“なまり”が彩る境界線上のポップス、滞空時間新作を独占ハイレゾ配信──特別対談 : 川村亘平斎 x Shhhhh

川村亘平斎(左)、Shhhhh(右)

OOIOOなどへのガムランでの参加、さらには影絵師としてもceroの「Orphans」のPVにも参加、ワークショップや個展を開催するなど、さまざまな活動を行う川村亘平斎のメイン・ソロ・プロジェクト、滞空時間(便宜上、ソロではあるがほぼ固定のメンバーによるバンド形式)。前作『RAINICHI 来日』から3年振りとなる新作3rdアルバム『ウミトヨル』をこのたび完成させた。ガムランを中心としたアンサンブルながら、いわゆる“ガムラン”のインドネシア古典ではなくどこの国のものともつかない不思議なポップ・ミュージックを奏でる。本作をOTOTOYでは独占ハイレゾ(24bit/96kHz)で配信。今回から加わったスティール・パン、さらにガムランの倍音、その歌声など、ハイレゾでぜひとも隅々まで聴いて欲しい1作となっております。

今回は本作の道先案内人として、滞空時間の音楽性とも共通する、民族音楽とモダンなダンス・ミュージックをDJで結びつけ、プレゼンし続けるDJのShhhhhに登場してもらい、その魅力を語ってもらいました。

滞空時間 / ウミトヨル(24bit/96kHz)

【Track List】
01. BARA
02. WALAK ELELE PART.2
03. BENAYA BENAYA(原曲:Bèlaya Bèlaya by Mahmoud Ahmed)
04. MELATIH
05. MT.WECHIKEP
06. UMITOYORU
07. POLAY


【配信形態 / 価格】
24bit/96kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 359円(税込) / アルバム 2,365円(税込)


対談 : 川村亘平斎 x Shhhhh

滞空時間の下地となる川村亘平斎が創作した「架空の楽園・ワラケ島」に伝わる真珠の儀式と、それにまつわる海と夜の音楽がテーマとなる今作。秋田民謡などを援用した、前作『RAINICHI 来日』よりも、さらなるハイブリッドなポップ度を増した作品となっている。今作ではUAなどのサポートでも知られるスティール・パン奏者、トンチも加わり、インドネシアの青銅打楽器、ガムランの響きを中心にした作品ながら、まさに唯一無二の原産地不明の世界観を示している。

さて本作を紹介する、その案内人として、ひとりのDJに登場願った。兼ねてから、彼らの音源をDJとしてプレイし、その音楽性を高く評価しているDJのShhhhh。dommuneや現場での彼のDJプレイでは、世界中のさまざまな民族音楽やそこから派生したモダンな音楽、またはアップデーテッドなベース・ミュージックやテクノ、エクスペリメンタルな電子音響までをも横断しミックスする。その感覚はやはり、滞空時間の音楽性と共通する部分もあると言えるだろう。ということで、今回は滞空時間の中心人物、川村亘平斎とともにShhhhhの対談をお送りしよう。

取材 / 文 : 河村祐介

楽器で選ぶというよりも、人で選ぶというか

 

──まさに話のつきないおふたりという感じだと思うんですが。

川村 : 結構付き合いも長いよね。

Shhhhh : OLAibiかOOIOOのとき…………たぶん、OOIOOのAYAちゃんから「友人が滞空時間っていうプロジェクトをやってて、ディストリビューションお願いするかも」っていうところからかな。

川村 : 1stが2011年とかぐらいかな。そのあとは2nd『RAINICHI 来日』の前後で僕がOOIOOに入って、OOIOOのツアーで、金子さん(Shhhhh)がDJやったり。あと西荻ですれ違うとかね。けっこうあるよね2~3ヶ月に1回ぐらい。

Shhhhh : そうそう。

──滞空時間は、どんな印象だったんですか?

Shhhh : 『RAINICHI 来日』もすごいDJで使ってて、今回もたぶん使うと思うけど。ガムランとか民族楽器とか、そのものになりきっちゃって原理主義に走っちゃうみたいなそういうのは苦手で。そのあたりは亘平ちゃんと前から話してて、感性が似ているところがあって。

川村 : わかる、わかる。

Shhhhh : いわゆるガムランがあってたとしても“ガムラン・バンド”とは言われたくないだろうし。前作まではガムランを使ったジャムという感覚がちょっとあって、今作よりかはちょっと呪術的な感覚がするよね。それはそれで3年前の気分に合ってて。民謡の「秋田音頭」のカヴァーもあったり。それこそ民謡の影の部分みたいなの自分の表現に消化する感覚もすごいなと思って。あとは木津さん(木津茂里、民謡歌手で太鼓奏者、岡村靖幸とのコラボ・シングルも話題に)が太鼓を叩いた曲、「ガムランとパーカッション?」ってワールド・ミュージック原理主義的に疑問に思ったこともあるんだけど、木津さんの太鼓を叩いた曲は完璧にオリジナルな感覚で、ガムランと太鼓がちゃんと鳴ってて。

川村 : あれは木津さんがまずすばらしい音楽家だというのが先にあって。楽器で選ぶというよりも、人で選ぶというか。木津さんだからあれはできたというか。和太鼓をやる人でも、だれでもあれができるかというと違ってて。AFRA(ヒューマン・ビートボックス)、ダスティン・ウォン(ギタリスト)に入ってもらってやったのも、やっぱりその人だからできるというか。

Shhhhh : 民謡、言ってしまえば日本のフォルクローレを導入しようというのは前作であったけど、それはなんか意図があったの? 今作は明確にフォルクローレみたいなものはある?

川村 : 3曲目の「Benya Benya」っていうイナタイ打ち込みの曲は、エチオピアの民謡が元になってる。

Shhhhh : 1曲目でも入ってくる弦楽器ってエチオピアの楽器でしょ?

川村 : あれはねGO(ARAI)くんのヴァイオリン。

Shhhhh : まじか。一本取られた。あの音で、今回エチオピアの要素が……って言おうとしてたんだけど。

川村 : 5曲目とかのイントロで「ブーン」って入ってるのも、GOくん。もう天才。ヴァイオリニストとして正統派のむちゃくちゃうまい人って他にもいると思うんだけど、そういうひとと比べてGO君的には今まで色々葛藤があったみたい。だけど今作の制作あたりで、そういうところから本人的に抜けたみたいで。それこそ、エチオピアの楽器の音だって間違えるぐらい、ある意味でヴァイオリンじゃない音を出している。そういう音をヴァイオリン奏者として前向きに許せるかどうかですよね。あの音は僕が『Ethiopiques』とか世界の音楽を好きなのを知ってて。その前提でふたりで音を作るときに「砂漠の感じ」とか「森にいる感じ」とか注文を出して、いくつかパターンの音を出してもらったなかから選らんで、入れてるんですよね。そういうミックス感。

Shhhhh : それは滞空時間の音楽の魅力の大前提だよね。すでにいま一本取られたって感じ。ちょっと話戻るけど、前作『RAINICHI 来日』もタイトルからして秀逸なんだけど(笑)。前作で日本のフォルクローレも入れて、そのタイトルで、しかもインドネシアの音楽が基礎にあって、うまい逆手の取り方だなと思ったんだけど。

川村 : 『RAINICHI 来日』は滞空時間の音楽というのは、ガムランがインドネシアの楽器で、日本の秋田も、アフリカのエチオピアも守備範囲だっていうところを、はっきり見せたいなと思って作りました。明確にわかる日本のものを入れたり、海外のものを並べなきゃいけないなと思って。それで『RAINICHI 来日』は民謡をやったり、木津さんに入ってもらったりというアプローチで。今回はさらにそれをぼやかして、自分がアーティストであるということにもう少し自信を持ってもいいかもなと。それと日本の音楽という捉え方も、前作は日本の伝統音楽を使うんだけど、もうちょっと日本の現代の音みたいなものに対してアプローチし直したいという感覚を大事にしたという感じかな。

Shhhhh : エチオピアに独特の旋律があって、その“なまり”があって、アジアのものにある“なまり”、それと日本のものにある“なまり”みたいなものをあえてつなげることで見えてくるつながりを『RAINICHI 来日』は意識したと。

川村 : そうやってみえる地図みたいなものを見せたかったんですよ。

譜面にないことを共有して、それを現実に音にしていくんですよ

Shhhhh : 本当に今作は、さらに突き抜けていて。ガムランが一部というか、ガムランの要素は6割くらいの根っこの部分にはあるんだけど、わりと亘平ちゃんの音楽の一部になっているというか。

川村 : 『RAINICHI 来日』までは、ガムランを録音するということに、実は少し懐疑的というか抵抗があって。

Shhhhh : それはもともと伝統的にそういうものじゃないという部分も含めて?

川村 : そこも含めてなんだけど、「音源作ってなんぼ」という価値観だけでは音楽を捉えられなくて。今回は11月からインドネシアに1年行っちゃうし、その前に作らなきゃいけないなという思いと、もっとガムランの古典に対するこだわりに対して、もっと自由なイマジネーションで作れるようになったというか。

Shhhhh : 前作までのほうが、もうちょっとガムランというかインドネシアっぽさを出そうとしている感じがあるような気がして。

川村 : そうそう、かたくなな感じ。

Shhhhh : 新しい作品はもっとガムランが亘平ちゃんの表現の一部になっていると思う。

川村 : 今回はむちゃくちゃガムランもオーヴァー・ダブしてて。ある曲は30トラックぐらい重ねてて、ある意味で30人ぐらいで演奏してて……GOくんが5人で、僕と浜ちゃん(濱元智行)が15人くらいいて、トンチが3人いて……みたいな。そのなかで構造としてのガムランは使うんだけど、それを使って全然違った音楽をやるというのが今回の意識。観念としてのガムランがそこにはあるだけで、音楽の現象としては違うものが出てきてる。

Shhhhh : それは本当に感じる。トンチのスティール・パンとか、GOくんのさっきのヴァイオリンとかも、その融解具合が完璧になってて、どんどんネオな、亘平ちゃんの音楽になってて。そこにはもちろんフォルクローレの香りというのは消えてないんだけど。それは単純にその楽器を使っているからというよりも“なまり”だよね、出てくる音の。

川村 : 滞空時間はみんな仲が良いから「僕たちがおもしろいと思う音楽はこうで」っていう、譜面にないことを共有して、それを現実に音にしていくんですよ。そのグルーヴがかなり偏っててそれがおもしろいんだと思う。

Shhhhh : 滞空時間のレコーディングは「バシっ」て決めるよりも遊びの部分が大きそう。

川村 : (さとう)じゅんこさんにしても、GOくんにしても、彼らに対して、フレーズを具体的に提示したことはなくて。「エチオピアなんだけど、もうちょっと内陸っぽい感じの音」とか、そういう注文をして弾いてもらって「それじゃ、暗いからもうちょい明るい感じで」とか、じゅんこさんにも「西ジャワの感じで」とか言って、注文するんですよ。具体的な音符の並びはほとんどしてないですね。ガムランに関してはがっちりコンポーズしているところもあるんだけど。

Shhhhh : メンバーの頭の中で共通の世界地図がある。

川村 : おもしろい。

ガムランであるとか、そういう“なまり”を捨てずにポップになるのか

Shhhhh : 今回も亘平ちゃんのヴォーカルもじゅんこさんの歌詞もみんな何語でもないんでしょ?

川村 : そう。今回はユニゾン作るところがあったんで、(徳久)ウィリアムスさんもじゅんこさんも、僕が思い付いたやつをカタカナに起こしたやつはある。それはレコーディング用で、ライヴはまた別で、即興的だと思うけど。

Shhhhh : 本当に滞空時間の音楽はヴォーカルも大事だよね。亘平ちゃんとじゅんこさんヴォーカルが入るとさらに違う空間にいける。ふたりの即興の架空の言語はすごく魅力的なでかい要素。

川村 : 僕がナチュラルに音を作るとこうなっちゃうんですけど。まわりの人はすごく理解できないと思うんですよ。

Shhhhh : スタジオで録音してたら、通りかかった他のバンドマンとか「なにやってんだろ」ってなると思う(笑)。

川村 : フィールドで、お祭りみたいなもの、今回はわりかし夜をイメージしてますけど、酋長みたいな人とかメインのヴォーカルっていうのは全体をコントロールする役目だから、コントロールする人のイメージの声っていうところで。それはヴォーカリストを立てるというのはまたちょっと違って。

Shhhhh : 指揮者みたいな。

川村 : 指揮者が行きたいところにバンドがついていくっていうイメージでやってて。

Shhhhh : 伝統なんだか、新しいことやっているんだか、その融解している感覚は自分もミックスCDに“フォルクローレ・パラドックス”っていうタイトルをつけて、DJのコンセプトにしているんだけど、それがまさに滞空時間の音楽性にも当てはまるというか。まさに「やられた!」って感じで。

川村 : ずっとガムランをバリの伝統に則ってやりながら、それと同時に、日本のリスナー……もっというとポップ・ミュージックに関しても、対抗意識みたいなものも、劣等感みたいなものも実はあって。自分が好きな音楽がたまたまポップスではないから。ポップスも好きだけど、明らかに自分のやっているフィールドはポップスじゃないっていうところに区分けされてしまうというのに苛立ちがあって。あくまでもガムランであるとか、そういう“なまり”を捨てずにポップになるのかというのを考えてて。ポップという言葉もすごい幅があって、電子音だって、バンドだって、歌謡だってポップで。インストだってポップなものはあるし。

Shhhhh : それこそボアダムスもポップって言われてたしね。1990年代のボアダムスのいろんな見せ方含めたポップ性みたいなところは、いろいろ亘平ちゃんって引き継いでると思うんだよね。

川村 : それ大石(始)さんにも同じ様なことを言っていただいたことがあって、とても光栄です。

Shhhhh : ヴォーカルの使い方だったりするのかもしれないけど。ちょっとしたふざけ方とか。

川村 : 外し方ね。それは重要だと思ってて、作品に真剣に向き合った結果、30パーセントぐらいボソッと外しちゃう潔さみたいなのが重要だなと思ってて。「ストレートにかっこよくするとポップじゃない」というか「おもしろくないじゃん」みたいなところで。一番かっこいいと思ってたところを、思い切ってなくしてしまうような作業はすごくやっていて。それを「やる」か「やらない」かっていうような、チョイスのところではひとつ今回の作品ではマスタリングをお願いした田中三一さんが結構重要で。70年代から細野さんとか大瀧さんの音源なんかも手がけてた人で。たとえば僕はガムランにリヴァーブをかけるのがすごく嫌いなんですよ。それこそ1990年代のガムランの音源なんかによく深くリヴァーブがかかってて「ださいな」と思ってて。だから僕はかけないって決めてて。でも田中さんはナチュラルに「かけてみていいってこともあるよ」って一言。「かけないっていうのもアーティストの主張として重要。でもかけてみてもいいこともあるんだよ」ってその言葉がなんだかすごく重くて。そのあたりが「ポップになる」ということの境界線のような気がすごくした。そこを許容できるのかどうか、許容した結果も「自分の作品である!」って言えるのかが、ポップ性・大衆性を帯びるのに重要なのかなと。それが今回、自分が超えられなかったポップの境界線かなと。ガムランの原理主義であれば基本リバーブとかははかけないだろうしね。

Shhhhhh : いろいろ融解させてきてるけど「やっぱりガムランにリヴァーブっていうのはない」というのが今回の壁だと。

川村 : それが現象としてひとつわかりやすい部分であって、それを許していく作業、嫌いだったものを許していく作業がポップなんじゃないかなと。それが許容できるともうひとつおもしろいものができるんじゃないかなと。今回はリヴァーブの部分以外のところではかなりの部分でできた感じがしていて、広がっていったのかなと。

Shhhhh : それがポップですよ。

川村 : キワキワで。

Shhhhh : 原理主義から距離をおいてふざけてふざけて、まさにポップになるっていう。

川村 : バリ人が聴いたらこの作品は面白がってくれると思う、そこから日本のところにどこまで引っ張ってきたらポップになるのかみたいな。それがリヴァーブのところまでのキワキワが来たというか。

Shhhhh : あとは時代感みたいなものもあるしね。80年代ワールド・ミュージックな音色や、ニューエイジ的なところもまたリヴァイヴァルしてきてるから、それはそれで時代感的に「あ、このリヴァーヴもありだな」ってなるかもしれないし。とにかくある種の時代感をとらえてるんじゃないかな。

川村 : 時代感は、うん、とらえ“よう”としているところはあると思う。

「ヤバいよ、ヤバいよ」の時代が終わっちゃった

Shhhhh : DJも一緒で、単に「ヤバいよ、こんなの知らないよ」でやってるだけだったら、俺は嫌だし。「コレって前はスルーだったけど今ありだよね」っていう提案するのがよくて。

川村 : 「ヤバいよ、ヤバいよ」の時代が終わっちゃったってことだよね。

Shhhhh : そうそう。そうだね。そういうところで止まってる人もたくさんいるけどね。それだけのシーンというのも実際あるんだけど。

川村 : 「ヤバい」か「ヤバくない」かを知った上で、「ヤバくない」を選択するというところも出したいというか。

Shhhhh : そこはコアな部分で共感できる。

川村 : そう、そこが重要なところだと思う。

Shhhhh : ガムランの展開で言えば、前作よりも今回の方がミニマル感があって、そこにAYAちゃんのベースが重なると、バンドっぽいというか。もっと言うと、ダンス・ミュージックになるって言い切っていいかな。ミニマルのフレーズとベースラインで人は踊るから、その普遍性みたいなところが入って、受け皿が広がったのかなと。

川村 : はっきりとした違いとしては『RAINICHI 来日』と今回の作品では、使っているガムラン楽器の種類が違っていて。今回のはOOIOOの音源に入っているような楽器を使ってて。それはベースとドラムと相性がいいやつ。ガムランに比重があったから前作はベース・ドラムとあまり相性がよくないのを使ってて。今回は音楽のフォームがあって、そこに対して、ガムランをどうやってアプローチさせるかだったので。

Shhhhh : ってことは、高音が鳴るガムランってこと?

川村 : そうそう、低音の方じゃない。前作で使ったガムランはミッド・レンジのものがわりかし多いんだけど、今回はハイ・レンジにガムランがいて、その下にスティール・パンがいるっていう。

Shhhhh : そういえばスティール・パンとガムランを一緒にやる音楽ってないよね。

川村 : ないでしょ、音程がズレてる楽器だし(笑)。トンチがいいのは、トリニダード・トバゴに1年行ってて、鉄の打楽器が鳴り響く音の渦の感覚を知ってるんですね。西洋音楽というかポップスとしてのスティール・パンじゃなく、音程がズレて唸ってる感じの音の渦を体感しているから、ガムランの音の渦のなかで自分のパンがどこに入れば気持ちいいのかっていうのを身体でわかってる。それで滞空時間の音と、なじみがいいんだと思う。

Shhhhh : トンチも1年間現地にいてスティール・パン本場の、かといって原理主義に走らず自分で日本語の歌を載せて自分の音楽を作ってて。融解っぷりもお見事でした。

川村 : そうそう。

Shhhhh : あえていわゆるいまどきのサンプリングとかコラージュがなくても、ここまでコンテンポラリーに聴けるのがすごいなと。

川村 : 唯一、「Benya Benya」だけ、マレー半島的な「ズッズッタカッズッズッタカッズッズッタカッ」みたいなドラムマシンを入れたんだけど。

Shhhhh : あの感じマレー半島っぽい、ださいやつ。シンセのプレセットのやつ。

川村 : でもあれだけですね。この次はしばらく先になるんだけど、これで作ったことによって作りたいものが見え始めてて。「ドラムって一体なんだろう」「R&B、ヒップホップってなんだろう」みたいなことを考えてて。アフリカ的なトラックがあって、歌があってというところと、僕らがやっていることの間を次はみたいと思ってて。ドラムは使わないかもしれないけど、ドラム的なことは使うかもしれない。

Shhhhh : ラテンを聴くと、欧米ロックンロールの二拍目のスネアがださく思えてきたりした時期があった。

──20世紀のポピュラー・ミュージックは、ドラムセットの完成がひとつ大きなシフトになっているみたいな話はありますよね。

川村 : そう、まさに実体験だけど、ドラムとパーカッションのグルーヴって全く違いますからね。なめらかな波じゃなくて、ドラムはファンクというか、ガタピシしてて。リズムを洗練させる、重要な音をアンプしていくと、ドラムになるということなんだろうけど。そういう画一的な洗練みたいなものを今まで僕は否定していて、アンチだからこそこういうアプローチをずっとしてるんだけど。今度はいわゆる洗練と言われているものに対して、どうアプローチしていくのかっていうのを次は考えないといけないと思っていて。そこに真っ向勝負するというのを考えていて。

Shhhhh : 自分はDJで、ここ数年で、逆に4/4のテクノにはまったりできたりして。

川村 : いま逆にそういう流れのような気がするんですよね。また1回転して、そういうシンプルなもののなかにある土着性に対して、僕らみたいな民族音楽好きだった人がもう1度解釈し直すことで、またもう1段おもしろくなるっていう。そんな感じなんじゃないかな。美術の世界にもそういうことが起きている気がする。あとねアルバム作るときはつねに「Shhhhhさんかけてくれるかな」っていうの話ながら作ってる。

Shhhhh : もう、光栄でございます。俺、前にシンガポールでDJで使ったら「これなに!」って聞かれたもん。しかも木津さんとやってる曲。シンガポールでそうなったからなんか感動してもんね。アジアの蒸し暑いなかで滞空時間の“なまり”が鳴るっていうのは。それは今日言いたかった。

川村 : よかった~。それはうれしい。

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PROFILE

滞空時間

インドネシアの青銅打楽器“ガムラン”と“影絵”を駆使して、唯一無二のパフォーマンスを繰り広げる芸術家、川村亘平斎のソロ・ユニット。都市と土着が融合した新たなお祭り空間は、日本のみならず世界中から熱い支持を受けている。2009年にスタートし、現在までに2枚のCDとライブDVDを1枚を制作。2012年インドネシア/マレーシア2カ国ツアーを成功させ、バリライブDVD『ONEGONG』を発表。2013年に2ndアルバム『RAINICHI 来日』を発表。小山田圭吾(cornelius)、木津茂理(民謡歌手)等豪華ゲストが参加、音楽シーンに強烈なインパクトを与える。その年の鎌倉宮薪能では細野晴臣氏と共演し、その後細野氏の主宰するイベントに出演する。2015年、ALMA music boxのコンピレーション・アルバムに参加し、漫画『宇宙兄弟』とコラボレーションしたPVに楽曲提供。2016年7月20日待望の3rdアルバム『ウミトヨル』をリリース。つねに変化し続ける彼等のお祭り騒ぎは、ますます目が離せない。西はアフリカ東は日本、広がる海のシルクロード、移ろい繋がる音と影。AYO!!!!SELAMAT JALAN!!!!!滞空時間 are 濱元智行(GAMELAN)、GO ARAI(VIOLIN)、徳久ウィリアム(VOICE)、さとうじゅんこ(VOICE)、AYA(BASS)、トンチ(STEELPAN)

>>滞空時間 Official Web

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インタヴュー

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by 岡本 貴之
コーネリアス『Mellow Waves』待望のハイレゾ配信ーーエンジニア高山徹ロング・インタヴュー掲載
[CLOSEUP]・2017年10月09日・コーネリアス『Mellow Waves』待望のハイレゾ配信ーーエンジニア高山徹ロング・インタヴュー掲載 2017年6月、Cornelius(コーネリアス)が、『sensuous』以来11年ぶりとなるオリジナル・アルバムをリリースした。坂本慎太郎を作詞に迎えた「あなたがいるなら」、「未来の人へ」をはじめ、“メロウ”と“ウェイヴ”に満たされた全10曲。銅版画家の中林忠良によるモノクロームのジャケットも含め、2017年ひいてはテン年代の代表作になるであろう本作をハイレゾ配信開始する。それを記念し、22歳でフリッパーズ・ギターのレコーディング・エンジニアを務め、今作でもミックス、マスタリングを担当しているエンジニア・高山徹にインタヴューを敢行した。本インタヴューとともに、この大傑作をハイレゾでご堪能ください。 2017年を代表する作品を待望のハイレゾ配信スタートCornelius / Mellow Waves (24bit/96kHz)【配信形態】FLAC、ALAC、WAV(24bit/96kHz)>>ファイル形式について>>ハイレゾとは?【配信価格】アルバム価格 : 2,571円【収録曲】1. あなたがい
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