沢山の新しい音楽を発見したんだ──ジェイムズ・ブレイクも参加のマウント・キンビー新作ハイレゾ配信

マウント・キンビー(カイ・カンポスとドミニク・メイカー)

ジェイムズ・ブレイクのキャリア初期のコラボレーターとしても知られるカイ・カンポスとドミニク・メイカーによるマウント・キンビー。2013年、名門〈ワープ〉に移籍後リリースした『Cold Spring Fault Less Youth』から、約4年、ひさびさに新作『Love What Survives』をリリースする。すでに先行リリースされているジェイムズ・ブレイクとのひさびさのコラボーレートもすでに話題になっているが、前作『Cold Spring Fault Less Youth』からまたもサウンドを大胆に変えてきた。OTOTOYでは本作をハイレゾ配信するとともに、インタヴューをお届けしよう。


Mount Kimbie / Love What Survives(24bit/44.1kHz)

【Track List】
01. Four Years and One Day
02. Blue Train Lines (feat. King Krule)
03. Audition
04. Marilyn (feat. Micachu)
05. SP12 Beat
06. You Look Certain (I’m Not So Sure) (feat. Andrea Balency)
07. Poison
08. We Go Home Together (feat. James Blake)
09. Delta
10. T.A.M.E.D
11. How We Got By (feat. James Blake)
12. SP12 Beat (Part 2)

【配信形態 / 価格】
WAV、ALAC、FLAC(24bit/44.1kHz ) / AAC
単曲 288円(税込) / アルバムまとめ購入 2,571円(税込)

INTERVIEW : MOUNT KIMBIE

ポスト・ダブステップの象徴的な作品となった1st『Crooks & Lovers』。簡単に言ってしまえば、アンビエント&チルアウトな空気感をダブステップへと呼び寄せた革新的な作品と言えるだろう。その後、2013年、彼らは名門〈ワープ〉へ移籍し、リリースした2nd『Cold Spring Fault Less Youth』をリリースした。このアルバムでは、チルなポストダブステップ・サウンドのある種のオリジネイターでありながら、そこには止まらず、テクノ〜ポストロック的なサウンドなどを取り入れ、まさにガラリとサウンドを変化させ、それでもなお高い評価を受けた。そしてここにリリースされた新作は『Love What Survives』はこれまた新たな展開を見せている。ここまでに行われてきた大量のライヴ活動のフィードバックからか、リズムはよりダイナミックに波打っている。そのあたりは、ビートに溢れるクラウトロック的なモータリック・ビートの大胆な援用もあるかもしれない。もはや“ポスト・ダブステップ”という言葉では、全く捉えることのできない、新たなサウンドを獲得しているのだ。本作の配信とともに、こちらオフィシャル・インタヴューが届いた。おそらく本人たちの言葉は、本作で起こった変化に関して、その解明にヒントを与えてくれるだろう。

文・構成 : 河村祐介
通訳 : 原口美穂

変化と前進を経て今活動を続けて存在できていることを表したタイトル


──『Love What Survives』というアルバム・タイトルをつけようと思ったキッカケはなんですか?

カイ : アルバムの内容がなにかというと、変化なんだ。僕たちは長い間一緒に音楽を作っているわけだけど、音楽はもちろん変化したし、それは良い変化だと思う。僕たちは、絶えず前進しているからね。その変化と前進を経て今活動を続けて存在できていることを表したタイトルなんだ。

──前作『Cold Spring Fault Less Youth』では、〈Tempest〉のアナログ・ドラムマシンをレコーディングで使用したそうですが、今回の『Love What Survives』では〈KORG〉のDELTAとMS-20というシンセを使ったそうですね。あなたたちにとってアナログ機材の魅力とはなんでしょうか?

カイ : サウンドがどうというよりも、それを使って作業するのが好きなんだよね。自分の脳と手が繋がっているから、DELTAとMS-20で作業をすると頭の中がそのまま表現できる感覚がある。アナログだとアクシデントや思ってもみなかったことが起こることも多いし、それが新しいアイディアに繋がることもある。そこが魅力だね。

──ドミニクはアメリカに移り住んだそうですが、その理由を教えてください。また、移り住んだことで『Love What Survives』の制作にあたえた影響はありましたか?

ドミニク : そうなんだ。彼女がLAに住んでいるから、僕も引っ越したんだよ。それまではブライトンに住んでいたんだけど、ちょっと飽きていたんだよね。だから変化も求めていたのもあって、LAに引っ越すことにしたんだ。LAのスタジオにカイが来たときのライティング・セッションで最初のアイディアがいっぱい出てきたんだけど、その時に、離れていても制作できることに変わりはないと思った。引っ越してからもLAとロンドンを往復してるし、それぞれ違う場所で生活しているから、お互いに新鮮な世界観や視点をシェアすることができる。それはすごく良いことだと思うね。

──『Love What Survives』は、資料によれば「これまで自分たちの成功の基盤だったものをすべて払拭することからはじまった」とのことですが、何を払拭したのか具体的に教えてください。

ドミニク : 主には、曲の作り方だね。なにで音楽を作るか、どうやって曲を作るかといったこれまでに築き上げて来た曲の作り方があったんだけど、今回はそれを更新したかったんだ。だから、さっきも話したように、新しい機材を使って新しい分野を探索してみたんだ。慣れるまでに時間はかかったけど、すごくエキサイティングだったよ。

──逆に、払拭されていないもの、変わっていないものは?

ドミニク : 音楽を作りたいという熱意。それは楽曲のライティングのプロセスの上で変わってないし、それがあったからこそ新しい機材に挑戦してみたかった。ニュー・アルバムの制作をはじめるまで2、3年のギャップがあったし、その間に変化もあったけど、お互いこれまでにやってきたことにとらわれず、自由にやりたいという考えは同じだった。話していて内容も、以前なにをやったかというトピックよりも、まだやったことのないことはなにかっていうトピックのほうが多かったしね。作りたいという気持ちが変わらなければ、なにを作りたいか、これまでになにを作ってきたかを把握しておくというのはそこまで重要じゃないと思う。

──2、3年の間の変化とは例えばなんですか?

ドミニク : 個人的には、僕は沢山の新しい音楽を発見したんだ。新しいエリアとかアーティストとか。それが直接今回のアルバムに影響していなくても、2人ともそれにすごく興奮してた。それ以外は、マークとアンドレアがバンドに入ったこと。4人でライヴをやるっていうのは、もっとおもしろいし、前よりも自分たち自身がパフォーマンスを楽しめるようになった。レコードにも参加してもらってるし、一緒にツアーに出るのがすごく楽しみなんだ。

自然の流れでコラボレーションが実現するんだよ


──もともと親しかったジェイムス・ブレイクやキング・クルールに加え、ミカチューやアンドレア・バレンシーといった人たちも参加しています。この4人が参加することになった経緯を教えてください。

ドミニク : オーディション(笑)。

カイ : ははは(笑)。ジェイムズとキング・クルールは前にもやったことがあったし、ミカチューは友だちで、彼女のことはいつもすばらしいアーティストだと思っていたから、彼女が乗り気になってくれて、緊張もしたしうれしくもあった。アンドレアも同じ。アーティストに参加してもらうときは、曲が完成してから「さぁ、誰に歌ってもらおうか」という感じではないんだ。作業しているトラックがあって、たまたまわりにそれに合いそうなアーティストがいて、頼んで参加してみてもらう。そんな自然の流れでコラボレーションが実現するんだよ。

──アーティストに自分たちがなにを望んでいるかを伝えて、それをやってもらうんですか? それとも彼らに任せる?

ドミニク : コラボする相手に何かを期待することはないんだ。ただプロセスをエンジョイしているだけ。皆才能があることはわかっているから、その才能を自分たちの音楽に入れて混ぜてくれればそれでいい。

カイ : トラックを、僕たちでは思いつかなかった新しい方向に導いて欲しいという期待はあるかもね。

ドミニク : 確かに。

──あなたたちはダブステップのシーンから出てきたバンドですが、ダンスフロアとは一定の距離がある音楽を鳴らしてきたと思います。そしてその距離は、クラウトロックの要素が色濃い『Love What Survives』でより広がったと感じました。昔ほど、クラブ・ミュージックへの関心が強くないのでしょうか?

カイ : 最初の頃は、ふたりにとっても、ダンス・ミュージックは音楽を作りたいと思わせてくれる大きなインスピレーションだった。その当時でさえもクラブ向けに音楽を作っていたわけではないけど、それから約10年、ダンス・ミュージックは変化したと思う。エレクトロニック・ミュージックでは色々とおもしろいことも起こっているけど、まったくおもしろくないものも同時に起こってる。僕たちはもともとひとつのシーンだけと繋がりたいわけではないけど、おもしろくない音楽をみていると、前ほど興味を持たなくなってしまって。もっと他のエリアを試してみたくなったんだ。他になにかおもしろいものを見つけられるか、作れるかというのはチャレンジでもあるしね。でも、曲の作り方やサウンドのほとんどは同時にバンドっぽいわけでもないし、完全にその要素がなくなっているわけではないよ。ダンス・ミュージックでも、自分たちがおもしろいと思うものは聴くし。

──キング・クルールが参加した「Blue Train Lines」のベース・ラインやドラムが、ジョイ・ディヴィジョンに通じるように思えて面白かったです。ポスト・パンクはよく聴きますか?

カイ : もちろん。あの曲は、他の曲に比べて若干構成がもっとトラディショナルで、ヴォーカルが多い。ジョイ・ディヴィジョンのような音楽は、自分たちで曲を書き始めたときからずっと聴いているんだ。でも、今やっとそういった影響が入ってこれるスペースを僕たちの音楽が持てるようになったんだと思う。あと、ジョイ・ディヴィジョンやファクトリー・レコードも、当時面白いエレクトロニック・ミュージックに囲まれながらもバンドとして存在していた。そこがお互いに共通する基準点に自然になっているんじゃないかな。

──「Marilyn」のドラムにジャズの要素を見いだしたのですが、ジャズの影響はどれくらい強いですか?

カイ : ジャズは好きだし、聴くよ。レコード・コレクションにもジャズは沢山あるし、影響も受けていると思う。でも、ジャズに影響されてなにかを作ろうと考えたことはない。やっぱり、音楽を作るときはベストなものを作りたいんだ。僕たちはジャズ・ミュージシャンではないから、ジャズを取り入れようとすると中途半端になってしまう。沢山聴いているからサウンドからヒントを得ることはあるかもしれないけど、ジャズ関連の何かを作りたいとまでは思わないね。

──『Love What Survives』の随所で見られる、どこか湿り気のあるリヴァーブやエキゾチックなサウンドは、ジョー・ミークを彷彿させるものだと感じました。ジョー・ミークの作品や、彼がプロデュースした作品を聴いたことありますか?

カイ : あんまり。むしろ、今から開拓できる新しい音楽だね。

アメリカのデッカい音楽シーンで名前を知ってもらえたというのは良かった


──「SP12 Beat」や「Delta」などのタイトルは、それぞれE-mu SP-12とKORGのDELTAという機材が由来だと思うのですが、こうした遊び心も面白いと感じました。曲名をつけるときは、あまり深く考えないほうですか?

カイ : そう。機材の名前だよ(笑)。タイトルは考えはするんだ。それが簡単なときと時間がかかるときがあるんだよ。インストの曲の場合は、歌詞がないからあまり考えないかな。インストこそ良い意味で決まった内容がないし、タイトルでそれを決めつけてしまいたくはないんだ。音を聴いて、みなに自由に解釈して欲しい。だから機材の名前を付けたり、凝ったタイトルは付けないようにしているね。

──『Love What Survives』を聴いて、あなたたちの音楽は様々な要素が溶け合っているとあらためて実感し、その特性は着実に進歩しているとも感じました。あなたたちなりに、こういう音を作りたいという明確なヴィジョンは見えていますか?

ドミニク : クリアなヴィジョンはないけど、もっと早く次の作品を作りたいとは思ってる。少なくとも、4年よりは短い期間で作りたいな。

──今回は、なぜ時間がかかったのですか?

カイ : 前のアルバムの後、何もしない期間を設けようと思ったんだけど、それが思ったよりも長引いてしまって。だから、制作を始めた時は全てを一からスタートするみたいな感じで、感覚をつかむのに時間がかかった。それで学んなんだ。マウント・キンビーのプロジェクトのためでなくても、アルバムのための曲でなくても、音楽を作るっていう作業は絶えずやっておいたほうがいい。勢いを止めないって大切なんだよ。

チャンス・ザ・ラッパーの「Juke Jam」で、あなたたちの曲がサンプリングされましたが、このことで興味深い反響はありましたか?

ドミニク : 少しはね。アメリカのデッカい音楽シーンで名前を知ってもらえたというのは良かった。非現実的な経験だったし、変な感じだったね。


──それがきっかけで何か変化はありましたか?

ドミニク : 全然(笑)。僕たちと彼らは違う世界に存在してるから(笑)。

──わかりました(笑)。以上です。ありがとうございました。

ドミニク : ありがとう!

カイ : 来日を楽しみにしているよ。

MOUNT KIMBIE 来日情報



LIVE : MOUNT KIMBIE
guest : yahyel

大阪公演
10月6日(金)
@Fanj Twice
OPEN 18:00 / START 19:00
前売TICKET¥6,000 (税込・1ドリンク別途)
※未就学児童入場不可
INFO: SMASH WEST 06-6535-5569

東京公演
WWW & WWW X Anniversaries
10月9日(月)
@WWW X
OPEN 18:00 / START 19:00
前売TICKET¥6,000(税込・1ドリンク別途)
※未就学児童入場不可
主催:シブヤテレビジョン
INFO: BEATINK 03-5768-1277

チケット詳細はこちらのページへ
http://www.beatink.com/Events/Mount-Kimbie-x-yahyel/

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2007年リリース、ここからマウント・キンビーの1stまでが、まさにポスト・ダブステップ出現のプロセスと言えるだろう。ダブステップの新たな成熟を見せたブリアルの2ndアルバム。

PROFILE

Mount Kimbie

ドミニク・メイカーとカイ・カンポスによるマウント・キンビー。かつてジェイムス・ブレイクもライヴ・メンバーとして在籍し“ポスト・ダブステップ”という言葉が広く認知され、ひとつの分岐点を迎えたエレクトロニック・ミュージック・シーンにおいて、中心的な役割を果たしてきた。コーンウォールで育ったカンポス。ブライトンで育ったメイカー。2人はロンドンのサウスバンク大学在学中に学生寮で出会い、当時熱中し始めていたエレクトロニック・ミュージック──とりわけ新興のダブステップ・サウンド──を通じて絆を深めていった。シーンに登場した2009年以来、マウント・キンビーは幾度も予想を裏切りながら、ベッドルーム・スタジオのプロデューサーから、近年最も完成されたエレクトロニック・アルバムのひとつを世に問うたクリエイターへと変貌、ポスト・ダブステップの最右翼として成長を遂げた。先に発表された 新曲にはジェイムス・ブレイクがヴォーカルで参加、ポスト・ダブステップの地平を押し広げた両雄の共演、3rdアルバムによって、マウント・キンビーはさらなる飛躍を遂げた。

Mount Kimbie Official Site

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インタヴュー

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