16歳、私の物語はこれから続いていく──原田珠々華、初のデジタル・シングルをリリース

2018年2月に解散したアイドルネッサンスのメンバーだった原田珠々華が、6月からソロとして活動を開始し、初のデジタル・シングル『Fifteen』をリリース。この曲は原田が自ら作詞・作曲し、ライヴ会場のみで販売していたCD-R収録の楽曲を、山本幹宗を音楽プロデューサーとして迎え再レコーディングされたもの。OTOTOYではひとあし先にハイレゾ配信をスタート、そして、新しい環境で歩み始めた原田にインタヴューをおこないました。


作詞・作曲:原田珠々華 編曲:山本幹宗

原田珠々華(ボーカル&ギター)
山本幹宗(ギター&マンドリン&プログラミング)
上野恒星 (ベース / Yogee New Waves)
戸高亮太(ドラム)
Asuka Mochizuki(フィドル)

INTERVIEW : 原田珠々華

高校1年生、16歳のシンガー・ソングライター原田珠々華(はらだすずか)が、初のデジタル・シングル『Fifteen』をリリース。もともと2018年2月に解散したアイドルネッサンスのメンバーだった彼女は、アイドル活動に区切りをつけ、シンガー・ソングライターの道を選んだが、同曲には、自分自身へのメッセージ、あのころの仲間への思い、高校1年生ならではの、ちょっとせつないあふれる思いが詰まっている。これまでライヴで弾き語りバージョンを披露してきたが、今回のデジタル配信では、くるり・銀杏BOYZサポートギターとしても知られる山本幹宗のプロデュース& アレンジで、ギター・山本幹宗、ベース・上野恒星(Yogee New Waves)、ドラム・戸高亮太、フィドル・Asuka Mochizukiによるバンド・サウンドが、原田の歌声とアコースティック・ギターをあたたかく引き立てる。同作の制作を経て、自己の内面と向き合い、ますます音楽の楽しさを深め続けている原田に、話を聞いた。

インタヴュー& 文 : 古城久美子
撮影 : ペータ

難しいコードにも挑戦できるようになってきました

──アコースティック・ギターをはじめたきっかけから教えていただけますか。

原田 : アイドル・グループ(アイドルネッサンス)で活動していた時、誕生日月にメンバーがピックアップとなってライヴをする「生誕祭」というのがあったんですが、そのステージで、Negiccoさんの「ねぇバーディア」という曲をアコースティック・ギターで弾いてみたいなと思ったことがきっかけです。小学校6年生のころに、遊びで友だちとバンドを組んでいて、エレキ・ギターにトライしたんですけど全然弾けなくて。そのタイミングでもう一度やってみたいなって。

──6年生の時点で、エレキ・ギターを!?

原田 : その時はコピー・バンドで、流行っていたヴォーカロイドの曲とかアニメの曲とかやっていたんですけど、でも、本当に全然弾けなくて。コードの押さえ方も全然わからなくて、想像通りの音が出ないなと思っていたら、楽譜の読み方が逆で。上下、全く逆に押さえていたんです。それで、変な音が(笑)。それに気づいてから、やっと弾けるようになってきて、もっと興味が出てきて、習い始めた感じです。

──気づいてよかった(笑)。でも、SNSであがる動画や配信を観ると、だいぶ慣れている感じがします。

原田 : ちゃんと初めてからは1年半くらいかな。難しいコードにも挑戦できるようになってきました。

──アイドルネッサンスの活動を終えて、いろんな選択肢があったと思いますが、ソロ・アーティストでデビューするという選択はどうしてだったんですか。

原田 : 自分でも音楽が生きがいだとか、特別に思っていたわけではないんですけど。私、本当はモデル志望で事務所のオーディションも受けていたくらいで、そこで「アイドルに興味はありませんか?」と言われて、のちのち入ることになるアイドルネッサンスのステージを観て、それまでは「アイドルとかやりたくない」って思っていたんですけど、なんて言うんだろう…… 自分たちを前に出しているんですけど、音楽があってこそ成立しているグループだなと思って。

──アイドルやりたくなかったんだ(笑)。確かにアイドルネッサンスって、カバーの選曲センスも含め、音楽愛を感じるから、考え方が変わったのもわかるな。

原田 : そうですね。だから、活動を通して培ったこともあるし、小さいころから、どんな時にも音楽がそばにあって、自分がいちばん好きなのって、当たり前になっていた音楽なんじゃないかって。いろいろ考えて、今まで芸能をずっとやってきたんですけど、結局、音楽がやりたいなって気持ちが出てきました。

──「こんなシンガー・ソングライターになりたい」みたいなイメージってありましたか。

原田 : 大原櫻子さんは、自分がアイドルになる前からもずっと好きで、たくさんの人に元気を与えられるアイドル的な側面もありながら、歌をしっかりやっていらっしゃるので、憧れていました。

──星野源さんもお好きなんですよね?

原田 : 大好きです! 源さんは、エンターテイメントを追求していて魅力的だし、でも、奏でている音楽の中に自分の言葉があって、常におもしろいことを求めていて、考え方から尊敬しています。あとは源さんの文章が好きなんですよ。エッセイ集とか何度も読みたくなる。すごく遠い存在ですけど、近い存在でもあるような。生活がのぞき見できるような言葉が出てくるのもすごいなって。

最初は、アイドル感を捨てられていなかった

──原田さんもそうやって、シンガー・ソングライターとして、作詞作曲を自分でやって、自分の言葉を発信していくわけですが、グループのひとりとしての発信から自身の作品を発信に変わったのって、どう思っています?

原田 : 最初は、自分そのものを出している感じがするから、自分の作った曲を世に出すというのが怖くて。アイドルをやっていた時も詞を書いてみたりしていたんですけど、外に出すのはちょっとって……。自分自身に対するコンプレックスがあって。あまり自分が好きではないから、本当に受け入れられるのかという不安があったんですけど、でも、やっていくうちに、聴いてもらえる度に、やりがいもどんどん増えていって、向いているのかもしれないなって思うようになって。

──どんなコンプレックスですか?

原田 : 小さいころから自分に自信がなくて、深く考え過ぎてしまうところがあるんですよね。小学校6年生くらいの時に、いじめとまでは言わないですけど、いざこざがあって、「自分ってなんだろう」みたいなことを考えるようになって。自分が思っていることを素直にいったら、どう思われるんだろうって、素直な気持ちをいろんな人に対して言えなくなっちゃったり、「自分が発していることって、本当に自分が思っていることなのか」とか。

──じゃあ、実際、素直な気持ちを曲にしていくことで、変わったのでは?

原田 : 最初は、アイドル感を捨てられていなかった自分というのがいました。アイドルとして、まだ満足できていなかったし、この先もずっとアイドルでいたいという気持ちがあって。でも、解散して、みんな元気がなくなっちゃっていたから、「個人個人だけど、まだまだ物語は続いていくんだよ」っていうことを発信したくなって。

──曲を作って伝えたいっていう最初の動機はそこだったんですね。初めて音源化した曲「Fifteen」にもそれが詰まっていますね。

原田 : そうですね。この曲は、私が16歳になる誕生日(6月24日)を前に急いで作った曲です。誕生日を迎える度に曲を作って、誕生日に披露していったらおもしろいなって。

──どんな時にできたんですか?

原田 : 学校が終わって最寄りの駅をおりてからの帰り道に、夕日が見えて。そういう映像を撮って、想像して歌詞とか考えて、家でまとめるみたいな感じなんです。「Fifteen」は30分くらいでできたんですけど、いつのまにかいちばん知ってほしい曲になりました。結構、15歳の子が16歳になるタイミングで「歌うね」って言ってくれたり、実際歌っている動画を送ってくれたりするのはうれしいですね。

──この曲、今の、瑞々しさと気持ちがあふれていて。いい曲ができましたね。

原田 : ありがとうございます。高校生になって、16歳を迎える時に15歳と16歳ってすごく違うなって思いながら書いたんですけど、今、この曲を書こうと思っても書けない!

──まだ半年も経ってないけど、もう書けない?

原田 : 書けないと思います(笑)。中学と高校って全然違う世界で。どんどん人間の本性が見えてくる。私たちも大人になっている途中ですけど、霧がかかっていた部分がだんだん見えてきて、心が揺らいだりする。そういう中で、みんながみんなひとりぼっちにならないようにって思っているんだなって思っていたんです。ぼっちを避けてるっていうか。

──そっか。こういう活動をしていると、お仕事として周りに大人の人も多いでしょうし、一般的な高校生とギャップを感じることとかないですか。

原田 : 私と同じくらいの年齢の子たちって「誰かに認められたい」とか「自分だけが特化しているものがほしいのに、みんなと違うことをしたくない」とか、「みんなと同じようになっている中で、でも飲まれていたくない」って葛藤がある気がしていて。それを高校生活の中で学んだし、共感する部分がある。私はずっと一人が好きだって思いながら生きてきて、一人でいる時間が大切だし、周りに他の子がいなくても大丈夫って言いきかせてきたんですけど、高校生になって周りに頼るってこととか、自分の恥ずかしいところを打ち明けることで、より絆が深まったり、人と話すのが楽しいって思えるようになってきているんです。もちろん、大人の人と接している時間が長いし、同世代の子とどう話していいかわからない時もあるけど、やっぱり同じようなことを感じていると思っていて、この年代の子だって自分で思います。

何か新しいことが生まれるかもしれないって

──そっか。15歳から16歳へ変化を曲に記録できた感じですね。

原田 : 私にとって、15歳って、アイドルの活動も充実していたし、クラスのみんなも応援してくれていて、すごく楽しくて。そういう楽しかった時期を思い出して、その時の私に会いたくなるけど、15歳の私は、今の私を応援しているよって。自分の思っていることをうわーって書いたんです。

──「さよなら」というフレーズも出てきますね。

原田 : 15歳の自分に「さよなら」っていうこともあるし、アイドルが解散っていうこともあったので、それにかけているところもあるんです。結構、ダブル・ミーニング的な表現が好きで。

──「君に会いに行ってもいいかな」とか「進め」っていうのも、自分にとっても、一緒にがんばってた仲間に対しても、問いかけるような。

原田 : そうですね。環境とかはそれぞれ違うけど、この曲にあるように思うことで15歳に区切りがつけられる。すごくいい曲が書けたなって思いました(照)。

──この曲、レコーディングはいかがでしたか。

原田 : 初めてスタジオに入った時は、はじまるんだなっていう気持ちでしたね。ただ、自分の中でシンガー・ソングライターとしてやっていくぞっていう覚悟はできていたんですけど、現実味を帯びていなかったというか。スタジオに入って、いろんな方が私のためにいろいろ動いてくださっているのを見て、今までは楽しみ100%だけだったけど、不安が50%、追加されました。


原田珠々華 / Fifteen (Music Video)
Director&Cam:島田大介
Ca Assist:関本敦史
Stylist:川上薫
Hair&Make-up:くどうあき
Producer:沖崇信
Location:天竜浜名湖鉄道株式会社/HCCライブチャーチ浜松

──そっか、もうグループの中のひとりじゃないっていうね。

原田 : アイドル・グループに参加させて貰うことも考えていたんですけど、ある時、SNSとか見ていたら、みんなが落ち込んでいたりして。私は「終わったばかりの物語を一旦ちゃんと閉じて、第二章として新しい物語をはじめていく」、それがいいという気がして。区切りをつけて、自分で始めていくことで、何か新しいことが生まれるかもしれないって思ったし。それで、そう…… ちゃんと音楽がやりたかったから。

──そういう不安があるなかで、どのようにスタートしました?

原田 : 情緒不安定で。途中で泣き出したりしてたんですけど。それも全然違うことで、思い出し泣きしちゃったりして。

──何を思い出したの?

原田 : アイドルをやってた時に、私の祖母がCDをすごいたくさん買って近所の人たちに配り歩いた時のことを思い出して。でも、それで、結構いろんな方が私のことを考えてくれてると思えて、なんでしょう、認められた感というか、安心感があって、妙に行けるんじゃないかって。

──いろんな思いが交差していたんだ。

原田 : そうですね。レコーディングが進む中で、「うまい!」とか「さすが!」とか言ってもらえて。そういうちょっとした言葉が原動力になる人なんですけど…… それでがんばれたところはありましたね。

──自分で曲を作ったものが、レコーディングをして、バンドの音が重なっていくのって、どう思いました?

原田 : 「曲だ!」って(笑)。自分の鼻歌がこんなにたくさんの人に奏でられて、曲として成立していくってすごいなって。あとは「すごい楽しい!」って思えました。不安だった50%が楽しいを侵食して、結構90%くらいまでいっていたんですけど、曲がどんどんできていく。その過程が本当に楽しいって思えた。

いちばん自分に自分が期待している

──くるりや銀杏BOYZでギターを弾いている山本幹宗さんをはじめ、すてきなバンド・メンバーがそろいましたね。

原田 : 山本幹宗さんがプロデュースとアレンジをやってくださっているんですが、レコーディングの合間に、オシャレに聴こえるコードの押さえ方とか、コード進行をちょこちょこ教えてくださって。すごくありがたかったですね。

──技術も感情も、どんどん吸収したレコーディングだったんですね。初めてスタジオに入った時の映像がホームページにアップされていて、「音楽ってなんだと思う?」って、すごく哲学的なことを聞かれていましたけど。今、どう思っていますか。

原田 : そうですね。これまで、音楽への向き合い方って、聴いてくださるからには「元気になってもらわなきゃ」とばかり思っていて、自分は全然ポジティブじゃないのに、ポジティブな言葉を並べてみたり、ちょっと現実味がなかったなと思うんですけど、最近は、飾らない自分の言葉で、「救いたい」って言うとあれですけど…… ちょっとでも同じ考えの人がいるんだよって伝えたくなったし、発信者である自分のことを考えるようになっています。音楽って、自分のためにやってる部分があるなって。それが、応援してくださる方にも喜んでもらえて、一緒に楽しんでもらえたらいいんですけど。

──12月に初のワンマン・ライヴを予定していますが(12/13と12/23)。それぞれ光と闇というテーマがあるのもそういう意図があるのかな?

原田 : そうですね。12月13日の「ハジマリのオト」はバンド・セットで。アイドルのころから培ってきたような、明るいライヴにしようと思っていて。逆に12月23日の「title」は弾き語りをメインとしたアコースティック・ライヴです。私にはネガティブな部分もあって、それを自分の中で悪いことにしないで、出していく。ノスタルジックでもあり、今、自分の中で考えることとかも共有していけたらって。新しいことができるライヴになるんじゃないかなって思います。

──両面あってこそっていう。ちなみに、11/3の「タワーレコード新宿店20周年祭 LIVE ~FUTURE OF BASIC~」のオープニング・アクトにも出演されます。ライヴを楽しみにしている方も多いと思いますが。

原田 : アイドルの時から、ここまで培ってきたことってあるんですけど、私はそれをとっぱらってやりたいと思っていて。「自分はこれだけではない」って、いちばん自分に自分が期待しているから、それを言葉だけじゃなくて、ちゃんと目に見えるライヴで形にしたい。これからも私の物語を読み進めていきたいって思ってもらえるようなライヴができたら!

LIVE SCHEDULE

タワーレコード新宿店20周年祭 LIVE ~FUTURE OF BASIC~
2018年11月3日(土)@Zepp DiverCity
※オープニング・アクトとして出演

原田珠々華 ワンマンライブ〜BAND SET〜 「ハジマリのオト」
2018年12月13日(木)@渋谷WWW

原田珠々華 ワンマンライブ〜Acoustic Set〜 「title」
2018年12月23日(日)@下北沢GARDEN


PROFILE

原田珠々華

2002年神奈川県生まれ。16歳。高校1年生。
幼少期よりモデル・タレントとしての活動をスタートし、2016年中学2年生の時にアイドルグループ、アイドルネッサンスに加入。2018年2月のグループ解散まで多くのステージで活躍。
グループ活動時よりギターに目覚め、SNSでカバー曲の弾き語り映像を発信し続ける一方、ソング・ライティングを開始。
叙情性を感じさせる伸びやかな歌声で、日常にある些細な経験や、等身大にある気持ちをまっすぐな言葉で伝える。
アイドルもシンガー・ソングライターも網羅する活動を目指し、2018年夏ソロ・シンガーとしてギターを携えステージに登場。
8月に行われるTokyo Idol Festival2018に出演、初パフォーマンスを行う。

サメ好きもち肌。負けず嫌いなO型人見知り女子。

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