ひたむきに真摯に食事へ向き合う紳士淑女のための音楽

主人公、井之頭五郎がふと立ち寄った店で大衆料理に舌鼓を打つ。そんな光景を淡々と描くスタイルで人気のTVドラマ「孤独のグルメ」。約1年ぶりの最新サントラが到着。今回のジャケ写は、原作マンガの作者である久住昌之の「ふらっとQUSUMI」コーナーでのショット。井之頭五郎が毎回魅せる「幸福感」が終わると、実際の実食レポへ。心の切り替えに、この満面の笑顔はかかせません。偉大なる満腹感への道、全36曲のラインナップ。レヴューとともにお楽しみください。

【配信形態 / 価格】(各税込)

ALAC / FLAC / WAV(16bit/44.1kHz) / mp3 : 単曲150円(税込) / まとめ購入1,500円(税込)

久住昌之(THE SCREENTONES)からアルバム購入者へメッセージ

このたびは、THE SCREENTONESのアルバムをご購入くださって、ありがとうございます。
ボクはJASRACによる著作権管理に関して疑問をもち、自分たちの曲を自由に演奏・再録音したい(JASRACに加盟すると自分の曲でも使用料が発生します)、そしてボクらの楽曲を気に入って下さった人に広く無料で使っていただきたい、という意味で、「孤独のグルメO.S.T. 1,2」に関して、「著作権フリー」という言葉を使ってしまいましたが、当然ながら作曲者の権利、出版したレコード会社が守られるべき権利はあります。お手数ですが、「孤独のグルメO.S.T. 1,2,3,4」の楽曲の使用を希望する方は、地底レコードまでご連絡ください。
特定の政治宗教などの団体の宣伝や、大きな営利目的でないかぎり、基本的に無料で許諾しています。なお、ライヴなどで我々の楽曲をコピー・演奏することに関しては連絡の必要はありません。音楽そのものは、基本的には誰もが自由に無料で楽しめるべきだと、ボクは思っています。

THE SCREENTONESを代表して 久住昌之

4品めである。

これだけ人気になると、もうこのページを訪れた人で『孤独のグルメ』を知らない人はもはや居ないと考えても構わないだろう、と思えるほどの人気である。

今までの個人的なテレビ体験では、深夜やカルト的作品のヒット作は、典型的にはどんどんテレビ的な味付けがなされ、時間枠もプライム・タイムやゴールデン・タイムへと移動し、子供向けの調整がされたりして、結果として劣化することが多かった。昨年、制作が発表された時には、頭の片隅にはそんな、ちょっとした不安が淀んだのを憶えている。

しかしそんな不安を笑い飛ばすがごとく、シーズン4でも、見事にひとりのオッサンが仕事をし、腹が減って、飯を食う (そして「ふらっとQUSUMI」へ)という流れを全く崩さず、かつ細部は徐々に洗練されて行くという理想的なシリーズの重ね方を実現していた。

これは、わざわざ書くまでもなくネット以後の作品の作り方を制作サイドが完全に解っていて、視聴者の反応から、何を残し、何を変えるかを選択している故だと思われる。

それだけではなく、大物俳優でもお店に合わなければダメ、原作に登場する店は出さないといったような、観る側としてはイイネ! としか言いようのない微妙で見事な采配には、ネット云々とは関係ない作り手のセンスも感じられる。人気番組になったので、このようなプロデューサーの考えが取材され、読めるようになった。実にありがたい。

作品を媒介として、作る側と観る側の信頼関係がシーズンを進めるごとに深まっていくこの感覚は、視聴者がテレビ番組に望むものの中では最も大切なのではないだろうか。早くもシーズン5が待ち遠しい。

そしてそのサントラなのである。

これまでと同じく、CDのパッケージには原作者且つバンド代表としての久住昌之の、楽曲はJASRACには登録をせず、自由に再生、演奏してほしいという旨のメッセージが記された紙が同梱されている(記事上方とアルバムの備考欄に全文掲載しています)。上記「微妙で見事な采配」の始点は、原作者にあるのだろうなと毎回感じさせられる。

THE SCREENTONES 左から西村Shake克哉、フクムラサトシ、栗木健、河野文彦、久住昌之

サントラの内容は当然ながら井之頭五郎の食事内容に合わせた作りになっているため、今回は端的に言えば"オリエンタル"である。つまり本編の料理からすると日本、韓国、インド、ハワイ、中国あたりのことだと思われるが、日本のなんでも取り込む感が強く出ている。劇伴ということもあり、シーズン3までは通して聴いた後にはごった煮感が残ったのだが、本作では一本の映画のサントラっぽい、テーマによるまとまり感が残るように感じた。Jazz成分が前半にあって隔離感があるのと、各回の料理に、我々の家庭で出てきてもおかしくないものが割とあった、つまり通底する日本感が、まとまりの原因だろうか。中程で「そうだ、〜行こう」みたいなモチーフも聴こえてくるし、個人的にはノスタルジーが裏テーマだったのでは、と想像する。

それでも、例えばM31が醸し出す「Ocean’s 11」的な豪華さの直後に、M32のちょっと「Fire Cracker」っぽい、香港っぽいジャンク感、M33の昭和の日本っぽさ、というふうに個々の流れはハチャメチャで、ふとそういうミクロな視点を持つと振れ幅が大きくて、まとまっているどころの話ではないのがフラクタル(細部になればなるほど偏差が大きい)で面白い。

うーん。しかしここはわからないぞ。

それにしてもやはり、M34がBGMとなっていた、このシーズンのエピソード9、野球のシーンと応援歌の唐突さは大きな謎である。

もしまだ『孤独のグルメ』を観てない人は、Blu-Rayパッケージやニコ動、Huluなどのストリーム系サービスなど何でもよいので、何話か見て、そのあとサントラをBGMに独りでご飯を食べてみることをお薦めする。M29あたりにピークを持ってくると楽しい食事になること請け合いである。そしてエピソード9の野球シーンの謎を筆者とあーだこーだ議論していただきたい。(text by 竹中直純)

「孤独のグルメ O.S.T.」シリーズ

孤独のグルメ

ふと食べたいと思ったものをただただ美味しそうに食べる主人公、井之頭五郎の姿が人気を呼び、「癒し番組」とも「夜食テロ」とも呼ばれたテレビ・シリーズ。井之頭五郎は、日々の仕事のちょっとした合間に空腹を満たしては、つかの間の「自由」を感じていた。そんな井之頭の食事シーンと心理をひたすら描き、ドキュメンタリーのように淡々と映し出していく演出が話題に。「Season 4」は、2014年7月から9月にかけて放送された。現在、特典映像満載のDVDおよびBlu-rayボックスが発売中。

>>「孤独のグルメ Season 4」DVD / Blu-ray

THE SCREENTONES

「孤独のグルメ」の原作マンガを手掛けた久住昌之によって結成されたバンド。「孤独のグルメ Season 1~4」すべての劇中音楽を担当し、それぞれのオリジナル・サウンドトラックを発表している。

Member
久住昌之 (acoustic guitar / vocal)
フクムラサトシ (soprano sax / tenor sax / recorder / vocal / programming)
河野文彦 (acoustic guitar / electric guitar / recorder / vocal / programming)
Shake (keyboards / kazoo / vocal / programming)
栗木健 (drums / percussions / sampling / vocal / programming)
戸田高弘 (vocal / mix / mastering)

Special guest
吉田のりお (electric bass)
えりんぬ (piano)
cossami (vocal)

この記事の筆者
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