2016/07/01 21:46

フジのルーキーもモノにした、ストリートを沸かせる生粋のファンク集団、umber session tribeの2nd EP

路上ライヴから活動をはじめ、2015年にはフジロックのROOKIE A GO-GOに選出された、9人組のストリート・ファンク集団〈umber session tribe〉。彼らがセカンドEPにして全国流通盤となる『Dude?!!!??!』を完成させた。ファンクやソウル、ヒップホップを消化して自分たちのものにしようという気概が窺えるこの作品は、SuchmosSANABAGUN.といった同世代のバンドとは一線を画すような土くさいファンク臭が魅力だ。そんなumber session tribeから、MCのKTwigzとバンド・サウンドの中枢を担うベーシストのaanriiに語ってもらった。

インタヴュー&文 : 宮内健
写真 : 関口佳代

umber session tribe / Dude?!!!??!
【Track List】
01. Phenomena
02. Dude (Interlude)
03. Mr. Jonez
04. DMT
05. ?!!!??! (Outro)

【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC
単曲 216円(税込) / アルバム 1,080円(税込)
umber session tribe「Phenomena」
umber session tribe「Phenomena」

INTERVIEW : KTwigz&aanrii (umber session tribe)

聴いてる人の野性的な部分を引き出したい(KTwigz)

左からKTwigz、aanrii

──umber session tribeは2014年に活動を開始したそうですが、どのようないきさつで結成に至ったんですか?

aanrii : 1番最初はベースとキーボードとアルトサックスとドラムの4人でインストをやってたんです。全員同じ大学に通っていたんですが、卒業して社会人になっても音楽を楽しめる場所が欲しいねっていうのが、そもそものきっかけで。ライヴハウスに出て演奏するのもいいけど、路上でやるのも楽しそうだなって思って、単純に路上でセッションをやるバンドとしてスタートしたんです。その後にギターも欲しいねとか、ホーンを厚くしようとか、ラップも入れてみようとか、中学の頃からバンドやってた友達だったり同じ大学の先輩だったりで集めていたら、いつの間にか9人になってました。当初はスティービー・ワンダーやRHファクター、ジェームス・ブラウンなんかのコピーしかやってなかったんですよ。

KTwigz : やっとバンド感が出てきたのは、2015年春のフジロックに出ることが決まったあたりからですね。メンバー個々に別のバンドもやってたりするので、このバンドでは最初セッションしてワイワイ楽しむだけでしたね。

──ちなみにおふたりはどんなバンドをやってたんですか?

aanrii : 僕はギターのIsokenとプログレッシヴ・ロックをやったり、僕は僕でパンク・バンドっぽいのをやったりとか、いろいろやってましたね。

KTwigz : aanriiとは1度ミクスチャーのバンドやったこともあったよね。

aanrii : メンバー全員、趣向はバラバラではあるけど、黒人音楽がいいよねっていう軸は1本通ってる。そういう共通項があるから、こんな音楽をやってるんでしょうけどね。

──KTwigzさんは、このバンドをやる以前からラップはやってたんですか?

KTwigz : やってました。最初にラップをしようとしたのは、小学校5年ぐらいでした。LAのちょっと下にあるオレンジカウンティーってところに住んでて、中3で日本に帰ってきて。向こうに住んでた時は友達とふざけてラップするぐらいだったんですけど、日本に帰ってきてから何か鬱憤が溜まってたのかメタルにはまって。また高2ぐらいからラップを再開した感じです。

──ご自身の中で影響を受けてるラッパーというと?

KTwigz : ラップのスキルとしてやべえって思うのはラキム、メソッドマンあたりなんですが、アーティストとして好きなのはスヌープ・ドッグ、アウトキャストとかですね。

エリックB&ラキム「ペイド・イン・フル
エリックB&ラキム「ペイド・イン・フル
スヌープ・ドッグ「ジン&ジュース」
スヌープ・ドッグ「ジン&ジュース」

──umber session tribeはファンクやジャズを取り入れた生演奏を軸にしたサウンドだから、直球で影響を受けたものとは違うスタイルのラップ表現になるのかなと思うんですけど。

KTwigz : そうですね。このバンドでラップのスタイルはガラリと変わりました。普段聴く音楽はヒップホップ以外にはファンクが多いんですけど、そのファンクのフィーリングとラキムやメソッドマンに通じるスキルを上手く組み合わて自分のスタイルにしていきたいなって模索してる最中です。聴いてる人の野性的な部分を引き出したいって意識してます。

ここでラップを中心にしたバンドに移行していった感じはありますね(KTwigz)

──リリックを書く上で心がけている部分は?

KTwigz : 僕がリリックを書く上でコアに置いているのは、日常にある不満や問題を感じている人達を拾い上げたいっていう気持ちなんですよね。たとえば2曲目の「Mr.Jonez」なんかは、リアルな話になっちゃうけど、まわりに自分が本当にやりたいことを捨てて、本意でない仕事をやってる人たちが多くて。それは別に悪いことではないんだけど、ネガティブな思いを抱えてまま生活しているうちに、ダメになっちゃう人も多いんですよね。自分に才能があるのはわかってるのに、そこに嘘をついていいのか?っていうメッセージを込めてみました。僕自身はやりたいことを自由にやってるんですけど、最初は普通に就職してたんです。でもそこを脱却して、今は自分で会社をやってるんですけど、それはそれで大変だっていう部分も含めてラップにしてみた感じです。

──そのリリックに込めたメッセージは、umber session tribeというバンドが生まれた時に、社会人になったとしても音楽を楽しめる場所を作りたいと思って結成したというエピソードと通じるところもありますね。ちなみに路上ライヴは、どのあたりで行うことが多かったんですか?

aanrii : 新宿とか渋谷でやることが多かったですね。路上でやってるといろんな人が観に来るじゃないですか? ひとつ覚えてるのは、珈琲屋を経営してる人がいて「今度一緒になんかやろうよ」って言われたことありましたね。

umber session tribe「The RH Factor(Rich Man's Welfare)」
umber session tribe「The RH Factor(Rich Man's Welfare)」

──えっ!? 何をどう一緒にやるんだろ?

KTwigz : 「俺は路上で珈琲淹れるから、君たちはライヴやって」って。

aanrii : それはちょっと実現しなかったですけどね(笑)。

KTwigz : まあ、基本酔っ払ってる人が多いですからね。路上でやってる時に、お金をもらうために売るものが必要だってことで作ったのが、1stEPだった。路上では結構売れたんですよね。iTunesのHipHopチャートでも4位になって。

aanrii : 僕らが演奏する、その対価としてお金を支払いたくなるぐらいに気に入ってくれたっていう、それは単純に嬉しかったですよね。評価の目安のひとつになったし、それでいただいたお金で音楽活動をもっと充実させようという気持ちになりましたからね。

──フジロックのROOKIE A GO-GOに出演したことで得たものはありましたか?

KTwigz : 最終日の深夜2時だったんですけど、予想した以上にたくさんのお客さんが集まってくれました。ただ、実際に演奏してみて気付きもあって。当時はまだインスト曲が多かったんですけど、やっぱり初めて観るお客さんにはとっつきにくいところがあるから。そこでラップを中心にしたバンドに移行していった感じはありますね。

aanrii : インストだとお客さんがどこを見ていいのかわからないけど、KTwigzがラップをしてればそこに注目が集まるし、ソロを演奏してる時にはKTwigzがMCとしてプレイヤーにスポットライトを当てて、視線を誘導させることもできる。そうすると、よりライヴが盛り上がりますからね。

刻み方なんかは正統なファンクだと思うんですけど、響きの部分で、ロバート・グラスパーあたりの新しいジャズを意識しました(aanrii)

──ラップをフィーチャーする上で、バンドの方向性などは変わってきましたか?

aanrii : 生音でラップとファンクを同居させる時に、楽器を主張しすぎるとラップが潰してしまうし、ラップをある程度前に出しつつ、サウンドそのものとしても楽しめるようにするかっていうのは日々研究してますね。こうして9人揃ってるのはやっぱり音楽が楽しいから全員集まってるわけで。全員が楽しみつつ、お客さんも楽しんでくれるような生音のグルーヴをどうやったら生み出せるかっていうことは、よく話し合ってますね。それと同時に、もともと僕はオーケストラの指揮者をやってて、クラシックも結構聴いたりするんですけど、21世紀に音楽をやるんだから新しい表現を追求していきたいって気持ちはあって。それをどうやってエンターテインメントに昇華していくかっていうのは課題だなって思いますね。今回のEPに関しては、僕が曲の原案を出して、それを曲としてまとめていく中でメンバー全員の意見がかなり反映されてますね。

──今回の作品は、umber session tribeとしての名刺代わりになる作品というか、バンドとしての意思表明みたいな印象を感じました。

KTwigz : 1曲目に収録している「Phenomena」という曲は、社会現象を起こしたいという意味と同時に、勝手に身体が動きだすような現象を描いていて。

aanrii : アレンジ面でいうとビートやクラビネットの刻み方なんかは正統なファンクだと思うんですけど、コード進行は平行移動させてみたりして響きの部分で、ロバート・グラスパーあたりの新しいジャズを意識しました。この「Phenomena」は1番最初にできた曲なんですけど、僕の中ではクルセイダーズなんですよね。『Free As The Wind』っていうアルバムがすごく好きで。ファンクのグルーヴもありながらメロディアスな部分もあって。結果的に今回の作品全体でそれを表現するようになった感じはありますね。

──パッと聴いて楽しさやかっこよさは伝わってくるんですけど、聴き込むほどにいろんな仕掛けが発見できたりと、飽きさせないアルバムになっていますよね。

aanrii : 音源って作品として残っていくから、一瞬で消化されるものじゃなくて、なるべく長きにわたってゆっくり生き残っていくようなものにしたい。今回はとくにそういう思い入れを込めて作ったつもりです。

LIVE INFORMATION

インストアイベント
2016年7月2日(土)@TOWER RECORDS横浜ビブレ店 1F
START : 20:00-
※インストアライヴ&ミニ・サイン会

umber session tribe『Dude?!!!??!』リリース・パーティー
2016年7月10日(日)@新宿MARZ
OPEN / START : 17:30
出演 : umber session tribe / 溺れたエビ! / Emerald / 710 OMEDETA SESSION

PROFILE

umber session tribe

通称「路上ファンク」。 ハイテンションかつグルーヴィーな演奏で夜の街を盛り上げる。 2014年5月に結成して以来、 渋谷の路上や都内ライヴハウスを中心に活動を行う。 2015年3月に1st E.P.『(notitle)』をリリースし、iTunes ヒップホップ/ラップチャート アルバム部門で最高4位を記録。「FUJI ROCK FESTIVAL ’15」ROOKIE A GO-GOに出演し、 FUJIROCK EXPRESSにてベスト・アクト3位に選ばれる。

>>umber session tribe Official HP

配信中のフジロック'15「ROOKIE A GO-GO」ステージ出演者作品

TOP