2012/07/30 00:00

配信限定!! EeMu11ヶ月連続企画第6弾が登場

イチオシ・レーベルLOW HIGH WHO?に所属し、ビート・メイカーとして活動するEeMu。2011年12月にファースト・アルバム『Nothings』をリリースしたばかりの彼が、2012年2月から11ヶ月連続でEPをリリース。OTOTOYでは、その11ヶ月を、ヒップ・ホップ・ライターの遼とヒップ・ホップ担当和田隆嗣(僕です!)が必死に追いかける熱愛企画。第6弾が届きました。

EeMu Monthly Collection vol.6

EeMu / gleam

【価格】
MP3 : 単曲150円 / アルバム600円
WAV : 単曲200円 / アルバム600円

7月第6弾のEPはダンス・ミュージック特集。クラバー、ミュージック・ジャンキーのSOULとBODYに訴えかける渾身の全4曲。真夏の炎天下を踊るのに最適な1枚。

EeMuという才の底が見えない

EeMuのシリーズ6作目。早いもので、いつの間にかこの企画も本作で折り返し地点に来たことになる。こうしてこれまでの6作品を追ってきて、毎度これだけの作品を毎月作り上げることへの労苦を実感しながら、それでも常にEeMuの引き出しの多さに驚嘆させられてきた。本作もまた、それまでとは異なるEeMuを垣間見れる作品に仕上がっている。

ギアを落として大人なアンビエント空間を作り出した前作とは一変し、本作では、強靭なフィジカルのビートの上で上ネタが狂乱染みたダンスを繰り広げる、至って本能的なダンス・ミュージックが展開される。快楽主義的な音たちが溢れ出てくる分、これまでの作品から自然と読み取れた作中の物語性は本作では少し薄れている。もちろん無いことがイコール作品としてダメだ、なんてことには直結しない。むしろ、最初から設定されていないと考えても問題なく楽しめるのが今回の音たちである。

特に面白いのが冒頭の「kimono」。一聴したときは、その曲名とはかけ離れた渋いダンス・ビートだと思った。しかし次第に、バスドラのリズムであったり、要所要所で大きな役割を果たす音が、実は和風の音をクラブ・ミュージックの土俵に組み入れ、EeMuなりに変換したものであることに気付く。こういう聴き方は、恐らく十何曲も詰め込まれたビート・テープでは中々リスナーが行い得ない、独自解釈に基づく細緻な聴き込みである。僕の解釈が、あるいはどこかのリスナーの解釈がEeMu本人の思惑とは仮に外れていたとしても、こうやって曲を丹誠に眺められるのも、4~5曲サイズのEPの良い所でもあり、引いてはEeMuというトラック・メイカーをリスナーが理解するにあたって適当な機会となっていると、改めて感じる。

本作でもう1曲お気に入りの音を挙げるとすれば、「hevy sick」だ。ドラムだけでも聴けるくらい気持ち良い響きを鳴らしているが、その上で手を替え品を替え、不安定に移り行く音の変化が楽しい。冒頭でも述べたが、11作中6作目という折り返し地点に来ても、まだEeMuという才の底が見えないのは凄い。僕のような凡夫からすれば、もうこの6作でトラック・メイカーとして出来ることは全部やり切ってしまったんじゃないかと思ってしまうが、これからの後半戦で、EeMuがどれだけ期待の斜め上を行ってくれるのか。本作を聴いた直後からそれが楽しみになってくるくらい、このシリーズは飽きない。(text by 遼)

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EeMu Monthly Collection シリーズ

RECOMMEND


Vegoher / play

FilFla、FourColor、MinamoやFonicaなどのサウンド・プロジェクトで活動しているプロデューサー/コンポーザー杉本佳一のソロ・プロジェクトVegpherのデビュー作『Play』がFlyrec.からリリース。OTOTOYでは、24bit/48kHzの高音質WAV音源で先行配信。Vegpher(ベグファー)とは、琴座のα星VEGA(ベガ)と「そよ風」を意味するZEPHYR(ゼファー)を組み合わせた造語。ハイブリッドなビート・ミュージック・プロジェクトVegpherは、リズムのインパクトと快楽的な低音のシークエンスに主眼を置いた、空間的でバウンシーなダンス・ミュージックを志向する。

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tofubeats / 水星

2011年の年末に12インチ・レコードでリリースされ瞬く間に3度のプレスを重ねたあの『水星』 が待望のデジタル版で登場。tofubeatsとオノマトペ大臣の2 人が作り出した切なくて甘酸っぱくてアーバンで超絶メロウな日本語ラップ・アンセム! 収録のオリジナル・ミックスに加えて今回は若い才能を中心に客演をオファー。

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VA / COSMOPOLYPHONIC

RLPとKez YMというオリジナル・メンバーのコラボ曲「Six」で幕を開け、All CityからのリリースやDam Funkのリミックスでも知られるdevonwhoの涼しいブギー・ビートが続く。練馬のichiro_によるノイズ混じりのビート・サイエンスにFujimoto Tetsuroのコズミックなミディアム・フュージョン・ナンバー。diyTokionの黒汁満載のfonk、カナダの歌姫Sarah Linharesをフィーチャーしたmfpのデジタル・ビート。湘南のプロデューサー・デュオThe Astronotesによるソウルフルな感傷に続くは、fitz ambro$eの分裂症気味のマッドなビートを収録。

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EeMu Profile

北海道出身。中学からヒップ・ホップに目覚め、高校の頃には音楽性を確立し、全国のEDWINショップの店内BGMのオファーも来るほど当時は周囲を驚かせていた。その後、自身の多名義によるプロジェクト、様々なアーティストへのトラック提供をはじめ、現在はWEBサイトやCM、ドラマなどテレビ音楽などにも提供している。ブラック・ミュージックからクラブ・ミュージック、環境音楽などにも幅広くセンスに取り込み、仲間からラッパーから、音楽家たちからも愛されるビート・メイカーとしてコンポーザーとしてレーベル「LOW HIGH WHO?」を支え続けている。

EeMu official HP
LOW HIGH WHO? official HP

この記事の筆者

[連載] EeMu

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