TRASH-UP!! × OTOTOY連載企画『メッセージ・フロム・アンダーグラウンド』第6回ーー音楽と生活が交差するライヴ・イベントとは?

遠藤妙子による連載企画『メッセージ・フロム・アンダーグラウンド』。被災者支援、反原発や憲法改正について日常の中で表現しているミュージシャンにインタヴューをする企画だ。第6回はミュージシャンであり、Kit Galler運営者でもある松田“chabe”岳二とライヴハウス下北沢THREEのスガナミユウの対談をお届けする。

下北沢THREEでは現在、毎月9日に入場無料のパーティー、<9 PARTY―NINE IS A MAGIC NUMBER―>を開催している。このパーティーは生活の中で平和と戦争について考えるべくスタートしたイベントだ。パーティーに参加した人それぞれが自分で社会について考え、少しでも生活の一部にしてほしい、行動につながってほしいという2人の思いが込められている。

音楽と世の中の交差点である<9 PARTY―NINE IS A MAGIC NUMBER―>は一体どのようなイベントなのか、遠藤妙子が迫った。


『TRASH-UP!!』との連動企画「message from underground」

message from undergroundとは
トラッシュ・カルチャーを追求する雑誌『TRASH-UP!!』と音楽配信サイトOTOTOYが、共同でお送りする企画「message from underground」。ライターの遠藤妙子が被災地支援や反原発の活動をしている表現者達に取材、インタビューを掲載しています。表現者たちが何を思い、どのような活動をしているのか。普段は日のあたりにくいアンダーグラウンドからの発言を見逃さないように!!

TRASH-UP!! とは
「TRASH-UP!!」(トラッシュ・アップ)は、既成の概念にとらわれることなく、さまざまなトラッシュ・カルチャーを追求していく雑誌です。


>>TRASH-UP!! Official HP

>>第1回 悪霊のインタヴュー記事はこちら<<
>>第2回 KO(SLANG)のインタヴュー記事はこちら<<
>>第3回 西片明人(東北ライブハウス大作戦代表)のインタヴュー記事はこちら<<
>>第4回 大熊ワタルのインタヴュー記事はこちら<<
>>第5回 リクルマイのインタヴュー記事はこちら<<

INTERVIEW : 松田“chabe”岳二(Kit Gallery)×スガナミユウ(下北沢THREE)

久しぶりになってしまいました、「メッセージ・フロム・アンダーグラウンド」。今回は対談です。ミュージシャンでありKit Galleryを運営する松田“chabe”岳二と下北沢THREEのスガナミユウの登場。今年の4月から毎月9日にTHREEでフリーパーティー『9 PARTY―NINE IS A MAGIC NUMBER―』をスタッフと共にスタートさせたスガナミユウ。パーティーのきっかけを作り、音楽を軸足に社会と対峙し自身の考えを発信している松田“chabe”岳二。9 PARTYの「9」とは平和と戦争放棄を記した憲法9条のこと。だからこのパーティーもハッピーなムードに溢れている。フラリと立ち寄れ至福の音楽を楽しめる、街と生活の延長上のパーティーだ。街と生活の延長上のパーティー。それは当たり前であるはずなのに、政治的ともとられるリスクを背負いパーティーを続けるのは、より楽しく、より良く生きていきたいから。その為に何をするか、きっかけを見つけてほしいから。社会がどうなろうとパーティーを続けなきゃいけないし、続けられる社会でなきゃいけない。ライブハウスで何ができるか。私たち自身も考えていくことだ。(対談が行われたのは9 PARTY3回目と参院選を控えた2016年6月末日。時間差がありすみません。もちろんパーティーは続いている)

インタヴュー& 文 : 遠藤妙子
写真 : 三島タカユキ

平和と戦争を考えるパーティーをやりたいなって思ったんです

ーー9 PARTYはスガナミさんを中心に下北沢THREEが企画していて、ライヴハウスがこういうパーティーを企画するのって珍しいし凄くいいですね。7月の参院選に合わせてスタートさせたパーティーなんですか?

スガナミユウ(下北沢THREE、以下、スガナミ) : そうなんですけど、元々はチャーベさんが作った「NINE IS A MAGIC NUMBER」のプラカードを見た時に何かやりたいって思って。去年の夏に代田橋のFEVERの近くのカフェRRでプラカードの展示をチャーベさんがやっていて、プラカードはその前から知ってたんですけど、改めてそこで見て、平和と戦争を考えるパーティーをやりたいなって思ったんです。ポップでキャッチーなデザインで、デ・ラ・ソウルからきてるデザインですよね。こういう感じならガチガチにならずにパーティーができるんじゃないかって。

ーーじゃ、プラカードは選挙に合わせたんじゃなく、以前から作っていたもので。

松田“chabe”岳二(Kit Gallery、以下、チャーベ) : 2008年ぐらいに作ったプロジェクトの一環なんです。そのちょっと前から世の中はヤバイんじゃないかって思い始めて。2001年の同時多発テロがデカくて。グローバリゼーションの歪みを感じて。僕、当時、パリの五月革命の写真集とかを集めていて。不謹慎なんですけど、カッコイイなって思った。The Clashをカッコイイと思うように。そこからインスパイアされて僕なりにキャッチ―にやってみようって。

ーーその頃から憲法9条の必要性を感じて?

チャーベ : 9条って笑っちゃうぐらい理想論なわけじゃないですか。けど、そういうものがあってもいいでしょ、あるべきでしょって。その頃に読んだ山口瞳の「卑怯者の弁」って本にも凄く影響受けて。日本は戦後70年、ずっと憲法や安保のことを引きずってるわけじゃないですか。変えた方いいって人と変えない方がいいって人。その本は、要は卑怯者でいいじゃんって言ってるんです。丸腰の何が悪い? 一番強いじゃんって。もちろん時代は変わってるんで今はその本で言ってることが全てではないけど、凄く影響受けた。

ーーそして2008年にプロジェクトをスタートさせた。

チャーベ : なんか、怖かったんですね。世界が戦争に向かってると感じて。ヨーロッパでは宗教がらみだったり、アメリカでは聖書至上主義みたいなのがあったり。アメリカに行くと職業は人種によってバキーンって分かれてるし。日本ってアメリカの後を追ってるから、そうならなければいいなって思って。その後に東日本大震災があって。みんなが社会のことを身近な問題として考え始めた。

スガナミ : そうですね。僕も震災がデカいです。

チャーベ : 自分がデモに参加するとは思ってなかったよね。あと僕は出身が広島で母親は被爆してる。それもあって考えるようになったのかな。

ーースガナミさんは社会的なことを意識するようになったのは震災が大きくて。

スガナミ : ですね。僕は出身が福島で、震災があって二日後に地元へ行ったんです。東京から小山に住んでる友達のとこまで電車で行って、そこから友達の車で迂回して行って。夜中で、道路の電気は切れてるから車のヘッドライトで進んで。道路の脇に瓦礫が積み重なっているのだけが見えて、着いたら自分の家も半壊になってた。余震が不安だったけどその壊れかけの家で寝て。朝起きたら街の光景にびっくり。友達に会いに行ったらなぜかそいつ焼肉食ってた(笑)。「戦場へようこそ」って言いながらね。なんかもう、テンション的に食うしかないっていう。すぐにみんな集まってミーティング。仲間の家を直したり瓦礫を撤去したり。それを二週間ぐらいやって…。

ーーすぐに友達同士でそういう動きをしたの、凄いな。

スガナミ : もうやるしかないし。友達同士のコミュニティーはあったんで。で、東京に帰ってきたら反原発デモが始まっていた。僕は元々西荻WATTSのパンクのシーンにいたんですけど、デモには当時の仲間がかなり来ていて。

チャーベ : 俺もしばらく会ってなかったミュージシャンやデザイナーの友達とデモで久しぶりに再会した。で、僕やユウくんは人と人を繋げるのが好きなんですよ。SEALDsがDOMMUNEに出た時にライヴで出演したPANORAMA FAMILYは元々ユウくんも仲良くて。DOMMUNEより前に原宿のGalaxyでパーティーあって、SEALDsの子達も集まって。で、僕が「この後、オルガンバーでもやるから」って言ったらSEALDsの子達みんな来て。オルガンバーにはPANORAMA FAMILYもいて。たぶんそれがきっかけでSEALDsのDOMMUNEにPANORAMA FAMILYが出たんだよね。


GROOVE CRUISE(CHILL) / PANORAMA FAMILY

スガナミ : PANORAMA FAMILYが女川の出身で。震災当時、ツイッターとかで励まし合ったりして。彼は当時「ONAGAWA」って曲を作ってるんですけど、そのリミックスを作ったり。そもそもチャーベさんがオルガンバ―でやってるミックスビューティーってパーティーにPANORAMA FAMILYはレギュラーで入ってたんで、僕も遊びに行くようになって。

ーー特に震災以降、人との繋がりは実感しますよね。

スガナミ : ですよね。反原発デモにはみんないて、離れてた人とまた交流を持つようになったり。

松田“chabe”岳二(Kit Gallery)

チャーベ : 僕、デモには人を誘ってなかったんですよ。誘わなくても行ってることが伝わればいいやって。

スガナミ : 居ても立っても居られないって感じもありましたしね。

チャーベ : あった。デモなんか行きたくないけど、それでも行っちゃったし。今はSEALDsみたいな若い子に突き動かされる面も凄くある。

ーーで、チャーベさんが2008年に始めたことが、今、9 PARTYとして具体化されて。

チャーベ : 9 PARTYの9はもちろん憲法9条のことで、護憲は僕の中には凄くあるんですけど、人に押し付けるわけじゃなく。護憲じゃなきゃダメってことを訴えてるわけじゃなく…。 自分の気持ちは表明するけど、押し付けはしない。

スガナミ : 大事なのは「各々で考える」ってことですよね。

ライヴハウスで働いてて思うのは、世の中と離れちゃうってことで

ーーちょっと遡るけど、そもそも2人の出会いは?

スガナミ : 僕が前に池ノ上でバーやってて。その時にチャーベさんがよくいらしてくれてて。

チャーベ : 僕、ずっと池ノ上なんですよ。でも最初に出会ったのはロフト飲み会だよね。

スガナミ : 3年ぐらい前ですね。ロフトのバースペースでロフト飲み会というサロン的なパーティーを毎月やっていて。バンドやDJも出る平日のパーティーなんですが。遊びに来てくれた人に翌月の出演オファーをしていて、チャーベさんにもその流れで出ていただいて。

チャーベ : 面白い人達が集まって、その中心にユウくんがいた。

スガナミ : 9PARTYに関しては、やっぱりデモですかね。普段から遊んでる人とデモで会ったっていうのがデカいです。

チャーベ : デカいね。デモに参加しなきゃダメだとは言わないけど、参加したことによる強度っていうか。そこに行けば友達がいるっていう連帯感は必要だった。で、その後、SEALDsが出てきて、凄く魅力的だったしエポックメイクしたし。自分の世代でもなんかやらなきゃって思いましたね。

スガナミ : 自分の世代でもなんかやらなきゃって思いましたね。

チャーベ : SEALDsは言ってることが真っ直ぐで、しなやかでもあるししたたかでもある。スゲェなって思った。僕はユウくんより年上で46才なんですけど、20才の頃ってバブルだったし、パンクの矛先がなかったんだもん。

ーー日本のパンクは豊かな時代に出てきたわけだし。

チャーベ : 時給は今より高かったしね。経済的な苦労はそんなになかった。それが今ってホントに切実。僕らが実は通ってないことなんですよね。すると逆に響くっていうか。「そうだよ、今だよ」って。SEALDsの前のSASPLの頃、僕、そのデモに一人で行ったんですけど。渋谷のHMVのとこで女の子がスピーチしてるの聞いて号泣してしまって。グイッと掴まれたんですよね。それでゴッチにすぐ連絡して、THE FUTURE TIMESでSASPLの子に僕のプラカード持たせたいって。

ーーそうだったんですか! で、スガナミさんはそれまでも企画はやってきて、9 PARTYならではの意識ってあります?

スガナミユウ(下北沢THREE)

スガナミ : ライヴハウスで働いてて思うのは、世の中と離れちゃうってことで。

チャーベ : 浮世の場所だもんね。

スガナミ : そうなんですよ。普段のしんどいこともライヴハウスは忘れさせてくれる、そういう場所でいいと思うんですけど、それだけじゃないんじゃないかって。自分も働きながら、世の中と離れちゃってるような気がして不自然に感じて。THREEではミーティングをコンスタントにやってるんですけど、世の中で起きてることをちょっとでも話すようにしていて。世の中との距離がなるべくないようにしたいっていうのと、あと、自分達も一緒に学べるようなパーティーがあったらいいなって。実際、9 PARTYをやる時はスタッフ間でかなり議論があったんです。店のイメージにも繋がるし。でも最終的には自分達もわからないことだから経験してみたいって、みんなが言ってくれた。足元から始めてみよう、それが自然だって。

ーー出演者の基準はあるんですか?

スガナミ : ないんですけど、蓋を開けてみたら官邸前とかで会ったことある人ばかりで。誘ってる時は全然意識してないんですけどね。ただ、年代の幅だけは考えてて。いろんな世代の人に出てもらいたいし、いろんな世代のお客さんが来てほしいし。

ーー反応はどうですか?

チャーベ : まだ2回しかやってないんで、客ほとんどいないんだけど(笑)。

スガナミ : 1回目なんかびっくりするほどお客さんいなかった(笑)。

チャーベ : でも、ここから始めればいいって俺はずっと思ってて。毎回必ずいたいんだよね、あの場に。ユウくんのことを見ていたい(笑)。

スガナミ : 見ていてください(笑)。1回目で谷ぐちさんがFUCKERでライヴしてくれて、「この主旨でこれだけ人が入らないの、凄くやりがいあるねー!」って言ってくれて(笑)。それ聞いて本気でアガッて。谷ぐちさんっぽいし、サスガLess Than TVだって(笑)。

チャーベ : ランキンさんがいて、遊びに来てたエマさん(エマーソン北村)がいて。あとね、池ノ上にお弁当屋があって、弁当買いに行ったら「この間の9 PARTY、DJ良かったよ」って言われて。弁当屋のおじさんに。「スガナミって人は面白いね」とも言ってた(笑)。

スガナミ : びっくりしましたよね。

ーーいいなぁ! スガナミさんのブログで、店主催のフリーパーティーのフライヤーを駅前に配りに行ったことを書いてたじゃないですか。そういう行動って街に店を根付かせたいみたいな?

スガナミ : それもありますね。あと、僕達は普段いかに閉ざされた世界の中で告知とかを行なってるんだなって。ツイッターのリツイート数がいくら伸びても、自分たちと同じような趣味嗜好の人しか来ないから。だったら街に出た方がいいんじゃないかって。その時、100枚ぐらい配ったら20人ぐらい来たんですよ。それって普通に告知しても来ない数なんですよ。街には可能性が溢れてるなって。

ーーライヴハウスは街の延長上にあるってことだ。

スガナミ : そうそう。ただ9 PARTYに関しては毎月9日にやるんで、9日が金曜に当たったらどうしようって思いも当初はあって。金曜は官邸前の抗議行動があるし。でも逆にいいんじゃないかって。官邸前とかに行ってるような人は、もうわかってるから。

チャーベ : 既に行動してる人よりも、これからの人を、だよね。

スガナミ : そうそう。なんで9 PARTYをやるのかっていうと、まだそこまで興味のない人達の受け皿でありたいからで。

チャーベ : 層になればいいなと思ってて。デモや抗議行動には怖かったり抵抗あったりして行けない人もいるだろうし。ならばそういう人達に向けてエディケーションしなきゃいけない。最初の一歩は楽ちんであるべきだなって。

ーーあと、音楽という自分が得意とすることで行動したいですしね。

スガナミ : ですね。オファーする時も音楽を中心としたパーティーって言ってます。そこに選挙の話が出ても違和感ないはずだし。

チャーベ : 音楽が好きで来て、来たらなんか気づくっていうか。このパーティーはちょっとでも優しい気持ちになれたら、まずはそれでいいかなって。

ーー9条がそういうものかもしれないしね。戦争放棄や平和ってことを言ってるわけだし。

チャーベ : やっぱりね、僕らみたいな緩い人がいないとダメだと思うよ(笑)。戦う人がいて、緩い人がいて、層になって繋がっていく。僕はそうあってほしい。なんていうか、棲み分けを考え始めてるっていうか。

ーー3.11以降、どんどんフェーズも変わっているからこそ、棲み分けや役割っていうのが明確になってきてる気はします。

チャーベ : 俺ね、震災直後にTOSHI-LOWと口論したこともあるんですよ。それがあったからより絆は深まった。なんか、当時は今より混沌としてたよね。それが段々、自分がやれることがわかってきたっていうか。

ーー私、横山くん(Ken Yokoyama)の武道館のライヴレポ(FOLLOW UP vol.156)に書いたんですけど、横山くんは武道館の前のGardenでのライヴではチャーベさんのラーナーズを、武道館ではSLANGをゲストに呼んだ。チャーベさんもKOさんも、やり方は違うけど世の中のことを考え行動している。違いがあるからこそゲストに呼んだんじゃないかなって私は思ってて。目指すことが同じならやり方が違っていいんだよってことを示したかったんじゃないかって。

チャーベ : あぁ、うんうん。

ーーそれこそ棲み分けができてきてる時期で、それを認め合ってるんじゃないかって。

チャーベ : それはあるかも。今は同時にいろんなことがあるじゃないですか。原発、ヘイトや差別、基地、最低賃金、もちろん政権のこと。ドカッといろんなことがあって、より複雑で、ここは同じ考えだけどここは違うって、対立めいたことも出てくるかもしれない。だからこそ違いを認め合って…。だから9 PARTYは広い視野で、大きな共通項のもとだけでやりたい。人間の基礎っぽい、隣の人に優しくしようよって感覚。戦争と平和を考えるって当たり前じゃん、その当たり前なことを当たり前にやってみようよって。

スガナミ : 政治の話ではないよ、生活の話で人間の話だよっていうね。

チャーベ : そうそう。ましてや右とか左とかの話でもない。

ミュージシャンって、その感覚を本能で話していいと思うんですよね

ーーうん。でね、チャーベさんは2001.9.11があって、社会や政治のことを考えるようになった。自分の表現はそれによって変化しました?

チャーベ : 変わりましたね。表面的には変わらないかもしれないけど、中に隠してあるみたいな。自分の全ての表現にヒントを隠してたり。当時、ブログに毎日一冊本をあげてたんですよ。山口瞳や向田邦子の本の他に右派の本も入れた。自分のブログの中に本質が入ってればいいなって。で、震災があって今に至るわけだけど。今はわりと僕がこういうこと言う人だって認知されてきて。そういうミュージシャンもどんどん出てきて。

ーーミュージシャンがものを言って当たり前だと思うんだけど、ミュージシャンだからものを言うなって考えの人もいますよね。

チャーベ : そういう雰囲気はありますよね。音楽を続けてる人って繊細だしと敏感だと思うんです。世の中の動きに敏感な人が多いはずなんですよ。でもその感覚を、日々の中に埋もれさせているっていうか。しんどいから忘れたくて、没頭するために曲を作ったり。けど本当はミュージシャンって、その感覚を本能で話していいと思うんですよね。ユウくんはね、本能で話せるし行動できる人なんですよ。9 PARTYにしたって思いつきだもんね(笑)。

スガナミ : かもしれません(笑)。

チャーベ : でも本能で話すことは中々できない。僕もできない。難しいことで。だからゴッチはタフだと思いますね。ゴッチが本能で話してるって意味じゃなく。ツイッターのあのフォロワー数で言いたいことをちゃんと言って。

三島(カメラマン) : この前、後藤くんのインタビューを撮影したんですけど、最近ちょっと以前に戻ってるみたいなことを言ってて。ツイッターでスルーされるようになってきたって。震災から5年経って、スルーする体質に戻ってきてるんじゃないかって。

チャーベ : あぁ、なるほど。問題にすらされない感覚。みんなそういうことは避けて、忘れようとして。

ーー絡まれるのも辛いけど、見て見ぬふりも辛いですね。

チャーベ : ちょっと今感じてるのは、ツイッターはそれほど効果的ではなくなってるかな、ちょっと終わりに近づいてるかなって。

スガナミ : ですね。ツイッター、インスタ、FB。それぞれ好きなとこでやってるって感じで。

チャーベ : 居心地のいいとこにね。

三島 : だから駅前のフライヤー配りじゃないけど、街に戻ってきてる感じはしますよね。

スガナミ : しますよね。僕がTHREEで働いてて、場所の磁場みたいなものをどれだけ高められるかっていうのは思いますし。そうだ、9 PARTYの2回目の時、20才の子が来て、選挙権は18才からになったけど、その子達にとっても初めての選挙で。どうしていいかわからないって言うから、比較できるように教えるから誰に投票するか自分で選んでみなって。そういうのが9 PARTYの一番の効能で。

ーー選挙のことを聞ける人が身近にいない若い人は多いと思うし。このパーティーなら聞けるって思ってくれたら大成功ですね。

スガナミ : 生活の中のパーティーというか、音楽と世の中の交差点のようなね。やっぱりみんな街に出てほしいですし。

チャーベ : 街に出て、人と会って何かを見つけて、自分で考えて。僕がデモに人を誘わないのも、人に言われてじゃなく、自分で気づいてやることだと思うからで。僕は発信して受け皿にもなりたいけど、実際にどうするかは本人次第だから。いろんな人がいて、いろんなやり方をしていかないと広がらない。もちろん議論をすることもあるだろうけど、目指すものが同じなら対立して分断するんじゃなく、層になって繋がっていたい。俺にとってECDさんや野間(易通・CRAC)さんはヒーローなんですよ。でも同じやり方をすることはない。自分には何ができるかってことを気づけなきゃ。パンクから学んだこともそれだしね。9 PARTYもまさにそういうものでね。

スガナミ : ですね。自分ならどうするかってとこから始めたんだし。

ーーでは9 PARTYは選挙の後はどうなるんでしょう?

スガナミ : 初めは選挙がある7月で一区切りにしようと思ったんですけど、自分の生活に毎月一回、そういうことを考えたい、取り込みたいってのがあって。むしろ選挙の後に続けることが大事だなと。選挙がどんな結果になってもやってきたことは無駄じゃないし。

チャーベ : 絶対に無駄じゃない。小さなことでも何かは繋がっていく。

スガナミ : 「その後どうするか?」ってことですからね。ちょっとでも希望はあるんだし、希望を繋げていく為にも、9 PARTYは続けます。

遠藤妙子 PROFILE

80年代半ばよりライターとしてパンク・ロック雑誌「DOLL」などで執筆。DOLL廃刊後もアンダーグラウンドで活動するバンドを軸に、ロック・バンドへのインタヴュー、執筆に加え、2011年にライヴ企画をスタート。ライヴ・ハウス・シーンのリアルを伝えていくことを目指し活動。

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20数年にわたり、数々の名バンドを排出してきた至宝のアンダーグラウンドレーベル『Less Than TV』主宰であり、自らも U.G MAN / GOD’S GUTS / we are the world / younGSounds / idea of a joke等のバンドで活躍していた谷口順ことFUCKER、初のソロアルバム。アンダーグラウンドシーンで未だ現役で活動する谷口が、フォークシンガーとして単独で録音に挑んだデビュー作。音楽と生活を赤裸裸に唄い上げた大傑作。

LIVE INFORMATION

<Block Party at 下北沢THREE>
毎週末金曜

<9 PARTY「NINE IS A MAGIC NUMBER」>
2016年11月9日(水)@下北沢THREE
entrance free (+2drink order)
出演 : 松田chabe岳ニ / FUCKER / エマーソン北村 / 抗 抜刀斎 / しいねはるか / スガナミユウ and more

2016年12月9日(金)@下北沢THEREE
出演 : 松田chabe岳ニ / GORO GOLO / CHILDISH TONES / モッチェ永井&TENDERLY'S / A PAGE OF PUNK and more

松田“chabe”岳二

松田“chabe”岳二弾き語り
2016年11月13日(日)うづくしまLIVE@福島市ぎょうざのひぐち
2016年11月14日(月)@新代田FEVER

LEARNERS
2016年11月3日(木)@下北沢BASEMENT BAR
2016年11月16日(水)@下北沢BASEMENT BAR
2016年11月19日(土)@新宿RED CLOTH
2016年11月24日(木)@渋谷ORGAN BAR
2016年11月26日(土)@青森 SUNSHINE
2016年11月27日(日)@仙台 PARK SQUARE

PROFILE

松田“chabe”岳二

>>松田“chabe”岳二Twitter
>>LEARNERS公式ホームページ

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