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2022年04月05日21時00分

 
【もらとりあむ漫遊記 vol.1】カネコアヤノのライヴで感じた、日常への怒りと祈り
 

この連載は、心にモヤモヤを抱えながら所謂“モラトリアム” な時期を過ごす大学生の私が地元などで参加したライヴで思ったことや感じたこと、考えたことをお届けするコラムです。気楽に読んでただけると幸いです。

第一回は2022年4月3日(日)岡山 倉敷市芸文館〈カネコアヤノ単独演奏会 2022春-岡山-〉。久しぶりに訪れる彼女の弾き語りコンサートで思ったこと。

春らしい気候となり、陽が落ちるのも遅くなりつつある日の夕方。観光地として有名な倉敷美観地区のすぐ隣に所在する倉敷市芸文館へまばらに人々が集まってきた。少し厳かな空気が漂う館内ロビーで物販に並ぶ人、友人と談笑する人など、みんな様々に過ごしていたけれどライヴを楽しみにするあまり、みんなどこか“そわそわ”しているようにも感じられた。私もドキドキを隠しながら入場して席に着くと、程なくして開演時間となった。

大きなステージの中央にポツンと置かれた木の椅子に向かい、白くてふわふわしたワンピースを着たカネコアヤノが歩いて登場し、大きな拍手で歓迎されてライヴは始まった。

一曲目が始まり、ギターの音色が心地よくて聞き惚れているとステージ上のカーテンに光が当たり始め、窓の影が映し出される。夕暮れの窓辺で歌っているように見える演出にとても感動した。そして話題のCM曲も披露された。「私でいるために」、「変わりたい 変われない」など彼女らしい心の叫びと祈りが心の深部まで響いてきた。

そしてライヴはMCなしで次々に曲が披露されていく。その中でも、個人的に大好きな曲「セゾン」では彼女の魅力が爆発していたと思う。迫力のある大きな声で歌い叫びながら、こちらをグッと見つめる表情。歌に込める思いが観客の心にまっすぐ届いた瞬間だった。

最後の曲が歌われた。曲の終盤、気迫のこもった姿で歌う彼女の目は涙ぐんでいて、少し声も詰まらせているようだった。そして静かにライヴは終わりを迎えて、「ありがとう!」とだけ彼女は言って舞台袖へ帰っていった。神聖で、素晴らしいライヴだった。

世の中の動きが騒がしく、今まで通りではない生活にも慣れてきてしまったり、さらにはテレビをつけると世界平和を揺るがすようなニュースを目にするようになった今。気持ちが塞ぎ込んだり、心が締め付けれる思いをしている人もいると思う。でも、そんな時にはカネコアヤノの音楽に一度触れてみてほしい。彼女の音楽は、これでもか!というくらい強い力で背中を押してくれる。彼女の怒りと祈りがあれば、自分自身の生活に平和を足すことができるから。

文・写真 田代芽生


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