結成・加入・卒業・解散・メジャー進出──宗像明将に訊く、OTOTOYトピック2017アイドル編

今月からスタートした「OTOTOYトピック2017」。ヒップホップの次はアイドル編です。他ジャンルに比べて、活動時期がある程度限られているジャンルだからこそ、日々の喜怒哀楽な情報や発表でアイドル界隈は大いに賑わいました。そんな2017年のアイドル・カルチャーはどんな一年だったのか、音楽評論家の宗像明将とともに振り返ります。今年のアイドル10タイトル選出もありますので読み逃しなく〜。

ライヴ・アイドル・シーンが掻き回された一年

インタヴュー & 構成 : 田尻菜穂子


──2017年のアイドル界隈、ざっくり言うとどんな一年でしたか。

去年は欅坂46の圧勝でしたし、今年も私はNGT48の「世界はどこまで青空なのか?」のMVを何度となく見たのですが、巨大資本の圧勝というムードで終わらなくて良かったなと思いますね。フィロソフィーのダンスの活躍も目立ちましたし。ただ、「資本」というと「ラストアイドル」にライヴ・アイドル・シーンが掻き回された一年でもありましたね。
あと、男性アイドルシーンの活性化も感じました。二丁目の魁カミングアウトの人気もそれと無縁ではないと思います。
一方で、アイドルが人気を上げる以前に、人気を維持すること自体が大変な一年だと思いました。ヲタのマーケットも可処分所得も限られているし、その辺はじりじり感じましたね。シーンの強度として、Twitterにヲタが書きこんで、面白おかしくまとめられて……みたいなサイクルに、そろそろシーンが耐えられなくなってきた印象も受けました。


<期間限定>NGT48『世界はどこまで青空なのか?』MUSIC VIDEO Full / NGT48

──今年台頭してきたアイドルで注目はいらっしゃいましたか?

ヤなことそっとミュートですね。新宿LOFTでライヴをしまくって、そこから赤坂BLITZ(12月22日)への流れは美しいです。あとはTask have Fun。「3WD」を聴いたときは、ドラムの音の軽さに驚いたものですが、ああいうサウンドや振り付けが受けるんだなと。天晴れ!原宿もヲタの話題が先行していましたが、本人たちのステージもいいんです。ピンチケが元気なのは希望ですよ。


ヤなことそっとミュート - Lily【MV】

──天晴れ!原宿は代々木フリーライヴ(8月30日)もしていましたね。

そうですね、そうやって外部に開かれていくかが今後は特に大事だと思います。もうマーケットはパイの奪い合いなので、いかにオープンになって人を集められるかが大事ですね。ソロでは、キャラクターとして空野青空が見つかったのは大きかったですね。富山からですよ。同じく地方だと、三重から東京進出を本格化させた煌めき☆アンフォレントの勢いがすごかったですね。横浜のヌュアンスも局地的に盛りあがっているんですよ。デザインワークの良さを含めて可能性があると感じますね。

解散・脱退・卒業・引退

──今年も大小様々なアイドルフェスがおこなわれましたが、「見つかった」グループはいたんでしょうか。個人的に見つけたグループはいましたか?

みんな夏は「アイドル横丁」で見つけて、それを「TIF(『TOKYO IDOL FESTIVAL』)」で確認する……というローテーションが組まれているんですよ。それが今年はTask have Funでしたね。個人的にはフェスでの大きな出会いはなかったかな。どうしても寺嶋由芙とフィロソフィーのダンスを中心に見ていたので。

──解散・脱退・卒業も多かったですね。

解散といえば清 竜人25でしたね。清 竜人25の最後の「新曲」は、清竜人さんのソロ曲の「ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング」でしたからね、鮮やかでした。最高の解散ライヴ(6月17日)でしたね。
Kit Catの活動終了(2018年春活動終了)や、レッツポコポコの解散発表(2018年1月21日解散)も残念でした。


清 竜人25「ラスト♡コンサート@幕張メッセイベントホール」 ダイジェスト

──卒業で印象に残ったのは?

ディア☆の千影みみの卒業と引退(4月23日)ですね。幸せになってくれているといいなと願っています。
Dorothy Little Happyの白戸佳奈の卒業(7月23日)も忘れられませんね。一度卒業・引退した後に、callmeとの5人体制で「@JAM EXPO」(8月27日)で復活して改めて卒業したわけです。美しくも悲しい、悲しくも美しい卒業でしたね。
The Idol Formerly Known As LADYBABYから黒宮れいが脱退(11月17日)したのも驚きました。

──ディアステージの変化も大きかったですね。

大きかったですね。ディアステージが、pixivとアークジュエルからアイドルを迎えると発表しました。でんぱ組.incもライヴ活動を再開して、12月1日の「DEARSTAGE SHOWCASE 2017 WINTER」では、思わず立ったまま「でんでんぱっしょん」に見入りましたね。今年の1月20日の日本武道館で止まっていた時計が動きだしたなと感じたし、さらに他グループのアイドルも移籍してきて、新しいシーンが作られる予感がします。
ディアステージからはCYNHNも出てきていて面白いんです。CYNHNのデビュー曲の「FINALegend」は、でんぱ組.inc以降の感覚の楽曲なのですが、アートワークや衣装でまったく違う印象を与えているんです。
そこにWACKやパーフェクトミュージックとで、3強みたいになるかもしれませんね。パーフェクトはエージェント契約が多いですが。


CYNHN (スウィーニー)「FINALegend」 Music Video

──でんぱ組.incは12月30日の大阪城ホールのライヴが楽しみです。

楽しみです、期待値が上がりきっていますね。うっかり泣くだろうなと(笑)。

アイドル・シーンを盛り上げたグループ

──今年はBiSHの人気が爆発しました。

WACKのBiSHの「ミュージックステーション」出演は、インディペンデント系の事務所からの這いあがりとして、2017年に特筆すべきものでしたね。横浜アリーナ(2018年5月22日)の発表には、BiS解散の場なので元研究員としてはいろいろ思うところはありますが(笑)、さすがだと思いますね。BiSは横浜アリーナを半分にして使ったから、BiSHがフルで使ったら元研究員としては微妙なつらさを味わいそうですね(笑)。ちなみWACKでは、渡辺淳之介が開いた渋谷のバー「MULTiPLE MANiACS」がオススメです。あそこは面白いことが起きる場所になると思います。


BiSH / My landscape

──パーフェクトミュージックも所属アーティストがぐっと増えましたね。

エージェント契約を大量にしたのは驚きましたね。まだその成果はよく見えてこないですが、バンドじゃないもん!のメンバーとのイベント(11月25日『PERFECT MUSIC presents PERFECTION!』)がありましたね。MIGMA SHELTERが一番伸び代を感じますね、今年結成していきなりエージェント契約ですから。
今年特徴的なのは、MIGMA SHELTERのように、音楽的にはハイコンテクストなのに、見せ方はローコンテクストなアイドルが伸びたことですね。MIGMA SHELTERなんて、音楽的にはゴアトランスですから。でも、アイドルらしく色別の衣装を着て特典会をすることで、一気に人気が出る。同じことはYunomiが曲を作っているCY8ERにも感じました。音楽的にはハイコンテクスト、見せ方はアイドルとしてローコンテクスト。そういうところが伸びましたね。


MIGMA SHELTER 2nd trailer

──sora tob sakanaはOTOTOYでもセールスを伸ばしました。

sora tob sakanaとamiinAほど楽曲派の期待を受けて、それにしっかり応えたアイドルはいないんじゃないですかね。


sora tob sakana / ribbon(MV)

──フィロソフィーのダンスもしかり。

そうですね。「TIF」でのsora tob sakanaとフィロソフィーのダンスのコラボステージは、暑さで倒れそうになりながら30分見ていました(笑)。
フィロソフィーのダンスは、ファンクであそこまで突き進んでいて快進撃ですね。日本のヒットチャートはファンクに厳しいと言われるけれど、ヲタの勢いで突破している感もあって「発明だな」と思います。フィロソフィーのダンスには「歌えること」の重要性みたいなものも教えられますね。


フィロソフィーのダンス「ダンス・ファウンダー」MV

なさそうである、インディーとメジャーの差

──アイドルから学ぶことの多さも、見ていて楽しくなる要素のひとつですね。市場的にメジャーとインディーズの垣根があまりないように見えるのもアイドルの特性かなと思うのですが。

うーん、そこはけっこう見えない壁があると思うんですよね、宣伝費とか。でも、今すごいのはゆるめるモ!なんですよ。インディーズなのに、アルバム『YOUTOPIA』の収録曲のタイアップを5本も獲得してるんです。しかも、地上波の「プレミアMelodiX!」にもバンド編成で出るんですよ。メジャーのプロモーションを超えていて衝撃的でした。そういう意味で、インディーズでもやり方次第でメジャーに負けないのが今なのかなと思いますね。
インディーズの話題だと、里咲りさのZepp DiverCity(TOKYO)(9月22日)の成功は奇跡的なものを見たなと感じました。あれは東京のライヴ・アイドル・シーンの一大イベントでしたね。里咲りさは、ソロなのにたくさんの人を巻きこんでいて、彼女の才覚だと感じました。
逆に、ここまでに述べたような「何か」が抜きん出ていないと、2017年は伸びるのが難しかった一年だったと思いますね。


ゆるめるモ!(You'll Melt More!)『うんめー』(Official Music Video)

里咲りさ『S!NG』

──来年への展望などをいただけたらと。

今年大きかったと感じたのは、バンドじゃないもん!が「もう“オリコン戦争”から逃れたい」と宣言したことなんですよね(https://natalie.mu/music/pp/bandjanaimon05)。社名まで出してますから(笑)。そこまでして活動の指標を変えようとしてるんですよ。
一方で、フィロソフィーのダンスは、あるサブスクリプションサービスのバイラルチャートで2日間連続一位を獲得しました。アイドルとしては初の快挙です。
CDも残るだろうし、ダウンロードもサブスクリプションサービスもあるなかで、ライヴ動員も含めて、どこに活動の目標を置くかが、今後アイドルにとっては重要なのだろうと思います。
ただ、正直「今年もアイドルシーンはよく持ちこたえた」と思うんですよ。だから来年も、音楽的収穫も含めて期待していきたいですね。

──今年のアイドルファンの動向に変化はあったでしょうか?

わりとあると思いますね。一般投票で楽曲、アルバムなどが選ばれる「第6回アイドル楽曲大賞2017」の発表が12月29日深夜に阿佐ヶ谷ロフトAで開催されるので、ぜひ確かめに来ていただきたいです。

アイドル楽曲大賞 結果発表イベント

2017年12月29日(金)@阿佐ヶ谷ロフトA(24:00開場/24:30開演)

詳しくはオフィシャルサイト

2017年アイドル10タイトル

~~宗像明将編~~

フィロソフィーのダンス / ザ・ファウンダー
ゆるめるモ! / YOUTOPIA
清 竜人25 / WIFE
僕とジョルジュ / 僕とジョルジュ2
寺嶋由芙 / 天使のテレパシー
バンドじゃないもん! / 完ペキ主義なセカイにふかんぜんな音楽を♡
レッツポコポコ / ぼくらの物語/くらげくらげ
CYNHN / FINALegend
里咲りさ / サイン
MIGMA SHELTER / Svaha Eraser

~~編集部田尻編~~

清 竜人25 / WIFE
モーニング娘。'17 / 15 Thank you, too
WHY@DOLL / WHY@DOLL
パンダみっく / 好きな曜日はxx
sora tob sakana / cocoon ep
RYUTist / 柳都芸妓
callme / One time -EP-
二丁目の魁カミングアウト / Good As Yesterday ❷
フィロソフィーのダンス / ザ・ファウンダー
つりビット / Blue Ocean Fishing Cruise

PROFILE

宗像明将

1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールド・ミュージックや民俗音楽について 執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。

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