「日本代表としてやっていくんだ」という気持ち──TeddyLoid、2作連続リリース第2弾アルバムをリリース

TeddyLoid

TeddyLoidが『SILENT PLANET』シリーズの集大成として、11月16日に第1弾の『SILENT PLANET: RELOADED』が、そして11月30日に第2弾となる最新アルバム『SILENT PLANET: INFINITY』がリリースされた。前回の『SILENT PLANET: RELOADED』リリース・インタヴューに続き、今作でも本人へのインタヴューならびに作品レヴューをお届けする。

ハイレゾ配信開始!

REVIEW & INTERVIEW : TeddyLoid

TeddyLoidの最新アルバム『SILENT PLANET: INFINITY』がリリースされた。

この作品は、豪華ゲストとともに感情が禁止された惑星を音楽の力で解放する様子を描いた2015年の『SILENT PLANET』と、派生EPシリーズ『SILENT PLANET 2 EP』に続く、シリーズの集大成的な2作品のうちのひとつ。『SILENT PLANET』シリーズの楽曲に新要素や新ゲストを加えて大胆に作り変えた楽曲と、3年間での新たな出会いを反映させた完全新曲が収録されている。本作を前にしてダブステップを基調としたベース・ミュージックとMCによるラップをまとめた『SILENT PLANET: RELOADED』が11月16日にリリースされ、続いてエレクトロ~EDMを基調にした歌モノを収録した『SILENT PLANET: INFINITY』が11月28日に発売となった。中でも『SILENT PLANET: INFINITY』は、この3年の間に『SILENT PLANET』で描かれてきた物語の最終章となる作品だ。

ダブステップを基調としたアグレッシブな音が特徴だった『SILENT PLANET: RELOADED』に対して、『SILENT PLANET: INFINITY』はTeddyLoidのポップサイドが楽しめる作品になっている。まず印象的なのは、冒頭の「Game Changers (LAST BOSS Mix) with 中田ヤスタカ (CAPSULE)」。親交の深い中田ヤスタカとタッグを組んで制作した原曲をまったく新たなサウンドに作り変えたこの楽曲は、TeddyLoidの現在のライブセットのハイライトとなる楽曲のひとつ。今や国内だけでなく海外にも広がった彼のDJセットを通して、『SILENT PLANET』の楽曲が観客と共に成長してきたことを伝える内容になっている。以降も「ME!ME!ME! (INFINITY) feat. DAOKO」、「To The End (INFINITY) feat. アイナ・ジ・エンド (BiSH)」「Forever Love (VIP Mix)」と、序盤は彼のDJセットの今を伝える楽曲が並び、『SILENT PLANET』シリーズの広がりを感じさせるような感覚が生まれている。


TeddyLoid - SILENT PLANET: INFINITY Teaser Trailer

そうした序盤を経て、中盤からは新たなコラボレイターとの新曲が多数登場。「Foolish feat. 元・天才」は、2019年1月に“天才”をやめることを発表したアーティストとのコラボ曲。ポスト・マローンやXXXテンタシオン、リル・ピープを筆頭にした北米のトラップ以降のエモラップ/ラップロックにも通じる雰囲気のサウンドに仕上げている。「N.U.L.L. feat. kradness」では、歌い手シーンから登場したkradnessとのタッグも実現。「Grenade (INFINITY) feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ & サイプレス上野」は、ももいろクローバーZからあーりんこと佐々木彩夏を迎えて制作した原曲に、ラッパーのサイプレス上野が参加し、フューチャー・トラップ風のポップ・チューンにヒップホップの要素を加えている。

8曲目の「Invisible Lovers (INFINITY) feat. IA, 鈴木福 & MASAKing」は、ヴァーチャルアーティストのIAをフィーチャーした原曲に、琴をたしなむ俳優の鈴木福と、TeddyLoidが活動初期にMIYAVIのツアーに参加するきっかけを作ったという電子打楽器奏者のMASAKingが新たに参加。続く「Sleeping Forest (INFINITY) feat. ボンジュール鈴木 & TORIENA」は、ボンジュール鈴木とのコラボレーションだった原曲に、チップチューンアーティストのTORIENAが加わり、ボンジュール鈴木のフェティッシュでエロティックな魅力と、TORIENAらしい8bitサウンドと新たに加えられたVoパート、TeddyLoidの奇抜なエディット感覚がひとつに溶け合っている。「Searching For You (INFINITY) feat. 柴咲コウ & DECO*27」では、TeddyLoidが柴咲コウ、DECO*27と結成したユニットgalaxias!の再集結となった原曲を、DECO*27のギターをより強調して再構築。そして「Above The Cloud (INFINITY) with 小室哲哉 feat. マーク・パンサー」では、小室哲哉とのコラボ曲にglobeファミリーのマーク・パンサーが加わり、音楽の歴史やバトンを繋いでいくことへの熱い気持ちが表現されている。

こうした参加ゲストの顔ぶれから伝わるのは、国内外の最先端のカルチャーを追い続ける彼ならではの、ボーダーレスな音楽/カルチャーへの興味。終盤にはTeddyLoidによるリミックス2曲も収録されているが、『SILENT PLANET 2 EP』シリーズの収録曲となった「もののけ姫 2018 feat. 米良美一 (TeddyLoid EDM Remake)」と、彼の1stアルバム『BLACK MOON RISING』の初回限定盤など限られた機会でのみ入手可能だった「魂のルフラン (TeddyLoid 2014 Remix)」というセレクションが、まさに彼の興味の幅広さを伝えるようだ。ラストを飾るTVアニメ『ファイトリーグ ギア・ガジェット・ジェネレーターズ』のOPテーマ「Winners feat. Reol & Giga」では、ReolとGiga、そしてMVでお菊が集結し、ジャパンカルチャーのひとつ「歌い手/ボカロ」シーンから登場したグループ、REOLのメンバーが再集結。「勝利」への気持ちを歌った楽曲で全編を終える。


TeddyLoid -TeddyLoid - Winners feat. Reol & Giga

ゲストをただゲストとして迎えるのではなく、彼ら/彼女らと「共に」制作して生まれた楽曲は、様々な国やあらゆるジャンル、異なる価値観をひとつに集約した、音楽カルチャーの縮図のよう。そしてそれが、TeddyLoidが多くの仲間たちと作りあげた、音楽そのものへのラブレターのような雰囲気を生んでいることも印象的だ。沈黙の惑星に音楽を取り戻す戦いの最終章という形を取って、3年間続いてきたシリーズの集大成にふさわしい壮大な作品を完成させたTeddyLoidに、作品に込めた思いや、その制作秘話を聞いた。

インタヴュー&文 : 杉山仁
撮影 : 作永裕範

今もアイディアは広がっています

──『SILENT PLANET:RELOADED』でもお話を聞かせてもらいましたが、この『SILENT PLANET: INFINTY』はTeddyさんのポップサイドが詰まった作品になっていますね。まず面白いと思ったのは、1曲目が「Game Changers (LAST BOSS Mix) with 中田ヤスタカ (CAPSULE)」で、“ラスボスから今回のアルバムがはじまる”ことでした。

TeddyLoid : 僕はいつもそうなんですけど、常日ごろアイディアが出てきて、「早く新しい曲を作りたい」とずっと思っているし、既に世に出した曲でも、新しいアイディアが生まれることが多々あって。今回1曲目に収録した「Game Changers (LAST BOSS Mix) with 中田ヤスタカ (CAPSULE)」も、その原型となるリミックスは2015年に出した『SILENT PLANET』のリリース・パーティでも既にプレイしていたんですよ。でも、特にそこからの数年間、僕は海外に頻繁に呼ばれるようになって、これまでなかなか得難かった経験をしたんです。海外のオーディエンスとのコミュニケーションの中で、「こういうドロップを喜んでくれるんだ」という気づきがあったし、各地に行って肌で感じられることがたくさんあって。その中で、『SILENT PLANET』の完成直後に披露していたこのリミックスも、どんどん進化していきました。その集大成、現時点での最終バージョンが今回の「LAST BOSS Mix」なんです。

──2015年の『SILENT PLANET』から約3年を経て、ついにラスボスまで辿り着いたんですね。

TeddyLoid : はい(笑)。この曲を1曲目にしたことにももちろん理由があって、これは、この3年間で出会った仲間が再集結してくれた『SILENT PLANET: INFINITY』の物語とも繋がっているんですよ。よくゲームでラスボスを倒したら、次は「強くてニューゲーム」でまた最初からプレイできることがありますよね。イメージとしてはまさにそれで、最初に強いラスボスを倒して、そこから2巡目の物語がスタートしていく、という雰囲気にしたいと思ったんです。もともと原曲は中田ヤスタカさんとの、トラックメイカー同士のコラボ曲だったからこそ、僕が思う最強のトラックメイカーのひとりで、ラスボスのような存在の中田ヤスタカさんと作った楽曲を、今回は敢えて僕がひとりで決定版として仕上げてアルバムの幕開けにしようと思ったんです。


TeddyLoid - WORLD TOUR MOVIE Music: Game Changers (LAST BOSS Mix) with 中田ヤスタカ (CAPSULE)

──なるほど。そういうことだったんですか。以降も序盤は、2015年の『SILENT PLANET』の楽曲を新たに作り変えた楽曲が続きますね。

TeddyLoid : 次の「ME!ME!ME! (INFINITY) feat. DAOKO」の原曲は、僕の中で最もワールドワイドでヒットした曲で、この曲をきっかけにSpotifyの再生数も増えて、海外へと活動が広がっていきました。今回はその最終版を作ろうと思ったんです。ここから3曲目の「To The End (INFINITY) feat. アイナ・ジ・エンド (BiSH)」と4曲目の「Forever Love (VIP Mix)」までは、ここ数年の自分の国内外のライヴでのハイライトですね。「Forever Love (VIP Mix)」も、ライブやDJを重ねるごとに徐々に変化していったもので、アメリカを筆頭に、旅先のホテルでも徐々にエディットを加えていってこの形になりました。2015年に『SILENT PLANET』を作った当時、あのアルバムは当時の自分ができる最強の作品だと自信を持っていたんです。でも、そこから世界を回って、3年間が過ぎて、自分にまだまだ伸びしろがあることが分かったし、だからこそ今もアイディアは広がっています。

──これまでの3年間で変化してきた楽曲が、冒頭に収録されているんですね。

TeddyLoid : そうですね。まさに僕のここ数年のライヴを擬似体験出来るような「ベスト・オブ・TeddyLoid」になっていると思います。

──一方で、5曲目以降は新たな仲間たちが登場する楽曲が収録されています。「Foolish feat. 元・天才」に参加した「元・天才」さんはどんな風に参加することになったんですか?

TeddyLoid : 最初はあるアーティストに楽曲提供をするための他の曲のセッションで知り合って、作業を共にしながら彼の仮歌を聴いて「すごくいい」と思ったんです。それで、自分のアルバムでも歌ってもらえないかな?と思ったのがきっかけでした。これが今回、最後に決まったコラボですね。最初に(他アーティスト向けの)提供曲を共作したときは、顔も合わせないまま、LINEグループでやりとりして半日もかからずにデモを作って。そのときに作った曲の断片で、最終的には使われなかったテイクをきちんと仕上げて今回の曲になりました。その時点で曲の土台はできていたので、そこに彼がワン・コーラス入れてくれて、僕がトラックを詰めて送って、そこにまた彼が声を入れてくれて、という形で、かなりスムーズに進みましたね。去年からアメリカですごく流行っていたサッドラップを、僕らなりに解釈しようというアイディアだったんです。2017年頃から、北米のラッパーは激しいトラップから、徐々にダウナーなものに変わっていきましたよね。

──フューチャーの「HNDRXX」以降に出てきた人たち、分かりやすく言うと、ポスト・マローンに代表されるような人たちのことですね。

TeddyLoid : まさにそうです。サッドラップの雰囲気を汲みつつ、フューチャートラップの要素を加えた曲にしたいと思ったんです。サッドラップはドラッグの影響も大きい音楽で、リル・ピープが亡くなったりもしました。もちろん、僕自身はドラッグはやらないですが、海外でライブをすることが増えて、現地で彼らのカルチャーの雰囲気を体験する機会があったんですよ。それもあって、僕のサウンドにも取り入れてみようと思っていました。僕はインターネット野郎なので、昔はネットがあれば何でも知れると思っていましたけど、現地で彼らのシーンを見て、その雰囲気を肌で感じる経験は、日本で彼らの音楽を聴くのとはまた違う体験でした。「だから支持されるんだな」ということが分かったというか。元・天才くんには「こんなに地味な曲でいいんですか?」とも言われたんですけど(笑)、こういう曲は日本ではなかなかできないと思うので、そういう意味でも嬉しかったです。元・天才くんも、このアイディアに興味を持ってくれて、「このトラックならすぐにメロディが書けますよ。」と言ってくれました。

──そして次の「Grenade (INFINITY) feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ & サイプレス上野」は、あーりんさんが参加していた原曲に、サイプレス上野さんが加わりました。Teddyさんも含めて、レーベル・メイトが集結した楽曲になっていますね。

TeddyLoid : 僕は去年の年末に『ゆく桃くる桃 ~第1回 ももいろ歌合戦~』に出演して、米良美一さんと「もののけ姫 2018 feat. 米良美一 (TeddyLoid EDM Remake)」をやらせていただいたんですけど、そこでサイプレス上野さんもももいろクローバーZさんとライヴをしていて。そこで、この曲にも上野さんに加わってもらおうと思いつきました。

──上野さんの代名詞のひとつ「よっしゃっしゃす」も入っていますね。

TeddyLoid : 上野さんから「これは入れてほしい」という指定がいくつかあったんですよ(笑)。

──つまり、「よっしゃっしゃす」の指定があった(笑)。

TeddyLoid : はい(笑)。彼のラジオ番組に出演させてもらったときに「一緒に曲をやりたいですね」という話も交わし合っていたので、それが今回実現しました。ただ、この曲のラップを入れてもらった時点では最新のダブステップとMCのコラボレーションを中心にした『RELOADED』の方に入れようと思っていたので、トラックは最初、全然違うノリのものだったんです。でも、入れてもらったラップを聴いて、『INFINITY』に入れた方がよくなるんじゃないかと思って。それでトラックを急遽フューチャーベースに作り変えていきました。

小室さんの意思を僕らが引き継いで、音楽を作り続けていこう、という気持ち

──なるほど。「Invisible Lovers (INFINITY) feat. IA, 鈴木福 & MASAKing」はどうですか? 鈴木福くんが琴で参加している、というのはとても驚きました。

TeddyLoid : もともと僕がMIYAVIさんのツアーやリミックス・アルバムに参加させていただいたときに、それをコーディネートしてくれていたのがMASAKingさんなんです。彼は電子打楽器奏者で、ローランドの「HandSonic」という楽器を開発した人でもあって。原曲の「Invisible Lovers feat. IA」は、もともとインド系アメリカ人プロデューサーのKSHMRがインド音楽を取り入れたEDMを作っているのを聴いて、僕も日本の伝統音楽を取り入れた曲を作ろうと思ってできたもので、ヴァーチャルアーティストのIAちゃんをフィーチャーして、打楽器や笛、琴など和の要素を取り入れた曲でした。それで、最初はIAちゃんとMASAKingさんとの曲にしようと思っていたんです。でも、その作業を進めていく中で、MASAKingさんから、鈴木福くんに琴を入れてもらおうというアイディアが出てきて。福くんは音楽がすごく好きな人で、琴とサンプラーとで一緒に演奏したりもしているんですよ。しかも、それをコーディネートしているのがMASAKingさんなんです。そこで2人とIAちゃんとのコラボ曲になりました。


TeddyLoid - Invisible Lovers (INFINITY) feat. IA, 鈴木福 & MASAKing (STUDIO LIVE)

──日本の伝統楽器と最新技術とが、この曲の中でひとつになっているんですね。

TeddyLoid : そうですね。面白かったのは、鈴木福くんは芸能界の先輩なので、僕はレコーディング中ずっと「福さん」って呼んでいたこと(笑)。そうしたら、レコーディング終わりに、福君が「Teddyさん、次は”福くん”って呼んでください」と言ってくれて。セッション自体も、すごく充実したものでした。このセッションの模様は、後にスタジオライヴ映像として公開される予定です。

──それはかなり気になりますね。一方、原曲ではボンジュール鈴木さんとのコラボ曲だった「Sleeping Forest (INFINITY) feat. ボンジュール鈴木 & TORIENA」は、今回TORIENAさんが加わってチップチューンの要素が加わっていますね。

TeddyLoid : TORIENAちゃんとは最近クラブで一緒になったりすることもあるんですけど、僕ももともとチップチューンは自分の曲に取り入れていましたし、彼女のことはチップチューン・アーティストの中でも飛びぬけてすごい人だと思っていて。彼女はゲームボーイの実機でライブをしたり、曲を作ったりしているのに、音がすごくファットだと思うんですよ。

──チップチューンのコアな部分を大切にしつつ、ポップのフィールドに飛び出している人でもありますよね。チップチューンの裾野を広げている人でもあるというか。

TeddyLoid : そうですね。彼女の曲には色んなジャンルも混ざっていて、しかもシンガーとして自分自身でも歌が歌える人で。それで今回、ボンジュールさんとTORIENAちゃんのデュエットにしたいと思ったんです。トラック的には、冒頭のTORIENAちゃんのパートはチップチューンにして、そこからボンジュールさんのパートに変わると、トラックも生楽器に変わるように構成しました。それで最後は、チップチューンと生楽器が混ざり合っていく。2人は女性クリエイターで、自分でトラックも作れて、歌も歌える人ですよね。そういう共通点を持ちつつも、タイプは全然違う2人に作品の中で共演してもらいました。それから、他に新たなゲストに加わってもらった曲だと、「Above The Cloud (INFINITY) with 小室哲哉 feat. マーク・パンサー」は、原曲とはだいぶ変化しましたよね。この曲は、小室さんと作った楽曲に、globeファミリーのマークさんが参加してくれるという、歴史的な曲になりました。僕はもともと、マーク・パンサーさんがDJとして活動しているのも、作品をリリースしているのも知っていたので、僕の音楽人生の中で小室哲哉さんと作れた曲があるのなら、「そこにマーク・パンサーさんを迎えて一緒にやりたい」と思ってオファーをさせていただきました。

──今回のリリースにあわせて、特設サイトではマークさんがとても感慨深いコメントを寄せてくれていましたね。

TeddyLoid : 僕もあのコメントを読んでグッときてしまいました。ああいう風に言っていただけるのは本当に嬉しかったです。この曲は、今回トラックを全部作り直したんですよ。原曲はもともとBPM128のEDMでしたけど、小室さんと言えばトランスのイメージも強いので、BPM140に速めてトランスへのオマージュを捧げました。そのうえで、小室さんが考えてくださった原曲のメロディは一切崩さずに、彼が弾いてくれたそのままのメロディを使って、僕がバックトラックを作って、マークさんにフランス語でラップをしてもらったんです。そこから、最後にEDMの最先端のトレンドになっているハードダンス風のサウンドに変えることで、時代の移り変わりを表現しました。小室さんが築き上げてくれた日本のダンス・ミュージックを、僕が引き継いで、新しいジャンルをやっていこう、というイメージでした。

──なるほど、この曲構成は、そんな思いが反映されたものだったんですか。

TeddyLoid : なので、ドロップの前に「Thanks TK」という言葉があって、その次に僭越ですが「Next TL」という言葉を入れているんです。小室さんの意思を僕らが引き継いで、音楽を作り続けていこう、という気持ちを表現しました。この曲は、自分としてもとても誇らしい曲になりました。

──そして『SILENT PLANET: INFINITY』の最終曲「Winners feat. Reol & Giga」では、楽曲でReolさんやGigaさんと、MVでお菊さんとのコラボレーションが実現して、歌い手/ボカロシーンから登場したグループ、REOLのメンバーの再集結が実現しました。Teddyさんがサウンドプロデュースを手掛けるXFLAG 制作のTVアニメ『ファイトリーグ ギア・ガジェット・ジェネレーターズ』のOPテーマにも決定しているそうですが、この曲を最後にした理由があれば教えてください。

TeddyLoid : この曲は、一番最初にしようか最後にしようかで迷ったんですけど、やっぱり最後は勝利で、しかも新曲で終わろうということで、「Winners」をラスト曲にしました。僕が楽曲プロデュースでかかわらせてもらったRUANNちゃんのライブに向かったときに、楽屋でGigaくんと対面して、そこから広がったコラボレーションでした。REOLは日本ならではのカルチャーから出てきたグループですし、僕はその中でもREOLに海外の音楽シーンのサウンドに近い雰囲気を感じていたんです。そんな彼らと一緒に楽曲を作れたことが嬉しかったです。

「日本代表としてやっていくんだ」という気持ち

──『SILENT PLANET』シリーズは3年間、Teddyさんとずっとともにあったプロジェクトだったと思うのですが、改めてこれまでの期間はどんなものになったと思っていますか。

TeddyLoid : この3年間は、自分のプロジェクト以外にも、ゆずさんのようにこれまでの自分の音楽性とは違った人たちとの仕事が広がった時期でした。また、それまでDJやライヴは日本だけで行なっていましたが、一気に海外からも呼んでもらえるようになって。この1年は毎月海外のどこかで1~2回はDJをしていました。そういう意味でも、『SILENT PLANET』の楽曲とともに、自分自身も色々と進化した期間だったんだと思います。だから、今回のアルバムは「このタイミングで作った最新作」でもあると同時に、「この3年間で徐々に醸成していった、3年間を記録した作品」という感じもします。その期間の中で、今回『SILENT PLANET: RELOADED』や『SILENT PLANET: INFINITY』に参加してくれた、新たな仲間との出会いがあって、作品の内容も広がっていきました。「その3年間があってようやく完成した作品」だと感じています。

──この3年間での活動の広がりが、今回のアルバムに繋がっていったんですね。

TeddyLoid : だからこそ、今回のアルバムを入口にして、『SILENT PLANET』シリーズの他の曲もあらためて楽しんでもらえるようにしたいとも思っていました。たとえば3部作の映画があって、最新作を観たあとに過去のシリーズをさかのぼっていくことがあるように、『SILENT PLANET』シリーズのこれまでの作品にも、もっと言えば1stアルバムの『BLACKMOON RISING』にもさかのぼって聴いてもらえたら嬉しいと思っているんです。この3年間で周りにいる仲間も増えたし、曲作りに対する姿勢も変わったし、僕自身は曲自体もよりクオリティが高いものを作れるようになったと感じていて。さかのぼって聴いてもらえれば、その変化も伝わると思います。

──最終的に『SILENT PLANET:RELOADED』と『SILENT PLANET: INFINITY』は、国内外を含むあらゆる世代、ジャンル、価値観のアーティストが集結した作品になりました。ここまで様々な人々がひとつの作品に参加することというのは、そうないことだと思います。

TeddyLoid : この3年間、海外での活動に力を入れて来ましたが、でも、ただ海外だけに目を向けたいとも思ってはいなかったんです。僕は日本人として生まれて、「日本代表としてやっていくんだ」という気持ちで活動していて、だからこそ、今回もその両方の側面を作品にするのがとても大事なことでした。どちらかというと、『RELOADED』は海外に向けた作品で、『INFINITY』は国内に向けた作品で──。もちろん、聴く人によって逆でもいいんですけど、僕の中にあるその両方の側面をどちらも表現できるような作品に形にすることが重要だったんです。

──そのどちらもがTeddyさんにとって大切な要素で、だからこそ「その両方の要素を一緒の場所に持ってきたい」「その2つを繋ぎたい」と思っていたんですね。

TeddyLoid : まさにそういうことなんです。たとえば映画など、どんな分野でもそうですけど、すごいプロデューサーはジャンルに縛られないと思っていて。だとするなら、僕は音楽プロデューサーの立場であらゆるものごとの懸け橋になりたいし、色んな人たちを繋ぎたい。国同士でも、異なるジャンル同士でも、あらゆるもののコーディネイターになりたいんです。「音楽に国境はない」という言葉がありますけど、実際は何らかの境界線って、すごくあると思うんですよ。だからこそ、自分の作品ではそのボーダーをすべて取っ払いたいんです。このアルバムでは、新しく出会った人たちにも参加してもらいましたし、自分にとって重要なターニング・ポイントだったgalaxias! で活動を共にしたDECO*27さんのように、仲間との再会劇もありました。今年でTeddyLoidをはじめて10周年になるんですけど、これまでの自分を、すべて詰め込んだような作品になったと思います。中田ヤスタカさんなんて、僕が高校生のときに、Apple 渋谷で出待ちをして握手してもらったりしていた人ですし。その上の世代の小室さんとも音楽を一緒に作る機会に恵まれるなんて、昔は思いもしていなかったですし。今回の2作品を完成させた今も、新しい仲間は増えていますし、新しいアイディアも日々浮かんできているので、今後の展開も楽しみにしていてほしいです。

──最後になりましたが、今回はハイレゾ配信もあるそうですね。ハイレゾならではの聴きどころがあれば教えてもらえますか?

TeddyLoid : 僕が使用しているDAW、Ableton Liveは32bitの96khz等のハイレゾに対応しているので、もともと音質はいいものになっています。しかも今回は、過去の楽曲を新たに作り変えた楽曲でも、1曲1曲もとのプロジェクト・ファイルに立ち戻って24bitの96khzでトラック・ダウンを行いました。
『INFINITY』の方だと、楽器の音がより鮮明に聞こえると思います。「Invisible Lovers」での鈴木福くんの琴などをはじめとして、それぞれの楽器の空気感や解像度を楽しんでほしいです。『RELOADED』の場合だと、ダブ・ステップ特有のウォブルベースが入っているハイレゾ作品は世界的に見ても少ないと思うので、クラブで低音を「聴く」のではなく「体感する」ときのような、リアルなベース・ミュージックの魅力を楽しんでもらえたら嬉しいです。


『SILENT PLANET: RELOADED』インタヴュー

「僕のロッキンな側面をフィーチャーした作品」TeddyLoid、2作連続リリース第1弾アルバムをリリース

https://ototoy.jp/feature/2018111666

ロング・トーク独占掲載

新作2作連続リリース記念、TeddyLoidが語るスタートとキャリア

https://ototoy.jp/feature/2018101777

DISCOGRAPHY


PROFILE

TeddyLoid

音楽プロデューサー / DJアーティスト。1989年8月23日生まれ。18歳でMIYAVIのメインDJ / サウンドプロデューサーとして13カ国を巡るワールドツアーに同行し、2010年には☆Taku Takahashi(block.fm / m-flo)と共にTVアニメ『Panty & Stocking with Garterbelt』のサウンドトラックを担当。翌2011年には柴咲コウ、DECO*27とともにgalaxias!を結成しアルバムを発表。2013年のももいろクローバーZ「Neo STARGATE」のサウンドプロデュースし、その後キングレコードEVIL LINE RECORDSより同グループ初の公式リミックス・アルバム、『Re:MOMOIRO CLOVER Z』を手掛ける。2014年9月には同レーベルより1stアルバム『BLACK MOON RISING』を発表し、ソロ・アーティストとしてメジャー・デビュー。2015年12月には中田ヤスタカ(CAPSULE)、HISASHI(GLAY)、小室哲哉、志磨遼平(ドレスコーズ)、佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)他豪華ゲストを迎えた2ndアルバムとなるコラボレーション作品『SILENT PLANET』をリリース。2016年にはKOHH、ボンジュール鈴木、ちゃんみな、アイナ・ジ・エンド(BiSH)、Kダブシャインらを迎え、アルバムの続編となる『SILENT PLANET 2 EP』の配信リリースをスタート。プロデューサー、リミキサーとしては、ゆず、the GazettE、KOHH、HIKAKIN & SEIKIN、Crossfaith、米良美一等、多岐にわたるアーティストを手掛けている他、『アニメ(ーター)見本市』中の吉崎響監督作品『ME!ME!ME!』、学校法人・専門学校 HALの2016年度TVCM「嫌い、でも、好き」篇の音楽をDAOKOと共に担当。その他、PlayStation®4の新作ソフト「Destiny 2」のプロモーションムービー『Destiny 2 Live Action Dance Trailer "Freestyle Playground”』、SONYの『EXTRA BASS』シリーズ、宮本亜門演出のWRECKING CREW ORCHESTRA新作公演『SUPERLOSERZ SAVE THE EARTH 負け犬は世界を救う』等、CM音楽、舞台、ゲームのサウンドトラックも多数手掛けている。また、RADWIMPS、BABYMETAL、ONE OKE ROCK、ピコ太郎に並び、2016年度の海外のSpotifyで最も再生された日本のアーティスト5組に選出され、2017〜2018年には4カ国13都市に及ぶワールドツアーを敢行し、海外でも大きな反響を呼んでいる。

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