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2020/01/31 20:00

 

WOOMAN主催<Destruct Session #1>にて、Waaterら東京インディーの新しい流れを目撃した──ライヴレポート

 

Waaterをはじめとした、東京の新たなインディー・シーンの渦中にあるバンドが一堂に会したWOOMAN主催イベント<Destruct Session>。ここはサウスロンドンwindmillなのか?と思ってしまうほど、フリーダムで一つのジャンルには到底縛られないような音楽が繰り広げられていた。

主催のWOOMANが2019年に出会い共感したバンドを集めた本イベントは、新しいシーンがここに存在しているのだということを示すものだった。誰かにとって、この日が一つの点になってほしいとの願いが込められたイベントであったことをまず記しておきたい。

ギター2本と打ち込みのみの構成でKing Krule、Mount Kimbieをめちゃくちゃにローファイにしたような音を繰り出すUs、IceageやFONTAINES D.C.直系のポストパンクを90年代ニューウェーブとクロスオーバーさせたダークな演奏で魅せるNEHANN。ここまででもかなり最高だが、さらにWaaterの駆け抜けるようなサーフパンクサウンドはサイケデリックなクールさをも持ち、踊らせにかかってくる。前方で他の出演バンドがハチャメチャに踊る姿には新しいシーンが現在進行形で誕生しているということを感じさせられた。The Cabinsに関してはポストパンク、オルタナ、シューゲをはじめとする異なる音楽性が一曲の間にいくつも見られ、それがオリジナリティを生み出しており、演奏力の高さにも圧倒される。



色々とバンド名やジャンルを述べたが、彼ら自身は何かのジャンルを目指している訳でも、特定のバンドを模倣しようとしている訳でもないだろう。Bandcamp、Soundcloudが当たり前の時代に生まれ、日本の音楽に造形がなくても海外のインディーに詳しいなんてことが当たり前にありえる。だからこそ自然にサウスロンドンやブルックリンで鳴っているような音を鳴らすことができる、という点で彼らは共鳴し合っているのではないだろうか。

WOOMANはポストパンク・USインディの影響が感じられる音楽性を、それまでのディレイリヴァーブかかりまくりのギターサウンドとは異なるシンプルで骨太なサウンドで奏でる。そこには当たり前に世界中の音楽を聴くような時代ではなかったからこそ生まれた、前4バンドとはまた異なるオリジナリティの魅力を見ることができた。

WOOMANのメンバーはかつてUSインディに強く影響を受けたアーティストを扱うレーベルの主要人物であった。レーベルは<Captured Tracks>からリリースを果たすJesse Ruinsを輩出するなど一部から注目を集めていたが、USインディ然とした音楽が大きなムーブメントを起こすのが難しい時代だったこともあり自然消滅していく。のちのミツメやDYGLに影響を与えた〈Cuz Me Pain〉の活動とはまた別の流れで生まれたWaaterやThe Cabinsらの新しい世代の音楽は、きっとWOOMANにとって2010年に自分たちが生み出していたシーンを彷彿とさせるものだったのではないだろうか。そして、洋楽邦楽の境目が曖昧になっていく中で、どんどん広がっていくであろうWaaterらのムーブメントとWOOMANが紆余曲折しながらも突き詰めてきたインディロックへの思いが交差した一日となっていた。

WOOMAN Presents <Destruct Session #1>

2020年1月29日 (水):下北沢SHELTER

Live: WOOMAN / NEHANN / Waater / Us / The Cabins
DJ: Naohiro Nishikawa (Solitude Solutions) / DUPPSY

【WOOMAN公式Twitter】
https://twitter.com/vvomanmusic

(津田)

[ニュース] NEHANN, Tō Yō, WOOMAN, Waater

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