西島衛(THE SiX BULLETS)×ゆーきゃん対談

2011年6月より期間限定でリリースされた京都コンピレーション『All Along Kyoto Tower (京都タワーからずっと)』。その特集の中で、一度上京を経験し、2年前に再び京都へ戻ったシンガー・ソングライターのゆーきゃんに当時の京都の音楽事情について語ってもらった。「これからの京都は面白くなる」と、その話は希望に溢れていた。それから1年と経たない2012年1月、京都で新しく始まるイベント「いつまでも世界は…」のサイトに、イベントの発起人である西島衛(THE Six BULLETS)がある文面を載せていた(http://sekaiwa.info/)。「希望の話をしたい」で始まるこの文章には、京都の音楽シーンを憂える危機感があった。

ゆーきゃんのインタビューから今に至るまで、風営法によるクラブの取締強化など、状況は確かに変わったのかもしれない。しかし京都から聴こえる音楽の勢いが衰えていないことは現場へ遊びに行けばわかる。今、どういう状況なのだろう。しかもこの「いつまでも世界は…」の企画、運営にはゆーきゃんが深く関わっているとのこと。10年続くインディー・フェス「BOROFESTA」の主宰も務める彼が京都で仕掛けようとしていることとは? 西島が考える「希望」とは? イベントに先駆けて二人に話してもらった。

インタビュー&文 : 水嶋美和
photo by ハブ(夜色きかんしゃ)

京都の音楽祭! 都市型ライヴ・サーキット開催!

京都のライヴ・ハウス6会場で行われるサーキット・イベント「いつまでも世界は…」

この時代に生きる人間として、僕は「希望」の話をしたい。少し、まだまだ「希望」なんて言葉が気恥ずかしいような空気が流れるこの時間帯に。それでも僕は「希望」の話がしたい。— 西島衛

日時 : 2012年5月19日(土)
開場 : 14:00 / 開演 : 15:00
チケット : 前売 : 2,500円 / 当日 : 3,000円(+1D代 500円)(※高校生以下フリー)
場所 : 磔磔 / KYOTO MUSE / WELLERS's club /さらさ花遊小路 / cafe and bar Cham / Kitchen Barエイト(※Chamとエイトにはチケットが無くてもフリーでご入場頂けます。(要1Dオーダー))

出演者 : ギターウルフ / アナログフィッシュ / the cigavettes / 岩崎 慧(セカイイチ) / ワンダフルボーイズ / THEラブ人間 / LOVE LOVE LOVE / 志磨参兄弟 / YeYe / THREE SEVEN / chori / ユダ(HONEY MAKER) / ザ・サイクロンズ / ザ・シックスブリッツ / パノマティ / 高松洋子 / 欠伸-ACBIS- / イヌガヨ / MOTORS / LOW-PASS / アベフミヒコ / Lainy J Groove / my letter / 雨先案内人 / ステレオタイプ… and more
販売場所 : ぴあ(P-164-232) / ローソン(L-55112) / イープラス / 磔磔 / KYOTO MUSE
お問い合わせ : KYOTO MUSE(tel : 075-223-0389)

「いつまでも世界は…」official HP

5月限定! 「いつまでも世界は…」コンピレーション・アルバムをフリー・ダウンロード!!

VA / 「いつまでも世界は…」sampler

2012年5月19日(土)開催の「いつまでも世界は…」のフリーダウンロード・コンピ。関西圏のアーティスト達に焦点を当てた、このイベントでしか集まらない雑多なコンピレーションが完成! 京都のオーセンティック・スカ・バンドTHREE SEVENのライヴ音源も収録! 大阪の弾き語りミュージシャンの歌の素晴らしさ、これから時代を引っ張っていくであろう若手バンドの音源、バンド達のライヴ・ハウス限定音源。イベントの予習に、新しい音楽を探している人に、聞いてほしい! 5月限定です! お見逃しなく!




【参加アーティスト】
市村マサミ、ザ・シックスブリッツ、ザ・サイクロンズ、low-pass、My letter、THREE SEVEN、MOTORS、ステレオタイプ、白の無地、傷心の松、オガサワラヒロユキ、松山和司、ジャンガラン、YEAHSONS、アベフミヒコ、パノマティ、chori、高松洋子、欠伸-ACBIS-

今思うのは死ぬまで音楽をやりたいってこと(西島)

——このイベントをやろうと思ったのは、いつぐらい?

西島衛(以下、西島) : 2011年8月にやった「nano BOROFESTA」の打ち上げで話したんだよね。

——その時はどういう話を?

ゆーきゃん : FLUIDのジャックがMETROのブッキングをやっていて、ジャックも交えて「METROとKYOTO MUSEで昼夜連動するイベントをやりたいね」って話やったかと。
西島 : そうだ! 「クラブとライヴ・ハウスを仲良くさせよう」って言ってたんだよ!

左から西島衛、ゆーきゃん

——でも、ライヴ・サーキットの会場の中にクラブは入ってないですよね。

西島 : 本当はMETROも入れたかったんだけど、風営法で夜の部が出来なくなってしまったから、あえなく。

——えっ、METROにも強制捜査入ったんですか!?

ゆーきゃん : 入ってないけど、ちょうど規制が急に厳しくなってきた頃だったので、自粛せざるを得なかったというか。
西島 : クラブで演奏できなくなって、生演奏スタイルのヒップ・ホップがライヴ・ハウスに流れて来てるんです。上手いんですよ! ぼくらみたいなガチャガチャした演奏力のないバンドは戦々恐々としてます(笑)。

——裏にはそんな実情が(笑)。 西島さんの表明文にある「音楽の居場所を作りたい」という言葉の背景には何かきっかけになる出来事があったのかなと思ったのですが、どうでしょう。

西島 : ない。けど、音楽やっとって進み方が決まっていることに対しては嫌だなと思ってました。例えばレコード会社に音源を送って、ひっかかったら「ぼくたち応援するよ」って人が付いて… 自分で道筋を決めていくことを考えたいなあと。

——THE SiX BULLETSをやっていく上で、今までそういった意識は…。

西島 : 何もなかった。ライヴやって楽しいなってぐらい。

——バンドで成功したいとは思いませんでしたか?

西島 : 思っていた時期はもちろんあったけど、今思うのは死ぬまで音楽をやりたいってこと。だから、サラリーマンで平日は働いて夜と土日にバンドをやるおじさんになってもいいと思う。ただ仕事しながら家庭を持つと、子供と遊ぶ時間も必要になってくる。どんどん音楽の時間や居場所はなくなっていく。ここを何とかしたいと思ったんです。

——そのためには、何が必要だと思いますか?

西島 : 何でみんなが音楽を続けていけなくなるのかを考えたら、「こんな歳になってまだ音楽やってんの? 」っていう世間の風潮に後ろめたい思いがあるからなんじゃないかな。それが少しでも変わって音楽がみんなにとってもっと身近なものになれば、仕事終わって夜ライヴして子供も遊びに来てくれてって生活ができるようになるかもしれない。バンドを趣味にして、人生の期限が来たら終わるものなのか。メジャーで頑張って成功したらそれが仕事になって、失敗したら解散して終わるものなのか。それ以外の道筋を探りたいんですよね。

——このイベントで変えたいのは見る側の意識なんですね。

西島 : その意識を変えたいからこそ、やる側の意識も変わらないとだめだと思う。音楽好き以外にも胸を張って「音楽やってるんですよ」って言えるようにならないと、何も変わらない。取材前に少し話したデモの話に例えると、関電の会社員に直接文句を言っても多分何も変わらなくて、ぼくら電気を使う者の電気に対する意識を変えることで状況が変わっていくんだと思います。

色んなカルチャーが混ざり合いつつある(ゆーきゃん)

——西島さんのこの気持ちは、ゆーきゃんも共有してますか?

ゆーきゃん : うん。イベントが動き出す前に衛くんと何回か飲みに行って話をして、共有できたつもりでいる。その上で、MUSEの店長の行貞くんを巻き込むことにしたんです。

——なぜ行貞さん?

ゆーきゃん : 京都はいつも面白いバンドがいっぱいいると言われるけど、その一方でライヴ・ハウスに足を運んで新人をチェックするようなレコード会社や事務所の人たちはあまり見かけないし、それが京都をよくも悪くも競争のすくない街にしている一つの要因だと思うんですね。東京だといいライヴをしていたら噂を聞きつけて誰かが見に来たりするでしょ? そんな中、今一番ちゃんと現場を見れていて提案力もあるのはライヴ・ハウスの店長やブッキング・マネージャーであって、その中で今衛くんが言ったことを理解してくれそうだったのが行貞くんだった。で、行貞くんを巻き込んでMUSEの事務所でざっくりとブッキングの話を進めて。
西島 : Primal Screamを呼びたいって。

——へ!?

西島 : 何でも言っていいなら、まずそこでしょって話をした(笑)。

——何でも言っていいならそうなりますかね(笑)。じゃあ、メインで動いているのはこの3人?

西島 : 手伝ってくれる人は増えたけど、メインはそうですね。

——今ライヴ・ハウスの話になりましたが、西島さんが作りたいと思っている「音楽の居場所」は、単純にライヴ・ハウスということにはならないんですか? 昨年ゆーきゃんに語ってもらった京都音楽事情(http://ototoy.jp/feature/index.php/20110614)でも、ライヴ・ハウスの意識が高くなってきていると聞きましたが。場所を作ることを任せることはできないんですか?

西島 : ライヴ・ハウス自体が地域の中で居場所がない状態なんじゃないかな。騒音とか、お客さんがライヴ後にお店の前でたまって苦情が来たり。

——ライヴ・ハウスのことも併せて、音楽の居場所がなくなってきていると。回遊型のライヴ・サーキット形式にしたことにこだわりはあるんですか?

西島 : ライヴ・ハウスの中だけで終わって欲しくなくて。行き来する必要があれば自ずと街に人も増えるじゃない。ライヴ・ハウス周辺のお店の売り上げがよくなったらいいと思うよね。それで、街に人が増えていれば関係のない人も「何かやってんの? 」ってなって、「ライヴ・ハウスも地域貢献することあるんだな」と気づいてくれたらいいなと思う。

——ここ(Kitchen Bar 8)では無料でライヴが見れるんですね。

西島 : そうそう。Café and bar charmもそうなんだけど、たまたま街にいた音楽好き以外の人も入れるように、入口を広げておきたくて。

——このイベントのブッキングは、どういう基準で?

西島 : かっこいい人たち。

——ざっくり(笑)。こういう色にしたいとか、コンセプトに合わせてこの人を選んだとかは?

西島 : 何も考えてないですね。ただ、京都で頑張ってる面白いバンドがギターウルフやアナログフィッシュとかの大きいバンドと一緒にできる機会を作りたかった。

ギターウルフ

——このイベントにゆーきゃんはどう関わってるんでしょうか? ボロフェスタとは関わり方が違いますよね?

ゆーきゃん : どういうスタンスなんだろう… 将棋の駒でいうと、角?

——すいません、わかりにくい(笑)。

西島 : 斜めにしか進めないよ(笑)。
ゆーきゃん : でも結構飛ぶよ(笑)。ボロフェスタとは違うことをやりたいと思ってて、昨年のOTOTOYのインタビューでも話したけど、ここ2、3年で色んなものが繋がり始めてきた。ぼくが最初に京都に来た時からは音楽の地図が変わっていて、結び付くはずのなかったシーンがいつのまにかすごく近かったり。

——たとえば?

ゆーきゃん : 「クラブとライヴ・ハウスがもっと仲良くなればいい」ってさっき言ったけど、これと同じことを思ってる人が他にも結構いて、クラブ・ミュージックのレコード店だったJAPONICAが長谷川健一の弾き語りライヴを企画したり、ハウスのDJが出るイベントで奇妙礼太郎が歌ったり。あと、NabowaやTurntable Filmsのようなバンド・カルチャーとクラブ・カルチャー、双方から等しく愛されるバンドが出てきたりね。

——それって、SECOND ROYALの力も大きいんですかね。

ゆーきゃん : SECOND ROYALもそうだし、mogran'BARの田中亮太や、HOMESICKのdj colaboy、レコード店でいえば100000tもJAPONICAもARTROCK NO.1もいろんな面白いミクスチャーを試みている。何人かのキーマンが出て来て、その人を交差点にして色んなカルチャーが混ざり合いつつある。でも、たまに交差がニアミスしてしまう。同じ配役、同じ材料でも、キーマンが居ないところではすれ違っちゃったりとか。 オーガナイザーや共演したことのあるアーティスト同士はかっこよければ共感するし、「同じ京都でやってるよね」という意識も助けになるのか、ある程度ジャンルや地位の境界線は緩まってきてるんだけど、お客さんの単位ではまだそれは目に見えるほど起こってないような気がする。何か匂いが違うとか、生息している場所が違いそう、という雰囲気だけで、出してる音は近いふたつのバンドの客層ががらっと変わってしまう。たんに情報が流れていってないからかもしれないけど、これをもったいないなと思うのね。

——もっと好きの範囲を広げられる可能性があるのに、と。

ゆーきゃん : うん。だから違うカルチャーを溶け合わせる実験は、「人」に頼るのではなく「場所」そのものが爆発するようなことが必要だと常々思っていて。衛くんから話を貰った時に、西島衛を「キーマン」にするんじゃなくて、ひとつの「起爆剤」にしてシーンやカルチャーを揺るがせたり溶け合わせたりする実験が出来ると思った。だからぼくと行貞くんがブッキングで衛くんに「こんなんどう? 」って勧める時も、中心にTHE SiX BULLETSを置いて、どこまで爆風を連鎖反応的に広げれるかを試してるってこと。それから、THE SiX BULLETSが昨年出した『ぼくらの音楽』ってアルバムは、全国未流通のままαステーション(京都のローカル・ラジオ局)の8、9月のパワープレイになったんやけど、その話を聞いて、さっきのシーンの話が平面だとしたら、ライヴ・ハウスとかとは一切関係ない、いわば平面から垂直方向に離れた一般の音楽好きにも、広げられるかもしれないと思った。

——ラジオだったり、メディアには何かアプローチしてますか?

西島 : αステーションではぼくも何回か出演して、特集をやってもらう予定です。でもぼく自身、誰が京都音楽シーンの重要人物なのかは正直知らなくて、でも手の届く範囲の中でできるだけ遠くまで広げたいという気持ちはありますね。

yeye

——「音楽の居場所を作る」って話に戻るんだけど、今日(取材日/2012年4月22日)は京都で「スキマアワー」があって、これはキツネの嫁入りという一つのバンドが自分たちの音楽の場所を作るために始めた「スキマ産業」から派生してる。たまたま今日、東京ではアンダーグラウンドなオルタナ・バンド達が数組集まって「東京ボアダム」というイベントをやっている。これも、自分たちで自分たちの場所を作らなければ、という意図で始まっている。もちろんSonarSound TOKYOやKAIKOOも今日やってるんだけど、その中でもバンドマンが自分たちのために起こすイベントが市民権を得始めているというか、音楽シーンにおいて無視できないぐらい大きな存在になり始めているなあと。

西島 : バンドマンたちの手の挙げ方が変わったんじゃないかな。「こんなイベントやるから聴きに来てくれ! 」「手伝ってくれ! 」って、前より高く挙げれるようになっている気がする。
ゆーきゃん : 役者が増えたし、発見されやすくなってると思う。10年前だったら「知る人ぞ知る」ミュージシャンだったものの注目度のレベルが飛躍的に上がっている。ぼくに近いところでは、東京だけどAlfred Beach Sandalやシャムキャッツのように、自分たちが納得して奏でる音楽がその結果ポップであれば、等身大なままでみんなの目や耳に飛び込んでいけるようになった。「そこに何かある」と思って目を凝らしてる音楽好きが増えたんだと思う。ミュージシャン主体のイベントの注目度が上がってきたのも、リスナーのアンテナの張り方が発達したからっていうのもあるかと。もちろん衛くんが言ったみたいに、バンドの手の挙げ方も上手くなってると思うし。

音楽やってるだけで生きていけるようになればいい(西島)

——ゆーきゃんは元々京都にいて、東京に住んで、2、3年前からは京都だけど、都心とローカルでその違いはありますか?

ゆーきゃん : いま言ったことと矛盾しそうだけど、地方のリスナーは東京ほどにはまだ耳は早くないと思う。自分の周りを発見することに躍起になるということが、地方ではあまりない。でもここ3、4年でとくに、京都のミュージシャンのままで全国区に進むような人が増えてきたなあ。Nabowa空中ループTurntable FilmsYeYe、tricot、ぼくのそんなに詳しくないパンクやエレクトロの世界でも居ると思うし、HOTEL MEXICOなんて日本を飛び越えて世界的な評価を集めそうなんだって。そういうのも踏まえて、今の京都はすごくいい状況なんだと思います。あと、さっき話したTHE SiX BULLETSのラジオのパワープレイへの決まり方も面白くて、行貞さんと元WHOOPEE’Sの山田さんがαステーションでラジオ番組を持っていて、そのディレクターに『ぼくらの音楽』を渡したら「いいっすね」ってなって、決まった。京都限定のラジオ局だけど、これには誰かの意図が働いた訳じゃない。本当に誰のおかげでもない、ローカルのひとつの実績というか、結果だなと。

——パワープレイになって、反応はありましたか?

西島 : ライヴ・ハウスにはそんなに人は増えなかったんだけど、全然知らない高校生がうちのバンドの名前をtwitterでつぶやいたり、未流通だけど委託で置いてる店舗にわざわざCDを買いに来てくれったりって話は聞いてます。
ゆーきゃん : ぼくが今すごく希望を持っていられるのは、αステーションであったりKBSであったり、タワレコ京都店であったり、JETSETであったり、JAPINICAであったり100000tであったり、街にふらっと出て目に触れるところやチューニングをちょっと合わせるだけで勝手に流れてくるもののところに、ぼくらを応援してくれる人たちがいるから。かつ、みんな京都ってことを一つのキーワードとして大事に持っている。役者がいて、役者の素晴らしさを伝えられる場所にそういう人がいて、あとは届けるだけだと。

——京都で音楽に関わっている方って、京都である事にすごく意識的ですよね。

西島 : ぼくは大阪出身だからあまり考えたことがなかったし、バンドのメンバーもぼく以外はもう京都じゃないんですよね。

——じゃあ西島さんが京都を離れたら、拠点は京都でなくてもよくなる訳ですよね?

西島 : うん。でも今は京都って言葉が好きなんだ。大学時代から長いこと住んでやっと地元になったんだと思う。音楽やっとってどこから出てきたかっていうのも大事だと思うしね。CDが売れない状況はもはやメジャーであろうとインディーであろうと変わらない。でも、地域ごとに音楽が成り立てば別に問題はないんじゃないかなって今は思う。

——前のゆーきゃんへのインタビューで、「ローカルで盛り上がってもその先はないんじゃないか」って話が出て来たけど、ローカルであるがゆえの壁もあるのでは。

ゆーきゃん : 商業的な成功なり音楽一本で食っていくことだけに注目すると、確かにあまりローカルでやっていくことにいいことは言えない。でも今は、自分たちが納得いくように、かつ負担のない形で音楽を続けていくという話だから、前と言ったこととは視点が違いますね。この街で生活しながら音楽をやるなら、この街が盛り上がってたほうがいいに決まってる、と。じゃないと「いつまでも世界は… 生きにくい、音楽をやりにくい」だけで終わっちゃう。
西島 : 商業的に音楽をやることに興味がなくなって来ているのかもしれない。でもそこに頼らずとも音楽を続けていく方法をみんなが模索し始めたり確立し始めたりしてる気がするなあ。

——なるほど。ちょっと話が変わるんですけど、西島さんって「世界」って言葉好きですよね。

西島 : へっ!?

——このイベント名にしても、去年出したアルバム名にしても、そのアルバムの中の曲名にしても、6曲中2曲に「世界」が出てきてる。何でですか?

西島 : 何でだろう。かっこいいから(笑)? しっくりくるんですよね。

——じゃあこのイベントに限って言えば、なぜこんな名前に?

西島 : ぼく、それらしい名前を付けるのが好きじゃないんですよ。犬に「ポチ」とかね。だからイベントの名前も「何とかフェスティバル」にしたくなかった。ぼくら今色々と考え始めてるんですよ、きっと。みんなにも考えて欲しいから、「これってどういう意味? 」って思われるような名前にしたんです。

THE SiX BULLETS

——後ろに「…」が付いているイベント名は珍しいですよね。

西島 : 「いつまでも世界は…」みんなこの後ろにどんな言葉を付けるんだろう。すごい暗いこと言う人もいれば、音楽の話をする人もいるだろうし、愛の話をする人もいるかもしれない。何にせよ、自分たちなりに考えてくれる。何事もちゃんと考えるようになると、楽しいです。楽しいよね?
ゆーきゃん : ぼくは毎日空回りするほど考えてるから、だいぶ疲れてるけど(笑)。

西島 : そっか(笑)。「世界」って言葉の曖昧なところが好きなのかも。人によっては家から会社までの距離が世界かもしれないし、地球や宇宙規模で考える人もいるだろうし。

——このタイトルの素敵なところは、大喜利のような参加しやすい余白があるところだと思います。

西島 : 当日、紙を置いて書きたい人に「いつまでも世界は…」の後ろを埋めてもらって、ボードに貼ろうと思ってるんです。で、終わった後にtwitterで流させてもらおうかなと。

——大変そうですね。

西島 : でも楽しいと思うよ、きっと。音楽やってる以外の人たちの言葉を聞くなんて友達以外にそんなにないでしょ。

——では最後に、表明文によく出てくる「希望」。西島さんにとって、このイベントが終わった後にどうなることが希望なんでしょうか。

西島 : 本当の希望を言えば、音楽やってるだけで生きていけるようになればいい。それはぼくがなりたいって話じゃなくて、世の中にそうなって欲しいって事です。何か方法はあるんだよ、まだ見つけてないだけで。だからまずはこのイベントをやって、それを見て他にも「じゃあ俺もやる」って人が出てきたら、それに負けじとぼくらも来年やるって、そういうループが出来たらいいなと思います。

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PROFILE

THE SiX BULLETS

西島衛 (Vo、G)
Ryohei Iwaki (B、Cho)
小鳥 (Gt、Cho)
深田和良 (Dr、Cho)

ロックってよく分かりませんけど、多分僕らすごくかっこいいロック・バンドです。京都でくすぶり続けて早50年、そろそろ本気を出そうと思うんです。そうだな、分かりやすく言えば、ポール・ウェラーとプライマル・スクリームを足して2で割った感じ、かな。こういうプロフィールはあまり好感が持てないなと自分達でも思います。ですから、是非ライヴに来て一緒にはしゃいで踊りましょう。実際会ってみたら意外と良いヤツ、みたいな事ってあるでしょう? だから人生は素晴らしい。そして、音楽も素晴らしい。踊れるリズムと伝えたいメッセージがあるなんて、なんて素晴らしい事なんでしょ。

THE SiX BULLETS official HP

ゆーきゃん

富山出身のシンガー・ソングライター。京都で歌い始め、現在は主に東京で活動している。アシッド・フォーク/サッド・コアを体現するようなその声と日本語詩は、聴くものに儚くも強烈な印象を残す。弾き語りのほか、サポート・メンバーを加えたシティ・ポップス・バンド「ゆーきゃんwith his best friends」、関西アンダーグラウンドが誇る鬼才ダブ・トラック・メイカーとのコラボレーション・ユニット「シグナレス(ex.ゆーきゃんmeetsあらかじめ決められた恋人たちへ)」、Limited Express (has gone?)のJJ、PARAの家口茂樹らとのバンド「conterattack from the babymoles」など活動は多岐にわたる。京都で開催されるD.I.Yフェス「ボロフェスタ」主催メンバーのひとり。「生まれ変わったら天使になりたい」と言ったとか言わなかったとか。

ゆーきゃん official HP

INFORMATION

メトロ大學『明日の音楽シーンを切り拓く』
~クリエイター必見!!! 敏腕マネージャーが語る、デジタル時代のミュージシャンシップ~
2012年6月2日(土)@京都METRO
永田純(音楽エージェント, プロデューサー)×ゆーきゃん(シンガーソングライター)
開場 : 17:30 / 開演 : 18:00

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[POWERPUSH]・2016年04月27日・新しい冒険への果敢な挑戦ーーでんぱ組.inc、待望のニュー・アルバムをハイレゾ配信 でんぱ組.incが前作からおよそ1年ぶりのアルバムをリリース。ゆず北川悠仁 × ヒャダインによる「おつかれサマー!」や、漫画家・浅野いにお作詞「あした地球がこなごなになっても」、配信シングルに加え、もちろん新曲も収録された全15曲は、アルバム・タイトルどおり「GOGO」な内容に! どの曲も音がとても緻密なので、ハイレゾでお聴きいただくのがオススメです! でんぱ組.inc / GOGO DEMPA'【配信形態】(左)(24bit/48kHz) WAV / ALAC / FLAC / AAC(右)(16bit/44.1kHz) WAV / ALAC / FLAC / AAC【配信価格】(税込) (左)単曲 324円 / まとめ価格 3,240円(右)単曲 257円 / まとめ価格 2,057円【Track List】 ''01. GOGO DEMPA / 02. 破! to the Future / 03. ファンファーレは僕らのために / 04. 惑星★聖歌 〜Planet Anthem〜 / 05. STAR☆ットしちゃうぜ
エゴラッピン、20周年の軌道を収めたベスト盤をリリース
[POWERPUSH]・2016年04月23日・ルーディ、エレガント、そしてスウィング──エゴラッピン20年目のベスト&カヴァー・アルバム 圧倒的な歌声を持った中納良恵と唯一無二のソング・ライターであり、ギタリストでもある森雅樹によるユニット、エゴラッピン。1996年結成、1990年代後半には大阪から音楽シーンへと颯爽と現れ、今年は記念すべき、活動20年目の節目となる。そんな20周年を迎える今年は全国ツアー「EGO-WRAPPIN' live tour "ROUTE 20 HIT THE ROAD"」や、その集大成ともいえる11月27日(日)の日本武道館公演が決まっている。さて、そんな節目の年に、まずはここにCD3枚組分のベスト盤『ROUTE 20 HIT THE ROAD』がリリースされた。2枚分の内容はいわゆるベスト盤、そして残り1枚分には、デヴィッド・ボウイやカーティス・メイフィールドから、彼らの真骨頂とも言える昭和歌謡、そして“たま”のあの曲まで手がけた、色彩豊かなカヴァー集を併録している。こちらは彼らの音楽的ルーツを反映させたものだとか。彼らのそのセンスを存分に味わうことのできる作品となっている。 EGO-WRAPPIN’ / ROUTE 20
【連載】高橋健太郎のOTO-TOY-LAB ――【第10回】M2TECH「JOPLIN MK2」
[POWERPUSH]・2016年04月21日・高橋健太郎のOTO-TOY-LAB ――ハイレゾ/PCオーディオ研究室――【第10回】M2TECH「JOPLIN MKII」 近年、アナログ・レコードの復権という話題がメディアを賑わせるようになった。日本レコード協会によれば、2015年の日本国内のアナログ・レコードの売り上げは前年比165%に増加したという。アメリカやヨーロッパでも同じような増加傾向にあるという。 僕自身、一時期はCDでは手に入らない古い音源を中古レコードで探すだけになっていたのが、最近はまた新譜をアナログ・レコードで買うことが多くなった。すると、アナログ・オーディオ機器への興味も再燃し、レコード・プレイヤーやフォノ・イコライザーをあらたに買ったりもしている。 デジタル・ファイルによる音楽配信ビジネスに関わっている僕が、アナログ・レコードのファンであるというのは矛盾しているように見えるかもしれない。が、16bit/44.1kHzというCDの規格に疑問を抱いたそもそものきっかけは、アナログ・レコードのサウンドの方が良いと思える作品が少なくなかったからだ。 16bit/44.1kHzのPCMもよりも良い音を求めて、ハイレゾのデジタル・ファイルへ