2020/08/14 18:00
第30回「溺れて見えても飛び出せバタフライ」
主演させていただいた映画「東京バタフライ」の予告編が公開された。
出ているのは自分なんだけど、自分じゃないみたい。ハラハラして、なんだかまともに観れなかった。全てが初めての経験だから、なんでもそわそわするというか、ワクワクする。
映画はバンドのお話だから、観る人は混乱するかもしれないけど、白波多カミンではない、別の人を演じた。安曇ちゃんという女の子の役。
演技というものをしたことがなかったから、自分の身体に安曇ちゃんをインストールして、自分が安曇だと信じ込んで振る舞うしか方法が思いつかなかった。安曇をインストールするときに、自分自身の経験が役立った。今までの経験が報われていくような気持ちになった。良い経験も、苦い経験も。それはとても尊い瞬間だった。
なにも考えなくても会話できるシーンっていうのもあった。セリフを覚えて挑んだのに、そんなこと忘れちゃうくらいに自然に言葉が出てきたときはうれしかった。それがお芝居なのかは分からないけど。自分じゃない人間が自然に自分の口から言葉を発するのは不思議な気持ちがしてすごく好きな瞬間だった。
共演した俳優さん、監督、スタッフさんにたくさんたくさん教えてもらいながら撮影は進んでいった。ひとつひとつが大切な時間だった。
すこし例を挙げると、水石亜飛夢さんはわたしがセリフが言えるようになるように的確に優しくアドバイスしてくれた。小林竜樹さんはシーンがうまくいくように声をかけてくれたり、さり気ない気遣いとアクションで演技を引き出してくれた。黒住尚生さんは撮影の合間とか相談に乗ってくれたり、精神的にサポートしてくれたりした。
こうやって書くと、みんなでひとつのものを作るのって、やってることはほんとバンドみたいだなぁ。
舞台挨拶とか、きっとあると思うので、またお会いしましょう。
物理的に会えるのってすごく久しぶり。みなさんに会いたいです。
それではまた。
「東京バタフライ」アップリンク吉祥寺ほかにて9月11日より全国順次公開。
『東京バタフライ』
監督・編集:佐近圭太郎 脚本:河口友美 音楽:白波多カミン 撮影:星潤哉 チーフプロデューサー:和田丈嗣 プロデューサー:新井悠真
出演:⽩波多カミン ⽔⽯亜⾶夢 ⼩林⻯樹 ⿊住尚⽣ / 松浦祐也 尚⽞ 松本妃代 ⼩野⽊⾥奈 浦彩恵⼦ 熊野善啓 福島拓哉
主題歌:白波多カミン with Placebo Foxes「バタフライ」(日本コロムビア)
『東京バタフライ』公式サイト:https://tokyo-butterfly.com/
制作:WIT STUDIO Tokyo New Cinema 配給:SDP 82分
(C)2020 WIT STUDIO/Tokyo New Cinema
文と絵:白波多カミン
・白波多カミン オフィシャル・ウェブサイト
http://shirahatakamin.com/
★【連載コラム】白波多カミンの『引き出しからこんにちは』アーカイブ
https://00m.in/KPVd8