2010/06/27 00:00

このコーナーは日々新しい才能を排出し続け、今最も勢いのあるライヴ・ハウス新宿Motionのスタッフが、“NEXT POP”をキーワードに次世代のミュージック・シーンを担うアーティストを、どこよりも早く紹介するコーナー。新宿Motionの店長である鶉野拓人とブッキング・スタッフの池内恵己が今回紹介するのは2007年に東京で結成された4人組“New J-POP”バンド。活動開始当初、motionの動員記録を持っていたという彼らをより深く知るため、ベースの安西卓丸に話を聞きました。

Vol.11 ふくろうず

2007年に東京で結成された4人組“New J-POP”バンド。昨年末、スーパーカー、クラムボンやキセル等を手掛けた益子樹(ROVO、ASLN、DUB SQUAD)氏をレコーディング&マスタリング・エンジニアに迎え、バンドにとって初の音源となる5曲入りミニ・アルバム『ループする』(期間生産限定盤)を、ライヴ会場とdisc union 限定で発売し、話題に。そして新たにLOVES.、LEO Imai等のギタリストとして活躍する岩谷啓士郎(LOVES.、BROKEN BOY)氏をエンジニアに迎え、新曲2曲を追加したデビュー・アルバムを初の全国流通盤として4月7日にリリース。

INTERVIEW

——TOKYO NEW WAVEはどうでした?

鶉野拓人(以下、拓人) : 盛況でしたね。高校生無料ってうたったんですけど、高校生も40人くらい来てくれて。そこからその高校生が各バンドのライブにも行っているみたいで。僕自身、「バンドの企画に行きます」とかって話を聞きますし、新しい流れや繋がりができて良かったですね。7月7日にはTOKYO NEW WAVEのコンピレーションCDが出ます。

——motionってオープンして何年目なんですっけ?

拓人 : 10月で5年です。毎年10月はひと月丸々バンドに企画をやってもらっているんですけど、繋がりもどんどん増えてきているので、今年は9月から10月まで、61日間連続でやるんです。

——え! もう結構決まっているんですか?

拓人 : 半分以上かな? 空き日はないので、死にそうですよ(笑)。

——ふくろうずとmotionのつながりを教えてください。

拓人 : ふくろうずは、しばらくmotionの動員記録を持っていたんですよ。一番最初に出た時は、すっごいやる気のないバンドで(笑)。でも、2回目みたときに、もの凄く変わっていたんですよね。それが… 3年前くらいかな?
安西卓丸(以下、卓丸) : 多分バンドを組んで、半年くらいの頃ですね。
拓人 : 彼らは最初から凄く良かった。僕、ライブの後にあーだこーだ言うタイプのブッカーなんです。彼らにはブッキング・ライブにもよく出てもらっていましたけど、あんまり言った事がないんですよね。最初から完成していたとは言わないですけど、ここをこうしたほうがいい、っていうのがなかったバンドではありますね。うちの他のブッカーでも、ふくろうずのCDを一日中聴いている人とかいますからね。

——バンドの完成度というよりは、曲の構成とかメロディとかが良くて、だんだんバンドの力がついていった感じですか?

拓人 : そうですね。もちろん最初の頃は、アンサンブルとか技術的なことを言えばいろいろあったとは思うんですけど、それよりも、万里ちゃんのピッチが最初から気持ちよく当たっていたことのほうが大きかった。センスでしょうね。楽曲にしてもそうだし、持っているもののクオリティが、演奏が追いついていない部分をカヴァーしていて、とやかく言う事ではないなって思っていました。ふくろうずとmotionの共同企画でも、自分のバンドと一緒にやったりしていたし、このまま自分たちで気付いてやっていくほうがいいんだろうなあって思ってましたね。最近は、普段会うけど、ライブ・ハウスとして離れているなあっていうのが寂しいところではありますね。

——最近はライブはやっているんですか?

卓丸 : そんなにやっていないですね、月一回くらい。
拓人 : motionはステージが低いので、お客さんがたくさん入ると、万里ちゃんがみえないんだよね。
卓丸 : みえないですね。あ、でも最近立ってるんですよ。ライブ。
拓人 : あ、そうなんだ! 見てみたい。

——音源のエンジニアを益子さんに頼んだのは、どういう流れだったんですか?

卓丸 : ディレクターの方の繋がりで紹介してもらいました。「凄い人らしいよ」って位にしか考えていなかったんですけど、最近本当に凄い人なんだなあって判明しました(笑)。

——正式音源としては初のリリースなんですよね。自分たちで録ってきたのとは全然違いました?

卓丸 : 全然違いますね。はじめてのレコーディングくらいの感じで。
拓人 : 本当にいい作品だよね。ありきたりな表現だけど、何回でも聴ける。ふくろうずは、基本的には淡々と演奏するバンドだよね。悪い意味じゃなく。激しい部分っていうのは全部楽曲に収録されていると思うんです。だから基本的なスタイルは変わらないし、純粋にポップないいバンドだなって思います。

——ポップなものをやりたいっていう感覚はあるんでしょうか?

卓丸 : 自然とポップなものになったというか、自分たちがいいものだと思うものがポップなものだった。とくに最初に話して決めた訳じゃないですね。

——曲はセッションしながら作っていくんですか?

卓丸 : いや、内田が作詞作曲をしていて、彼女が形になったものを持ってきます。曲にもよるんですけど、細かい部分まで各パートのイメージのあるものから、全然ない曲もあったり。
拓人 : ポップスとしてクオリティの高いバンドだったんですけど、繋がっていくバンドは不思議なバンドが多かったですね。純粋なポップス・バンドと仲良くなる訳じゃなく、JUGONZにしろ、サポート・ドラムが都心のメンバーとか、スイセイノボアズとかもそうだし… おもしろいですね。
卓丸 : そういう繋がりが出来たのも、motionに出るようになってからですかね。

——motionで対バンしたバンドとか、そういうところから影響を受けたりしました?

卓丸 : いや、影響とかはないんですよね。あまり対バンとか人から影響を受けたりすることがないので。
拓人 : 無さそう。何ら変わることなく自分たちの演奏をする感じ。不思議なバンドだよね。一回、ギターが抜けていた時に、サポートでギターを弾かせてもらったことがあるんですよ。
卓丸 : タクトさんから「僕が弾きたいくらいだ」ってメールをもらったんですけど、社交辞令的なアレだろと思って、スルーしちゃったんですよね(笑)。そしたらのちのち本当に弾きたかったって言われて。

——で、本当に弾いたんですか?

拓人 : 弾きました。店長、ブッカーとしての関係もあるんですけど、純粋にふくろうずのファンでもあるので、職権乱用で弾かせてもらいましたね。本当は2回弾く予定だったんですけど、リハに入っているときにギターの子が正式に復活することが決まって。でも折角だし1回だけ弾かせてもらいました。すごい楽しかった。
卓丸 : ふくろうず with Tでしたね(笑)。

——『ループする』をリリースしてみて、まわりの反応はどうですか?

卓丸 : どうなんですかね?(笑)

——もう次の曲は作っているんですか?

卓丸 : 作ってますよ。もう2曲くらい録れています。アレンジで躓くこともあるけど、曲はたくさんあるんですよね。年内に出せればいいなと思っています。

——結構がっちり固めてからライブでやるタイプですか? それともライブで固めていく感じ?

卓丸 : 前は「やっちゃえ!」って感じだったんですけど、最近はばっちり固めてからやるようにしてますね。あんまりライブで練っていけるようなバンドでもないし、今は本数自体あまりやっていないですしね。

——ライブと音源って結構違いますか?

卓丸 : 今のところ内容は音源と差別せずにやってます。
拓人 : でも、ライブには秘めた熱さみたいなものが強烈にあるよね。もちろん万里ちゃんの生歌の凄さとかもあるんですけど… 一回、ギターの石井君が最後の曲でギターをグワッシャーっと床に叩き付けたことがあって!(笑)
卓丸 : あれは、体調悪かったみたいで。機材がトラブって音が出なくなったか何かだと思うんですけど、まだ曲が終わっていないのに突然ね。
拓人 : グワッシャーン! ガッシャーン! って。そんな感じがしないだけに、びっくりしましたね。

——ふくろうずはエモいんですか?

卓丸 : いや、全然(笑)。淡々としてますね。
拓人 : ふくろうずは、ライブより音源っていうわけじゃなくて、ふくろうず独特のライブ感があるんですよ。それが秘めた熱さみたいなものなのかもしれない。多分初めて観る人とかは分かると思うんですよね。

——今後の意気込みとかは?

卓丸 : 音源を出したいですね。『ループする』は、僕らが今出せるいい曲を集めただけのアルバム。アルバムとしてコンセプトがある訳じゃなかったので、次はアルバムとして、もうちょっと形になっているものを出したいと思っています。単純にもっといいやつが出せると思うので。それに向けて頑張っております。

LIVE SCHEDULE

  • 2010/07/08(木)@渋谷o-nest
w / texas panda / CONDOR44 / こっきり(special opening guest)
  • 2010/07/25(日)渋谷o-west
w / フルカワミキ / MAMALAID RAG

ふくろうず official web

Motionとは?

新宿Motionは新宿歌舞伎町に2005年10月にOPENしたキャパ120人のライヴ・ハウス。良い歌、良い演奏、良いライヴというのはジャンルを超えて伝わるものだという思いで、多くのバンドが「どうすればもっと良くなるだろう? 」と思う気持ちを一緒になって考えています。伝えること、伝わることの難しさ、楽しさ。その伝達力の強さが強ければ強い程「POP」なんだという思いから、OPEN一周年記念コンピのタイトルは「NEXT POP」にしました。その「NEXT POP」という言葉がそのまま新宿Motionのカラーになっていると思います。

BACK NUMBER

VOL.1 JUGONZ

VOL.2 東京カランコロン

VOL.3 allportdiary

VOL.4 太平洋不知火楽団

4th Anniversary Special

VOL.6 kanina

SWAN SONG COUNCIL 特集

VOL.8 Sorrys!

VOL.9 imamon

VOL.10 TOKYO NEW WAVE 2010特集

[インタヴュー] ふくろうず

TOP