2年ぶりのニュー・アルバム『キャンプ・パンゲア』!

我らがソウル・フラワー・ユニオンの2年ぶりのニュー・アルバムが登場。昨年7月以降、『死ぬまで生きろ!』、『アクア・ヴィテ』、『ルーシーの子どもたち』の3作のマキシ・シングルに加え、10年ぶりのライヴ・アルバム『エグザイル・オン・メイン・ビーチ』もリリースし、フジロックやKaikoo等のロック・フェスにも精力的に参加してきた彼らの2年を締めくくる集大成版が、この『キャンプ・パンゲア』。もちろん既出シングル楽曲は、全曲ニュー・ミックス。約1年で3回も行ってしまった中川敬へのインタビューと共に、彼らのメッセージとエネルギーに触れて欲しい。時期は遅かったけれど、間違いなく2010年のOTOTOYアワードに選ばれるべき作品である。

ニュー・アルバム『キャンプ・パンゲア』
全15曲収録 BM tunes/XBCD-1034

1. パンサラッサ / 2. ホップ・ステップ・肉離れ / 3. ダンスは機会均等
4. 死ぬまで生きろ ! / 5. 死んだあのコ / 6. 再生の鐘が鳴る / 7. アクア・ヴィテ
8. 道々の者 / 9. 太陽がいっぱい / 10. パンゲア / 11. 千の名前を持つ女
12. スモッグの底 / 13. ルーシーの子どもたち / 14. 続・死ぬまで生きろ ! / 15. 移動遊園地の夜

☆OTOTOYでは、デジタル・ブックレット付き。

『キャンプ・パンゲア』特設サイト はこちら>>>

『キャンプ・パンゲア』から、新曲「パンゲア」の最新ミュージック・ビデオが登場

2年ぶりのニュー・アルバム『キャンプ・パンゲア』を12/15(水)にリリースしたソウル・フラワー・ユニオン。そのニュー・アルバムから、新曲「パンゲア」の最新ミュージック・ビデオの販売が決定。ミュージック・ビデオも、彼らの大切な作品である。その出来映えを、下にあるパンゲアTrailerでチェックして、色鮮やかな映像の片鱗を感じで欲しい。もちろん、現レーベル“BM tunes”からの全映像作品もラインナップされているので、チェック!

中川敬へのINTERVIEW

Soul Flower Unionが現メンバーとなって初のフル・アルバムとなる今作『キャンプ・パンゲア』、この収録曲リストの中にドキっとする流れを見た。4.「死ぬまで生きろ! 」5.「死んだあのコ」6.「再生の鐘が鳴る」。人は死ぬまで生き、死んでしまっては生きられないという、ごくごく普通の当たり前のこと。その後に、再び歩き出す人を描く「再生の鐘が鳴る」を置く。この歩き出す人は、死んでしまった「あのコ」なのか、「あのコ」の家族なのか。きっとそれを中川敬に聞いたなら、「思った様に感じとってくれ」と言われてしまうだろう。この三曲以外にも今作はストーリーを思わせる楽曲が多いが、どれもはっきりとした結末は見せない。聞く側に考える素材として風景の描写を与え、それぞれの人生にひっかけて曲に自分のストーリーを乗せられるように。

私はこのアルバムを聴きながら、「魂は本当に揺さぶられるもんなんだな」と知り、そのことで、人の中に確かに魂というものがあるということも知った。恥ずかしながら、少し泣きもした。自分の中にある記憶をあらゆる歌詞に重ね、色んな人達を思い出すことが出来たからだと思う。きっと5年後、10年後に聴くと、また違う人達を思い出すのだろう。聴く人それぞれの記憶と想像力で完成するこの作品を、どのような心境で、彼のどの記憶を元に作ったのか、リーダーの中川敬に話を伺った。

インタビュー&文 : 水嶋美和

頭で考えて変化するのではなく、邂逅の繰り返しの中、自然と変わっていく感じ

——今作のタイトルはどういう風に付けましたか?

中川 : アルバム・タイトルは完成間際に考えたんやけど、ミックスを終えた全曲をあらためて聴いて、「今作は何を歌ってるんやろう?」って客観的に考えた時、ふと前作の続き、『カンテ・ディアスポラ2』っていう感じがしてね。前作と同じように人々の離散、移動、ディアスポラについて歌ってる。でも、さすがにその名前じゃ、ね(笑)、「パンゲア」っていう曲もあるし、そこに“キャンプ”って言葉をくっつけて“キャンプ・パンゲア”という場所を空想で作ってみようと思ったんよね。

——“パンゲア”って、今分かれている大陸が元々繋がっていた、その大きなひと塊の大陸の名前ですよね。かなり壮大な意味をもつ言葉ですが、その言葉を使おうと思ったのは?

中川 : 重厚なメッセージとかがある訳じゃないよ。遊び。繋がったり離れたりしてる、自分達が住んだり移動したりするこの陸地に、今の人間は国境線を引いて、くだらない争いを繰り返してる。しかもみんな元々は“ミトコンドリア・イヴ”(アフリカにいたとされる全人類共通の祖先にあたる古代の女性の名称)の子孫で、いわば親戚。まあ、「中川敬が作った新たな軍事基地」で、飲み屋しかない、9割方はお姉ちゃん、みたいなことでもいいし(笑)。もっと単純に「パンゲアにキャンプをしに行こう」、あるいは、“キャンプ”って言葉の語源には“野営地”“仮の宿”ということもあるから、「仮の宿としてのパンゲア」でもいい。いろんな風に感じてもらってええよ。

——アルバムを作る時はコンセプトを先に立てますか? それか、ある程度曲がたまったところでアルバムにまとめる?

中川 : 曲がたまればアルバムにする。ただ、俺が歌詞を書いてるわけやから、アルバムが出るまでの2年ないし3年間で、俺が見てきたもの、出会ったもの、そういう諸々が音楽に映り込むよね。だから結果的にいつも、1つのコンセプト・アルバム的なものになる。

——ではこの2年間、どういう出会いがありましたか?

中川 : この2年は忙しかったよー。ライヴやフェスも多かったし、合間で作曲やレコーディングしてるから、常にソウル・フラワー・ユニオンが動いてる感じやったね。子供と公園にも行かなあかんしね(笑)。だから、「旅」らしきものは、祝島と辺野古ぐらいかな。

——辺野古! “Peace Music Festa! ”、盛り上がってましたね。中から見てどうでしたか?

中川 : そう、今回は特に素晴らしかった! 今回で5回目やってんけど、今までは"基地建設反対色"がどうしても前面に出て。それ自体は当然のことでもあるし、もちろん今回もそれが軸にあることは変わらないんやけど、もっと沖縄の中にある種々の事情に寄り添いながら、音楽の力で、立場を分ける者同士の邂逅する場にしよう、というのがあった。ある種、"推進派"と"反対派"の間に壁が出来てしまってるけども、今回の“Peace Music Festa! ”ではその壁を打ち壊すことに成功した。音楽で突破した。意見の違いはとっぱらって、まずは音楽をもってして辺野古の浜に集まろうって。ここで簡単に言い表せない感動があったよ。素晴らしかった。

——いろんな人がブログで「一生忘れない」って書いてましたね。人との出会いが強く反映された曲は今回のアルバムにありますか?

中川 : 各曲解説的な限定した言い方はしたくないんやけど、まず、知り合いが亡くなったり、ファンの女の子がまだ30歳やのに癌で亡くなったり、この2年間は死に関わることが多くてね。死というのは当然すごく悲しいことではあるけど、逃れようのないこと。生物はいつか死ぬねんなっていうことを教えてくれる瞬間でもある。だからネガティヴな意味だけじゃなく、命というものについて考えさせてくれる貴重な瞬間でもあるよね。

——シングルにもなっている「アクア・ヴィテ」は訳すと“生命の水”だし、「死ぬまで生きろ! 」なんてタイトルそのままですよね。

中川 : あと、「死んだあのコ」。この曲は、先日癌で亡くなったファンの女の子に出会って書いた曲。彼女が危篤状態の時、たまたま仕事で東京にいた俺は、お見舞いに行くことが出来て。もう意識不明の状態なんやけど、お父さんとお母さんはすごく明るく振る舞ってくれて「中川さんが来てくれた! 」って喜んでくれて・・・。自分も人の親になると、子供が親より先に逝くっていうのは想像を絶するというか、あってはいけないこと。あと、その頃ちょうど、沖縄戦や、米占領下の沖縄について調べてて。そこには同じく子供たちの受難がたくさんあるわけよ。今の日本人にはほとんど知らされてないけど、とんでもなく酷いことが沢山起こってた。そういう中、<死んだあのコ>は亡くなったファンの女の子だけの話ではなく、複数の情景が重ね合わさった、普遍的な曲になっていった。だから、曲順的に、この曲の後に「再生の鐘が鳴る」がないと駄目やったんよ。

——「死ぬまで生きろ! 」 「死んだあのコ」「再生の鐘が鳴る」のこの流れはタイトルだけ見ても結構ドキっとしてしまうんですけど、このアルバムの中ですごく大事な流れだなと思いました。曲順はそういう風に意味を持たせることが多いですか?

中川 : 歌詞の流れもあるけど、もちろんそれだけじゃない。ミックスが終わってから、いつも20、30通り、とにかく聴きまくって試してるよ。

——20、30通り! 麻痺してきませんか?

中川 : もう本当にイヤになる(笑)。「今日もまた中川敬の唄、聴かなあかんのかよ〜」(笑)。でも、それぐらい聴いてると、説明不能やねんけど「これや! 」っていう曲順になる瞬間がくる。もちろん、部分部分に意味を持たせてる所もある。基本的に俺もヘヴィー・リスナーやし、曲順ってすごく大事なんよね。だから意味性というよりは、言語化不能な、しっくりくる曲順を探し続けるんよね。

——「続・死ぬまで生きろ! 」が、最後の「移動遊園地の夜」の前に流れますが、あのサビが延々と続くイメージが、アルバムにストーリーを加えている感じがしました。この曲は重要な役割をしてるなって。

中川 : 実はこの曲、録音が終わった段階では発想もなかった。ミックス中に時間が出来たから、他の曲で使ってる音をこの曲に移植編集しまくって出来た曲。アルバムにうまくはまれば、一つの映画的物語性が浮上しないかなって。最後のシーンに「続・死ぬまで生きろ ! 」が来て、エンド・クレジット・ロールに「移動遊園地の夜」が来るイメージ。まあ、他のメンバーが何て言うかなーぐらいの、遊びのノリで作ったんやけどね。

——「移動遊園地の夜」もそうなんですけど、『キャンプ・パンゲア』の曲は心象風景をそのまま投影した感じの歌詞が多いですよね。

中川 : さっき話した 「死んだあのコ」もそうやけど、実在する人物がこのアルバムの中にはたくさん入り込んでて。最後の「移動遊園地の夜」もそう。7、8年前、ツアーでフランスに行った時、郊外のある小さな街の広場で、ちょうど在仏クルド人たちがデモをやってて、そばにあった移動遊園地のすぐ横でへジャブを被ったアラブ系のおばちゃんがすごい疲れた顔をして座ってたんよね。それと、2年前にイスラエルによるパレスチナ空爆があったけど、そのすぐ後にイスラエル大使館前でデモがあった。そこにもヘジャブをかぶったおばちゃんがいっぱい集まってて。曲を書いてる時にふと、それらの情景を思い出した。あと去年、不法滞在してた夫婦が強制帰国させられて、子供だけを日本に残すっていうニュースがあった。日本の、先進国とは思えない酷い難民施策。そういった諸々が混ざり合いながら、自分の中の記憶と映像を頼りに、勝手にストーリーが立ちのぼってきたんよね。子供と引き離された、ヘジャブを被ったおばちゃんが、移動遊園地の横で「はー、疲れた」っていう顔をしてるシーンから始まる話。それが「移動遊園地の夜」。全てがそういうわけではないけど、今回はそういう作法の楽曲が多い。短編映画を作るような感じかな。

——中川さんが初めて曲を作ったのはいつですか?

中川 : 中学3年生ぐらいやから、もう30年前。

——最初からギターを持って、ロックを?

中川 : そう。単純に「ビートルズ、かっこいい」「ストーンズ、すごい」っていう。「ロック」ということがまずあった。例えば、当時の歌謡曲の歌詞なら内容は恋愛にほぼ限定されるけど、ロックは恋愛以外にもいろんなことを歌う。歌いたいことがあるなら、何でも唄になる。そういうことを先人たちが教えてくれたのが、俺の十代。洋楽の翻訳された歌詞を読みまくったり。だから、自分が歌うっていう行動のルーツには、ハナから当然ロック・ミュージックがあった。それはもう当たり前の概念として刷り込まれてる。

——ギターを持って30年、ニューエスト・モデル結成から25年、ミュージシャンとして長く活動する中で大きなポイントになったことって何かありますか?

中川 : それは当然、色々なことがあったよ。四分の一世紀! (笑) でもまあ、特に自分が大きく変わったなと思うのは、95年の阪神大震災の頃かな。ロックの狭い世界で、偉そうなはねっ返りの20代のガキが、弾きなれない三線を携えて、おじい、おばあの前で、自分の作った楽曲でなく民謡や労働歌を歌いに被災地に行く。でも、楽しませたいということに関しては、ライヴ・ハウスでやってることとそんなに遠く外れてないはずやから、そこで自分はどう立つのか、どう自分を表現するのか、正に試されてるっていう感じがしたね。音楽とは何か、唄とは何か、踊るっていうのはどういうことなのかっていう、根源的なことを考えざるを得ない現場があまりにも多くてね。あの95〜97年頃は俺もまだ30歳前後やったから、自分にとって大きな転機になったね。より音楽が好きになったし、身近になった。

——それ以前、以降でどういう風に変わりましたか?

中川 : はっきりとそこが区切りというわけでもないけど、強いて言えば、それまではまだ、何者かに憧れて音楽をやってるような角度が強かったと思う。聴いたCD、観たライヴ、他のミュージシャンからの影響を強く受けてた。震災以降は、自分の現場で見たもの・出逢いがそのまま自分の音楽に投影されるようになったと思う。頭で考えて変化するのではなく、邂逅の繰り返しの中、自然と変わっていく感じがあった。

——2007年から今作までコンピレーションも合わせて12作というリリース・ラッシュが続いてますが、このペースは今後も保っていくんでしょうか?

中川 : 漠然と、シングルでもアルバムでもいいから、年に二回ぐらいは聴いてくれる人達に新しい作品を提供したいというのがあるんやけど。最近ではマキシ・シングルという形やね。内容は「シングルかよ! ?」ってボリュームやけど(笑)。

——46分以上ありますしね(笑)。じゃあ、これからもこのペースで? 苦しくはならないですか?

中川 : 苦しくなったら出さないよ。曲も、書けない時期は書かないし。今はちょうど作りきったところやから、書けない時期(笑)。手術した後の、眠り続けるブラック・ジャックみたいな抜け殻状態(笑)。でも、そろそろ次のことも始めてるよ。貧乏暇なし! (笑)

「パンゲア」のミュージック・ビデオはこちらから>>>

▼ソウル・フラワー・ユニオンの映像作品

▼Live Information

◎イベント『FM802 ROCK FESTIVAL“RADIO CRAZY”』出演 !

2010/12/30(木)@インテックス大阪
w / 奥田民生 / OGRE YOU ASSHOLE / CRAZYMAN CLUB BAND / 毛皮のマリーズ / 小林太郎 / 斉藤和義 / 高橋優/ チャットモンチー / 怒髪天 / Droog / the HIATUS / 布袋寅泰 / 真心ブラザーズ / モーモールルギャバン / PONTIACS / ONE OK ROCK 他

◎ソウル・フラワー・ユニオン ニュー・アルバム『キャンプ・パンゲア』発売記念地方巡業 -アコースティック編-
[出]ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン(中川敬・リクオ・高木克)

2011/1/12(水)@滋賀 酒遊館
2011/1/14(金)@愛媛 松山ブエナビスタ
2011/1/16(日)@兵庫 加古川 ギャラリー&サロン 日本堂
2011/1/19(水)@神奈川 藤沢 虎丸座
2011/1/20(木)@東京 吉祥寺 弁天湯

▼PROFILE

ソウル・フラワー・ユニオン

80年代の日本のパンク・ロック・シーンを語るには欠かせない存在であったメスカリン・ドライヴとニューエスト・モデルが合体する形で、'93年に結成。'95年、阪神淡路大震災を機にアコースティック・チンドン・ユニット“ソウル・フラワー・モノノケ・サミット”としても、被災地での演奏を中心に精力的な活動を開始。'99年には、韓国にて6万人を集めた日本語による初の公演を敢行。トラッド、ソウル、ジャズ、パンク、レゲエ、ラテン、民謡、チンドン、ロックンロールなどなど、世界中のあらゆる音楽を精力的に雑食、それを具現化する祝祭的ライヴは、日本最強のオルタナティヴ・ミクスチャー・ロックンロールと評される、唯一無二の存在として、国内外を問わず高い評価を得ている。

オフィシャル・サイト http://www.breast.co.jp/soulflower/
オフィシャル Twitter http://twitter.com/soulflowerunion
オフィシャル myspace http://www.myspace.com/soulflowerunion

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インタヴュー

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筆者について
水嶋 美和 (bobbiiiiie)

酒と音楽と漫画と映画とお笑いに囲まれながら、何かしらとにかく書き続ければと思います。

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