2009/04/29 00:00

「サウンド・ポタージュ」selected by diskunion CRJ-tokyo

去年からなにやらインディーズ・シーンが騒がしい。リリースが相次ぎ、多くの自主企画が開催され、どこかしらでインディーズ・バンドが大騒ぎを繰り返しているのだ。そんな中、幅広い音楽の知識と20年以上続く伝統を持ち、信頼のおけるチャートを制作しているCRJ-tokyoと、CD-Rであろうと自主盤であろうと、とにかく質の高い音楽を棚に面チンし続けるdisk unionが、協力してインディーズの未来を予見するコンピレーション・アルバムを制作した。

あるインディーズ・バンドの中から10組のアーティストを選ぶという難解な決断を行うことができたのは、アーティストとリスナーの両方から信頼を受ける二組だからこそだ。そんなCRJとdisk unionの首謀者に話を聞きつつ、「サウンドポタージュ」収録アーティストを中心にした独断と偏見の2009年インディーズ相関図を制作してみた! 小さな断片だけれど、とても重要な記録である。

インタビュー

—サウンド・ポタージュを制作するきっかけを教えてください。

disk union 亀山直幸(以下 : D) : コンピレーションCDを作りたいという気持ちは、ずっとありました。ハイライン・レコーズが閉店して、HI-STYLE コンピがなくなると、インディーズ・シーンを網羅したコンピが減ってしまいました。それならdisk unionでやろうというのが始まりです。CRJとは一緒に何かしようという話はずっとしていました。でも、僕の中のきっかけはタワー・レコードの新宿店とCRJが連動したチャートの様なことをやりたいということでした。

木下有希(以下 : K) : CRJのチャートに入った音源が聴ける試聴機を置いていたんです。流通を通してないような自主盤もたくさん入っていて、ちょっと画期的だったんです。

D : それをdisk unionでもやれないかな? と話をして、うちならCD-Rでも販売ができるので、その特性を生かしてコラボレーションしようというのが始まりです。

ーハイライン・レコーズのコンピに代わるものと考えていいですか?

K : ハイライン・レコーズがなくなった時に、普通のオーソドックスなロック・バンドやポップ・バンドの自主盤を扱えるのはdisk unionだけになっちゃったかな? という話はしていましたね。

D : コンピってすごく重要だと思っていて、ハイラインにとって代わるという訳ではないけれど、今のインディーズ・シーンを提示するコンピは絶対にあった方がいいと思いました。

ーどのようにアーティストをセレクトしましたか?

CRJ-tokyo 柳川春香(以下 : C) : 最終的にdisk unionから5組、CRJから5組選ばれる形で進めました。CRJでは最初に40組くらい候補を出して、コンセプトを考えて10〜15組くらいにしぼりました。後は毎回ミーティングで音源を聴いて、お互い10組挙げてさらにそこからしぼった10組ですね。

—それぞれが選んだアーティストは?

C : CRJは、、、、です。

D : disk unionからは、、、、ですね。

—世代もとくに決まっている訳ではないようですが、決まったコンセプトはありましたか?

D : 歌ものとか、インストという明確なコンセプトはないです。最初はそういう解りやすいコンピもいいかなと思ったんですけど。でも、それよりただお互いが好きなバンドを出して一緒にした方が良いんじゃないか、という風になりましたね。

C : あるとすれば、とにかく知ってもらいたくて、聴いて欲しいバンドですね。

K :人によっては、知っているアーティストも知らないアーティストもいると思います。でも、このコンピにはかっこいいアーティストがたくさんいるので、買ってくれた人はこれを機会にもっと間口を広げて、もっと知ってほしいと思いますね。

—このコンピから見えてくるキーワードは…『ポップ』ですかね?

C : そうですね。知る人ぞ知るではもったいない。聴けば絶対に好きになるというポップな部分を持っているアーティストを選んでいますね。

—このバンド達にどうなって欲しいですか?

C : まずは長く活動をしてほしいし、リスナーをインディーズ・シーンに引っ張り込むような存在になってほしいです。さらに、個人的な思いのある存在になって、将来ずっと聴き続けられるようなバンドにもなってほしいですね。

D : 元々は今後リリースを控えているアーティストに焦点を当てたいと思っていました。




—や鴨田潤()のような有名なアーティストが入っているのは何故ですか?

D : 鴨田くんは弾き語りの音源が純粋にすごくよかったからです。が弾き語りをやっていることを知らないという人も意外にいるので、伝えたいという思いが一番ですね。まつきくんも僕がすごく好きだというだけです(笑)

C : 逆にCRJでは、初めてまつきくんを聴いたという人も結構いましたよ。

—そういう相互作用があったということですね。

D : 僕も聴いた事がないバンドが2、3個ありましたからね。やっぱりそこですね。CRJとdisk unionの間でも、そういう事が起こるのだから、一般の人が手に入れたらきっと聴いた事のないかっこいいバンドが見つかると思いますね。。

C : 一人で手に入られる情報は限られていて、全然違う所の音楽にはなかなかたどり着けないんです。それでも、CRJやdisk unionには自分一人では絶対にたどり着けない情報を持っている人がたくさんいます。だからその2つが共同でコンピを出すのは面白いと思いますね

—このコンピから、今のインディーズ・シーンがどのように見えてきますか?

C :インディーズ好きという人でも、UK projectやといった、既にある程度知名度のあるレーベルの情報しか入ってこなくて、それより深くに入ってくるのはまだ難しいように思います。

D : そういう意味ではdisk unionは深い所にいるアーティストもガンガンプッシュしています。

C : 新宿タワレコ7Fが限界で、disk unionの委託には行かないという人がまだいっぱいいるのが、悲しいですよね(笑) その溝は、このコンピをきっかけに埋めたいです。

D : 今回のコンピは新宿タワレコ7Fからdisk union地下一階が全部一つにつながっている感じですね。




—今現在インディーズ・シーンではどのような動きがありますか?

K : 流通ルートがインディだからということで、全てインディと呼ばれているけれど、真にインディペンデントなものと、そうでないものとの差は年々広がっていると感じますね。ここ1年くらいでメジャーが隠れて仕掛けて、自力であがってきたという感じを出したがるバンドはすごく増えていますね。

D : でもこのアルバムの中には精神的にもインディペンデントなアーティストばかりだと思います。

K : 今はインディでCDを出して流通させて、メジャーに行くっていう方法だけじゃなくて、ネットも発展しているので色々な道があっていいんじゃないの? とは思いますね。


CRJ-tokyoとdisk unionのお二人に協力を頂いて『サウンドポタージュ』収録アーティストから見る2009年版インディーズ・シーン「勝手に相関図」を作りました。

サウンドポタージュ試聴コーナー

まつきあゆむ 「流星群」

次世代SSWとして注目を集める「まつきあゆむ」。くるりのメンバーからも大絶賛され、「NOISE McCARTNEY RECORDS COMPILATION 2」への楽曲参加、オリジナル・アルバムのリリースとその他様々なコンピレーション・アルバムに収録。自宅録音、初期衝動アーティストとして、心に響くメロディーと楽曲を武器に、地に足の着いた形で音楽を創り上げる彼の評価は高まるばかりである。

Mr.Fingers! 「テレッテの質問」

かつて音響派バンドとしてライブ・ハウスで人気を誇っていたREGENT SLIMと、・CONDOR44らと共にコンピレーション・アルバムに参加もしていたWINTER STREAMLINEのメンバーからなる、「Mr.fingers!」。確実なキャリア・技術に裏打ちされた鉄壁のアンサンブルで鳴らす、純正オルタナティブ・サウンドと、熱く男臭いボーカルが歌い上げる独自のドラマ性を持つ歌詞が、聴き手の心を打つ。

ARTLESS NOTE 「耳をすませば」

、dOPPOなどと共演経験もある「ARTLESS NOTE」。変則編成と変則的な楽曲は新世代オルタナティヴの刺客。盟友とのスプリットが自主制作音源にも関わらずindesissueなど取り上げられるなど、その期待度は未知数。NEW/NO WAVEなささくれ立ったサウンドに日本語ロックの美メロとコーラスを突如導入するなど、楽曲もインディーズ・バンドでは異質な感覚を放っている。

thai kick murph 「ネオホンコン」

湯川潮音、タナカフミヤなどとの共演もある都内を中心に活動する若手注目バンド。既にWEB上を中心に耳利きバイヤーや関係者の間で話題となっている。NEW WAVE、インディポップ、オルタナギターロック、エレクトロ…自らの音楽をファジー・ポップと名づけ、彼らが本当に好きな音楽を詰め込み放たれる楽曲は、まったく嫌味がなく、非常にセンスがよい。

鴨田潤 「空部屋」

の弾き語り、本名「鴨田潤」名義の音源は、流通音源では初の発表となる。エンターテイナーとしてのとは違った角度から彼を見ることができる歌、言葉がダイレクトに伝わる弾き語り。ギターと重なる言葉にイルリメとは違う魅力が詰まっている。

dry river string 「cover me」

名作『white album』を出しながらも活動を休止した京都のバンド、up and comingのギター/ボーカル干川氏によるソロ・プロジェクト「dry river string」。干川氏の弾き語りを軸に、bedやLainy J Grooveのメンバーらが脇を固める。切ない歌声の強度と『white album』で示した有機的なサウンドの拡がりがほのかに心を締め付ける、希有なサウンド・スケープ。待たれる音源リリースに先駆けての楽曲収録。

PADOK 「汽水城のアブローモフ」

過去にツチヤニボンド、Ryo Hamamotoの自主制作盤CDの録音、ミックスを手がけたこともある渡辺牧人の歌もの宅録ソロ・ユニット「PADOK」。羅紗のように細かく織り込まれた音と言葉からはどこかでみた風景を切り取ったかのような懐かしさが漂い、その芳醇な香りすら届いてきそうな見事なサウンド・ワークにはを始めとして数々のアーティストから賞賛をうけている 。

今井三弦 「淡い光」

バンド「真空メロウ」を解散後、2005年より都内を中心に活動するハートフル・ハードフォーク歌手、「今井三弦」。これまで2枚の自主制作音源を発売、HIGH LINE RECORDSのコンピレーションに参加するもすべて廃盤。ギター1本とハイトーン・ボイスで奏でる楽曲は穏やかだが、必ずどこかがずれている。独特な言語感覚で世界を見つめる、迷いの中から生まれる歌が、訥々と静かに染み渡ってくる。

シグナレス(ゆーきゃん with あらかじめ決められた恋人たちへ) 「太陽の雨」

昨年、名盤アルバム『』をリリースした池永広之率いるダブ・ユニット「」とソロ・アルバムのリリースもある京都出身、現在東京を中心に活動するSSW「」のユニット。ユニット名を「シグナレス」とし、本格的に活動をしている。

SuiseiNoboAz 「my disco」

モダン・ブルース・トリオ「SuiseiNoboAz」。切ないメロディからあふれ出る人間味ある楽曲はライブ・ハウス界隈を中心に注目度が高い。現在のアンダーグラウンド・シーンでの交流の幅も広く、同時期に活動する若手バンド やらと共同企画と行うなど、今後の活動が期待される3ピース・バンド。



diskunion

関東を中心に店舗を展開、中古、新品のCD、レコードを取り扱うレコード・ショップ。オール・ジャンル、早耳、コアな音楽、自主制作、インディーズからメジャーまで取り扱いをする幅広いセレクトは信頼度が高い。都内には専門館も点在する。なおPC、携帯のオンラインショップもあり、店舗がない地方にも良質な音楽を提供する。

CRJ-tokyo

CRJは、アメリカのCMJ(College Media Journal)を日本にも作ろうと、1987年に現役の大学生たちの手によって設立された団体です。一過性の流行や従来のコマーシャリズムとは一線を画したジャンル、洋/邦、メジャー/インディーを問わない良質の音楽空間を発信することをコンセプトとして、独自の学生間ネットワークを活かした情報収集を行っています。さらに、その情報をマスメディアとストリート・シーンの両面から発信することを目指し、同世代の人々に新たな音楽シーンを提供するべく活動を展開しています。スタッフは東京近郊の4年制大学から短大、専門学校の学生まで多岐に渡り、大阪、広島、福岡、札幌、名古屋に支部が設立されており、全国規模での様々な活動を可能にしています。



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