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2021/08/27 18:30

 

映画『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』本日より劇場公開

 

音楽ドキュメンタリー映画『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』が、本日8月27日(金)から劇場公開されている。

あのウッドストックと同じ1969年の夏にニューヨーク・ハーレム地区で開催されたもう一つの歴史的な音楽フェスティバル「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」の模様が初公開されるこのドキュメンタリー映画は、劇場公開が決定すると共に大きな話題となっていた。

公開初日となる本日、筆者は都内の映画館で初回上映を鑑賞してきた。座席は新型コロナウイルス感染拡大防止のため左右一席ずつ間隔を空けていることもあり、ほぼ満席。2回目、3回目の上映も座席が残り僅かとなっており、注目度の高さが伺えた。

ザ・ルーツのドラマー、アミール“クエストラブ”トンプソンが監督を務め、50年の時を超えて全貌が明らかにされた映像には、会場となった公園に集まったとてつもなく大勢の黒人たちの姿が映し出され、中にはいったいどうやってそこまで登ったの?と聞きたくなるような高い木の上からステージを眺めている者も。そうした人々のファッションも見どころのひとつとなっている。

歌、鍵盤のみならずドラムも叩き出すハイテンションなスティーヴィー・ワンダー、鮮やかな青いスーツ姿で得意のスクイーズ・ギターをキメるB.B.キングらの熱狂的なライヴシーンを映し出しながら、前年の1968年に凶弾に倒れた黒人指導者マーティン・ルーサー・キングJr.牧師のニュースなど様々な映像と共に当時の黒人社会を取り巻く状況と問題が語られる。またフェスを会場で目撃した観客や実際にステージに立ったグラディス・ナイト、スティーヴィー・ワンダーらの回想と証言も生々しくこのフェスが開催された社会背景を浮かび上がらせている。

特に印象的だったのは、ニーナ・シモン、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのパフォーマンス。スクリーンに字幕表示される楽曲の歌詞を見ながらの映像により彼らが音楽に込めたメッセージが臨場感たっぷりに伝わってくる。また、元テンプテーションズのリードヴォーカリスト、デヴィッド・ラフィンが登場してモータウンのスタンダードともいえるあの大ヒット曲を歌い大合唱となるシーンなど、単純に歌、演奏の魅力も満載な映画となっている。感動的なエンディングまで、上映時間は118分。是非お見逃しなく。

文:岡本貴之

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