2015/04/24 17:37

新たなSalyuの世界へ。活動開始から10年の集大成、小林武史プロデュースの最新アルバムをリリース

近年は小山田圭吾との共同プロデュースによる「Salyu × Salyu」としての活動や、UKのロック・バンド、ジーズ・ニュー・ピューリタンズからの直接の依頼によりライヴでゲスト・ボーカルとして参加するなど、国内外問わずに高い評価を集め続ける女性シンガー、Salyu。今年、活動10周年を迎え、自身の名義としては5枚目のアルバム、『Android & Human Being』を小林武史全面プロデュースの元、3年ぶりにリリース。デジタルとアナログ・サウンドを行き来しながら、新たなSalyuの世界観を追求する1枚となった今作の配信に合わせて、過去のアルバムも配信開始。彼女の10年を振り返りながら、今作のレヴューを楽しんでもらいたい。

Salyu / Android & Human Being
【配信価格】
alac / flac / wav / mp3 : 単曲 257円(税込) / アルバム購入 2,160円(税込)

【Track List】
01. 先回りして 1 / 02. 非常階段の下 / 03. リスク / 04. 心の種 / 05. 有刺鉄線 / 06. 先回りして 2 / 07. フェスタリア / 08. カナタ / 09. THE RAIN / 10. 希望という名の灯り / 11. 先回りして 3 / 12. アイニユケル
アルバム・タイトルは『Android & Human Being』。 まさに、人造人間と人間、デジタルとアナログ、無機質と有機質、相対する2つの構造が、それぞれの特性と可能性を、実に有意義に主張し合いながら美しい調和を織りなし、Salyuの歌声とプロデューサー小林武史の音空間でしか創造し得ない、究極のLayered Musicがここに誕生する。

歌声の絶対的存在感

「どんなSalyuが好きなのか」で今作ほど評価が分かれそうな作品も無いのではないだろうか。Salyuの3年ぶりの作品『Android & Human Being』は10周年という1つの節目を過ぎた彼女が取り組んできた様々な側面を多分に見せている。

リリィ・シュシュの頃や初期の彼女に多く見られた、耽美で、憂いを帯びていた世界観から、彼女の歌声だからできるであろう新たなサウンド・クリエイトに挑んでいった『MAIDEN VOYAGE』、コーネリアスとのタッグによる「salyu × salyu」プロジェクト。そして大きくポップに舵を切り、明るい曲が多く並んだ前作、『photogenic』と彼女のキャリアを振り返るとザッとこんな感じになるだろうか。さて、今作。1曲目のアンビエント的な雰囲気な打ち込みとギターの残響音とゆらめくような彼女の歌声が特徴的な短めのイントロダクション的な曲「先回りして 1」から始まり、シンセ・ポップ的なサウンドに時折混じるノイズにエフェクト掛かった彼女の歌声が乗る「非常階段の下」。頭2曲から実験的な音作りに驚く人も多いだろう。その後の曲も今までの彼女らしい音でありながら、電子音の登場が目立つ。アルバム・タイトル『Android & Human Being』とあるように、デジタルとアナログ、有機的と無機質が行き来しながらアルバムは進んでいく。そういった意味で今作の軸となる2曲、「カナタ」、「THE RAIN」は彼女の挑戦と自信に満ち溢れている力強い楽曲だ。

そしてアルバムの後半に収められている「希望という名の灯り」「アイニユケル」の2曲。この2つはこのアルバムの中では逆に異質と言えるし、多くの人がイメージするような彼女の楽曲像とも言えるだろう。今までの彼女の集大成的と捉えてもいいし、今までとの決別と捉えてもいい。このアルバム全体に流れる相反する空気感の中で、彼女の歌声はその流れを行ったり来たりしていく。そこから分かるのはやはり彼女の歌声の絶対的存在感だ。これからもそこだけは変わらないだろう。10周年の集大成でもあり、今までの彼女への踏み絵ともいえる1枚なのは間違いない。(Text by 高木理太)

Salyu過去作品配信開始!!

Salyu / landmark
【配信価格】
alac / flac / wav / mp3 : 単曲 257円(税込) / アルバム購入 1,697円(税込)

01.landmark / 02.アイアム / 03.VALON-1 / 04.虹の先 / 05.Peaty / 06.体温 / 07.ウエエ / 08.Dramatic Irony / 09.Dialogue / 10.彗星 / 11.Pop

2005年リリース、Salyu名義では初めてのアルバム。「VALON-1」、「彗星」をはじめ4枚のシングル曲を含む、全11曲を収録。



Salyu「VALON-1」
Salyu「VALON-1」

Salyu / TERMINAL
【配信価格】
alac / flac / wav / mp3 : 単曲 257円(税込) / アルバム購入 1,851円(税込)

【Track List】
01.トビラ / 02.風に乗る船 / 03.鏡 / 04.プラットホーム~Merry Go Round~ / 05.故に / 06.Tower / 07.Apple Pie / 08.I BELIEVE / 09.夜の海 遠い出会いに / 10.name / 11.be there / 12.heartquake / 13.to U(Salyu ver.)

2007年リリースの2ndアルバム。シングルとして発表した「風に乗る船」、「Tower」、「name」、「プラットホーム」の4曲を始めとして、Bank Bandとともに発表した「to U」のSalyu単独歌唱バージョンを含む全13曲。

Salyu「プラットホーム」
Salyu「プラットホーム」

Salyu / Merkmal
【配信価格】
alac / flac / wav / mp3 : 単曲 257円(税込) / アルバム購入 2,057円(税込)

【Track List】
01.プラットホーム / 02.彗星 / 03.Tower / 04.VALON-1 / 05.name / 06.飽和 / 07.landmark / 08.夜の海 遠い出会いに / 09.Dramatic Irony / 10.I BELIEVE / 11.風に乗る船 / 12.トビラ / 13.to U (Salyu version) / 14.グライド

2008年時点で発表した10枚のシングルと、2枚のフルアルバムの中から厳選した14曲をまとめた自身初のベスト盤。


Salyu「風に乗る船」
Salyu「風に乗る船」

Salyu /MAIDEN VOYAGE
【配信価格】
alac / flac / wav / mp3 : 単曲 257円(税込) / アルバム購入 2,057円(税込)

【Track List】
01. messenger / 02.イナヅマ / 03.EXTENSION / 04.コルテオ ~行列~ / 05.新しいYES / 06.L.A.F.S. / 07.emergency sign / 08.iris ~しあわせの箱~ / 09.HALFWAY / 10.SWEET PAIN / 11.cruise / 12.BIRTHDAY / 13.LIBERTY / 14.VOYAGE CALL

2010年リリース。セルフ・プロデュース作品の3枚目。7枚のシングルを含む全14曲。


Salyu「iris ~しあわせの箱~」
Salyu「iris ~しあわせの箱~」

Salyu /photogenic
【配信価格】
alac / flac / wav / mp3 : 単曲 257円(税込) / アルバム購入 2,057円(税込)

【Track List】
01.camera / 02.LIFE(ライフ)/ 03.magic / 04.青空 / 05.Lighthouse / 06.悲しみを越えていく色 / 07.パラレルナイト / 08.月の裏側 / 09.ブレイクスルー / 10.旅人

2012年リリースの4枚目。小林武史完全プロデュースによるアルバム。


Salyu「青空」
Salyu「青空」

LIVE INFO

Salyu Tour 2015 Android & Human Being

2015年5月5日(火・祝)@宮城 電力ホール
2015年5月8日(金)@広島 アステールプラザ 大ホール
2015年5月9日(土)@福岡 福岡市民会館
2015年5月16日(土)@岡山 倉敷市芸文館
2015年5月17日(日)@大阪 フェスティバルホール
2015年5月24日(日)@北海道 Zepp Sappro
2015年5月30日(土)@愛知 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2015年5月31日(日)@神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール
2015年6月14日(日)@新潟 りゅーとぴあ劇場
2015年6月19日(金)@東京 NHKホール

PROFILE

Salyu

2000年4月、Lily Chou-Chouとして2枚のシングルをリリースし、2004年、シングル『VALON-1』でSalyuとしてデビュー。2005年、1stアルバム『landmark』をリリース。2008年11月には、ベスト・アルバム『Merkmal』をリリースし、同アルバム・ホール・ツアーでは初の日本武道館公演も敢行。2010年3月、セルフ・プロデュースとなるアルバム『MAIDEN VOYAGE』をリリース。これに伴い全国ツアー『Salyu Tour 2010 MAIDEN VOYAGE』も敢行。そしてシングル『LIFE(ライフ)』のリリース、初のコンボ編成での全国ZEPPツアーを大成功させ、女性アーティストとしてのその地位を不動のものとした。2011年4月13日には「salyu × salyu」プロジェクト第1弾としてCornelius=小山田圭吾との共同プロデュース作品「s(o)un(d)beams」を発表。7月13日にSalyu名義として15thとなる両A面シングル「青空 / magic」をリリース。8月10日、作曲・小山田圭吾、作詞・坂本慎太郎による「INFOBAR A01」のCMイメージ・ソング「話したいあなたと」をsalyu × salyuの新曲として配信限定でリリース。11月にはSalyuと小林武史の2人だけのライヴ「a brand new concert issue "m i n i m a " - ミニマ - Salyu × 小林武史」を東京・大阪で2公演行い、チケットは即日完売となり、さらに東京公演ではSalyu初のYouTube Liveによる生中継配信を行い、大きな注目を集める。 2012年2月1日にSalyu 16thとなるシングル「Lighthouse」とsalyu × salyu Live DVD「s(o)un(d)beams+」を、2月15日にはSalyuとして4thオリジナル・アルバム「photogenic」をリリース。5月には自身初となるフル・オーケストラとのコラボレーション・ライヴ、6月には初の海外ライヴとしてsalyu × salyu名義でロンドンのJAZZ CAFE LONDONとバルセロナで行われたSonar 2012に出演し大きな注目を浴びる。

>>Salyu HP

[レヴュー] Salyu

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