本場バリを代表する楽団を現地録音、ハイレゾで聴く古典ガムランは、すさまじいのです!

インドネシアはバリの民族音楽、ガムラン。今回はそんなガムランのハイレゾ音源をご紹介。

なぜOTOTOYでガムランを紹介するのかって? このハイレゾ音源、ワールド・ミュージック・ファンはもちろんのこと、ミニマル・ミュージックなどの現代音楽、テクノやエレクトロニカ、それこそタイヨンダイ・ブラクストン『Hive 1』のようなアヴァン・エレクトロニクス・ファンまでを虜にする音楽的なおもしろさ、そしてやばさがあると確信しているからです!

今回こちらで紹介するのは、現存する古典ガムランの最高峰楽団とも言えるティルタ・サリの現地録音音源。演目はレゴン舞踊と呼ばれるバリの伝統舞踏のなかで「レゴン・ラッサム」と呼ばれるものだ。本演目は「長すぎる」という理由でなかなか現地でも完全版が演奏されることがないのだが、今回は世界初となる完全版の配信。しかもハイレゾ版24bit/96kHzでのレコーディング。ハイレゾ版ならではの倍音や立体感はいわずもな。もはや「体験」と呼ぶにふさわしい作品となっています。

さて本作を紹介するのにあたって2人の水先案内人の文章をここに。ワールド・ミュージックの造詣も深いDJのShhhhhから、OTOTOYで行ったハイレゾ試聴を経ての推薦コメント、そして本作のレコーディングを敢行した、〈ジュクン・ミュージック〉の小谷野哲郎による紹介文を現地の録音風景とともにお送りしよう。ちなみに小谷野哲郎は自身もガムラン集団ウロツテノヤ子を主宰、さらにバリ舞踏家でもあり、インドネシアと日本の文化交流を行っている人物だ。


Tirta Sari / レゴン・ラッサム完全版 (Legong Lasem Lengkap)(24bit/96kHz)

【Track List】
01. Legong Lasem Lengkap
02. Sekar Gendot

【配信形態 / 価格】
24bit/96kHz(ALAC / FLAC / WAV) / AAC
2,700円(アルバムまとめ購入のみ)

Shhhhhからの推薦コメント

「ホントにヤバイんで楽しみにしててください」と滞空時間にして影画師の川村亘平斎から言われて1年以上待った音源がこれです。今作をハイレゾでしかるべき環境で"体験"した衝撃は忘れられない。迫り来る音の塊と粒に身体ごとえぐられ、曾祖父くらいまでの記憶を掬われた。DJやってると音楽に対して新しい / 旧いという判断基準に陥る。ワールド・ミュージックという批評体系は"現地"や"空気感"をより多く持ち込んだ音像が優先させられる。自分にとってその"新しい"や"現場"といった基準までをも疑えるような音楽体験でした。(Shhhhh / DJ)

ガムランの真骨頂、螺旋状に登りゆく古典の凄み

バリ島のガムラン音楽といえば、もちろん伝統の民族音楽ではあるわけなのですが、博物館のなかで大切にに保管されているような類のものではなく、いまなおどんどん新曲も毎年作られています。さらに新しいタイプの楽器まで日々開発されているという、現在進行形で生きている、最先端の音楽なのです。バリの若い兄ちゃんたちも、ガムランのチームで演奏することがカッコ良くて、女の子にもモテる! という、まるでロック・バンドをやったらカッコ良いというようなノリでガムランを演奏しています。

1931年にバリのガムランの楽団が初めて、フランスのパリで海外公演を行って以来、海外でもそのときどきの最先端のアーティストの刺激となり、クラシックから現代音楽、ミニマル・ミュージック、ジャズなどなどに、ガムラン音楽は多大な影響を与え続けています。でも、そんな最先端の音楽の基本にあるのは、やっぱり古典。バリ・ガムランの特徴である、フレーズの繰り返しを続けるうちに螺旋状に上がっていき、いつの間にか異次元に連れて行かれてしまっているような、そんな展開はやっぱり古典がその真骨頂。時代を超えて伝えられてきたものには、新しいものが真似ようと思っても決して真似することのできない凄さ、奥深さがあります。

ガムランを奏でる大小様々な打楽器群

今回の録音はガムラン楽団数多しといえども、歴史と伝統に裏付けされた本物の古典を演奏することのできる、バリの中でも数少ない名門中の名門、ティルタ・サリ楽団による古典宮廷舞踊の名曲の完全版。バリ島でも短縮版ばかりが演奏されるようになって、完全版の上演機会は大変少ないのですが、今回はあえて完全版。聴いていると、完全版ならでの巧みな展開でいつしか深みにはまり、次から次へと押し寄せる音の波にただただ心地よく翻弄されるばかり。これぞガムラン音楽の真骨頂。古典でありながらもまったくいろあせることなく、いま最先端の音楽としてここにあることのできるもの凄さ。とにもかくにも、この音の波に身を任せて、異次元へと連れて行かれてしまう経験を是非とも味わってみてください!

text by 小谷野哲郎

KEYWORDS

【ティルタ・サリについて】
ティルタ・サリは、バリ芸能を世界に広めた立役者であるプリアタン村プリ・カレラン王家の当主であったグンカ・マンダラ翁によって1978年に設立されました。当時廃れかけていた古典的なガムラン楽器、レゴン舞踊の伴奏に最適な愛の神のガムラン「スマル・プグリンガン」を復興させ、プリアタン王家に連綿と伝えられてきた伝統レゴン舞踊の継承を目的として一躍世界的に有名になりました。日本やアメリカをはじめ、数々の海外公演をこなすバリを代表する楽団であると共に、本物の伝統あるレゴン舞踊を今に継承しているバリでも稀少な楽団です。

【レゴン舞踊について】
今やバリ舞踊の代名詞ともいえるレゴン舞踊ですが、「レゴン・クラトン=王宮のレゴン」ともいわれるだけあって、元々王宮で育まれてきた芸能です。17世紀にバリ島中部スカワティ王家の一族の王が夢で見た天女の踊りを再現しようとしたのがその始まりと言われ、当時少年に天女の仮面をつけて踊らせたというその仮面がスカワティ地方の王宮跡に建てられた寺院に今も残っています。最初はストーリーのない抽象性な舞踊でしたが、やがて王宮のお抱え楽師たちによってストーリー性のある部分が付け加えられ、様々な物語を演じつつ舞うものとして、王宮を訪れた賓客たちに向けて披露されるようになりました。様式として、まず物語とは関係のない雅やかで華やかな舞踊を見せるパートにストーリーを描きます。レゴン舞踊の担い手は、舞踊教師にその才能を認められた子どもたちのみが習うことを許され、幼少より王宮に住まわせられつつ芸を身につけていきました。成長して王の側室となる例も少なくなかったようです。このように王宮で生まれ育まれたレゴン舞踊をいまだにその歴史と共に継承している地域や楽団はバリでもかぞえるほどしかありません。ティルタ・サリ楽団はスカワティ王家の流れを組むプリアタン村プリ・カレラン王家直属の楽団として数百年の歴史を背負いながら後継者を育成し続けている、いわばレゴン舞踊プリアタン流宗家といった存在です。

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筆者について
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