2015/06/15 20:00
6月11日、これまでYogee New WavesやAwesome City Clubをはじめ、新たなシーンを形作ったミュージシャンが出演してきた渋谷WWW主催のイヴェント〈NEWWW〉のvol.6が開催された。この日の出演者も今のインディー・シーンを語る上で欠かせない注目バンドが勢揃い。チケットは当日券も含め完売という盛況ぶりだ。まさにイヴェントそのものが新時代の始まりを象徴しているような、熱気と楽しさに満ちた当日の模様をお届けしたい。
最初に登場したのはLUCKY TAPES、この日はホーン隊3名＋コーラス1名を加えた8人編成だ。キラキラと輝く洗練された音、軽快でファンキーな演奏とVo.高橋海の甘い声のハーモニーに観客の顔は自然とほころび、思い思いにリズムを刻んでいく。ダンス・チューン「SUNDAY NIGHT」で会場を一層盛り上げた後、8月発売のデビュー・アルバム『THE SHOW』から新曲を披露。めくるめく一夜の情景や楽しさ、切ない気持ちを日本語詞で歌った、新境地を感じさせるナンバーを聴かせてくれた。ホーン隊のムーディーなソロに次いで奏でられた「Peace and Magic」、発売後、瞬く間に完売してしまった「Touch!」、そしてライヴの終わりを惜しむかのようなちょっぴり切ないナンバーを、眩いミラーボールに照らされながら楽しそうに演奏し、歌う8人。理屈抜きで踊りたくなる、ドキドキワクワクな世界観。“幸せな魔法”、思わずそんな言葉が浮かぶステージだった。
続いては昨年8月に結成されたばかりのD.A.N.（ダン）。7月8日に1st EP『EP』を発売する、全員21歳のスリーピース・バンドだ。薄暗いステージで演奏が始まった瞬間、明らかに会場の空気がガラリと変わる。心臓の鼓動を支配するような大音量のバスドラムと妖しげに絡み合うmitchelのVJ、バンドが醸し出すただならぬ気配にゾクリとし、一気に期待と興奮が湧き上がっていった。驚いたのは、事前に聴いていた音源とは一味違ったスリルと迫力をバンドが体現していたこと。クラブ・ミュージックを彷彿とさせるミニマルな音とメロウな旋律にシンプルな日本語詞を乗せ、見事にバンド・サウンドへ落とし込んでいる彼ら。もちろん音源も絶対に聴いてもらいたい素晴らしい出来なのだが、生の演奏ではバンドのパワフルさが前面に出ていて、観客の衝動を問答無用で突き動かしていた。踊るというより“踊らされてしまう”、鑑賞というより“体験”という表現がしっくりくる、そんな感じ。中毒性抜群のベースラインとサビのフレーズが光るリード・トラック「Ghana」をはじめ、ダウナーから弾けるような展開を迎える「Now It's Dark」、チル感が心地良い「Morrison」とEP収録曲を次々と披露し、限定先行発売のCDは終演後わずか数分で完売。もとより口コミや業界内で評判のバンドだったが、この日のステージを観たどんな人にも確実に爪痕を残したに違いない、圧巻のライヴを見せてくれた。
トリを飾ったのはnever young beach。メンバーが出てきた瞬間から、観客のテンションは早くもマックスに。その熱は1曲目の「夏がそうさせた」で一気に弾け、「あまり行かない喫茶店で」でさらに爆発する。いかに多くの人が、ライヴで彼らとその音楽を共感することを楽しみにしていたかが、冒頭からハッキリと伝わってきた。Vo.安部勇磨もその弾けっぷりに驚きを隠さず「みんな最高! 毎日こんな風だったらいいのに」と満面の笑み。メンバーと一緒にジャンプしたり歌ったり、自由に楽しんでいるさまは本当に幸せな光景だった。彼らの音楽とライヴは、それぞれの胸に思い当たる“日常の情景”がいかに素晴らしく、また“それを楽しむだけだっていいんだ”ということをさりげなく示してくれる。「どうでもいいけど」で本編のラストを締め、アンコールでは「お別れの歌」を披露。夏の高揚感に満ちた陽気なトリプルギターやリズム、安部にしか出せない温かい歌声が奏でる音楽と、“気張らなくていい、楽しもう!”、そう感じさせる表現や生き方が、今彼らがこんなにも愛されている大きな理由のひとつなのだと実感した。(山田百合子)
〈NEWWW vol.6〉
2015年6月11日(土)渋谷 WWW
出演 : LUCKY TAPES / D.A.N. / never young beach
・LUCKY TAPES 公式サイト
http://luckytapes.tumblr.com/
・D.A.N. 公式サイト
http://danbandtokyo.weebly.com
・never yong beach 公式Twitter
http://twitter.com/yyyyuuumma
・ＷＷＷ 公式サイト
http://www-shibuya.jp/index.html
【D.A.N. 】
【never young beach】
