2015/03/17 23:59

"モブ"だってドラマチック・ロードムービーの世界にーーアニメ「ローリング☆ガールズ」OSTハイレゾ配信スタート!!

©2015 The Rolling Girls 製作委員会

アニメ「進撃の巨人」「鬼灯の冷徹」とヒット作を連発したWIT STUDIOが手がける初のオリジナル・アニメ「ローリング☆ガールズ」。今作の主題歌集とオリジナル・サウンドトラックが24bit/48kHzのハイレゾで登場。先に発売した主題歌集には、主人公達演じる小澤亜李、日高里菜、種田梨沙、花守ゆみりの4人組ユニット、THE ROLLING GIRLSによるザ・ブルーハーツのカヴァーが収録!! なんといってもこのアニメ、重要シーンには必ずザ・ブルーハーツ。まさに肝の部分なのだ。

そんな作品だけあって劇伴も手を抜くことがない。後発のオリジナル・サウンドトラックを手がけたのは、ももいろクローバーZの「Chai Maxx」から、アニメ「機巧少女は傷つかない」「四月は君の嘘」の劇伴も担当する気鋭の作曲家、横山克。主題歌に負けぬ迫力のバンド・サウンドから哀愁の溢れるカントリー・ミュージック、軽やかなチップチューンなど、彼女たちのハチャメチャなロードムービーを彩る全40曲が収録されている。

"モブ(※)"に分類されようと、"普通"と言われようと、世直しに奮闘する少女たちのハイレゾの音世界に飛び込めば、あなたの”普通の日常”も少し変わるかもしれない。よりサントラが楽しくなるレビューも見逃しなく!

※漫画、アニメ、映画、コンピュータゲームなどに登場する、個々の名前が明かされない群衆のこと

ハイレゾで浮かび上がる少女たちのロードムービー

横山克 / TVアニメ「ローリング☆ガールズ」オリジナル・サウンドトラック
【配信形態 / 価格】
ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz) : 単曲 324円(税込) / アルバム 3703円(税込)

【Track List】
01. あらすじ / 02. ローリングガールズ / 03. だんご屋「もりとも」 / 04. モブとしての日々 / 05. 寄り道、回り道 / 06. マッチャグリーンVS執行 / 07. まぼろし軒での死闘 / 08. 止まらない、コースター / 09. 参上!! / 10. 嫌よ嫌よで、さよ〜なら〜 等、全40曲

アニメ「機巧少女は傷つかない」「四月は君の嘘」の劇伴も担当する気鋭の作曲家、横山克によるサウンドトラックが収録。
主人公ユニットが歌うザ・ブルーハーツの名曲がハイレゾで!!

TVアニメ「ローリング☆ガールズ」主題歌集 THE ROLLING GIRLS 「人にやさしく」
【配信価格】
ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz) : 単曲 324円(税込) / アルバム 1440円(税込)

【Track List】
01. 人にやさしく / 02. 月の爆撃機 / 03. 1000のバイオリン / 04. 人にやさしく KARAOKE / 05. 月の爆撃機 KARAOKE / 06. 1000のバイオリン KARAOKE

作中の主人公達演じる小澤亜李、日高里菜、種田梨沙、花守ゆみりの4人組ユニット、THE ROLLING GIRLSの主題歌集。ザ・ブルーハーツの楽曲をカヴァー!

アニメ「ローリング☆ガールズ」とは?

©2015 The Rolling Girls 製作委員会

地方自治をめぐる「東京大決戦」の終結から10年後、 都道府県がすべて独立国家となった列島が舞台。ご当地色をテーマパークのように肥大化させた各地域では「モサ」と呼ばれる能力者が自警団を率いて統治、あるいはその一翼を担っていた。そんななか「所沢」の自警団団長である宇徳真茶未扮する仮面の戦士マッチャグリーンと、隣国「東村山」の自警団執行玖仁子の激突から物語は始まる。

……が、主人公はその宇徳真茶未を姉のように慕うお隣さん、森友望未。同じ自警団に所属するも彼女は「モサ」ではなく、いわゆる「モブ」。通知表はオール3、どこにでもいる普通の子。しかしそんな彼女が「所沢」と「東村山」の決着の末、3人の少女と戦禍うずまく国から国を平和請負人代行(世直し)として渡り歩く決意をする! 世のため、人助けのため、そして「モサ」の能力とも関わりが深いらしい「月明かりの石」を探すため、よそ者の「モブ」とそしられつつ、4人はがんばり、ふんばって、今日もバイクで旅をする…!

>>アニメ「ローリング☆ガールズ」公式サイト

まさにこれは、音楽のロードムービー作品だ

「4人の女の子たちが、平和を守るために旅に出る」。その言葉だけを捉えれば大仰な印象を抱いてしまうが、物語に登場するのは極々普通の女の子たち。"世直し"という大儀を背負ってはいるが、この物語の根幹を成しているのは"青春ロードムービー"というテーマ性。つまり、旅から旅を続けては事件を解決してゆく"女の子版・水戸黄門"のような内容。いや、それは言い過ぎか。物語では、毎回のように彼女たちが活躍する舞台や環境が変わってゆく。つまり、そのエピソードごとに事件の内容や背景にも変化が起きるということだ。同時に、女の子を軸に据えているように、爽やかな青春模様や明るく弾けた表情も、物語としては欠かせない定番事。

TVアニメ「ローリング☆ガールズ」PV No.01
TVアニメ「ローリング☆ガールズ」PV No.01

この作品の劇伴を手がけた横山克は、この物語の2大要素となる"旅"と"女の子の青春模様"を、音楽面でも随所へ巧みに表現。「寄り道、回り道」「サイドカーへ乗って」や「高速ライダー」のように、ゆったりさや早い速度などテンポの差異はあれど、「みんなでわちゃわちゃしながら前へと歩んでる感」を楽曲の中に投影。物語の展開を作る「バトル」要素を彩る面では、「マッチャグリーンVS執行」や「双頭の騎士団」「爆弾式ロボット掃除機」のように、スリリングさを前へ押し出した楽曲を展開。4人の悲喜な"青春"模様を示す音楽面では「団結を目指して」「人はその輝きを・・」のような哀愁味を持った楽曲や、「惨状」のようにちょっと間抜けな感じも忍ばせた明るく弾けた表情を前へと押し出してきた。劇伴である以上、弦楽や管楽器、打ち込み、バンド演奏など、そこは何でもありなのが常識。とはいえ、この作品に関しては、主題歌でザ・ブルーハーツのカヴァー・ナンバーを使用している理由とも重なるのか、歪んだギター・サウンドを軸に据えたバンド・スタイルで表現した楽曲も意外と多い。この作品のテーマ曲とも言えよう「ローリングガールズ」は、まさにインスト版のギター・ロック・ナンバー。いや、端的に言うなら、歌の入ってない青春パンク。作曲家の横山克は、自分なりにこの物語の主題歌をこの楽曲へ投影したのではないか? とさえ思ってしまった。

作品自体は、1曲ごとに表情を変えながら次々と進んでゆく。むしろ、ひとつひとつの表情の違いが、そのまま旅をしながら変わりゆく風景を楽しんでゆく感覚なのかも知れない。まさにこれは、音楽のロードムービー作品だ。(text by 長澤智典)

[レヴュー] THE ROLLING GIRLS, 横山克

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