flying Lotus「Galaxy in Janakit」を再生

高橋 : 僕はフライング・ロータスの叔母さんのアリス・コルトレーンの音楽は、そんなにジャズを聴いていない頃から聴いていたんです。ジョン・コルトレーンよりもアリス・コルトレーンの方が宇宙感みたいのによくわからないけど惹かれて、ぼーっと聴いていたんですね。それでフライング・ロータスのこのアルバムは難解といえば難解だったんだけど、この曲までたどり着いたら、アリス・コルトレーンと同じ世界にいる気がしたんです。作り方とか質感は全然違うんだけど、宇宙感は一緒だと思って。それからフライング・ロータスの作品がすごくわかりやすくなりました。

原 : このアルバムが出た時のリリース・パーティーの映像を見ると、ほとんどアリス・コルトレーンのコンサートみたいになってるんですよ。割とビッグバンド並みの編成だったりするので、それを見るとさらにわかるのかな。

高橋 : ジョン・コルトレーンの甥ってよく言われているけど、それよりもアリス・コルトレーンの甥だなって感じがしますよね。柳樂さんは〈Brainfeeder〉はどこから入りました?

柳樂 : 『Jazz The New Chapter』を作るきっかけとなった『クロスビート』の最初の仕事が〈Low End Theory〉のライヴレポだったんですよ。ラス・Gとかが好きだったので、そこからですね。なのであんまりジャズと関係あるという感じで入った感じではないんですけど。最初はエクスペリメンタルなバンドが好きで聴いていた感じですね。最近はちょっとオシャレになってきてびっくりしてます。よくここまで変わったなって感じがしますね。

高橋 : レーベル的にはここまで大きくなると、どのくらいフライング・ロータス自身が采配をしているんでしょうか。

原 : どうなんでしょうかね。でも実質には彼がかなりリリースするアーティストを決めているみたいですね。だから自分のソロ・アルバムが出ないんじゃないかとかも言われていて。考えてみれば4年前の『You're Dead!』でも、サンダーキャットが曲を作っていたりして、本人が作っている曲はあんまりないんですよね。なので、割と全体を見るみたいなスタンスになっているのかなと思いますけどね。

柳樂 : 原さんと一緒に行った2014年のライヴと、この前のサマソニのライヴだと4年経って、フライング・ロータスが人として成熟した感がありましたね。すごいめんどくさそうなやつだったのが、ちゃんと喋れるようになってましたね(笑)。

高橋 : フライング・ロータス以外で柳樂がいちばん聴くのはなんですか?

柳樂 : オースティン・ペラルタですね。僕はやっぱりジャズ・リスナーなので。いわゆるブロンドの青い目の美少年ピアニストで、若くしてデビューしていちどシーンからいなくなって。でも、改めて過去の作品を聴いてみたら、消える直前はすごいスピリチュアルな感じがして。意外と心に闇があったんだな、みたいな感じだったのが、こうなって戻って来て。〈Brainfeeder〉は、そういう人も受け入れるレーベルなんだなって思いましたね。

そのサウンドのルーツはドクター・ドレーにあり?

高橋 : 原さんはダディ・ケヴのスタジオを取材したんですよね。

原 : スタジオは『You're Dead!』ができる前くらいに新しくしたんですけど、その前の古い方を取材したんです。新しいスタジオの記事が2016年のサンレコ(『サウンド&レコーディング・マガジン』)に出ていたんですけど、それを読むと、かなり機材を新しくした感じもありましたね。アナログの機材もかなりこだわっていて、名器と言われるものはかなり買い込んでいて。

高橋 : そういえば、写真を見たらダディ・ケブのスタジオもモニター・スピーカーはFOCALでした。フライング・ロータスのプライヴェート・スタジオもFOCALですし、そういう意味では今日のセットはまさしく〈Brainfeeder〉の音源を彼らがチェックしている環境に近いセットで聴いていることになります。でも、ダディ・ケブって元々はDJで、あんまりマスタリング・エンジニアという感じではなかったですもんね。勉強してああなった感じですか?

原 : 多分、ああいった音楽をしっかりとマスタリングできる人が周りにいなかったんですよね。ローを許容するマスタリングというか。ただ、唯一参考にしたのはドクター・ドレーだって言っていましたね。ドレーが使っているコンプも手に入れて、という手順は踏んで行ったみたいです。

高橋 : スタジオの機材を見ると、2000年以降に買い揃えた感じはしますね。

原 : テクノのアーティストとかでも、もともとトラックを作っていて、エンジニアとして出てくる人も多いじゃないですか。ビート・ミュージックがどんなものかわかっている作り手で、そこからエンジニアになったと考えると、それとおんなじようなパターンなのかなとも思いました。

高橋 : じゃあここで柳樂さんの1曲「MmmHmm ft.Thundercat」を聴いてみましょう。

Flying Lotus「MmmHmm ft.Thundercat」を再生

高橋 : この曲もいまの〈Brainfeeder〉を予感させる楽曲でしたね。サンダーキャット音楽が持つ浮遊感とか、この感じはどこから来たんだろう。ブラジル音楽とかなのかな?

柳樂 : あると思いますね、ミナスとかですね。

高橋 : あとはミルトン・ナシメントとかもあるかな。

柳樂 : あとは原さんがおっしゃっていたアルトゥール・ヴェロカイが大きいですね。

高橋 : ヴェロカイ人気はLAでもすごいですよね。彼は1970年代に1枚だけソロ・アルバムを出している、ブラジルのサイケデリックでかつジャズ的なミュージシャンだったんですが、イギリスの〈Far Out〉というレーベルが再発をして大流行したんですよね。本人も2000年代になって大復活しましたね。

原 : DJが再評価して。同じ頃の〈Stone Throws〉のイーゴンもブラジル行って掘ってて。そういうレーベルがブラジルものとかを掘るの競ってたんですよね。

柳樂 : 時間差もおもしろくて、日本のその周辺で話題になった、少し後ぐらいにポンッとLAの連中がフィーチャーしたりして。

原 : 日本だと発掘してきて終わっちゃうところを、LAのおもしろいところは本人を呼んできてコンサートまでやっちゃうところがすごいですよね。

高橋 : 確かに。じゃあ、原さんにもフライング・ロータスの楽曲を1曲選んでいただきたいと思います。

原 : 『You’re Dead!』から「Cold Dead」を。

高橋 :これはアナログで聴いてみます。

Flying Lotus「Cold Dead」を再生(アナログ盤を当日は再生)

高橋 : サンダーキャットとカマシ・ワシントンが参加していて、オールスターですね。

原 : これもやっぱり3分くらいで終わるんですよね。その編集をフライング・ロータスがやっているんですよ。やっぱり3分間の美学を守っているなというのがフライング・ロータスのおもしろいところですね。だから楽器プレイヤーとも対等にできる感じもあるのかもしれないですし。

高橋 : ダンス・ビートさえあれば、それでなんとか回って凌いでいくっていう時間帯が全くないよね。そういう意味ではクラブ・ミュージックとしてはかなり特殊ですよね。

原 : そうですよね。彼はこのアルバムもそうですけど、〈Warp〉というレーベルから出ていて、エレクトロニック・ミュージックとかテクノが好きな人も聴いているのが興味深いです。彼のライヴは〈Low End Theory〉のDJと同じように、短い曲をどんどん続けて切れ目がないんですよね。だからグルーヴが途切れない。そのあたりが受け入れられる理由なんでしょうね。

〈Brainfeeder〉以降のサウンドへ

高橋 : でも今日、僕はこれだけ詰め込んで聴いていったら頭が爆発するかなと思っていたんだけど、意外とすっきりと聴けましたね。「Nu 1」の澄み切った透明感のあるサウンドで聴いたからかもしれません。もっとキレキレな体験になるかと思ったら、この世界に快く馴染んできている(笑)。では、もうそろそろ時間も迫ってきているので、過去から未来に眼を向けて、今後の〈Brainfeeder〉、もしくはその周辺の注目株を原さんに紹介してもらえたらと思います。

原 : 先ほども名前が出たビンクビーツというオランダのアーティストなんですが、あらゆる楽器を使って一人で演奏をするんですね。アルバムが出たばっかりなんですけど、「In Dust / In Us」を聴きたいと思います。

BINKBEATS「In Dust / In Us」を再生

原 : ちなみに去年リリースされたDJクラッシュさんのインストのアルバム『Cosmic Yard』にも参加しているんですけど、クラッシュさんはわりと若いアーティストをフックアップするんですけど、チェックするのが早いなと思いましたね。

高橋 :では最後に1曲、原さんに選曲していただければと思います。

原 : マセーゴというジャマイカ生まれ、アメリカ育ちのシンガー・ソングライターでマルチ奏者なんですけど、楽器も16種類くらいできるらしいんですよ。トラップ・ハウス・ジャズっていう、トラップでハウスでジャズという音楽をやっていて(笑)。その感じも含めて〈Brainfeeder〉以降の人だなと思いますね。ちなみに2月に代官山UNITで単独公演があります。

Masego「Lavish Lullaby」

原 : この人は両親が牧師で、ゴスペルの音楽ばっかりを聴かされていたんです。そしてジャズ・シンガーのキャブ・キャロウェイをよく引用しているんです。だから世代感とかもすごくわかりにくいんですよね。モダン・ジャズ以前の文脈を拾ってきたり。直接、〈Brainfeeder〉とつながっているわけではないんですが、StarRoっていうLAにいる日本人プロデューサーと曲を出したりしてて、そういったLAのアーティストのつながりということで今日は出してみました。

柳樂 : 下手さ具合もモダン・ジャズ以前というか。いきなりスムーズ・ジャズっぽくしたりとかする感じもあって。

高橋 :なるほど。ではここら辺で今回の試聴会は終了とさせていただきます。OTOTOYではこういったハイレゾ試聴会をできれば毎月開催していきたいと思っています。第2回は2月20日に柳樂光隆さんを再度お招きして、〈Nonesuch Records〉というアメリカのジャズやワールドミュージックのレーベルを特集します。〈Brainfeeder〉の音源はOTOTOYでも配信していますので、今日興味を持った作品がありましたら、ぜひOTOTOYでご購入いただければと思います。今日の再生システムは全て合わせてだいたい100万を少し超えるくらいだと思います。これが安いと思うか高いと思うかは、人それぞれだと思いますけど、ハイレゾ音源をその気になれば、自分の家でもこのくらいのサウンドで聴けるということも分かっていただいたかと思います。今日はどうもありがとうございました!

〈Brainfeeder〉、気になったらまずこの1枚、10周年記念コンピ

次回のハイレゾ試聴会は2月20日(水)開催予定

テーマは〈Nonesuch Records〉。
メインMCに高橋健太郎、ゲストに柳樂光隆を迎えてお送りします。

今回使用したセッティングの詳細

今回の試聴会では〈KORG〉の「Nu 1」を中心に、〈FOCAL〉のパワード・モニター・スピーカー「Trio6 Be」を〈オヤイデ電気〉の「TUNAMI TERZO V2」でXLR接続。 ハイレゾ音源の再生にはPCソフト「KORG AudioGate 4」を使用し、PCとNu 1は「Continental 5s」でUSB接続している。

DAC : KORG Nu 1
再生ソフトウェア : KORG AudioGate 4
PC : MacBookAir
パワード・モニター・スピーカー : FOCAL Trio6 Be
下記ケーブル類は全て : オヤイデ電気
電源BOX : MTS-6 + BLACK MAMBA V2
SP電源ケーブル : AXIS-303 GX
DAC用電源ケーブル : AP/AC-004 + TUNAMI V2
スピーカーケーブル : TUNAMI TERZO V2
USBケーブル : Continental 5s
ターンテーブル :Technics SL-1200mk3
カートリッジ : Ortofon MC10
KORG Nu 1の仕様


オーディオ・インターフェイス
チャンネル数 : 2チャンネル 対応フォーマット (USB)
DSD : 2.8224MHz / 5.6448MHz / 11.2896MHz、1bit
DSD : 3.072MHz / 6.144MHz / 12.288 MHz、1bit (S.O.N.I.C. リマスタリング・テクノロジー使用時のみ)
PCM : 44.1kHz / 48kHz / 88.2kHz / 96kHz / 176.4kHz / 192kHz / 352.8kHz/384kHz、16bit / 24bit
ホスト・インターフェイス USB2.0 (ハイ・スピード)、アイソクロナス・アシンクロナス転送
オーディオ・ドライバー ASIO2.1、WDM、Core Audio

一般
インジケーター : STANDBY / ON、CLOCK、Nutube ON/OFF、DSD / PCMモード表示
自動電源オフ : 30分間無操作・無入力時(MODE=ANALOGかつAUTO OFF SW=ON)
電源 : AC100V
消費電力 : 40W
外形寸法 : 432(W) x 282(D) x 93(H)mm (突起部含む)
質量 : 5.9kg

主要規格
周波数特性 :
10Hz ~ 80 kHz -3dB (@USB-DAC DIRECT)
10Hz ~ 20kHz ±1dB (@fs=44.1kHz / 48kHz)
ダイナミックレンジ : 120dB(TYP.)@20Hz ~ 20kHz

真空管
Nutube : 6P1 x 2

コネクター
INPUTS LINE L / R
形状 : XLR-3-31 (1 : GND、2 : HOT、3 : COLD) / BALANCED
規定入力レベル : +4dBu (1.23Vrms)
最大入力レベル : +20dBu (7.75Vrms) :(0dBFS、0dB-SACD)
入力インピーダンス : 22kΩ

形状 : RCAピン・ジャック
規定入力レベル : -6dBV (0.5Vrms)
最大入力レベル : +6dBV (2.0Vrms) : (0dBFS、0dB-SACD)
入力インピーダンス : 50kΩ

INPUTS PHONO L / R
形状 : RCAピン・ジャック
規定入力レベル : 0.3mVrms@1kHz (MC) / 5mVrms@1kHz (MM)
最大入力レベル : 5.0mVrms@1kHz (MC) / 50mVrms@1kHz (MM)
入力インピーダンス : 220Ω (MC) / 50kΩ (MM)

OUTPUTS LINE L / R ・ USB-DAC DIRECT L / R
形状 : XLR-3-32 (1 : GND、2 : HOT、3 : COLD) / BALANCED
規定出力レベル:+4dBu(1.23Vrms)
最大出力レベル:+20dBu(7.75Vrms):(0dBFS、0dB-SACD)
負荷インピーダンス:600Ω以上

形状 : RCAピン・ジャック
規定出力レベル : -6dBV (0.5Vrms)
最大出力レベル : +6dBV (2.0Vrms) : (0dBFS、0dB-SACD)
負荷インピーダンス : 10kΩ以上

PHONES
形状 : XLR-4-32 (1 : L+、2 : L-、3 : R+、4 : R-、スクリーン : GND) / BALANCED
最大出力レベル : 500mW+500mW@60Ω、300mW+300mW@300Ω
負荷インピーダンス : 32Ω以上

形状 : φ6.3mmステレオ・フォーン・ジャック
最大出力レベル : 400mW+400mW@32Ω
負荷インピーダンス : 16Ω以上

WORD CLOCK IN / OUT
形状 : BNCレセプタクル、75Ω

USB (デバイス)
形状 / フォーマット : タイプB / USB 2.0準拠 ハイ・スピード

>>「KORG Nu 1」製品ページはこちら
AudioGate 4

AudioGate 4は録音(※1)、再生が可能な音楽ファイル管理ソフト。AudioGate 4がインストールされたコンピューターと、Nu I、DS-DAC-10RなどコルグDSD関連製品をUSBケーブルで接続することで利用が可能。
DSDなら最大11.2MHz(※2)、PCMなら最大384Hz/24bitのフォーマットに対応。アナログなど手持ちのソースをDSD録音し、いつでも好きなときにいい音で聴くことができる。
※1. ADコンバーター搭載のNu I、DS-DAC-10Rとの組み合わせでDSD録音に対応。
※2. Nu I使用時。

AudioGate4(Version 4.5)の動作環境
Windows
対応OS Microsoft Windows 10(64bit) CPU
1) 11.2MHz動作時の推奨スペック
インテル Core プロセッサー・ファミリー Core i5、2.4GHz 以上
※再生時にGain、Phono EQとその他のコントロール情報を全て設定する場合には、Core i7、3.4GHz 以上推奨
2) 5.6MHz動作時の推奨スペック
インテル Core プロセッサー・ファミリー Core i3、2.6GHz 以上、またはCore i5、1.6GHz以上
※いずれもバッファサイズ最大時 RAM 4GB以上
macOS
対応OS macOS 10.11 El Capitan、macOS 10.12 Sierra、macOS 10.13 High Sierra
(macOS 10.14 Mojaveについては検証中) CPU
1) 11.2MHz動作時の推奨スペック
インテル Core プロセッサー・ファミリー Core i5、2.5GHz 以上
2) 5.6MHz動作時の推奨スペック
インテル Core プロセッサー・ファミリー Core i3、2.6GHz 以上、またはCore i5、1.3GHz以上
※いずれもバッファサイズ最大時 RAM 4GB以上

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当日に使用された他の機材

「Trio6 Be」

スピーカーは、〈FOCAL〉社のスタジオ用パワード・モニター・スピーカー「Trio6 Be」を使用。1インチ・ツイーター、5インチ・ウーファー、8インチ・サブウーファーを搭載した3ウエイ・モニター・スピーカで、3ウェイ/2ウェイの切り替えも可能。近年ではスタジオに〈FOCAL〉のスピーカーを導入するミュージシャンも多く、今回の「Trio6 Be」は小さめのスタジオでもラージ・モニター級の低音がチェックできるように開発されたモデルとなっている。試聴会では〈ブレインフィーダー〉のサウンドの未来的な感覚を強調し、スピード感や切れのある音を会場に届けてくれた。当日、使用されたグレイモデルは現在は生産完了。レッドモデルのみの展開となる。

「AXIS-303GX」

スピーカー用の電源ケーブルには、〈オヤイデ電気〉より2018年12月7日に発売された新商品「AXIS-303GX」を使用。このケーブルは自社開発の精密導体“102 SSC”を使用し、制作現場に求められる正確性とプレーヤーに向けた芳醇な出音の両立を目指して制作された。そのためオーディオだけでなくギター・ベースアンプでの使用など、幅広いシーンで活躍できる電源ケーブルとなっている。

DAC用に使用された電源ケーブル「AP/AC-004 + TUNAMI V2」AP/AC-004は、オヤイデ電気の〈ARMORED〉シリーズの中でも最上位のモデル。「TUNAMI V2」は生産終了となった初代“TUNAMI”のアグレッシブなサウンドとパフォーマンスの高さを構造と共に引き継いだ電源ケーブル。試聴会ではNu1に接続された。

スピーカーケーブルは「TUNAMI TERZO V2」を使用。世界初の高密度異径導体“3E 撚り構造”を採用したインターコネクトケーブル。3種類の異なる素線径を配置する事で、撚り線配列をより緻密化させている。

USBケーブルに使用したのは、「Continental 5s」。5sはこのケーブルの特徴と言える、“Special” “Silver” “Shield” “Signal” “Silk”を表しており、オヤイデ・エンジニアリングの粋が結集された、「オーディオファイルだけのために創られた」Hi-Fi USBケーブルとなっている。

電源BOXは「MTS-6 + BLACK MAMBA V2」を使用。電源コードが着脱式となっており、電源コードをユーザーの好みに合わせて交換ができる。今回の試聴会ではオヤイデ電気のケーブルの中でもフラット、高解像度、な特徴をもつ「BLACK MAMBA V2」を組み合わせている。

〈KORG〉 Nu 1 の詳細はこちらから

〈FOCAL〉Trio6 Be の詳細はこちらから

〈オヤイデ電気〉 の詳細はこちらから

[インタヴュー] Louis Cole

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