今作には、映画『消えたシモン・ヴェルネール』で知られる新鋭監督ファブリス・ゴベールが脚本を手掛けた、フランスの同名ドラマのために書き下ろした新曲を14曲収録。同作についてジョン・カミングス(Gt)は、「最初に30秒のマテリアルを作って、そこからアルバムになるようなMogwaiの曲に仕上げたんだ」と製作過程を明かしており、サウンド・トラックの枠を越えた作品に仕上がっている。

Mogwai / Les Revenants Soundtrack

【販売価格】
mp3、wav共に 単曲 200円 / アルバム 1,500円

【TRACK LIST】
01. Hungry Face / 02. Jaguar / 03. The Huts / 04. Kill Jester / 05. This Messiah Needs Watching / 06. Whisky Time / 07. Special N / 08. Relative Hysteria / 09. Fridge Magic / 10. Portugal / 11. Eagle Tax / 12. Modern / 13. What Are They Doing In Heaven Today? / 14. Wizard Motor

彼らは確実に進化を続けている

本作は、スコットランド出身のポストロック・バンドMogwaiが放つ、通算7枚目のスタジオ・アルバム。2011年にリリースした前作『Hardcore Will Never Die, But You Will.』以来のスタジオ・アルバムとなる今作は、フランスのドラマ『レ・ルヴナン』のために書き下ろした新曲をアルバムとしてまとめたもの。ドラマのタイトルが、そのままアルバムのタイトルになっていることからも分かるように、サウンド・トラック的な立ち位置の作品である。しかし、サウンド・トラックという枠に収まりきらない洗練されたサウンドの完成度と、その崇高さすら感じる世界観は、さすがという他にない。

蠢く轟音に包まれていた初期の面持ちは影を潜め、ここ数作でより磨きをかけている、Mogwaiの情緒的な静の部分が際立つ。ひたすら美しくせつない、儚げな旋律が印象的。美しいフルートやストリングスに加え、繊細なギターの音色が幾重にも重なり絡み合う。美しい木漏れ日が差し込む新緑の森の中を、一人歩いているような情景が脳裏に浮かぶ。アルバムが進むにつれて、徐々に森の奥深くへと足を踏み入れ、「Portugal」では神秘的な洞窟の中を不安を抱えながら探索しているように、「Modern」では水面に光が煌めく湖の畔で遠い日の記憶に思いを馳せているかのように、ストーリーは展開していく。本作収録曲の中で唯一のヴォーカル曲「What Are They Doing in Heaven Today?」は、まさにそれまで描いてきたストーリーのエンディングに相応しく、シンプルながらも優しい歌とコーラスを響かせ、壮大な景色に彩りを添える。ラストを飾る「Wizard Motor」では、それまで影を潜めていた、歪んだ電子音と轟音のアンサンブルを垣間みることが出来る。

本作の曲が使用されているドラマ『レ・ルヴナン』とは、スイスの国境近くの山間部の小さな街で繰り広げられる、特異な環境や様々な事情を抱えた人たちによる複雑な人間関係と、それに付随する各々の心の葛藤を描いた心理ドラマである。ドラマという一つの完成された世界観を、Mogwaiというフィルターを通して表現することにより、彼らはまた一つ新境地を切り開いたように思う。ほとんどの曲がヴォーカル・レスのインストゥルメンタルでありながら、ドラマの登場人物にインスパイアされたかのような、その感情表現の豊かさには驚かされる。デビューから15年以上の時が経ち、成熟を見せながらも、彼らは確実に進化を続けている。(text by 前田将博)

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PROFILE

Mogwai

95年にスチュアート(G)、ドミニク(B)、マーティン(Dr)、バリー(Vo、G、Key)、ジョン(G)で結成されたポスト・ロック界で現在最も影響力を持つ重鎮バンド。97年のデビュー作から現在までに6枚のスタジオ・アルバムを発表。フジロック'06ホワイトステージでのトリ、メタモルフォーゼ'10で圧巻のステージを披露。10年8月にはバンド史上初となるライヴCD+DVD作品を発表し話題をさらった。本作のレコーディングは、そのジェームズ・ハミルトンのChem 19 studios、プロデューサーにポール・サヴェージを迎えて行われた。また、旧友ルーク・サザーランドとも本作で再びコラボレーション。2003年の『Happy Songs For Happy People.』を含め、モグワイのレコーディングにコンスタントに参加している人物だ。

過去、モグワイは悪魔を恐れた時期もあったが、二者は今最も良好な関係にあるようだ。もしかして悪魔の音楽を盗用しているんじゃないかと思うくらい、その音楽は研ぎ澄まされ孤高の轟音を奏でている。今のモグワイに怖いものはない。その事実を我々は大いに喜ぶべきだろう。

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