渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET)によるソロ10年目のベスト・アルバム

TOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美によるソロ・ユニット、THE ZOOT16。2002年に活動を開始し、これまで自身のレーベル「ZOOT SUNRISE SOUND」より3枚のアルバムをリリース。そこに含まれる楽曲群と各種LP(全て廃盤)に収録されているアルバム未収録曲群の中から16曲をセレクト&ノンストップ・ミックスし、ベスト・アルバムとしてリリースします。スカ、レゲエ、ラテンへの偏愛を素直に見せた、TOKYO No.1 SOUL SETとはまた異なる渡辺俊美の音楽家としての別の顔を本作でお楽しみください。


THE ZOOT16 / Z16

1. W.B.R / 2. Walkin' 3. ごめんねマイペース / 4. Na-O-Su-Yo / 5. 完全逆様な世界 / 6. Sugar Drop / 7. Fever / 8. 握り拳のメロディー / 9. Comes love / 10. 時の記す鐘を鳴らせ / 11. You've been gone too long baby / 12. 愛のテキーラ / 13. ハカランダ / 14. ロマンチック / 15. RED MOTEL / 16. DIRTY HUGGY

「『ずっと、16歳』と名乗っていますが、今の僕、『渡辺俊美』を歌っています」

2010年にリリースされたTHE ZOOT16のアルバム『ヒズミカル』のセルフ・ライナーノーツは、この言葉で締めくくられている。THE ZOOT16とは、TOKYO No.1 SOUL SET(以下、SOUL SET)のギター&ボーカルを務め、最近ではクリエイターの箭内道彦、サンボマスターの山口隆、THE BACK HORNの松田晋二との福島県出身者バンド、猪苗代湖ズのベースとしても活動している渡辺俊美のソロ・ユニットだ。SOUL SETが活動休止期間に入った2000年から2年後、自身の音楽に対する好奇心、冒険心をそのまま音楽に反映させるいわば「実験の場」としてTHE ZOOT16を始動させた。当初はメンバーに俳優の村上淳、DJのShoji、俳優の渋川清彦を巻き込みバンド形態でライヴをしていたが、最近はもっぱら手にアコースティック・ギターを持ち、足元にバス・ドラムを置き、一人っきりの演奏スタイル「THE ZOOT16 G.B.version」で活動を続けている。

ユニット名の由来は、前述にもある通り「ずっと16歳でいたい」という少年心から。80年代、20歳で原宿にアパレル・ショップをオープンさせ、同じく原宿のショップで働いていたBIKKEと川辺ヒロシと90年代初頭にTOKYO No.1 SOUL SETを結成。94年にはメジャー・デビューを果たす。渋谷系全盛期の80~90年代、原宿、アパレル、ヒップ・ホップ、メジャー・デビュー。登場から華々しい言葉で飾られた彼の経歴を見れば、彼が20代にして多くの若者が憧れるあらゆるアイテムを手に入れていたことがわかる。そこに記される前の渡辺俊美は、どんな少年だったのか。どんな時代を過ごしていたのだろうか。

しかし、彼は16歳の自分を懐古するためにこのプロジェクトを始めた訳ではない。THE ZOOT16の音楽から溢れだすのは、青春の甘酸っぱさでもほろ苦さでも疾走感でもない。むしろむせかえりそうなほどのダンディズム、センチメンタリズム、ロマンチシズムで溢れている。音楽家として、人間として、年輪を重ねたからこそにじみ出る哀愁。楽曲から渡辺俊美の音楽の原体験をはかることはできなかった。しかし時折、音と音の隙間から16歳の渡辺俊美が顔を覗かせる。このソロ・プロジェクトは長い音楽活動の中で得た自身の経験と知識を使って思いっきり遊ぶために始まった。その為に呼び出されたのが、無邪気ながらも野心的な16歳の渡辺俊美なのだ。

本作は初のベスト盤ということで、2002年にリリースされた初音源のEP『Na-O-Su-Yo/Dirty Huggy』から2006年にリリースされたフル・アルバム『完全逆様な世界』の楽曲群まで16曲を選出・収録している。その中で一点気になるのが、2010年にリリースされた『ヒズミカル』の曲が一曲も収録されていないことだ。冒頭で紹介したセルフ・ライナーノーツの中で、渡辺はSOUL SETが活動を再開し、経営していたアパレル関連の会社を他の人に全て渡し、SOUL SETが新たな事務所、レーベルに移った2005~2007年を、「自分を見つめ直す良い切っ掛けでした。そして、僕にとって新たな音楽人生が始まりました。」と語っている。そして、SOUL SETのレコーディングが始まる前に長期休暇をとり、スペインのバルセロナへ旅立つ。サッカーを観戦し、ライヴを見、スケボーで街中を滑り、ギターを買ってストリート・ライヴ、チープな食事とワイン。自由で気まぐれな日々の中で、一人でも音楽ができるTHE ZOOT16の活動を続けていく決心を固めたという。

本作未収録の『ヒズミカル』はそれ以降の作品だ。今年、46歳を迎える渡辺俊美。16歳から30年を経つつある今、新たな音楽人生が始まる前の音楽人生を再び振り返りたかったのではないだろうか。まずは本作でTHE ZOOT16の軌跡を知ってほしい。そして、より今の状態に近い『ヒズミカル』と聴き比べてみてほしい。「実験の場」としてではなく「共に年老いていくパートナー」としてTHE ZOOT16を見据え直した彼の、姿勢、覚悟、それに伴う音楽が、ここに来て変わりつつある。(text by 水嶋美和)

LIVE SCHEDULE

渡辺俊美

2012年3月4日(日)@福島県 ぎょうざのひぐち(旧樋口製材所)敷地内 特設ステージ(福島市大笹生字羽根通16)
【Viva!うづぐしまライブ】

LIVE PERFORMANCE : 渡辺俊美(Tokyo No.1 soul set、猪苗代湖ズ)&KATUSHI / 櫛引彩香トリオ(櫛引彩香×松田chabe岳二 CUBISMO GRAFICO × TA-1 ex Riddim Saunter ) / WACK WACK RHYTHM BAND / Oi-SKALL MATES / mancho cancho / BRAVE LION / uncaba authentic band(伊勢浩和、石川道久、西澤伸明、笹沼宏信、春名健吾、TSUYOSHI、斎木崇之、永田直、田中直起)

DJ : MARTIN-KINOO(CHELSEA MOVEMEINT:MC/POSTERIZE PRODUCER/BAYWARRIORS#23) / 稲葉達哉(LONDON NITE) / U-ICHI(LONDON NITE) /YOSSY(LONDON NITE/CLUB SKA) / Dr.IHARA(ex.LONDON NITE/CLUB SKA) / BOBO(CLUB SKA/UP UP) / 吉田アゲコ

SHOP and FOOD BOOTH : ぎょうざのひぐち / Sushi bar 江戸政 / curry dining笑夢 / 鉄板料理うらには / La Selvatica / Booty / 橋内酒店 / 珈琲舎 雅 / 菓子工房 風薫 / Curibbean dining「来音」らいおん / Total Plants bloom / 旨いとんかつ かつ亭 / Tsukuribito丸太屋 / なるきよ(tokyo)

2012年3月11日(日)@福島県 大和川酒蔵北方風土館(福島県喜多方市字寺町4761)
【INTER PLAY 3.11 喜多方】
出演 : 渡辺俊美(LIVE&DJ) / and more Local DJ

2012年3月18日(日)@広島県 賀茂輝酒造 円座(わろうだ)(広島県東広島市西条町)
【本間四畳半企画vol.26 「音 開 onkai 」

出演 : 渡辺俊美 / 二階堂和美 / うぐいすパーク
Cross talk : 渡辺俊美×二階堂和美

猪苗代湖ズ(渡辺俊美はBassで参加)

2012年3月4日(日)@福島県 福島市公会堂
【風とロックふくしま LIVE福島一座 FILM,TALK & LIVE CIRCUIT】

出演 : LIVE福島一座(are 猪苗代湖ズ、怒髪天、サンボマスター、Number the.、音速ライン、高橋優 and YOU)
総合司会 : 箭内道彦
主催 : 風とロック 福島民報社

◆ローソンチケット 0570-084-002 / 店頭Loppi(Lコード:24798)
◆チケットぴあ 0570-02-9999 / サークルK・サンクス/セブンイレブン店頭(Pコード:160-658)
イープラス / ファミリーマート店頭Famiポート
◆福島民報社事業局、郡山本社、各支社・支局、福島民報販売店

猪苗代湖ズチャリティー・ソング「I love you ふくしま」

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PROFILE

渡辺俊美 Toshimi Watanabe

TOKYO No.1 SOUL SETのヴォーカル、ギター、サウンド・プロダクション担当。独自のメロディとカラーを持つヴォーカルは各方面で定評があり、様々なアーティストの作品への参加、近年ではプロデュース・ワークもこなす。2010年1月20日には自身の音楽的好奇心を反映し試みるプロジェクト、THE ZOOT16のメジャー・デビュー・アルバム『ヒズミカル』をリリース。2月24日にはTOKYO No.1 SOUL SETの活動20周年記念ベスト・アルバム『BEST SET』を発売。2011年2月9日には様々な女性アーティストを迎えてのコラボ・カヴァー・アルバム「全て光」をリリース。また平行して、猪苗代湖ズのBassとしても活動中。

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筆者について
水嶋 美和 (bobbiiiiie)

酒と音楽と漫画と映画とお笑いに囲まれながら、何かしらとにかく書き続ければと思います。

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