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2018年07月31日13時00分

 
【レポート】3776、満員の渋谷o-nestでみせた景色〈「3776を聴かない理由があるとすれば」再現ワンマンライブ東京編〉──ライヴ・レポート
 

富士山ご当地アイドル3776が7月27日、渋谷o-nestで〈「3776を聴かない理由があるとすれば」再現ワンマンライブ東京編〉を行った。

タイトル通り、2015年10月にリリースされたアルバム『3776を聴かない理由があるとすれば』の再現ライヴ。ついに実施された待望の公演は、期待を上回るような圧巻の内容となった。

おそらくそれは、この日来場していた満員の観客の多くも感じていたことであろう。多くの人が集中してステージに見入っていた本編が終了した直後、井出ちよのと3人のサポート・メンバーを包んだ大歓声と割れんばかりの拍手が、それを物語っていた。

エンディングを除くとアルバムの最後に配置された「3.11」の「もうすぐ九合目 この景色 ぎゅっと目に焼き付けておきましょう 次いつ来られるかわからないからね」という語りは、まさにこの瞬間を想定していたかのようにも聴こえた。

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同作はインターバルをふくむ全20曲入りで、アルバムを通して富士山登頂に挑むコンセプト盤となっており、収録時間は富士山の標高(3776メートル)を由来としたユニット名と同じ3776秒。そのインパクトや完成度の高さから、発売後から絶賛の声が多くあがっていた。

しかし当時のインタビューで、井出ちよのとプロデューサーの石田彰は、同作の再現ライヴについて「いやぁーーーー!!!」と発言。そして発売後の2016年1月にこの日と同じo-nestで開催されたワンマン・ライヴ〈3776ライヴにいかない理由があるとすれば〉では、アルバムから披露されたのは3曲だけだった。

石田彰自身も、ファンから「求める声はあった」と語っていたが、これまで行われることのなかった再現ライヴ。今回は発売から約3年越しに実現した、まさに待望の公演だった。

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ライヴには井出ちよののほか、サポート・メンバーとしてみゆう、あきな、広瀬愛菜の3名が参加。3名は登山者風の衣装に身をまとい、インターバルでの語りや芝居、楽曲のコーラスなどを務めた。途中、井出ちよのが彼女たちから水筒を受け取り、ステージ・ドリンク代わりに水分補給するなど、細部までアルバムの世界観が徹底されていた。また石田彰は客席後方に設置されたサブ・ステージでギターの生演奏を披露した。

定刻から5分ほど押した頃、ステージ中央に井出ちよのが登場。イントロダクションを挟み、「登らない理由があるとすれば」の冒頭で「『3776を聴かない理由があるとすれば』再現ライヴー!」とスタートを宣言すると、客席から大きな歓声があがった。しかしこれ以降は一部の曲の手拍子やコールを除き、多くの人がパフォーマンスに集中し、じっとステージに見入っていたように思う。

なめらかなダンスを披露した「水でできている」、洞窟にいるような薄暗い照明のなかで歌った「洞窟探検」を経て、慌てふためいたような表情から赤いライトが点滅すると「避難計画と防災グッズ」へ。続く「日本全国どこでも富士山」では勢いよく、元気な歌声を聴かせた。

暖かいギターの音色とともに披露された「春がきた」に続き、はじまったのは「湧玉池便り」。まるで水中を漂っているかのようにゆっくりと歩きながら聴かせた井出ちよの透き通るような歌声、そしてサポート・メンバーによる幻想的なコーラスは圧巻だった。その後の「生徒の本業」では、学習イスに座った2人が生徒、井出ちよのが先生に扮し、後半は客席も一緒に「ひぃふぅみぃ」とカウントした。

次のインターバルで富士山の五合目に到着し、「いよいよ登山スタート」。ここからライヴも終盤へと一気に向かっていった。リズミカルに歌った「旅ふぉとセレクション」では、サブで一斉に手拍子。井出ちよのがラップを聴かせたインターバルを経て、サビで一気にアップテンポになる「八合目にゃまだ早い」へ。「春は巡る」ではアコースティック・ギターの音色に乗せて、せつなげな歌声を披露した。

そのままアルバムの最後を飾る「3.11」へ。ときに髪を振り乱し激しく体を躍動させながら、声を振り絞るように熱唱。インターバルでカウントしてきた数字は「3776」まで到達し、ここまで一気に駆け抜けてきた井出ちよのは息を切らしながら「3776を聴かない理由があるとすれば」と最後にもう一度タイトルをコール。そして4人がステージに並ぶと、しばらくの間、歓声と拍手が鳴り止まなかった。

アンコールでは、客席もふくめ本編と比べてリラックスしたムードの中、『歳時記・第二巻』に収録された「ほたる来い」「八十八夜」の2曲を披露。井出ちよのが最後に「サポート・メンバー各位、スタッフの方、来てくださった方々、きょうは本当に助かりました」と感謝。サポート・メンバーの3人を紹介し、「ありがとうございました!ばいばーい!」と笑顔で別れを告げて、ステージを去っていった。

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インターバルをふくめ、最初から最後までノンストップで完璧に再現されたこの日の公演。アルバム同様、ライヴを見ているこちらまで一緒に富士山を登頂したかのような、不思議な達成感と一体感が場内を包んでいた。

あの世界観を生で表現してみせた井出ちよのの歌やパフォーマンス、それを支えたみゆう、あきな、広瀬愛菜の3人もふくめて、どれが欠けてもきっとここに至ることは難しかったであろう。この再現ライヴが実現するには、もしかしたら発売から3年近くの年月が必要だったということなのかもしれない。

ひとつの大きな山を越えて、これから3776がどんな道のりを歩んでいくのか、改めて注目しようと思う。

取材・文:前田 将博
PHOTO:Jumpei Yamada

「3776を聴かない理由があるとすれば」再現ワンマン・ライブ《東京編》
2018年7月27日(金)@渋谷 o-nest

1.[Introduction]
2.登らない理由があるとすれば
3.[IntervalA]
4.水でできている
5.[IntervalB]
6.洞窟探検
7.避難計画と防災グッズ
8.日本全国どこでも富士山
9.[IntervalC]
10.春がきた
11.湧玉池便り
12.生徒の本業
13.[IntervalD]
14.旅ふぉとセレクション
15.[IntervalE]
16.八合目にゃまだ早い
17.[IntervalF]
18.春は巡る
19.3.11
20.[Ending]

アンコール1.ほたる来い
アンコール2.八十八夜


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