2022/02/15 20:00
下北沢発、“音楽世界旅行”。とにかく、ただただひたすら、楽しい最高の夜だった。
2022年2月12日(土)下北沢CLUB QUEにて行われた〈Rockin’ Valentine’s Party “L.U.V vs R.A.M”〉。AKIRA、KOZZY IWAKAWA( ザ・マックショウ、ザ・コルツ)、THE ROCKSVILLEによるライヴは、久しぶりの有観客ということもあり、ミュージシャン、音楽ファン双方の喜びが爆発して大いに盛り上がった (以下、セットリスト等ネタバレあり) 。
このライヴは、AKIRA (ラヴェンダーズ)のソロ・プロジェクトAKIRA with THE ROCKSVILLEの1st アルバム『L.U.V』(2021年12月9日発売)と、KOZZY IWAKAWA によるカバーベストアルバム『R.A.M』(2022年2月2日発売)のリリースを記念して、有観客及び有料配信で同時開催されたもの。会場の下北沢CLUB QUEでは、観客の検温、アルコール消毒はもちろん、入口で渡された不織布マスクを受け取り二重マスクをしての入場となるなど、万全のコロナ感染症蔓延防止策を講じた上で行われた。
●第1部
様々な洋楽アーティストの名曲がBGMで流れる中、待ちわびた観客の前にTHE ROCKSVILLEのメンバーと共に黒のスーツとハットでビシッとキメて登場したKOZZY IWAKAWAは、「久しぶり!今日は楽しもうね!」とフロアに向かい一声かけてから「THAT'S ALL RIGHT」でライヴをスタート。トミー神田(Ba)、YAMA-CHANG(Perc)、高木克(Gt)、ブギウギ・ケンタロー(Key)、クニ(Dr)とメンバーを紹介しつつソロをまわすと、自ら「KOZZYー!」と叫んでテレキャスターでロックンロールリフを弾いてから「GOOD OLD ROCK'N'ROLL」の一節を歌い、再び「THAT'S ALL RIGHT」に戻る。37曲2枚組で自身のルーツを表現した『R.A.M』が、腕利きのバンドメンバーとの演奏でより一層深堀りされるであろうことを期待させるオープニングだ。アルバムからの「BAMA LAMA BAMA LOO」へと繋ぐと、「元気にしてました!?心の中でわーきゃー騒いでいると思いますけど、伝わってます!最後まで楽しんでください」とのMCから披露されたのはアルバム1曲目を飾る「FANNIE MAE」。ギターを置き、ハープを吹きながらヴォーカルを取るKOZZYを見ることができた。
3曲を終えると、AKIRAが呼び込まれてステージに登場した。『L.U.V』のオープニング曲「Tokyo Girl」をタイトなリズムと観客の手拍子に乗せて歌い上げる。サビでAKIRA の歌声とKOZZYのコーラスが重なると、楽曲の世界観がより力強く伝わってきた。曲が終わると、ステージ後方でマニピュレーターを務めるフジイセイジによる打ち込みのリズムが流れ出して、アルバムの曲順通りに、ジョン・レノンのカバー「Whatever Gets You Thru the Night」が始まった。この曲がライヴで演奏されるのを初めて聴いたのだが、オリジナル以上にファンキーな16ビートで、最高にライヴ映えする曲であることを実感した。それはもちろん、このバンドメンバーだからこそ実現できること。AKIRAの軽快な歌声も心地良い。この曲をスムーズに歌えるヴォーカリストってそんなにいないのではないだろうか?そんなところからも、ここ数年のライヴ経験と、1stソロアルバムを完成させるまでに至るAKIRAの成長が感じられた。佐藤ナオユキ(Sax)がこの曲には欠かせないサックスソロを聴かせた後、ジョン・レノンとエルトン・ジョンのデュエットさながらにアイコンタクトでファルセットパートを歌うAKIRAとKOZZY。パーティ感満載の1曲となった。
「久しぶり、元気ですか⁉よく来たね!」とフロアと配信の観客に挨拶したAKIRAが次に歌ったのは、「California Girl」。アコギを弾きながらの堂々とした歌いっぷり、KOZZYのギターと高木のスライドギターによる絡みは、下北沢の地下からカリフォルニアの空に飛んで行くようなサウンドスケープで、まさに“音楽世界旅行”だった。そんなイメージは続くカバー「It’s So Easy」も同様だったが、「The Night in the Valley」では雰囲気が一変。同期のビート、くぐもった音のギター、ペダルスティールの音色が作るいなたいマイナーサウンドの中で歌うAKIRAの歌声も妖しげで、ライヴ全曲の中でもかなり印象に残った。
リバーブがかかったヴォーカルでノスタルジックに聴かせた「Remember Me to Myself」から、「まだまだ行くよー!」とのAKIRAの煽りから、ステージ前にトミーが出てきて、太いベースリフから始まる「That’s My Jam」へ。新たに手に入れたという真っ赤なベースがネクタイとコーディネートされていてカッコイイ。熱気が溢れる中、アルバムDISC-1のラストを飾る「恋のヴァレンタインビート」まで、一気に駆け抜けて1部は終了。ここからは換気タイムということで、しばしの休憩となった。
●第2部
休憩明けは、『R.A.M』中心のセットリストとなっており、KOZZYと高木の2人が椅子に腰かけてのブルース「LITTLE RED ROOSTER」からスタート。KOZZYのジャキジャキとギターを刻みながらのシブい歌い回し、高木のクリスタルギターから繰り出されるスライドギターの強烈な音に引き込まれた。AKIRA、バンドメンバーが加わり、ジョン・レノン「CRIPPLED INSIDE」、C.C.R 「LOOKIN' OUT MY BACK DOOR」とカントリーチューンが続いて、KOZZYが「僕の大好きな曲をやります」と紹介してからロッド・スチュワートのカバー「MAGGIE MAY」が披露された。
リラックスしたムードの曲が続いた後は、「ロックンロールするぞー!」と宣言して、「IT'S ALL OVER NOW」でライヴは後半へ突入。各プレイヤーのソロやKOZZYと高木のギターの掛け合いをフィーチャーしつつ、延々と演奏が続く。観客は声は出せないものの、両手を上に掲げて手拍子でバンドを盛り立てて、KOZZYが2015年にリリースした『MIDNITE MELODIES』からのストレートなロックンロール「ROLL WITH ME」が飛び出すと、右手を頭上でグルグル回して盛り上がった。最後はKOZZY、AKIRA揃ってきゅんですポーズを決めて拍手喝采の中、ライヴは終了。かと思いきや、まだまだ続く。KOZZYのアルバム『ROOTS AND MELODIES』からの「SAYONARA」で締めくくったものの、アンコールを求める観客の手拍子は鳴りやまず。KOZZYが『R.A.M』収録曲「TIGER FEET」、AKIRAが『L.U.V』収録曲「Hey Tonight」でそれぞれメインヴォーカルを取って、会場一体となる大盛り上がりとなった。最後の最後は、「MR. MOONLIGHT」でチルアウト。「これを聴きながら帰ってくださいね」と観客に声を掛けるものの、もちろん誰1人帰らず。メンバーがステージ前に勢ぞろいした大団円のエンディングを見届けて、ライヴは終了となった。
オリジナル曲、カバー曲が違和感なく自然に織り込まれたセットリストで、AKIRA『L.U.V』、KOZZY IWAKAWA『R.A.M』の魅力が凝縮された素晴らしいライヴだった。改めて、2枚のアルバムを聴いて 部屋の中でも “音楽世界旅行” してみようと思う。
尚、アーカイブ配信のチケットは2/18(金) 20:00まで販売、視聴は2/18 (金)23:59までとなっている。
取材・文:岡本貴之
写真:山中善正
リリース情報
〈Rockin’ Valentine’s Party “L.U.V vs R.A.M”〉
2022年2月12日(土) 下北沢CLUB QUE
出演:KOZZY IWAKAWA / AKIRA / THE ROCKSVILLE (トミー神田、YAMA-CHANG、高木克、ブギウギ・ケンタロー、クニ、フジイセイジ、佐藤ナオユキ)
DJ: JOHNNY (THE COLTS)
配信チケット:Streaming+
https://bit.ly/3JkIilz 1/12 10:00~2/18 20:00まで販売(アーカイブ視聴は2/18 23:59まで)
〈セットリスト〉
1. THAT'S ALL RIGHT
2. BAMA LAMA BAMA LOO
3. FANNIE MAE
4. Tokyo Girl
5. Whatever Gets You Thru the Night
6. California Girl
7. It’s So Easy
8. The Night in the Valley
9. Remember Me to Myself
10. That’s My Jam
11. 恋のヴァレンタインビート
12. LITTLE RED ROOSTER
13. CRIPPLED INSIDE
14. LOOKIN' OUT MY BACK DOOR
15. MAGGIE MAY
16. NO MATTER WHAT
17. IT'S ALL OVER NOW
18. ROLL WITH ME
19. SAYONARA
EN1. TIGER FEET
EN2. Hey Tonight
EN3. MR. MOONLIGHT