2011/09/21 00:00

ShinSight Trio(シンサイト・トリオ)を知っているだろうか。アメリカ・ボストン出身のラッパーであるInsight、トラック・メイカーとして幅広い音楽性を発揮しているShin-Ski、スキルフルなプレイ・スタイルで絶大な支持を得ているDJ RYOW a.k.a. smooth currentで構成されるグループだ。

2nd Album『wheres there a moon that is mine』から約1年という歳月を経て、3rd Album『Moonlight Sunrise』を完成させた彼ら。アメリカやヨーロッパだけでなく、台湾のMCを客演に迎えた本作は、前作以上にグローバルな作品づくりを意識したという。「音楽に国境はない。そして、言葉にもカベはない」―― Music Is Magicを体現したShinSight TrioのShin-Ski、そしてDJ RYOWに、気になる制作環境から本作に込めた思いまでを語ってもらった。

インタビュー&文 : 音次郎

世界中のMC達が集結! 高音質で配信開始!

ShinSight Trio / Moonlight Sunrise
【参加MC】
Sondu(US)、Geronimo MC(DE)、Midicronica(JP)、SKY-HI(JP)、Educated Advocates(US)、Dagha(US)、Shazzo(US)、SayLove(US)、Soft Lipa(TW)、Moby Dee(FR)
1st、2nd Albumも絶賛配信中!

【1st Album】 Shallow Nights Blurry Moon
1st Albumとなる今作は、初めて3人を聴く人達、更には初めてHIP HOPを体験する人達にも満足出来る極上のHIP HOPとして、一音楽作品として最高に充実した内容となっている。

【2nd Album】 wheres there a moon that is mine

「Early Dayz Amazement」等の名曲を世に放った傑作1st Albumから、4年ぶりにネクスト・ステージに駆け上った2nd Album。

これまでHIP HOPに関わりがなかった人にこそ、この音楽が届いて欲しい

——まずは、ShinSight Trioがどういったグループなのか。改めて教えていただけますでしょうか。

Shin-Ski(以下、S) : 僕がトラック・メイキングを担当しています。一応、リーダーとして全体の流れや構成を決めるなど、率先的に動いていますね。そして、DJ RYOWくんは、楽曲にスパイスを与えるスクラッチを担当。最後に、アメリカ・ボストン在住のラッパーであるInsightを加えた3人です。

——3人がトリオを結成した経緯は?

S : 僕もアメリカに住んでいた経験があるんですね。ShinSight Trioをやる前から、Insightのソロ・アルバムや所属グループに曲を提供していて仲が良かった。お互いの活動が一段落したときに、「そろそろ単曲だけでなく、アルバムでもやってみないか? 」という話になりました。とはいえ、HIP HOPにはDJが不可欠でしょう。そこで、仲が良かったDJ RYOWくんを勝手に入れたんですよね。
DJ RYOW(以下、R) : Shin-Skiと飲んでいるときに、「Insightと一緒にやりたいんだけど、"シンサイト・デュオ"だとかっこわるい。シンサイト・トリオにするために入ってもらったから」と事後報告されました(笑)。「え、トリオって俺も!? 」みたいな。

——それは、とても急な展開ですね(笑)。本作『Moonlight Sunrise』は、どんなコンセプトを込めて制作したのでしょうか?

S : 3枚目のフル・アルバムということで、今回はユニバーサルな作品にしたいと思っていました。というのも、前作をリリースしたときに、海外のウェブ・マガジンの取材で「みんな違った国に住んでいるが、どうやって曲を作っているの? 」と聞かれたんですね。質問に対してInsightが「コンピューターでデータのやりとりも容易だし、Skypeを使えばコミュニケーションも気軽にできる。一箇所に集まって作る音楽より、もっと全世界に広がるユニバーサルな音楽を作りたい」と答えていました。その言葉をきっかけに、今回の作品はもっと国際色が豊かな作品にしよう、と。

奥がShin-Ski、手前がDJ RYOW

——世界各国のMCを集めた構成は、そのためだったんですね。ということは、製作にあたって客演のMCにも顔を合わせないまま進んだのでしょうか。

S : 日本のMCを除いては、そういうことになります。そもそも、Insightにも約5年会っていないですからね(笑)。

——ええ、それはすごい! コミュニケーションは、ほぼSkypeで行っているということですが、制作にあたってのデメリットはありませんか?

S : なかなか会えない分、ライヴがやりにくいというデメリットはあります。ただ、アルバムを作るという次元では、まったくデメリットを感じていませんね。実際に顔を合わせる以上に、密なやりとりをしていますから。
R : それぞれがソロ活動を行っているので、相互的に楽曲制作をすることが多いんです。僕がShin-SkiやInsightの作品に参加することもあるし、その逆も然り。ShinSight Trio以外でのコミュニケーションが多いからこそ、顔を合わせない部分のデメリットを感じていないのかもしれません。また、制作にあたっては、頻繁に会っている僕とShin-Skiで細かい部分を詰めるようにしています。プロダクションやトラック・メイキングは2人ともできるので、何か困ったことがあればお互いに役割を補うことも強みでしょうね。

——なるほど。大勢のMCが参加していますが、どのような経緯で迎えたのでしょうか?

S : Sondu、SayLoveは、Insightの知り合いです。前作にも参加してもらっていて、とてもかっこよかったので、今回もお願いしました。Geronimo MCやMoby Deeは、僕も全然知りませんでした。Insightがヨーロッパを旅しているときに出会ったらしいです(笑)。ラップのクオリティに関しては、すべてInsightを信頼して任せています。彼が連れてきたMCであれば、絶対にかっこいいはずですから。日本勢のMidicronicaやSKY-HIは、日ごろから絡みがあって、リスペクトしあえる関係なので参加してもらいました。台湾のSoft Lipaは、彼の曲を僕がREMIXしたことがきっかけ。東京や中国で何度か会うたびに話が盛り上がって、グローバルな作品にするためにも参加してもらいました。

——音楽面の徹底したこだわりはありますか?

S : 1枚目は、完全にサンプリングだけでやっていました。2枚目には、電子音などを試しながら、様々な音楽性を取り入れて反映した感じですね。ただ、自分のなかでは少し不十分なところがあって。3枚目は、その部分を消化すべく、ミックス・バランスを上手に表現することを意識しました。
R : 僕は、作業的には最終フェーズになる役割。Shin-Skiが膨大な量の曲数のトラックを送ってきて、そのトラックをInsightが選んで番号を振る。次に僕が、どこにどんなコスリを入れるのか判断する流れです。ときに、スクラッチはノイズにもなりがち。邪魔にならないようにバランスを取りつつ、曲に対する相乗効果が生まれるように、スクラッチで歌う感覚を強く意識しましたね。曲中にドラマを作って、1番から3番まで、同じパターンのスクラッチを絶対に使わないというこだわりも。それぞれが信頼し合って仕事を振り分けているので、期待に応えなければいけませんからね。

——3人が最高のパフォーマンスをぶつけあって、各作業の相乗効果で高めたものを、より調和した形に落とし込む… 。そうして完成したのが今回のアルバムということでしょうか?

S : そう言っていただいて大丈夫だと思います。とてもいい表現ですね(笑)。
R : 俺たちが主導じゃなくていいんや(笑)。

——今回も前作に続いて、アジアをターゲットにしていますよね。音楽ビジネス的に難しいイメージのあるアジアで勝負する理由とは?

S : そもそも、僕たちがアジアのHIP HOPをみくびっていた部分があったんですね。今回に関しては、Soft LipaがきっかけでアジアのHIP HOPに触れる機会があり、ちゃんとしたシーンが確立されているのを目の当たりにしました。アジアの現状を知って「まだこんな新しい世界があったんだ! 」という新鮮な発見が一番の大きなきっかけです。
R : 自分たちのアジアという括りのなかで勝負できるのは、とても幸せなことです。新しい表現の場所を見つけた、という感覚が強いですね。

——日本の人たちにも、アジア圏のMCの魅力を伝えたいという気持ちがあるのでしょうか。

S : 感性的に似ている部分があると思うので、受け入れやすいと思いますよ。今回のコンセプトであるユニバーサルに、「言葉にカベはないよ! 」というのも入っているので。このアルバムをきっかけに、興味を持ってもらえるとうれしいですね。

——本作は、疾走感溢れる楽曲から温もりのあるメロウな楽曲まで、とてもバランスの取れた作品だと感じました。どんな人に聞いてもらいたいですか?

S : 1st Album『Shallow Nights Blurry Moon』を出したときに、「知り合いのおじいちゃんがJAZZ喫茶をやっています。そのJAZZ喫茶でShinSight Trioの曲が爆音で流れていました! 」というファンからのメールが届いたんですね。そのときに、「これやー! 」という喜びを感じたんですよ(笑)。これまで関係のなかった人が興味を持ってくれるのは、とてもうれしい。本作でいえば、ロックのテイストが強いので、ロック・ファンにもぜひ聴いてもらいたいですね。

——ShinSight Trioとして、今後の展望があれば教えてください!

S : Insightがアメリカに住んでいるので、なかなかライヴができません。しかし、今年は僕とDJ RYOWくんで積極的にライヴ活動もやっていこうと思っています。
R : Insightのパーツを上手に活用しながら、ShinSight Trioとしてできるライヴを目指したい。海外展開含めて、様々な動きがあると思うので期待していただければ。

ShinSight Trio『Moonlight Sunrise』REMIX CONTEST開催決定!!

3rdアルバム『Moonlight Sunrise』をリリースしたShinSight TrioとOTOTOY主宰による、ShinSight Trio 『Moonlight Sunrise』REMIX CONTESTを開催します! リミックスしてもらうのは、『Moonlight Sunrise』に収録されている「Keep Rockin It feat.Sondu」と「Peace, Love and Happiness feat.SayLove」の2曲。全ての応募楽曲は1曲1曲、ShinSight Trio]のメンバーたちとOTOTOY、そしてこのコンテストに関するニュースを随時フォローするYAPAPRI HIPHOPらで選考。選ばれた楽曲はリミックス・アルバムとしてOTOTOYから配信することが決定。さらに見事最優秀作品を勝ち取ったリミキサーには、なんとKORGから「KAOSS PAD QUAD」をプレゼント! そのほかの優秀な作品を制作したリミキサーたちにも豪華賞品をプレゼント予定です。

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最優秀作品のリミキサーには、KORGの「KAOSS PAD QUAD」をプレゼント!

タッチ・パッドでエフェクトをリアルタイム・コントロールするという斬新さで、DJ、ミュージック・シーンの現場に新風を吹き込んだ初代KAOSS PADの登場から早12年。そのニュー・モデルでもある「KAOSS PAD QUAD」をプレゼント! このKAOSS PADは、エフェクトを4つまで同時に使用可能。そしてそれらエフェクトをリズムよく、効果的に組み合わせることによって、曲やマイク音声などのオーディオ信号を自由自在に変形させることができる。

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PROFILE

ShinSight Trio
全世界のアンダーグラウンド・シーンにおいて人気度、認知度共に揺るぎ無いNo.1の座を獲得した稀代の才人=Insight、そしてInsightとの交流も深く、その音楽性の幅広さと独特の美メロセンスで、全世界のグッド・ミュージック・ラヴァーの心をメロメロに溶かしまくっている日本が誇る至宝=Shin-Ski of Martiangang、そしてShin-Skiとのタッグ・チーム=Levitatorzや、自身の活動等で、もはやアンダーグラウンド・シーンのカリスマとなったDJ RYOW a.k.a. smooth currentという稀代のHIP HOPジャンキー達が、長年の構想を経て、究極のゴールデン・トリオShinSight Trioを組んだ!!! もう奇跡としか言い様の無いメンツによる、奇跡の珠玉HIP HOPミュージックが満を持して、遂に解禁!!!

ShinSight Trio official HP

[インタヴュー] ShinSight Trio

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