神奈川県出身のシンガー・ソングライター / ピアニストの森ゆにが、歌曲王ことシューベルトの作品群をカヴァーした名作『シューベルト歌曲集』。2012年9月にリリースされた同作を、OTOTOYではDSD(1bit/5.6MHz)およびHQD(24bit/48kHz)で高音質配信いたします。また、OTOTOY DSD SHOPの開催を記念して、同作品の中から1曲「Heidenroslein/野ばら」をフリーで配信!! 森ゆにが歌うシューベルトの名曲たちを、シンプルだからこその臨場感でぜひお楽しみください。また、森ゆにの夫でもあり、エンジニアとして活動を共にする田辺玄と森ゆにの対談も決行。『シューベルト歌曲集』とともにじっくりとお楽しみください。近日中には、大倉山記念館でレコーディングしたオリジナル音源もDSDで配信予定。森ゆにの魅力を全力でお届けしていきます。

>>「Heidenroslein/野ばら」のフリー・ダウンロードはこちら

OTOTOY DSD SHOP開催記念!! ライヴ会場、一部のお店のみで販売されているアルバムを高音質で配信


森ゆに / シューベルト歌曲集

【配信形態 / 価格】
DSD 5.6MHz+HQD(24bit/48kHzのwav) まとめ購入のみ 1,500円

【Track List】
1. An die Musik/音楽に寄せて / 2. Du bist die Ruh/君はやすらぎ / 3. Heidenroslein/野ばら / 4. An die Nachtigal/小夜啼鳥(ナイチンゲール) / 5. Gehimes/秘密 / 6. Das Rosenband/バラの花飾り / 7. Die Forelle/鱒 / 8. Wiegenlied/子守歌 / 9. Der Lindenbaum/リンデの樹


【ダウンロードに関して】
Windowsをご利用のお客さまは、標準の解凍設定、もしくは解凍ソフトによっては正常にファイルを解凍できない可能性がございます。その場合、お手数ですが別の解凍ツールを使用し、再度解凍をお試しくださるようお願い致します。7-Zip(フリー・ソフト)での解凍を推奨しています。
※7-zip http://sevenzip.sourceforge.jp/

作品によって異なりますが、DSDやHQDの高音質音源は、1GB〜2GBとファイル・サイズが大きいため、ダウンロード完了までに時間がかかることがございます。通信環境、お使いのPCの空き容量を確認の上、ダウンロードいただきますようお願いいたします。

※ダウンロードしたファイルに不備や不明点がありましたら、info(at)ototoy.jpまでお問い合わせください。

森ゆにのオリジナルDSDレコーディング音源を近日配信開始予定!!


『森ゆに@大倉山記念館』(仮)も近日配信予定!!



横浜の高台に位置するホール「大倉山記念館」にて、去る11月6日に森ゆにがDSDレコーディングを行いました。エンジニアに高橋健太郎を迎え、TASCAM「DA-3000」を用いて、ホールの響きを最大限に活かしたこの音源。こちらも近日配信スタート予定です。

森ゆにが「DSD SHOP 2013」のPV音楽を制作!! 12月4日より開催!!


12月4日(水)~12月10日(火)にかけて渋谷ヒカリエで開催される「OTOTOY DSD SHOP 2013」。そのプロモーション・ビデオの音楽を、森ゆにが手掛けました。DSDの鮮やかで滑らかな音質を表現するべく、ほぼ即興(!!)で収録された30秒間のテーマ・ソングをお楽しみください。




INTERVIEW : 森ゆに × 田辺玄

クラシック音楽や賛美歌をルーツにもち、ピアノと声というスタイルで端正なポップスを奏でる女性シンガー、森ゆに。そんな彼女が2枚のオリジナル・アルバムに続いて挑戦したのは、歌曲王ことシューベルトの作品群でした。OTOTOYではこのカヴァー作『シューベルト歌曲集』を、DSD(1bit/5.6MHz)およびHQD(24bit/48kHz)というフォーマットで高音質配信。もともとは昨年9月にCDでリリースされた作品ですが、今回の高音質配信により、空気のわずかな震えまで感じていただくことができます。

これまで何人の歌い手が、シューベルトの歌曲に挑んできたかはわかりません。それは200年近くも歌い継がれてきた名曲中の名曲であり、すでに多くの名演が残されています。でも、森ゆにほど素朴に、温かく、ある種の親密さをもって、シューベルトを表現した歌い手は少ないはずです。そして、そんなニュアンスのひとつひとつを味わうためには、やはりDSD / HQDのフォーマットが適しています。インタヴューでは、彼女の夫でもあり、エンジニアとして活動を共にする田辺玄を交え、高音質配信という観点から見た本作の魅力にも迫りました。どうぞお楽しみください。

取材&文 : 長島大輔
写真 : 雨宮透貴

左から、森ゆに、田辺玄

本当にピアノの弾き語りだけで、一人で完結してる人だなって

――まずは自己紹介と言いますか、森さんと田辺さんのこれまでの活動について簡単に聞かせてもらえますか。

森ゆに(以下、森) : あ、はい。
田辺玄(以下、田辺) : なんか会社の面接みたい(笑)。
森 : もともとはクラシック・ピアノとか声楽をやっていたんですけど、大学時代に音楽サークルに入って、先輩とバンド(ビンジョウバカネ、APOGEE)を始めたりして。で、その流れで音楽を続けていたんですが、2008年からソロでライヴをし始めて、今に至る感じです。

――で、ソロで2枚の音源(『夏は来る』、『夜をくぐる』)をリリースして、昨年の9月に初のカヴァー作である『シューベルト歌曲集』を発表されたと。

森 : そうですね。

――田辺さんもWATER WATER CAMELというバンドをやられてますよね。

田辺 : そうですね。WATER WATER CAMELは小学校からの幼なじみと一緒なので、来年で20年になるんですけど、ずっとやり続けていて。進学とともに上京して、卒業後もみんなで一軒家に住みながら活動したり。それを6年続けたあとに、地元の山梨に戻って、今に至るっていう感じです。ざっくり言うと。

――なるほど。田辺さんは森さんの仕事にどういう形で関わっているんですか?

田辺 : エンジニアとして、録りからマスタリングまで全部ですね。それは彼女の2作目(『夜をくぐる』)から。

――一緒に仕事をすることになったきっかけは?

田辺 : もともとは、彼女が一番最初にいたパーフェクトミュージックのミュージシャンのサポートとかエンジニアをやってたんですよ。で、「今度こんなアーティスト(森ゆに)のCDを出すんだよ」っていう話を聞いて、吉祥寺のGok Soundに1作目(『夏は来る』)のレコーディングを見学しに行ったのがきっかけですね。そのときは全然喋らなかったけどね。
森 : うん。
田辺 : 集中して録音してたんで、ちょこっと見て帰ったんです。

――そこから話が進んだのには何か理由があったんですか?

田辺 : なんだろうね。まぁそのあとちょこちょこ会って、キャメル(WATER WATER CAMEL)のライヴ見に来てくれたりとかもあって。1作目出し終わったあと、次の作品の話はあったのかな?
森 : そうですね。1作目を出した直後くらいに、そんなに次を出す具体的な話はなかったけど、試しに録ってみようかみたいな。
田辺 : そっかそっか。それがあったのか。一回山梨に来て、うちの自宅にアップライトがあるんで録音したんです。
森 : 試しにね。
田辺 : それでなかなか面白いねって話になり、ちょうどそのタイミングで自分はホールでレコーディングするのはどうかなってちょっと思ってて、たぶんそれを提案したと思うんです。そしたら次の作品にもすごい合いそうだし、ピアノの弾き語りでホールで録るっていうのはいいんじゃないかって話になって。

大倉山記念館でのレコーディングの様子

――そうなんですね。田辺さんは、森さんのどういうところに惹かれて一緒に活動されてるんですか?

田辺 : たぶんピアノの弾き語りっていろんな形があると思うんですけど、すごいバンド的な弾き語りの人もいれば、一人で完結するタイプってのもいて。彼女の場合は、本当にピアノの弾き語りだけで、一人で完結してる人だなって思うんですよ。自分は録音のエンジニアをするときって、どっちかと言えばサウンド・ディレクションっていうか、プロデュース的なことも兼ねてやることが多いんですね。けど、彼女に関しては、いい意味で音を入れる余地がないっていうか。それはすごいことだって気がして。

――完結しているというのは、アレンジとか世界観が?

田辺 : そうですね。世界観ができあがっていて、“ピアノと私”みたいなイメージがしっくりくるっていうか。そういう印象はすごいありました。アレンジ的にも、1作目にはヴァイオリンも入ってはいるんですけど、そんなに主張するわけではなく、ピアノの弾き語りありきのヴァイオリンっていうか。今後どうなるかわかんないけど、完結してるなって、すごく思います。

――逆に森さんは、田辺さんのエンジニアとしてのどういう部分に惹かれますか?

森 : 試し録りをしてから、他の曲とかもちょこちょこ聴かせたりして、「それすごいいいね」って言ってくれたんで、いろいろ相談がしやすくて。録音の技術的なことはよくわかんないですけど、例えば自分が弾いて、録ってもらうことって、やっぱりすごくコミュニケーションが取れたうえでの作業だと思うんで、いろいろ曲とか音楽について考えていることとか、こういう音が好きとか、そういう漠然としたことを一番話しやすいなぁっていうのはありますね。

――なるほど。もともと好きなミュージシャンが一緒とか、そういうのは?

田辺 : そういう話あんまりしたことないね(笑)。

――そうなんですね(笑)。でも逆に、そういう部分じゃなくて繋がってるってすごいですよね。

森 : うん。
田辺 : 確かにそうだね。でも自分が関わってるミュージシャンって、あんまりどんな音楽が好きかって話とか、そういえばしたことないですね(笑)。それよりか、なんだろう。もうちょっと空気みたいな話。

――空気。

田辺 : そうです。その、なんか醸してる雰囲気とかで、この人とは一緒にできるなっていう感覚。そういうのがなんとなくあって。たぶん自分はそういう指針で、一緒にやれるかどうかを判断してるんですけど、相手側も細かい音楽の情報というよりは、もやっとした雰囲気で、「この人だったらできるな」って思ってくれてるところが大きいんじゃないかと思います。

――人としての部分というか。

田辺 : そうですね。当然、録った音の感じも参考にしてくれてるとは思うんですけど、やっぱり人重視なところはあるのかもしれない。なんか、自分も演奏するんでわかりますけど、エンジニアさんと一緒にやる場合って、その人がどういう音で録ってくれるのかってのも重要だけど、メンバーとして一緒にできるかどうかってすごい大事だと思う。逆に自分がエンジニアだとしても、そういう関係でできたらいいなって、いつも思ってます。

時代とかジャンル抜きに、みんなに好かれるポップ・ソング

――『シューベルト歌曲集』について伺いたいと思います。この作品以前に2枚のオリジナル・アルバムを出されていて、これが初のカヴァー作ということになりますね。

森 : 最初は私、ライヴに来た人が買って楽しんでくれるグッズみたいなものがあったらいいなと思っていて。だけど例えば、「森ゆに」とか書いたTシャツなんて誰も着ないじゃないですか(笑)。だからオリジナルとはちょっと違う、企画ものの音源っていうのを作ったら面白いかなと思って。で、前にいたパーフェクトミュージックのスタッフからも、「カヴァーとかやって自主で作ってみたらいいんじゃない?」みたいなことは言われてたんです。でも、最初はカヴァーっていうこと自体にあんまりピンときてなくて。

――それはなぜ?

森 : 懐かしのポップスとかをわざわざ私がやる必要ってあんまりないし、そもそも自分のルーツとか、影響を受けてきたものって、そこらへんとは違くて。

――森さんのルーツというとクラシックですか。

森 : そう、クラシックとか、中学と高校がキリスト教系で毎日賛美歌を歌ってたので、それがけっこう強いんですね。なので、逆にそういうのをやってみたら、自分にしかできないカヴァー集ができるかもしれないと思って。シューベルトの「野ばら」が前から好きだったので、クラシックの歌曲のアルバムを作ってみようかなと。実は「野ばら」を日本語で歌ったやつを1stアルバムに入れたいって言ったら、スタッフにスルーされたことがあって(笑)。それをもう一回できないかなっていうのもあったんです。

――なるほど。じゃあ「野ばら」から。

森 : そう。「野ばら」からスタートして。で、その他の曲は何にしようって考えるうちに、「鱒」っていう曲も好きだなぁって思って、「あ、なんかほとんどシューベルトじゃん」みたいな。だったらシューベルトで統一しようと。

――森さんにとってシューベルトの歌曲の魅力って何でしょう?

森 : 単純に曲が好きです。クラシックだからとかじゃなくて、ジャンル分けなしに好き、みたいな。ライヴで歌うとけっこう反響もあります。時代とかジャンル抜きに、みんなに好かれるポップ・ソングなんですよ。

――確かにシューベルトの歌曲はポップですよね。1曲1曲がコンパクトだし。

森 : そうそう。そういう感じの歌モノをシューベルトはすごいたくさん作ってて。これを作るにあたって、「どの曲入れようかな」って新しく聴いた作品もいくつかあるんですけど、それもけっこうポップ。しかも、1番、2番、3番って短いフレーズを繰り返している。有節歌曲(※ひとつのまとまった旋律を何度も繰り返すタイプの楽曲のこと)って言うんですけど、そういう感じもすごくわかりやすくて好きっていうか。

――歌謡曲的というか。

森 : そう! 歌謡曲的。そういうところがある。

――シューベルトに挑戦してみて、自分の曲に反映できそうな発見ってありましたか?

森 : 自分の曲に反映されるかはわかんないですけど、面白かったのは、歌詞は全部別の詩人が先に書いてるってことで。そこにあとからシューベルトが曲をのせてて、そのマッチングがすばらしいなと。

――「この歌詞にこんなメロディをのせるのか!」みたいなことですか?

森 : そうです。
田辺 : 曲を作るっていう前提で詩を書いてもらってたってこと?
森 : じゃないです。
田辺 : もともとあった詩に?
森 : そう。詩ありき。だから例えば「野ばら」には、他にもシューマンとかブラームスとかが曲をつけた、まったく違う曲があったりとか。

――そうなんですね。

森 : そう。あの「子守歌」(「ね~むれ~、ね~むれ~」というメロディでお馴染みの曲)とかも他にもあるんです。
田辺 : あるんだ。

――それを聴き比べてみるのも面白そうですね。

森 : そう。実際に聴き比べたりとか、けっこう深めていくと楽しみがありました。

「ピアノ対自分」みたいな息づかいがリアルに録れてたらいいなと

――録音はどこでされたんですか?

田辺 : これは山梨です。白州っていう長野県寄りの山の中にある一軒家で、そこにピアノだけ入れて録ったんですよね。

――それは普通の家?

田辺 : 普通の家ですね。これから自分で手を加えてスタジオにしようかなと思ってて、そういう場所を探してたんですよ。全部の壁が木で、ちょっと大きめのリビングがあったんで、そこにうちのピアノを運んで録音したんです。

――そうだったんですね。DSD配信だと、レコーディングした場所の空気感とかもかなり伝わってくると思うんですけど、エンジニアの目線から見た今作の魅力を教えてほしいです。

田辺 : まず、録りは基本的にリボン・マイクで録ってたんですよね。コンデンサー・マイクとか、けっこういろんなマイクを試したんですけど、「きれいだけど、なんか雰囲気出ないよね」って。きれいすぎるっていうか、『シューベルト歌曲集』っていう質感じゃないなと思って。で、最終的にナショナルかなんかのすごい古いリボン・マイクで、状態もそんなによくないんですけど、それで録ったときの感じがすごいよくて。最初は「これでいいかな?」って不安だったんだけど、改めて聴いてみたらシューベルトの世界観にすごい合ってるなと。だからヴォーカルに立てたリボン・マイク、ほぼそれ1本で録ってる状態なんです。

――ほぼマイク1本ですか。

田辺 : リボン・マイクって双指向性で、裏側のピアノの音も録れるので、音源としては歌がすごい近い感じになってるんですけど、その奥にピアノがやわらかい感じであって、そのさらに奥に木の部屋の鳴りみたいなのが入ってるんです。その空気感は高音質のほうがより出るなと。あと、ドイツ語の響きがリボン・マイクにすごい合ってたんです。ドイツ語の発音ってサ行が強いんですよね。サシスって言葉。

――あっ、確かに。

田辺 : で、そこの部分がちょうどリボン・マイクでやわらかくなるんですよ。試しに今までの日本語の曲を同じセッティングで録ってみたら全然よくなかった。
森 : うん。
田辺 : なんかやっぱり場所とかマイクのセッティングとかがこの作品にすごい合ってたのかな。そういう空気感が伝わったらいいなと思います。

――ピアノもあんまり角が立ってないというか、やわらかくて温かい感じがすごくいいなと思いました。

田辺 : ありがとうございます。

――それはレコーディング環境の影響が大きいんですね。

田辺 : そうですね。ピアノ自体ももさっとしたピアノではあるんですけど、でもあえてピアノに立てたオン・マイクもほぼ使ってない状態で。リボン・マイクの裏側で録れてる音を活かしていて、それが質感を作ってると思いますね。

――ちょっとレコードっぽいって言うか、いい意味であんまり現代っぽくないって言うか、そういう感じがしました。

田辺 : そこはすごい狙ってたところで、かつそれを高音質で聴いてもらえるっていうのは、自分としてはものすごい嬉しいんですよね。なのでそこの部分が伝わったらいいなと。

――音質に関して森さんはどうですか? DSDならではの空気感とか。

森 : うん。いいと思います。録った場所は壁が全部木で、天井がちょっと高めで、すごくいい部屋鳴りをするところだったので、それを最大限に生かせる高音質配信っていうのは楽しみです。あえてもさっとする感じとか、その辺の音にこだわって録ったので。
田辺 : そうだね。けっこう潔い録音をしてたわけですね。もちろんエフェクトとかもかけてないですし、わりと録ったまんまくらいの形なんで、高音質配信には適してるのかなと。

――それまでのアルバムとはまったく違う環境ですよね。

田辺 : 全然違うね。
森 : うん。
田辺 : 1作目はレコーディング・スタジオで録って。
森 : ザ・スタジオって感じのところでした。
田辺 : 2作目はホールで。この作品は本当に山の中にある一軒家で。

――森さん、田辺さんは先日、横浜にある大倉山記念館というホールでもDSDレコーディングをされましたよね(この音源は近日中にOTOTOYで独占配信予定)。初めから全部DSDで録音するのは初めてでしたか?

田辺 : そうですね。普段からレコーダーは使ってるんですけど、録りの段階っていうよりは、ミックス・マスターの段階で「MR-2000」(KORG)を使ってます。だから、DSDのフォーマットで全部録ったのは初めてですね。

――なんか違いって感じましたか?

田辺 : 音の向こう側にある音っていうか、響きとかもそうだし、なんかその空気感みたいなものの出方は全然違うと思いますね。今まで削ぎ落とされてた部分がちゃんとデータとしてあるので。

――単純にクリアなだけの音ってわけでもなくて、空気の音とかまで細かく記録されますよね。

田辺 : そうですね。やっぱりWAVとかもそうだけど、ざらっとしてるかっこよさみたいなのもあるじゃないですか。そういうのじゃなくて、生音の滑らかな、耳のすぐ近くで聴いてる感じとか、そういうのはDSDならではですね。

――森さんは先日の大倉山でのDSDレコーディング、いかがでしたか?

森 : ピアノの音がすごいよかった。

――ピアノ自体が? それとも響き方ですか?

森 : うん、ピアノ自体もよかったし、響き方もすごいよかったし。歌とピアノを同時に弾いてる、その「ピアノ対自分」みたいな息づかいがリアルに録れてたらいいなと。

――わかりました。では最後にまとめという感じで、『シューベルト歌曲集』をDSD配信するにあたって一言いただけないでしようか。

森 : はい。いろんな偶然が重なって、「この音いいね」みたいに行き着いた作品でもあるんですけど、せっかくの高音質配信なので、わりと音質を聴いてほしいというか、さっき話した録音環境をイメージしてもらえたらなって思います。

――なかなか特殊な環境でレコーディングされた作品ですもんね。

田辺 : そうですね。
森 : カタカナで「ナショナル」って書いてあるマイクでしたね。

――(笑)。ナショナルの録音系の機材ってあんまり聞かないですよね。

田辺 : そうだよね、確かに。しかもローマ字じゃなくてカタカナですからね(笑)。すごい古いマイク。けっこう音源的にもサーって音が入ってるんですけど、なんかそれも、デジタルで鳴ってしまっているノイズとは全然違うっていうか。レコードとかにノイズがのってるじゃないですか? そういうのって嫌な音ってあんまり思わない。逆に心地いいですよね。なんかそういう部分も含めて、高音質ってよりよく伝わるのかなって。音楽的な感じになるっていうか、全部。

――レコードのような温かみはすごく感じられました。

田辺 : あえてエフェクトでかけたりもするじゃないですか。プラグインとかでレコードっぽくしたり。べつにそういうわけじゃなくて、録ってるマイクとか、場所も含めてそういうふうになってしまったのが逆によかったのかな。音楽にも彼女の声にも、すごく合ってる。

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LIVE INFORMATION

jouer a cache cache企画『クリスマスを待ちながら』
2013年12月16日(月)@吉祥寺・キチム
時間 : open 18:30 start 20:00料金 : 前売り2500円 / 当日3000円(要1Dオーダー)
出演 : tico moon / 森ゆに
出店 : ハナハッカの庭食堂
音響 : 田辺玄

Profile

森ゆに

神奈川県出身のシンガー・ソングライター、ピアニスト。学生時代よりバンド活動に傾倒、ビンジョウバカネ~APOGEE(サポート)を経て、2008年からソロ活動を開始。「ほぼ日刊イトイ新聞」で音楽を担当する等、その活動は多岐にわたる。

>>official HP

 
 

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