2010/11/13 00:00

ビョークのオファーをうけワールド・ツアーに参加するなど、国境を越え世界の音楽シーンに影響を与え続けているアコーディオニスト・coba。彼の2年ぶりの新作は、CMでお馴染みの楽曲に加え、音楽を肉体で表現するプロジェクト「音波少年」のために書き下ろしたアコーディオン・ポップチューンを含む全15曲を収録。哀愁を感じるこの季節にぴったりの本作を、mp3の他に高音質のHQD(24bit/48kHzのwavファイル)でお届けします。色鮮やかなアコーディオンの音色の細部まで聞こえてきますよ。

coba / 旅する少年 stay gold

1. night over the night / 2. 思いは灼熱 / 3. Happy - go - lucky / 4. VIDEO GAME AGE / 5. 帰る場所はひとつ / 6. アリスの鏡 / 7. Steppin' drive / 8. マドンナ / 9. 太陽と約束した町 / 10. My favorite things

アコーディオンが奏でる哀愁

道ばたに銀杏の葉が落ち、もう少し経てば色とりどりの秋色になる。この時期になると、イヴ・モンタンの「枯葉」でも聞いて、ヨーロッパの哀愁を感じたくなる。同じくアコーディオンの音色も、この時期に聞くと、心地いい哀愁を感じさせてくれるものだ。

世界的に活躍する日本人は近年増えてきているが、常に世界水準で活躍してきた日本人の表現者として、アコーディオニストのcobaの名前があがるだろう。 CM、舞台や映画等、幅広い分野でサウンド・クリエイターとして活躍するcobaは、当時日本人には馴染みの薄い、伴奏楽器としてのイメージが強かったアコーディオンを使って、ハイ・クオリティな演奏をポップ・フィールドで体現し、広く浸透させた先覚者である。cobaの経歴はうっとりしてしまう程のものであるし、その実力、表現力は、ビョークの熱烈なオファーによりワールド・ツアーに同行する等、非の打ち所がない。近年ではバンクーバー五輪でフィギュア・スケートの高橋大輔がcobaの楽曲「eye」で滑ったのは記憶に新しい。ジャンルを問わずcobaは、アコーディオン一本で渡り歩いてきた。日本人の世界レベルなアーティストの草分け的存在である。

今回cobaの2年ぶりとなる新作『旅する少年 stay gold』が、OTOTOYにてHQDで配信される。今作はcobaのハイ・クオリティな表現力によって、日本人離れしたヨーロッパ的哀愁をベースに、時にはラテンの陽気さ、ポップでチャーミングな表情を見せてくれる。曲によってはヴォーカルをフィーチャーした楽曲やテクノっぽいアプローチの曲があり、聞いていてまったく飽きることはない。楽曲全体に奥行きや広がりがあり、まるでクラシックを聞いているかの様に音で情景を感じることができる。その広がりの中でもさらに、彼の弾くアコーディオンの音色はノスタルジックで力強く、彼の培って来た肉体的な表現は、最後の一音まで丁寧に表現されている様に感じるのだ。常に世界水準の中で、進化を止めない表現は、毎度新たな試みを見せてくれ、聞くものに新しい発見を与えてくれる。今作もまた、彼の表現者として、サウンド・クリエーターとしての進化が詰まった作品と言えるのではないだろうか。

アコーディオンの世界をまだ体感したことの無い方は、本作を聞いて欲しい。当時『シチリアの月の下で』で衝撃を受けた人が大勢いた様に、今回もまた、あなたの音楽の壁を壊してくれるのではないだろうか。(text by 内田武瑠)

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GONTITI / LIVE at shirakawa hall '09 〜Online Limited 2〜

2009年3月7日に行われた「Classic Style Concert 2009 ゴンチチの生音三昧」名古屋しらかわホール公演を収録した、最新LIVE盤。ノンPAで行われた、ゴンチチでも珍しい貴重なコンサートを収録した本作は、ゴンチチならではの癒しのメロディーから、躍動感溢れるアグレッシブな楽曲まで選りすぐりの8曲を収録。ゴンチチの真骨頂であるギター2本だけの演奏は、楽曲が持つダイナミクス、上質なメロディーが存分に堪能出来る、まさに極上のサウンド。アルバム購入特典には、コンサートの魅力の一つとなっている「コンサート・トーク」を収録。これぞ配信限定ならではの「ゴンチチ三昧」な作品。

羽毛田丈史 / PRESENTS 3

ゴンチチ、葉加瀬太郎、中島美嘉、鬼束ちひろや元ちとせなどのアーティストの作品のアレンジ・プロデュースを手がける一方、NHKスペシャル、映画、TVドラマ、TV番組やゲーム音楽などの作編曲、オーケストレーションなども数多く手がける、ピアニスト/サウンド・プロデューサー/コンポーザー羽毛田丈史による作品集。

coba PROFILE

数々の国際コンクールで優勝。以来、ヨーロッパ各国でのCDリリース、チャート1位獲得など、cobaの名前と音楽は国境を越え世界の音楽シーンに影響を与え続けている。15年以上にわたり恒例化しているヨーロッパ・ツアー、更にはアイスランド出身の歌姫ビョークのオファーによるワールド・ツアー参加など、今や日本を代表するアーティストとしてその名を世界に轟かせている。常にハイ・クオリティなサウンドを追究したその作品は国内外に高い評価を得る。アコーディオンのイメージをポップ・ミュージックの世界で大きく変えたその音楽は、今やcobaというひとつの音楽ジャンルになったとも言われる。また映画、舞台、テレビ、CM音楽をプロデュース、演奏家やオーケストラへの委嘱作品を手がけるなど、作曲家としても多くの作品を生み出している。現在はヨーロッパ、東京を拠点に国際的な音楽活動を繰り広げている。

[レヴュー] coba

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