「今この場で何かを歌わなきゃいけない」場面が必ずあるーーエモーショナル・ピアノ・ロック・バンド、雨ニモ負ケズが音楽を続ける意味とは?

左から、小松拓哉、Jr、洋奈、sotti

エモーショナル・ピアノ・ロック・バンドとして仙台を中心に活動を続ける雨ニモ負ケズが、4年ぶりとなるフル・アルバムを完成させた。風刺や悲哀、人生を歌う文学的歌詞と、破天荒なライヴ・パフォーマンスで話題を呼んできた彼らが辿り着いた新作は、2015年の社会を切り取り、聴き手に考えることを喚起させるような作品であった。2011年の東日本大震災から4年以上経ったいま、当時の記憶は地元から離れた土地では薄れかけており、話題は“戦争”という言葉をも想起させるものにまで移り変わっている。そんな現状について、アルバムの楽曲がどのようにリンクしているか、ドラムに新しくJr.を迎えた4人にSkypeインタヴューを行った。また、リード曲のフリー・ダウンロード敢行。そちらとともにインタヴューをご覧いただきたい。

「或日、傍らに」のフリー・ダウンロードはこちらから

4年ぶりとなるフル・アルバムを1週間先行ハイレゾ配信

雨ニモ負ケズ / 結い

【配信形態】
[左] 24bit/48kHz (ALAC / FLAC / WAV)、AAC
[右] 16bit/44.1kHz (ALAC / FLAC / WAV)、AAC / MP3
※ファイル形式について
※ハイレゾとは?

【価格】
24bit/48kHz、16bit/44.1kHz(ALAC / FLAC / WAV) 単曲 270円(税込) / アルバム 2,052円(税込)
AAC、MP3 単曲 各216円(税込) / アルバム 1,620円(税込)

【トラック・リスト】
1. 有終
2. 瓦礫の城
3. 安寧の音
4. 昏迷の寝
5. 逆光
6. 雑草
7. 零
8. 或日、傍らに
9. ゼロの世界
10. 雨ニモマケズ

INTERVIEW : 雨ニモ負ケズ

〈此の先もまた繰り返すのか / 此の先に何を遺すのかい?〉

これは雨ニモ負ケズの新たな代表曲「或日、傍らに」を締めくくる一節だ。戦争について思うことをストレートに表現したというこの曲を筆頭に、彼らのセカンド・アルバム『結い』にはリスナーに向けられたいくつかの問いかけが込められている。東日本震災から4年が経ち、すこしずつ忘れられていく被災地の状況。民族間、地域間、そして国家間で今も繰り返されている争い。バンドのリーダーであるsottiはこう強調する。「人が考えるタネを撒いていきたい」。エモーショナル・ハードコアの直情的なサウンドを継承しながら、一個人として感じた怒りや悲しみをまっすぐに表明する東北のロック・バンド、雨ニモ負ケズ。彼らに前作リリース以降の4年間を語ってもらった。

インタヴュー&文 : 渡辺裕也

結局はみんな対岸の火事として見てるんだなって

ーー雨ニモ負ケズのファースト・アルバム『不撓ノ一奏』には、「イツカ」という曲が収録されていましたね。2011年3月に書いたというあの曲について、当時みなさんは「まだ整理がついてない」とおっしゃっていました。あれからおよそ4年が経った今、みなさんはあの曲とどのような気持ちで向き合っていますか。


雨ニモ負ケズ「イツカ」

小松拓哉(以下、小松) : 多分、それ言ってたの俺だったような気がするな(笑)。うーん…。それこそあの頃はまだ震災直後だったので、やっぱりあの曲を演奏しているときは、どうしても悲しみが蘇るようなところがあったんです。でも、最近はもう少し前向きな気持ちであの曲と向き合えるようになったんじゃないかな。まあ、めちゃくちゃポジティヴな感じってわけではないですけど。

ーーヴォーカルの洋奈さんはいかがですか。

洋奈 : 震災直後の自分は、なんていうか、「歌わなきゃいけない」みたいな使命感を無理に背負ってたところがありました。震災でいま苦しんでいる人たちの気持ちを、なんとか私が伝えていかなきゃダメだって。当時はそれが自分には重たくて、普通ならうまく伝わるものもなかなか伝えられてなかった気がします。でも、その重さもだんだんと時間が解決してくれたというか… 今の私はすごく前向きな気持ちで「イツカ」を歌えてますね。
sotti : うん。あと、今回のアルバムには「瓦礫の城」という曲が入ってるんですけど、これは「イツカ」の続編なんですよ。震災からちょうど2年が経った当時の現状を見ていたら、どうしてもなにか書かずにいられなかったというか。

ーーその当時の状況を、sottiさんはどう見ていたんですか。

sotti : なんていうか、あの震災で起きたことも、結局はみんな対岸の火事として見てるんだなって。たとえば、僕らが住んでいる仙台では、夕方になると必ず震災関連のニュースが報道されるんですよ。でも、全国ニュースではいまや被災地の状況ってほとんど伝えられなくなってますよね。東北の沿岸部では、今も仮設住宅で暮らしている人がいる。まだ復興はぜんぜん終わってないんですよ。だから、僕らはツアーで東京に行ったりするときも、そこはどうしても伝えたいんですよね。「まだ終わってないんだ」って。それはMCでもいつも話してます。

ーー今回のアルバム『結い』は、震災以降の4年間に感じたことをまとめた作品でもあるわけですね。

sotti : そうですね。とは言いつつ、このアルバムに何か特別なテーマがあったわけではなくて。というか、そもそもアルバムのレコーディング自体、もう一年以上も前に終わってるんですよ。そのレコーディングも、一年くらいかかったし。

ーー完成からリリースまで、そんなに時間をかけてたんですね。

sotti : 焦らず自分たちのペースでやろうと思ってたら、結果的にそれくらい時間がかかってました。ただ、このアルバムのレコーディングが終わったあと、ドラマーだったメンバーが辞めることになって。それが今回のアルバムにちょっとした意味合いを与えたような感じはしてます。

ーーというのは?

sotti : 今回のアルバムは『結い』というタイトルなんですけど、“結”という字には“結末”という言葉もあれば、同時に“結ぶ”という意味合いもありますよね。つまり、この作品は雨ニモ負ケズにとって大きな一区切りであり、同時にここから次へ進むっていう想いも込めてあるんです。

ーーその『結い』のクラマックスは、やはり“戦争”を題材とした「或日、傍らに」だと思います。非常にヘヴィな楽曲ですが、これはやはり安保法案を受けて書いた曲なんでしょうか。

sotti : 「戦争」をテーマにした曲は、それ以前からずっと書きたかったんです。戦争って、日本でも過去に起きたことだし、こうしている今も世界のどこかで起きていることですよね。それをどうにかして止めなきゃいけないっていう気持ちが、自分のなかにはずっとあったんですよね。それこそ音楽を始めた頃から、ずっとそうだった。ただ、その一方で僕は「実際に戦争を経験していない自分が、一体そこで何を伝えられるんだろう」とも思ってて。

ーー楽曲を通して訴えかけたいメッセージが、以前は漠然としていたということ?

sotti : そういうことですね。そこで大きかったのが、特定秘密保護法に関する議論が巻き起こったときでした。要は、あのときに「戦争」をそれまでになく身近なものとして想像できたんですよね。自分たちよりも若い年齢の人が、今も戦場で死んでいる。ぼーっとしてたら、いつか自分たちもその戦争に巻き込まれるかもしれない。今はみんながそういう現実と向き合わなきゃいけない時代なんだなって、あの時に強く思ったんです。

一個人の深層心理のなかに深く入り込んで、そこに光を当てたい

ーーその特定秘密保護法が施行されてから、今はまた局面が大きく変わりましたね。今年で戦後70年を迎え、安保法案を巡る議論がさらに高まっています。

sotti : うん。自分はあの法案に反対している立場だけど、一方で今の政権は安保法案をつくることによって、戦争を回避するんだと言ってる。たしかにそれは間違ってないのかもしれない。でも… それって結局は武力ありきで物事を解決させるってことじゃないですか。抑止力と言われてるものが武力なんだとしたら、やっぱりそれは違うと思う。「戦争しないための武力」って言われても、僕にはよくわからないんです。だって、人はそこに武器があったら、やっぱりそれを使ってしまうじゃないですか。だったら、その武器をみんなで捨てなきゃいけないだろうと。僕はそう思って、「或日、傍らに」をつくったんです。それに僕、自分が思ったことや自分の身に起きたことしか曲にできないんですよ。想像の世界とかでは曲が書けない。そうなっていくと、今はおのずと時事的な問題に触れることになるというか。


雨ニモ負ケズ「或日、傍らに」

ーーそれは自分たちのつくる音楽を通して、リスナーに考えることを促したいということ?

sotti : まさにそれが、雨ニモ負ケズというバンドの存在理由だと思っています。人が考えるタネを撒いていきたい。だから、社会でいま起きていることにも当然アプローチしていくし、一個人の深層心理のなかに深く入り込んで、そこに光を当てたいとも思ってるので。

ーーなるほど。では、「安寧の音」という曲についてはいかがですか。こちらは非常にブライトでアップリフティングな曲ですよね。

sotti : この曲は「或日、傍らに」みたいに社会的なことを歌ってるわけじゃないんですけど、やっぱり一個人としての心情を歌ったものですね。歌詞がちょっとした物語のようになってて、「身近に存在する幸せを大事にしようよ」という気持ちを込めてる。要は、僕らは誰かのためになる音楽をつくっていきたいんです。ただ楽しく騒ぐための音楽じゃなくて、この音楽で誰かを救いたい。震災のときもそうだったけど、「俺たちは今この場で何かを歌わなきゃいけない」っていう場面が必ずあるんです。俺はそういうときに歌える曲を書いていきたいから。

ーーそれが雨ニモ負ケズというバンドの命題だと。

sotti : そうですね。やっぱり状況は良くも悪くも変化していきますから、そこで書く必要性を感じる限りは、また「イツカ」と「瓦礫の城」の続編を書いていきたいとも思っています。それこそバンドのメンバーだって変わったし、ここからはまたいろんなアプローチに挑んでいけると思う。それに、うちらのアルバムを出してくれてる福島のレーベル(Nomadic Records)の社長が、みずから地元のボランティア団体を立ち上げるような人ですからね。そういう姿を見ていたら、あの震災を過去のことには絶対にできないから。今もどこかで苦しんでいる人がいるとわかっている以上、自分たちはそれを曲にして伝えていかなきゃいけない。そういう使命感で、僕はいま燃えています。

ーーでは、最後に。この作品が完成してから加入したというJrさんは、雨ニモ負ケズというバンドの思想的な部分についてはどう捉えていますか。

Jr : うーん…。このバンドはひとつひとつの楽曲に重要な意味合いがあって、それをこの3人はすべて共有できているんですよね。でも、それを自分がちゃんと理解するためには、ある程度の時間が必要だろうなと今は思ってます。

過去作も合わせてチェック!!

雨ニモ負ケズ / 逆光/瓦礫の城

シーンに登場以来、アルバム、シングル・リリース、ARABAKI ROCK FEST. 12出演など、全力で駆け抜けてきた仙台の雨ニモ負ケズが、配信&USBメモリー限定のシングルをリリース。バンド初のインスト曲となる1曲目、そして2曲目と3曲目は3.11への強いメッセージが込められた曲となっています。雨ニモ負ケズの新たなスタートを、是非とも高音質で感じてみてはいかがでしょうか。

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雨ニモ負ケズ / 不撓ノ一奏

地元仙台にてメキメキと頭角をあらわし、個性溢れる表現力でライヴ・ハウスを席巻している雨ニモ負ケズが、1stアルバムをリリース! sottiの奏でるディストーション・ピアノを中心に、繊細かつ大胆に胸を締め付ける洋奈の歌声、スペーシーなエフェクトを駆使する小松のベース、男子顔負けのパワーと独特のフィルを叩くチバのドラム。それぞれの独特な音楽観とキャラが融合したスタイルは、近年類を見ない個性派集団の入魂作!

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LIVE INFORMATION

— 雨ニモ負ケズ「結い」release tour 2015-16 —
2015年9月20日(日)@新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2015年9月26日(土)@秋田SWINDLE
2015年9月27日(日)@酒田hope
2015年10月9日(金)@池袋Adm
2015年10月10日(土)@稲毛K's Dream
2015年10月11日(日)@柏616
2015年10月16日(金)@仙台FLYING SON
2015年11月10日(火)@大阪2nd LINE
2015年11月11日(水)@神戸ART HOUSE
2015年11月12日(木)@京都MOJO
2015年11月20日(金)@札幌SPIRITUAL LOUNGE
2015年11月21日(土)@苫小牧ELLCUBE
2015年12月3日(木)@長野JUNK BOX
2015年12月4日(金)@名古屋栄R.A.D
2015年12月5日(土)@宇都宮HELLO DOLLY
2015年12月18日(金)@新潟RIVERST
2015年12月19日(土)@郡山PEAK ACTION
2016年1月12日(火)@渋谷O-Crest
2016年1月23日(土)@宮古COUNTER ACTION
2016年1月24日(日)@盛岡the five morioka
TOUR FINAL ONE MAN「ツヅク」
2016年2月29日(月)@仙台MACANA

PROFILE

雨ニモ負ケズ

2008年11月結成。2015年現在のメンバーとなる。 エモーショナル・ピアノ・ロック・バンドとして、仙台を中心に活動。 2012年〈ARABAKI ROCK FEST.〉出演を果たすなど、東北各地から関東までその活動を広げる。

>>雨ニモ負ケズ Official HP

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インタヴュー

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