DJが結びつける、いま最も刺激的なジャズ・シーンの動き──RM jazz legacyハイレゾ配信!

写真 : 日高奈々子

DJの大塚広子によって集められた敏腕ジャズ・プレイヤーたちによる新たなジャズ・グルーヴを創造するプロジェクト、RM jazz legacy。これまで大塚のレーベル〈Key of Life +〉からリリースのコンピ『PIECE THE NEXT』などでその楽曲を披露していた他は、フジロックをはじめ、さまざまな現場でのライヴ活動を行ってきたが、このたびついにアルバム『RM JAZZ LEGACY』を完成させた。彼女が現場で培ってきたアーティストのネットワーク、そこから生み出される感覚の連鎖が結実し、圧倒的な存在感を放つジャズ・アルバムとなった。

OTOTOYでは本作をハイレゾ配信するとともに、ここ数年で、ひとつのジャンルとも言えるジャズの新たな捉え方を示した『Jazz The New Chapter』監修の柳樂光隆をインタヴュワーに迎え、本作に迫った。


RM jazz legacy / RM jazz legacy

【Track List】
01. The Spirit
02. African Water
03. Reborn
04. Footprints
05. Turkish Bath
06. Come With Me
07. Night Flight
08. Let's Stay Together

【配信形態】
24bit/88.2kHz

【配信価格】
単曲 257円(税込) / アルバム 2,056円(税込)

INTERVIEW : 大塚広子

和ジャズ・レア・グルーヴなあのヴァイナルにクレジットされるベテランから、現行ジャズ・シーンにてしのぎを削る若手アーティスト、さらにはインディ・ロック〜クラブ・ジャズ系のフィールドのアーティストまで、さまざまなシーンから演奏家たちを集めたジャズ・プロジェクト、RM jazz legacy(※1)。本プロジェクトは、いわゆる“バンド”というよりも、インタヴュー中にもあるように、DJの大塚広子の“現場感”から生まれ出た様々なシーンやアーティストを結ぶネットワークそのものと言っていいだろう。このネットワークは、ジャズ・アーティスト・サイドはもちろん、おそらくだがDJのサイドにも現行のジャズ・シーンに目を向けさせた動きもある。そして、ここにリリースされたファースト・アルバムも、まさにそうした現場感をそのまま反映したかのような生き生きとしたパワーで溢れている作品となった。ある意味で本作の背景同様の、こうした現行ジャズ・シーンをある種のネットワークとして世界レベルで捉えたムック『Jazz The New Chapter』を監修する柳樂光隆を招いて、本作に関して中心人物の大塚広子に話を訊いた。

※1 : RM jazz legacy参加アーティスト:守家巧(b)、類家心平(tp)、坪口昌恭(p,key,organ)、mabanua(ds)、田中TAK拓也(g)、石若駿(ds)、藤原大輔(ts)、武藤浩司(as)、宮嶋洋輔(g)、藤井信雄(ds)、沼直也(ds)、吉岡大輔(ds)、ペペ福本(per)、山北健一(per)

インタヴュー : 柳樂光隆
文・構成 : 河村祐介
編集補助 : 角 萌楓

大塚広子がジャズ・ミュージシャンのハブであり紹介者であり

大塚広子

──コンピの『PIECE THE NEXT』シリーズと今回のRM jazz legacy両方ともつながっていると思うんですけど、『PIECE THE NEXT』の第1集とこの前出た『PIECE THE NEXT JAPAN NIGHT』。前者はわりと名前の通った人が多いと思うんですけど、後者は「いろんなアーティストを全国から探してきました」という感じがする。RM jazz legacyはまさにこのコンピの感じを自分のプロジェクトとして人を集めて1枚アルバムで作ってしまった感じじゃないですか。

あー! はい。

──大塚広子がいろんなミュージシャンのハブであり紹介者でありっていう感じだよね。それは紹介したいものをコンピで紹介して、さらに紹介したい音をRM jazz legacyで作ってみましたという話なのかなと。

ここに至ったのは『Jazz The New Chapter』の存在がすごく大きいんですよね。柳樂さんとお話するようになって、1990年代や2000年代にもすごい見落としてたジャズの音源があって、そういった音源をいろいろ教えてもらったりとか、あの本が出たおかげで、最近の音楽にすごく興味を持って。

──僕も新しいジャズをプレイしてくれそうなジャズのDJは大塚さんしかいないなと思ってたから、かなり情報交換していたよね。

そうですね。最近の音源にも答えはあるのではないかと思いはじめてた時期で。新宿の〈ピットイン〉とかに行ったり、六本木の〈アルフィー〉でイベント打ったりとか、自然と日本のジャズ・ミュージシャンなんかにも会うようになってきて。そこでまた人づてにいろんな音源を知るようになってきたんです。今までは本当に手の届かないレアものとかのレコードばっかりを追っていたんですけど、それ以外にも「すばらしい音源が一番身近にあったんだ」というのがわかってきたんですね。「これは、わたしの手の中にあるだけでは本当にもったいない、どうしてもたくさんの人に知ってもらいたい!」と思って作ったのが去年の『PIECE THE NEXT JAPAN NIGHT』なんです。

──『PIECE THE NEXT』も、実はありそうでなかったというか、origami系のmabanuaさん、Kan Sanoさんとか、そこに菊地成孔さんとやっている類家(心平)さん、坪口昌恭さん、さらにはSOIL&"PIMP"SESSIONSの丈青さんとか、rabittooの藤原大輔さんや市野元彦さん、ストレートアヘッドなピアノ・トリオで知られている西山瞳さんとか、いろんな場所で、いろんなジャズをやっている人がいろんな世代にいて、それをまとめてプレゼンテーションするような人はこれまでにいなかったんじゃないかと。それは意識的だったの?

意識的でしたね(笑)。それぞれの畑のファンの人に、別の畑の人を知ってもらうきっかけになったらいいな、という気持ちがありました。

──名前の知れている人たちを、別の切り口でまとめた感もあるし、そこに挾間美帆みたいに、当時まだあまり知られてなかった人たちを一緒にプレゼンテーションするっていうのは新しい日本のジャズのシーンを作りだそうとしている感があるもんね。

そうですね。すでに自然にできあがっているミュージシャンのイメージを一度とっぱらって音を並べたときに、なにか音から気づくことがあるんじゃないかって。

「クラブ・ジャズ」フィールドとの距離感、そしてDJと現行ジャズ・シーン

──いわゆるクラブらしいクラブの〈ROOM〉でDJやりながら、ジャズ・バーの〈アルフィー〉でイベントやったり、それも結構前というか、僕が『JTNC』とか作る前からそういうのとかやっていたじゃないですか。

うんうん。

──〈ピットイン〉であった菊地成孔さんのイベントでDJをやったりとか、いわゆるクラブ・ジャズ的な、クラブにいる、ジャズっぽいことをやる人ではなくて、今までのDJがあまり行かなかったような「普通にジャズ・ミュージシャンがジャズをやっている場所」に積極的に出て行ったっていうのがひとつ大きなきっかけだとは思うんだけど。

クラブと、ジャズというのはもともと私のなかでは別にあって、ジャズを探している間にいわゆる「和ジャズ・ブーム」(※2)があって、そこで日本のかっこいいジャズがあるというのを知って。それを〈ピットイン〉とかで生で見てみたいというのが本能的にあったんですよ。そこに行くと、自分のやってきたクラブのフィールドのものとはなにかしら違うものが絶対あるんですよ。それをわざわざ一緒にミックスをするというより、それぞれの魅力をそれぞれの場所にいる人たちにどうやって伝えあっていこうかなっていうのを考えていて。そこに自分の存在意義が見つけられたような気がするんです。

※2 : 2000年代中頃から後半にかけて、海外のレア・グルーヴのように、日本の国内のジャズ・ミュージシャンたちの作品が再評価され、再発なども盛んにリリースされた。

──大塚さんはDJとしても、レア・グルーヴとアブストラクトなダンス・ミュージックを一緒にかける人みたいな感じだもんね。ジャイルス・ピーターソンに象徴されるようないわゆる「クラブ・ジャズ」の感覚はすっぽり抜けてるよね。ジャズのDJよりも、ケンセイさんみたいなDJと選曲のセンスが近い感じする。

そうなんです。ケンセイさんとは東京や地方でも一緒にゲストで呼んでいただいたりしていますが、クラブでやっていて、ジャズというと、「クラブ・ジャズ」の人と思われることが多いんですけど、どちらかというとヒップホップから入っていますし。ジャズはアンダーグラウンド・ヒップホップと一緒にかけることが多かった。

──大塚さんがプレイするのはクラブ・ジャズよりもJディラとか、DJシャドウとか、マッドリブみたいなイメージがあるんだよね。そういえば、森山威男さんとかが出るゴリゴリのジャズ・フェスとかでもDJやってたもんね。

そうですね、森山さん、板橋文夫さんの出演が恒例になっている地方のジャズ・フェスに何度か出演したり、最近は鈴木勲さんとセッションの計画をしていたりします(※3)。

※3 : 本発言の3アーティストは、ともに長いキャリアを持つレジェンド級の日本人ジャズ・アーティストたち。森山威男はドラマー、板橋文夫はピアニスト、鈴木勲はベーシスト / チェロ奏者。

──あとは『The pieces of somethin'else』(※4)には、大西順子とか入っていたり、あと『the pieces of TRIO RECORDS』(※5)もやってたり。

※4 : 東芝EMIが1988年代に創設した〈ブルーノート〉姉妹レーベル〈somethin'else〉音源のミックスCD。
※5 : 和ジャズ・レア・グルーヴの宝庫と呼ばれる〈TRIO RECORDS〉音源のミックスCD.

初めてオフィシャルでCDを出したのが『the pieces of TRIO RECORDS』だったんですよね。その前から、日本のジャズを意識していたんですが、この〈TRIO〉のCDに収録した植松孝夫さんと発売のイベントをさせてもらったり、いまも演奏している人たちと出会って、さっき話題に出てきたフェスに出させて頂いたりだとか。あと、その『The pieces of somethin'else』とか、『The pieces of DIW』(※6)を出したので、その時に1990年代ぐらいの音源もいろいろ聴くようになったりして、そのあたりの流れもあるのかな。

※6 : ディスク・ユニオンの国内制作レーベル〈DIW〉の音源のミックスCD)

「和ジャズ堀り」からRM jazz legacyへ

──大塚さんは昔の日本のジャズをかなり掘っていたイメージがある。

DEV LARGEさんとも地方のレコード店まわりもよくしましたね。石川晶の『バキシンバ』(1970年)、杉本喜代志『バビロニア・ウインド』(1971年)、国安良夫4『THERMAL』(1982年)や……あと森山さんや板橋さん、鈴木勲さんの昔の珍しいレコードもだいたいは普通の値段で地方で見つけました。共演したときにプレイしたりサインしてもらうと「よく知ってるね〜僕ももってないよ|」と言われて励みになっていました。

──そういうジャズの現場に行くようになって、今のミュージシャンとの接点ができて、それが今回のコンピとかRM jazz legacyにつながっている、みたいな感じがすごくあるもんね。割と自然な流れだよね。

それができているといいな、と思って。RM jazz legacyの中で参加してくださった藤井信雄さんも、さきほどの和ジャズの人気盤、国安良夫4『THERMAL』で演奏している人だったりするので、そういうのも自分の中でもうれしいですね。

──最近、大塚さんが一緒にやっている人たちって、mabanuaさんとか、昔の人と接点がないすごく新しい人たちもいるけど、ほとんどは日本のジャズにつながっている人たちという感じがあるよね。だから、DJがやっているのに色物っぽくなくて、石若君だって日野皓正とやっているし、ドラムで入っている吉岡くんとかも、思いっきり日本のジャズのところでやっている人たちだし、DJがつくったちょっと変わったもの感もあるけど、日本のジャズ・シーンど真ん中の人たちが物凄くたくさん入っているから、それが多分おもしろいんだよね。

そうですね、それをわかってもらえるとうれしいですね。

──mabanuaさんがいて、ちょっとディアンジェロっぽいのやっているみたいなのがすごくクローズアップされがちだけど、意外とジャズの中心ところを抑えているのが大塚さんのすごくおもしろいところだと思う。昔、〈schema〉がイタリアのジャズのレジェンドと若い世代とを繋げた感じに似ているけど、誰が見ても今の日本のシーンの中心にいるような人を一挙に集めてやったって意味ではその比ではないよね。

そこの部分のファンといいますか、和モノを掘っていることを知ってくれている人たちにも、わかってもらえたらいいなと思ったので、そこは意識しながらやりましたね。ただ、自分とミュージシャンとの繋がりはあっても、ミュージシャン同士の横の繋がりは私だけの力ではなかなかできないというか、きっかけがないままだったんですけど、自分のイベントでライヴを企画していくなかで、そこで出会ったミュージシャンたちがどんどん次のつながりを導いてくれて、点が線につながったというか。

──大塚さんのRM jazz legacyがきっかけでジャズ・ミージシャン的にもちょっと輪が広がっている感じがあって。RM jazz legacyを聴いていると、DJ発信という部分もあって、踊らせるっぽいコンセプトに見られがちだけど、ソロの部分も結構あるじゃないですか。コルトレーン/ファラオ・サンダース的なスピリチュアル・ジャズっぽいことやっている部分もあって、ジャズ・ミュージシャンが即興をやりたい気持ちも尊重している感があって。

やっぱりジャズはジャズでかっこいいから、ソロも聴きたいけど、そこのバランスの出し方はいろいろ考えますね。あとはやっぱりそれぞれの人の違う面を見たいっていうか、その人の意外性を見てみたいっていう気持ちがありました。

現場感が生み出す、境界なき交流

]

──改めて、まぁ、RMもそうだけどコンピ2作とか見てみると、実は本当に参加しているアーティストは、人脈とかコミュニティみたいなのものも実はバラバラなんだよね。あのコンピに入っているような人たちは、ここ最近、そういうコンピが出たり、俺の本があったり、RM jazz legacyみたいなのがあったりして、すごく意識的にみんな交流を持っているけど、その前はそんなに接点がなかったような人たちが本当に混ざっているもんね。大塚さんが、そのハブになった感はすごくあって。それはやっぱり地方とか回ったりしていろんな人に話を聞いたり、いろいろなライヴハウスに行っていろんなものを観てきたという信頼感があるのかなっていう気がすごくする。

ありがとうございます! うれしい。そうなんですよね、せっかくいろいろな場所に呼んでもらってDJやって帰るだけじゃしょうがないじゃんという気持ちがどこかにあって。なにかしらある場所で得たものを、違う場所の人にも知ってもらいたいという、勝手な(笑)やりがいがあったからこそ続けてこれたのかもしれないですね。例えば「富山のこのバンド良いじゃん」って思っていても、東京では全然まだ知られていないということもありますし、東京で共通認識として「このバンド良いよね」というのがあっても地方では「東京みたいにライヴ見れないし」という現実的な温度差もあったり。それがやっぱり自分のなかでジレンマだったりしたんですよね。で、言葉で言ってもわからないから、やっぱり曲で聴いてもらって、自分の耳で判断してもらったほうが良いのかなっていう気持ちでこういうことをやりはじめたのかな。とくにいままで出会ってきた全国のDJカルチャーと、東京のジャズ・シーン、さらには海外拠点の人まで垣根なく入れたくて。例えば、昔から呼んでくれている富山、北海道、名古屋でそれぞれ共演しているローカル・バンド・メンバーと、〈アルフィー〉でイベントしているときに出会ったハモンド奏者、金子さんや、ニュースクール卒のピアニスト河野さんも一緒にいれたり。

──そういう現場感が形になっているのが一番良いですよね。

その感覚を頼りにやっているという感じなんですけどね。これからの課題としては、コンピに入れた方とか、それぞれ参加してくれている方を知ってもらう情報とかをもっといろいろ届けていけたら、またもっと広がりが作られるかなっていうことを考えてはいますね。

──それにしても、いろいろ広げるために、バンド作ってやってしまおうみたいなのは、ブレイクスルーの方法としてはなかなかすごい(笑)。

でも「DJが曲作りました」という作品は、これまでもたくさんあったと思うんですけど、私個人は正直、そこには興味がなくて。過去にもたくさんかっこいい曲があることがわかっているので、それを探すのが好きというか本職というか。なかなか自分で曲を作るということにまではいかなかったんですけど。このRMはひととの出会いでできてしまったようなもので。曲を作るというより“かっこいい音”=“ミュージシャン”探しに近い。やっぱりそれが好きなんです。

──なんかすごく不思議な感じなんだよね。いままでの、DJがそういうのをやるときって、キャリアのある人が若いミュージシャンに演奏をさせて……みたいな部分あるじゃないですか。大塚さんにはそういう偏った感じは全くないよね。むしろRMは大塚さんよりキャリアのある人がたくさん入っているもんね(笑)。

そうですよね。「こういうのを作ってくれ」というのではなく、かっこいいと思えるミュージシャンたちと出会えたから、あるポイントの要素に合わせてそれぞれの個性をだしてもらえばよかったんです。個の形を保ったまま組み合わせてコラージュしていく。マーチングのリズムにはオールドスクールな音がいいから藤井信雄さんのドラム、とか、スピリチュアルなスタイルだったらガチで藤原大輔さんにやってもらおうとか。そしたら鍵盤の坪口さんが今まで見せたことないマッコイ(※7)のコードやってて、吉岡さんがエルヴィン(※8)みたいになってた……。結果的に想像つかない別の顔がみえたり、むしろそれが素の顔だったり。

※7 : マッコイ・タイナー / ※8 : エルヴィン・ジョーンズ : ジョン・コルトレーンとともに活躍したピアニスト、ドラマー。

──「RM jazz legacyは扱いにくそうな人はあんまり使わない」みたいなことはなさそうだよね。RM jazz legacyは謎なんだよな〜(笑)。誰派閥でも誰人脈でもない世代の異なるジャズミュージシャンを集めてやらせている感がすごいんだよな(笑)。RM jazz legacyはやっぱり大塚さんじゃないと集まらない感すごい(笑)。「1曲ずつドラマー変えるんですけどいいですか?」みたいな感じとか他にないよね(笑)。

「ちょっといま聴きたいから、やってもらいましょっか」みたいな(笑)。

──それが成立してしまうのがすごいと思うんだけどね。やっている側も構えずに楽しくできるし、やりたいことも結構できるし、でも「できあがってくるものは多分普段自分がやっているものとは違うもの」という、それがこの作品だと思う。

そうそう。いろんな感想をメンバーの方にもらったんですけど「これまでなかった感覚が溢れてきて快感!」とか「ほぼ一発どりで、キメ過ぎないバランス感覚とか、人と人のグルーヴがあって本質的に楽しかった」とか。感想がいろいろありましたね。なんか、計らずもって感じだったかもしれないですね。

DJの作る“DJぽくない”ジャズ

写真 : 日高奈々子

──DJっぽくないのがやっぱり良かったんだと思う。「クラブ・ジャズのプロデューサーです」みたいな感じじゃなくて。昔のジャズのプロデューサーみたいじゃないですか。〈ブルーノート〉のアルフレッド・ライオンとかさ。自分の好きなメンバーを集めて、スタジオを用意して、エンジニアを用意して、セッションさせて、それでアルバムつくろうっていうのに近いっていうか。でも、それでもある程度のコンセプトがあって、全部〈ブルーノート〉っぽい音になるじゃないですか。〈プレステッジ〉ではそうはいかない。なんか、そういう古いジャズ好きな人が、ディレクションした感じがある。

それはすごくうれしいですね。レコードオタクだったのが無駄にならなかったかも。

──ちゃんと上から言わずに誘導できている感じが(笑)。そういう人他にいないからね。

最初の段階から何かあるごとにリーダーの守家さんとかなり細かく打ち合わせをつんで、それをもとに現場を仕切ってくれたので、そういう方がいなかったら本当にできていないので良かったです。逆にわたしはフジロック出演の話をつなげたり、ライヴ打ったり、プロモーションの準備する方にも専念できました。RM jazz legacyのやっていることで「こうだったらもっとおもしろい!」っていうこととかありますか?

──1曲くらい歌はあってもいいかなっていう気もするけど、まぁ誰が歌うのかって感じになるし。あんまりね、とってつけたように入っているのもあれだから。すごく思いつきだけど、リミックスとかもいいかなって思うけどね。トラック作り直すっていうよりは、リズム・セクションだけ何人か変えて、とか。あんまりない組み合わせがまたあるとおもしろいだろうね。

そうですね。おもしろいですね! また新たな楽器構成とか意外性のある内容を準備したいです。

──大塚広子は本当にすごいと思っていて、何をやっても本当に角が立たないんですよ。だから本当に、そのときの興味でやりたいことをやったらいいと思うんですよ。結果的にそれはジャズ・シーンにもプラスになると思うので。

柳樂光隆が語るハイレゾ版『RM JAZZ LEGACY』の魅力&聴き所

たしか「Night Flight」は、ディアンジェロの「Spanish Joint」みたいな感覚というのがコンセプトとしてあったみたいで、コンピにも収録されているんですけど、ミックスし直してて。「よりリズムの感じが出るようにした」とからしくて。ディアンジェロの『Voodoo』のドラムのおもしろい感覚がより聴きとれるんじゃないかなと。あとはドラマーが5人がいるので、ドラマーの聴き比べ。全員ドラム・セットのセッティングからして違って、もちろんプレイも違う。わりとそこの部分はDJ向けの感覚で、自由に叩くというよりかはもうちょっとかっちりとしたリズムを叩いていて。そのかっちりしたリズムを叩いてるからこそ出てくる感じがすごいあるというか。例えば、「Let's Stay Together」で石若駿がレゲエ叩いてるんですけど、レゲエのかっちりした感じと、彼の手数が多くて前のめりな感じが出ててそれがすごいおもしろい。あとは藤井信雄さんていうキャリアのあるそれなりの年のドラマーも演奏しているんですが、全然古臭く感じないんですよ、新しい。あとは吉岡大輔さんという類家さんともバンドを一緒にやっているドラマーがいて、彼は30代後半で、いま一番脂が乗っている感じだし。元Phatの沼さんとかもやっていて、いろんな年代のいろんなジャズをやっていた人が入ってて、そこに石若さんとか、mabanuaさんとか新しいところも入ってて。あとは坪口さんも、普段聞けない感じの演奏をしてますね。「引き出された」って言ってましたね。
ハイレゾ版はすごくクリアだと思う。曲の感じがより出るというか。ハイレゾおもしろいですよ。CDで聴くのとはちょっと曲の印象が変わったりすることもあっておもしろい。ハイレゾはアコースティックのいいピアノとか、ウッドベースとかはやっぱりいいですよね。あとストリングスとヴォーカルがすごくいいんですよね。多分伸びていく音が消えていくときとかの細かい感じがすごく出ると思うので。CDだと途中でバッサリなってしまうような、すごく小さい音の消えゆく感じがちゃんと入っている。(談)

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ピーシズ・オブ・ビーナス DJ 大塚広子
RM jazz Legacyの中心人物、大塚広子によるDJミックス。1992年に日本で設立された〈Venus〉の音源を使ったミックスCD。イタリアやアメリカ、日本などのプレイヤーの演奏によるジャズ・トラックを大塚がセレクト&ミックスした作品。彼女のDJとしての手腕はこちらで。

LIVE INFORMATION

GOOD MUSIC PARLOR SPECIAL feat.RM jazz legacy
2016年2月2日(火)新宿Brooklyn Parlor
出演メンバー : 類家心平(tp)、坪口昌恭(key)、守家巧(ba)、横山和明(ds)、河合卓人(vo)、大塚広子(DJ)

チケットの詳細などは下記公演情報ページまで

>>http://www.bluenote.co.jp/jp/event/good-music-parlor

First Album RM jazz legacy Release Live
2016年2月3日(水)横浜 Motion Blue YOKOHAMA
出演メンバー : 類家心平(tp)、藤原大輔 (ts)、坪口昌恭(p,key)、宮嶋洋輔(gt)、守家巧(ba)横山和明(ds)、山北健一(conga)、Omar Gaindefall(djembe)、大塚広子(DJ)

チケットの詳細などは下記公演情報ページまで

>>http://www.motionblue.co.jp/artists/otsuka_hiroko/index.html

RM jazz legacy Special After Live
2016年2月4日(木)町田市 まほろ座-MACHIDA-
出演メンバー : 類家心平(tp)、坪口昌恭(key)、宮嶋洋輔(gt)、守家巧(ba)、横山和明(ds)、大塚広子(DJ)

チケットの詳細などは下記公演情報ページまで

>>http://www.mahoroza.jp

PROFILE

RM jazz legacy

精鋭ジャズ・ミュージシャンによる日本発のグルーヴィー・サウンドを創出するユニット、RM jazz legacy。DJ大塚広子の新レーベル〈Key of Life +〉から2014年発売された『PIECE THE NEXT』に収録され、彼女がDJとしての現場感覚を活かしプロデュースした新曲「Night Flight」は、リリース後まもなくInter FM“Jamie Cullum's Jazz Riot”(BBC Radio 2)のテーマ曲に抜擢され唯一無二のサウンドが注目を集める。2015年2月より多彩なライブを展開し、異例の速さで2015年フジロック・フェスティバルに出演。ロックの会場を圧倒させた。メンバーは、プロデュースにDJ大塚広子、レゲエ譲りのグルーヴとプロデュース力に長けたベーシスト守家巧を中心に、楽曲/環境によりメンバーを構成。圧倒的な存在感を放つフロントの類家心平、確実な技量のベテラン・キーボーディスト坪口昌恭、ヒップホップ以降のクラブ・シーンで引く手あまたのドラマーmabanua、在米10年以上の経験でゴスペル/R&Bシーンを知るギタリスト田中“TAK“拓也、ジャズ界注目度NO.1ドラマーの石若駿をはじめ、藤原大輔(sax)、武藤浩司(sax)、宮嶋洋輔(g)、芳垣安洋(ds)、藤井信雄(ds)、沼直也(ds)、吉岡大輔(ds)、ペペ福本(per)、山北健一(per)、Omar Gaindefall(djembe)といったプロフェッショナルの個性を最大限に活かした人選が特徴。

>>RM jazz Legacy アーティスト・ページ
>>大塚広子 アーティスト・ページ

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インタヴュー

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【EMPiRE】Epsode0.1 外林健太(PHOTOGRAPHER & COSTUME DESIGNER)
[EMPIRE]・2017年10月06日・【EMPiRE】Epsode0.1 外林健太(PHOTOGRAPHER & COSTUME DESIGNER) BiS、BiSH、GANG PARADEを手がけるプロダクション・WACKによる、4組目のアイドル・グループが誕生した。 その名は、EMPiRE!! エイベックス・エンタテインメント株式会社とタッグを組んだプロジェクト「Project aW」として生まれたEMPiREは、BiSHを手がけているチームが担当を行うという。当初はTwitter“10,000フォロワーで顔の公開”という条件で活動が始まったが、謎のフォロワーの買収などにも見舞われつつ、9月28日、ついに全員の顔が公開された。 少しずつ見え始めたEMPiREの動向に迫る連載第2回目は、EMPiREの衣装制作、そしてアーティスト写真などの撮影・デザインを手がける外林健太へのインタヴューを行なった。BiSHでの衣装制作、撮影を通してクリエイティヴ欲求が高まり、次のステップへと向かう外林はEMPiREでどのような活躍を見せ、どのような役割を担うのか。EMPiREへの期待は高まるばかりだ。 インタヴュー&文 : 西澤裕郎 Epsode0.1 :
by 西澤 裕郎
【伝説再来?!】10月の京都には竜が登る!──飯田仁一郎&成田大致〈ボロフェスタ2017〉開催直前対談
[CLOSEUP]・2017年10月06日・【伝説再来?!】10月の京都には竜が登る!──飯田仁一郎&成田大致〈ボロフェスタ2017〉開催直前対談 2017年10月20日(金)から22日(日)にかけて、京都KBSホールとMETROの2つの会場にて開催される〈ボロフェスタ2017〉。 〈ボロフェスタ〉は、知名度の有無やジャンルに関係なく主催者が「観たい! 呼びたい!」と思うアーティストのみをブッキングし、ボランティア・スタッフと主催者が一緒になって、会場設営から一切のイベント運営までを行う、いわゆる“D.I.Y”の精神でつくりあげられている。 16年目を迎える今年は、ヘッドライナーを務める大森靖子やクリープハイプをはじめ、ペトロールズ、H ZETTRIO、BiSH、yahyelをはじめ、ほかにも注目の若手バンドも多数出演。まさにジャンルや世代、シーンをも越えた新しい出会いがあるだろう。OTOTOYでは〈ボロフェスタ2017〉開催を目前に控えたこのタイミングで、主催者のひとりである飯田仁一郎(Limited Express (has gone?))と、数々の伝説的なエピソードを生んできたロック・フェス〈夏の魔物〉を主催する成田大致(THE 夏の魔物)の対
by 西澤 裕郎
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