THE VOC@LOiD M@STER16突撃イベント・レポート!!
さてはて、ボーマスとは何ぞや? それはボーカロイド文化だけに焦点をしぼった即売会、つまりコミケです。コスプレの方々がたくさんいらっしゃるあの場所です。ボーカロイドもコミケもよくわかっていない私、水嶋美和を優しくエスコートしてくれたのは、連載第一回でもお世話になったライターの滝沢時朗さんことタキペディア。開場して速攻置いてけぼりくらいましたけどね。辛くない。大丈夫。しかしこのイベント、すごかった。暑かった。熱かった! 溢れかえる人、人、人に押し流されてどんどん遠のく目的地。散り散りになるOTOTOY班。次に会った時には「CD買いすぎてお金足りなくなった」と言い、本ページ制作担当の内田武瑠ディレクターに金を借りるタキペディア(そのお金でまたCDを買ってました)。そして内田ディレクターの手には萌えキャラのうちわが… 。みんな、しばらく見ないうちに変わっちゃったね。熱狂という言葉はライヴ・ハウスのためにあるのではない。コミケのためにあるのだ。
(文 : 水嶋美和)
ニコ動が学校で、クラスの仲の良い奴同士でお店を出している感じ。
ボビー(以下、ボ) : お疲れ様です。いや本当に疲れた!
タキペディア(以下、タ) : お疲れ様。開場前に並んでいる人の多さにまず驚いたね。開場前にサークルの出展準備の時間があって、僕らは取材としてその時に入れたけど、既に中にも結構人が居たね。外で並んでいる人がこの空間に収まるとはとても思えなかったよ。
ボ : 実際収まりきってませんでしたね(笑)。忘年会シーズンの金曜日の中央線の終電ぐらい混んでた。「行けば何とかなるだろう」ぐらいの無防備な状態で行ったものの、いざ行ってみると情報量が多すぎてどこから見ていいのかわからず… だからまずは開場前の空いている間に、前回FLEETさんに紹介してもらったボカロ・サークル「s10rw(ストロウ)」のブースに行って挨拶しに行って。FLEETさんも遊びに来てましたね。
タ : s10rwの曲は元々好きでよく聴いていたから、Whooさんやそらいろくらぶさん本人を見た時に「こんな人達なんだ」と、ちょっと新鮮だったな。他のブースでは女の子がボカロPに「会えて嬉しいです! 」って話しかけてたよ。ファンとアーティストの交流が直に行われている場所なんだね。
ボ : そして11時半に一般入場開始になって、運営スタッフが「始まります! 」と声を上げた途端に会場中で拍手が起こって、かと思えば人が入り口からどっと流れてきて、「なんじゃこりゃ! 」
タ : どっと人が入ってズラっと列に並び始める。あれは独特の雰囲気だよね。
ボ : 私が右往左往している間に、あれ? タキペディアさん居ない! って思って振り返ったら、何も言わずに既に列に並んでました(笑)。
タ : 人気のあるサークルだったから、早く並ばないと。
ボ : あそこ、すごい人気でしたね。列が4回ぐらい折り返して、さらに会場からはみ出してた。
タ : DECO*27は元々ニコニコ動画でも有名なPで、柴咲コウにも楽曲提供をしていた人だよ。僕が並んでいる時に横にいた人は、お目当てのボカロPとサークル名、ブースの場所をリスト・アップしたメモを持っていて、僕ら以外の人はちゃんと準備万端で来てたみたいだね(笑)。
ボ : あと、音楽だけかと思ってたんですけど、書き手さんも結構出店されていましたね。
タ : 割合的には半々ぐらいだったね。基本的にコミケとか同人向けのイベントを踏襲しているんだけど、音楽をやっている人とイラストを書いている人が入り混じっていて、やっぱり普通のコミケとは違う感じはあったよね。CDや同人誌だけじゃなくてバッジやトート・バッグも売っていたし、非売品だけど初音ミクのギターを置いているサークルも居たね。
ボ : あそこ気合い入ってましたねー! あと、盤面にミクちゃんをプリントしたアナログ・レコードもありましたね。デジタルなのにアナログなところがかっこよかったな。
タ : アナログ盤にするために録音もオープン・リールを使ってて、初音ミクに合わせてバンドで一発録りしたって言ってたよね。盤面にミクをプリントするためにアメリカの工場に発注したって言ってたし。
ボ : そうなると、絶対元は取れないですよね。他のPさんの作品も全体的に安かったし、元を取るとか取らないじゃない、至高の趣味という感じでしょうか。
タ : だろうね、作る側も来てる側もすごい楽しそうだったし。お客さんも、ウェブである程度聴けるものをわざわざ池袋まで来てお金を払って聴きたいっていう人なんだから、ボカロ文化に参加することに対してすごく熱心だよね。しかしこのイベントは何というか… すごく文化祭っぽくなかった?
ボ : わかります!
タ : ニコ動が学校で、クラスの仲の良い奴同士でお店を出している感じ。
ボ : あと、会場内では色んなものがごった煮になっていて、前回FLEETさんから教えてもらった「N次創作」の現場を目の当たりにできたなと思いました。なるほど、こういうことか。
タ : N次創作といえば、最近はクリプトンから出ているボーカロイド・ソフトだけじゃなくて、自分でボーカロイドを作れるUTAUってソフトも出ているんだよ。
(会場内で配られていたペーパー(同人作家の情報フリー・ペーパー)を開く)
ボ : あら、初音ミクみたいなキャラクターがたくさん。重音テト、重音テッド、健音テイ… テイの設定に書いてあるこの「ヤンデレ」って何ですか?
タ : 病んでるけどデレデレしてくる。好きになればなるほど依存していって、「今すぐ来てくれなきゃ手首切る! 」みたいな性格のことだよ。
ボ : めんどくさっ(笑)!
タ : 初音ミクに習ってこういうキャラクターが生まれて、さらにそこから同人誌を作る人が出てきて、どんどん広がっていく。まさにN次創作だね。
ボ : あ、重音テトのコスプレしてる人見ました! 誰のコスプレなんだろうって気になってた。
タ : コスプレしてる人達もカラー・コンタクトを入れたりして、気合いが入ってたね。男の人だけどミクのコスプレをしてる人も結構いたし。
ボ : 筋肉質のミクちゃん (笑)。初音ミクのコスプレしてる人が生ネギ持ってなかったのが残念でした。
タ : ま、実際持っていくとネギのにおいがね(笑)。自分のコスプレの写真集を売っているサークルも居たね。
ボ : 初音ミクを起点にしてさえいれば、本当に何でもアリなんですね。そんな空間の中にカップルや親子もお客さんで来てて、不思議な光景だなと思いました。
タ : お客さんは大体は高校生から大学生ぐらいが主だったね。
ボ : ちょっと下世話な話になっちゃいますが、意外と可愛い子がたくさんいたなと(笑)。しかも現役女子高生かどうかはわかりませんが、制服で来てるじゃないかと(笑)。そういう子たちって、教室で普通にボーカロイドの話したりするんでしょうか?
タ : 今は同人文化がもっと開けたものになっているんだろうね。今回、このイベントに来て確認できた。ウェブから派生した文化なのに、現場に行って確認するっていうのも変な話だけどね。
ボ : 今日のイベントもみんな帰ってから家でニコ動見たりするんでしょうね。ヴァーチャルの世界とライヴの世界を行き来してる感じが楽しいのかも。
タ : あと衝撃的だったのは、色紙じゃんけん大会。
ボ : ね! 司会の人が前に立って「●●さんが書いたこの可愛い●●の色紙、みんな欲しいかー! 」「うお—! 」「じゃーんけーん、グー!」
タ : 全然勝てなかったけどね(笑)。
ボ : 次回は9月にあるそうなので、その時は勝ちましょう。
(レポート : 滝沢時朗、水嶋美和)
OTOTOYがセレクトする配信中ボーカロイド作品
初音ミクとムーブメントについて
PC画面上で歌詞とメロディを入力することによって歌声(ボーカル・パート)を作成することが可能です。このソフトはVOCALOID(ボーカロイド)と呼ばれる、ヤマハ株式会社が持つ歌声合成技術を使って、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が開発し、2007年夏に発売されました。
『初音ミク』発売後、ニコニコ動画などの動画投稿サイトを中心に、ユーザーたちの手により、たくさんの楽曲や映像作品などが発表されました。更に発表された作品は別のクリエイター同士の創作意欲を刺激し、新たな作品が生まれる創作の連鎖を生み出しました。
その現象は、主要なメディア媒体などに大きく取り上げられ、様々な賞を受賞。更に、赤十字社、文化庁や内閣府などでも取り上げられ、日本を代表するデジタル・コンテンツの一つとして、海外のフェスティバルなどでも紹介され、現在では、CD、DVDのリリースや立体化や書籍化、ゲーム化、CG技術を駆使したライブ・イベント等を展開し、音楽ソフトの枠をはるかに超えた多方面での活躍を見せています。
なるほど・ザ・バックナンバー
- vol.1 なるほど・ザ・ボーカロイド
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