2014/07/04 16:26

美しいレイヤーと“音”による風景作品ーー日本のエレクトロニカ・シーン注目2作品を紹介!

日本のエレクトロニカ・シーンを根底から支えつつ、鋭い作品を発信し続けるレーベル、“PROGRESSIVE FOrM”、“moph records”。その両レーベルから気鋭のアーティストらによる2作品がリリースされた。どちらの作品も内容、向かう方向は違えど、聴く人々のどこかに確実に引っかかるような良作であることは確かである。今ページでは両アーティストの作品と彼らがそれぞれ所属するレーベルの他作品を紹介していきたい。

LASTorder / Allure(24bit/48kHz)

レーベル PROGRESSIVE FOrM  発売日 2014/07/10

01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. 08. 09. 10. 11. 12. 13. 14. 15.

※ 曲名をクリックすると試聴できます。

今年初めにリリースされたPROGRESSIVE FOrMのコンピレーション『Forma. 4.14』にも参加した、今最も期待される若手アーティストのひとりであるLASTorder。郷愁と未来へと誘うエレクトロニカと称され、19歳までの楽曲をコンパイルした1stアルバム『Bliss in the loss』の良質なエッセンスを踏襲しつつも新たに書き下ろされた本作では、一聴して心に留まるメロディー・メイキングにおいても、緻密なビート・プロダクションにおいても、前作『Unreal Dialogue』を遥に凌ぐ内容となった。特筆すべき点はやはり“歌”であろう。女性ヴォーカルの秦千香子をフィーチャーした1曲目「喪失 feat. 秦千香子」でのメロディーが真っ先に入ってくるようなポップ・センスは言うまでもない。しかし歌のない楽曲でも、自然とメロディーが耳に入ってくるような“素直さ”と美しい音のレイヤーは、ロジカルなセンスとは違う、ミュージシャンとしての先天的な感性が冴え渡っているということである。今後の彼の活動から目が離せない。

N.D. / NUL 0 00

レーベル moph records  発売日 2014/07/02

01. 02. 03. 04. 05. 06. 07.

※ 曲名をクリックすると試聴できます。

果てしなく続く地平線を背に佇む浮き世離れした姿の女性3人。しかしその3人は極めて“物体”として要素が強く、唯一の有機的な要素といえば、幾何学模様の布ずれであろうか。しかし上に広がる曇天の空によって、3人は更に“物体”と化していく。

今作を生み出したN.D.は性別、国籍など人として情報がまったく存在しないユニットである。したがって内容も、音楽以外の情報が介入する隙間がほとんど無いほど音に埋められている。サインと砂嵐のようなデジタル・ノイズを極限までに細かく継ぎ接ぎしたようなビートが作品全体を被い、その隙間をミニマムな音選びのピアノがたゆたう。まるで音を真空パックしたような詰まりに詰まったアンサンブルからジャケットから想像する“物体感”を想起せずにいられない。しかしそんな言葉の表現以上に、直接鼓膜にアプローチしてくるようなサウンドは無条件で聴く人々に快感を与えてくれる。本人達も今作にこのようなコメントを寄せている「一応、評論家にも釘を刺しておくと、これはジャズ、テクノ、現代音楽やノイズの融合ではなく、せめぎ合いなんだ。先人達が築いた音楽表現をN.D.流に昇華させた新しい概念の音楽だと思って欲しい。N.D. は、常に挑戦するプロジェクトさ。」

PROGRESSIVE FOrM 作品群

moph records 作品群

corona #02

V.A.

¥ 713

PROFILE

LASTorder (ラストオーダー)
1993年生まれのトラックメイカー。2010年、Shing02「Parallel Universe」のRemixを手掛け、2012年にはcokiyuの「Haku」のコラボレーション・シングルに参加。2013年2月に1stアルバム『Bliss in the loss』を発表。その後、数々のRemixや楽曲提供を行い、同年11月にフリーダウンロードアルバム『Unreal Dialogue』をリリース。そして2014年7月、満を持して待望の傑作2ndアルバム 『Allure』をPROGRESSIVE FOrMよりリリース。温もりのある質感・郷愁・ほろ苦いドリーミーなサウンドで三点着地するエレクトロニカ。
>>LASTorder OFFICIAL WEBSITE

N.D.
国籍、性別不明の匿名ユニット。
予定調和とは無縁の作風で、2014 年、moph records よりデビユーアルバム『NUL 0 00』をリリース。

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