News

2022年02月22日20時00分

 
忘れらんねえよ〈ツレ伝2022〉ファイナルで見せた新たな一歩-OTOTOY独占ライヴレポ
 

忘れらんねえよが2022年2月16日(水)渋谷クラブクアトロにてライヴを開催。待ちわびたファンたちとの一体感の中、主催ツアー〈ツレ伝 2022〉を締めくくった。

忘れらんねえよを語る上で欠かせないお家芸的ツアー〈ツレ伝〉。今年は、1月15日(土)千葉LOOKを皮切りに、I’s、THE BOYS&GIRLS、オレンジスパイニクラブ、BiS、the telephonesを迎えて行われてきた。ツアーファイナルとなるこの日のツレは、バックドロップシンデレラ。意外なことに、初めてのツーマンライヴとなるようだ。チケットはソールドアウト、当日券の販売はなしの大盛況。ステージ上からは、これまでの歴史が詰まったツレ伝フラッグが堂々とフロアでファンを迎えていた。

いつものエイティーフィールド代表P青木氏にかわり、柴田隆浩(Vo.Gt)が自ら前説に登場。記念すべき初のツーマンを行うツレ、バックドロップシンデレラ(以下・バクシン)を紹介。「今日は非常に楽しいイベントになると思う。みんなモヤモヤしていると思うけど、バクシンはそんなの全部吹き飛ばすぐらいクソ踊らせてくれるから!俺らもそんな感じで行こうかなと思っているのでよろしくお願いします!」と挨拶。

豊島“ペリー来航”渉(Gt.Vo)、がこれまで呼ばれなかったツレ伝に対する切ない思いとついに実現した歓喜を「およげ!たいやきくん」のメロディに乗せて伝えると、「歌わなきゃジャクソン」でバクシンのライヴがスタート。でんでけあゆみ(Vo)がフロアを煽りながら、アサヒキャナコ(Ba.Cho)、鬼ヶ島一徳(Dr.Cho)による地を這う重低音と豊島のソリッドなギターで踊らせる。観客は感染予防対策として、フロアのマス目に入っての鑑賞となっていたが、その盛り上がりぶりは、観た限りコロナ前と遜色ない雰囲気。ただし、声を出したりダイブをしたりは御法度ということで、声を出せない観客たちのために“ハミング唱法”でのシンガロングを促したりと、このご時世ならではのコミュニケーションも。柴田の言葉通り、モヤモヤを全部吹き飛ばすライヴ巧者ぶりを見せて、怒涛のビートに観客もヘドバンや手拍子で応えて一体となった。

怒髪天「オトナノススメ」をSEに、忘れらんねえよがステージに上がる。柴田、サポートのロマンチック☆安田(Gt.Key/ 爆弾ジョニー)、イガラシ(Ba/ ヒトリエ)、タイチサンダー(Dr/爆弾ジョニー)の3人。柴田が「いけますか渋谷ー!」とテンション高く叫ぶと、アルバム『週刊青春』からの1曲「あの娘に俺が分かってたまるか」を歌い出した。グレッチ・テネシアンを弾きながら早口で捲し立てる柴田。サビで演奏がブレイクして〈愛しているって言ってよベイベー〉と叫んだ瞬間、フロアから一斉に心の叫びが聴こえた(ような気がする)。〈最近キスしたのは 新宿のおっぱいパブ〉とのカミングアウト的フレーズを振り切るようにみんなでヘドバンして、会場に謎の連帯感が生まれていった。「ツレ伝始めるぜー!」と改めて高らかに開会宣言すると、「夢に出てくんな、バカ!」と吐き捨ててから、最新曲「夢に出てくんな」へと突入。勝手知ったるサポートメンバーによる激しくも引き締まった演奏に乗せて、何かあったんですかと心配したくなるほどに赤裸々に心情を歌う柴田。情けなくて、悲しくて、だけどなんだかカッコイイ。これが忘れらんねえよの真骨頂だ。

「ツアーファイナルですよ!バクシンありがとうね! そして、ソールドアウトありがとうございます! “コロナは俺たちの音楽を止められない”……とか、どうでもいいですわ! カッコいいこと言うのも、深刻ムードも飽きました。この状況で、超楽しいって言いたい。ヤッター!って言いたい。そっちの方がロックンロールだろ⁉そっちがパンクロックだろ!?」と説得力のあるMCから続いたのは、ライヴのオープニングを飾ることも多い「僕らチェンジザワールド」。フロアの前から奥まで見渡して煽りながら歌う柴田、タイチの重たいドラム、イガラシの叩くように弾くベース、安田が高音のギターリフを加えて興奮を掻き立てる。サビで大合唱の代わりにステージに向かって手を伸ばし、大ジャンプする観客たち。「踊る準備できてますかー⁉」との呼び掛けて、忘れらんねえよ史上最高のダンスチューン「体内ラブ~大腸と小腸の恋~」へと続く。誰もが右手を左右にブンブン振って踊りまくっている。間奏の安田のエモいギターソロと共に柴田がサポートの3人を紹介して、〈大腸 小腸 …涙 金玉 心〉と呪文を唱えるようなフロウに手拍子で合わせてくるヤバいファンたち。みんなイカれていて最高すぎる。エンディングへ向けて転調するとグングン盛り上がって昇天した。

MCでは最近の出来事として、学生主催ライヴに出た後に10代の学生から手紙が届いたというエピソードを紹介。その学生さんはライヴで柴田のアツいMCを聞いたことで大好きな子に告白してOKをもらったという。青春の幸せエピソードに、場内は割れんばかりの大拍手。そのリアクションに、自分で喋り出したにも関わらず、「やめろー!」とギターを鳴らしてジミヘンばりのアヴァンギャルドなサウンドを放ちながらのたうちまわる柴田。「学生どもにそこまでやれとは言ってない!何幸せになってんだよ! まあ、おめでとうー!」と、「これだから最近の若者は最高なんだ」へ。〈まとめると最近の我々は最強なんだ〉と、フロアの人並みを人差し指でぐるりと指しながら歌い、「おめでとうな、学生ー!」と祝福する懐の深い兄貴ぶりを見せると、とことんポジティブに好きな相手を思う歌詞がストレートに心に届く「俺よ届け」では、マイクから離れて〈俺よ届けー!〉と絶唱するシーンも。

さらに繊細な素顔が垣間見えたのが、次の曲だった。ギターを置き、ハンドマイクを持つと「じつは、こんな明るくないんですよ、暗いんです。こういう場所だからこうなってるだけで、寂しいこととか悲しいこととかいっぱい考えてるから」と、複雑な心情を語りつつ、「そういう人の歌を歌います」との言葉から歌われたのは、「タイトルコールを見ていた」。オリジナルのアレンジとはガラリと変わり、安田がエレキピアノを弾き、イガラシのメロディなアスなベース、タイチの静かなタッチのドラムを伴奏に、ステージ前に出てハンドマイクで歌いあげる。これが本当に素晴らしかった。柴田の書くメロディの良さ、報われなさややりきれなさを抱える人たちに寄り添いつつも未来へのエールを送る力強い歌唱に、会場からは大きな拍手が送られた。

ライヴ終盤は、「この街には君がいない」「CからはじまるABC 」と、初期からのライヴ人気曲を連発。「今年1番の、盛り上がりもらっていいですかー!」との掛け声を受けて、会場大爆発の荒れ狂った雰囲気に。拳を突き上げて、サビはハイスパートな手拍子の嵐。〈いつのまにか四十路になっていく〉と、アップデートされた歌詞にも現実感がまったくないほどパッション全開で突き進んだ。曲が終わるとすかさず、柴田が「この高鳴りをなんと呼ぶ」のリフを弾き出した。幻想的な照明がステージを照らし出す。〈君がいない渋谷クアトロで 「君が好きだ」と歌っている〉と歌詞を変えて歌っていた。

感傷的なムードを拭い去るように、ハンドマイクでステージに前に出て煽る柴田。「踊れ引きこもり」では、後半のバラードパートにバクシンの豊島を呼び込んで、打首獄門同好会「日本の米は世界一」の一節を歌う、ツレ伝ならではのサービス精神たっぷりなエンターテイメントで目一杯楽しませた。

アンコールでステージに上がると柴田は、「ああ~、ツレ伝終わるわ。楽しかった~」とポツリ。良い対バンと一緒にやれたこと、コロナ禍でこんなにお客さんが来てくれたということに対して、「めちゃくちゃ幸せです」と感謝した。タイチのドラムに乗せてのフラカン先輩のヨサホイから、「ばかばっか」に突入。途中でスタッフがビールを柴田に手渡すと、バクシンのでんでけあゆみを呼び込んで、「これからもよろしくお願いします!」と乾杯、2人とも一気にビールを飲み干した。曲に戻ると、「全部、全部ここに置いていけ!」と猛烈なグルーヴの渦の中からフロアに向けてがなる柴田。ステージからものすごいエネルギーが放射されていた。カオスな「ばかばっか」の演奏が終わったとたん、柴田が唐突にギター弾き語りで「ドストエフスキーを読んだと嘘をついた」を歌い出した。サビでバンドが加わり、疾走して、立ち止まって、また疾走して、柴田が叫んで、先ほどのまでの一体感とは違う、孤高にすら思える独自の確立された世界を見せる忘れらんねえよの姿がそこにあった。

「〈ツレ伝 2022〉、全ての対バン、全てのお客さん、ありがとうございました!また会おうぜ~!」。最新曲と初期からのライヴ定番曲までを織り交ぜながら、新しい挑戦も見せたこの日のライヴ。最後の曲が「ドストエフスキーを読んだと嘘をついた」だったことが、改めてこれからの一歩を踏み出す忘れらんねえよのモードを象徴していたように思う。

尚、〈ツレ伝 2022〉に出演したツレたちと打ち上げするYouTube企画『バンドマンはしご酒』が、今後も続々と公開されるとのこと。また、新曲のリリースも予定されているようなので、忘れらんねえよのこれからに期待しよう。

取材・文:岡本貴之
写真:岩佐篤樹

ライヴ情報
2022年2月16日(水)@渋谷クアトロ
ツレ:バックドロップシンデレラ
〈忘れらんねえよセットリスト〉
1. あの娘に俺が分かってたまるか
2. 夢に出てくんな
3. 僕らチェンジザワールド
4. 体内ラブ~大腸と小腸の恋~
5. これだから最近の若者は最高なんだ
6. 俺よ届け
7. タイトルコールを見ていた
8. この街には君がいない
9. CからはじまるABC
10. この高鳴りをなんと呼ぶ
11. 踊れ引きこもり
EN1. ばかばっか
EN2. ドストエフスキーを読んだと嘘をついた

あわせて読みたい


TOP