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2024/01/10 23:00

 

【ライヴレポート】また、アイナ・ジ・エンドと一緒に夢を見よう── 〈BACK TO THE (END) SHOW〉at 東京 LINE CUBE SHIBUYA

 

アイナ・ジ・エンドが、東京 LINE CUBE SHIBUYAにて、2022年3月の「AiNA THE END “帰巣本能“」@大阪城ホール以来約2年ぶりとなるワンマンライブを行った。ワンマンライブは久しぶりということもあるが、BiSH解散後初めてのワンマン、タイアップを含めた多くのシングルをリリース、岩井俊二監督作品『キリエのうた』では主演を務め、“Kyrie”名義でアルバム『DEBUT』をリリース、表現者のアオイヤマダとのユニット「アイナトアオイ」でロンドン公演を行うなど、解散後も精力的に動き続けてきた軌跡が、本公演でどう結実するのだろうか。さらに本公演のバックダンサーは自身がオーディションで選出し、本番に向けてアイナと彼女の妹のREIKAによるダンス指導が行われたことも公表されており、その期待値は半端なかった。

埋め尽くされたLINE CUBE SHIBUYA。少しずつ照明が青色に変わり、登場したのはオーディションで選ばれた6人のダンサー。自然に手拍子が湧き起こり、登場したアイナ・ジ・エンド。1曲目は最新シングル、前日にはMUSIC VIDEOも公開となった“帆”。「殻から抜け出し新たに前へ進んでいくこと」を表現した、スタートにはこれ以上とない楽曲だ。モグリアンズなる2021年ツアー時と同じバンド・メンバーがしっかり後ろを支え、彼女のライブの重要曲“ZOKINGDOG”で会場をドッグランにし、小松菜奈大好きソング“NaNa”と続く。丁寧に吊るされた幕や照明に彩られたステージをダンサーが出たり入ったりするので、ラスベガスやロンドンのショウを見ているみたいだ。そしてアイナの歌は、高音も低音もしっかり出ているし、前にグングンやってくる。これはすごい! 表現者としてのアイナ・ジ・エンドのレベルが格段に上がっている。

昨年11月にリリースとなった “華奢な心“” アイコトバ“とタイアップ曲が2曲続く。” アイコトバ“のバンド・アレンジが見事で、楽曲の世界観をより伝わるものにしていた。ここで主演映画『キリエのうた』から、“名前のない街“”幻影“を披露してくれた。スタッフさんからいただいたセットリストには記載されていなかったのだが、岩井俊二さんも会場に来ていると言っていたので、急遽やることになったのだろうか、なんか得した気分だ(笑)。そして主題歌“キリエ・憐れみの讃歌“に突入する。映画で、彼女の表現者としての力を思う存分に堪能した筆者としても、本楽曲を生で聴けるのは本当に楽しみにしていたし、同じ思いのお客さんは多かっただろう。優しい語り掛けから、最後には絶叫で歌い上げ、映画『キリエのうた』のシーンが脳内にフラッシュバックされ、お客さんがみな拳を上げたその光景は、鳥肌が止まらなかった。

そしてアルバム『THE ZOMBIE』より“家庭教師“。その後アイナがはけ、バンドとダンサーだけの激ウマSHOWは、会場のボルテージを爆あがりさせる。青いドレスに身を包んだアイナが現れ、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のEDテーマ“Red:birthmark”につなげた。凛として時雨のTKが作詞作曲プロデュースを行っているロックナンバーだが、彼の激しく激ムズな楽曲を見事に歌いあげる。彼女のハスキーボイスはロックサウンドに本当によく似合う。

次曲“虹”では、上から白幕が落ちてきてアイナの巨大な顔が映し出され、幽玄な世界に一変する。ダンサーも衣装を着替えて登場した“あぁ揺れてる“、ソファーが運ばれてきての“静的情夜“、バンド・メンバーの紹介を経て“彼と私の本棚“と続いた。明暗、陽陰、動静... さまざまな顔を覗かせるアイナ。バンドとしてのグルーブがより進化してて非常に気持ちいい。

そして作詞モモコグミカンパニー、作曲アイナのBiSHの“リズム“が披露される。

彼女のBiSHへの思いがとても感じられたMCだったので、以下に記載(原文ママ)。
「8年、あっという間でした。BiSHでは、いろんなことを教えてもらいました。自分は人間にしてもらったなあって思っています。それはメンバーにも、ここにもきっといるでしょうずっと応援してくれていた清掃員にも、人間にしてもらったなって。人を傷つけてしまったり、傷ついてしまったり。一緒にいるってことは全部お互い様なんだってことをBiSHで学びました。それから月日が経って、解散して。半年ぐらい立つんですけど。離れて初めてわかったことはたくさんありました。「私は6人でやっとアイナ・ジ・エンドだったんだな」って。ひとりだとなかなか、コントロールできませんでした。BiSHをやってた時のソロ活動も、BiSHという帰る場所があって。だからソロでいっぱい好きなことやって帰る場所にちゃんと帰って。それが自分の8年間でした。ポッてなくなって... 正直、未だにひとりでライブするのは、怖い時期もあります。なかなかうまくいかなくて、ライヴ中に倒れてしまったりだとか。そのたびに思います。あ、0.5、2、4...。みんないたのに、いまはゼロにひとりだけ立ってる。でもやっぱりこうやって、久しぶりのワンマンライブに駆けつけてくれる、あなたがいて。私、今は自分で舵をきって、進んでいきたいなって。やってみようひとりで、って思っています。だけど、私はBiSHに育ててもらいました。だからひとりでも、この曲は歌っていこうと思いました。大切な曲です。聴いてください。リズム。』

BiSHの解散が去年のこととなってしまった今だからこそ、彼女のBiSHの曲を歌い続けていくという強い思いを感じることができて、聴きながら涙腺が崩壊してしまった。

“ペチカの夜“では、アイナも含めて4人がギターを持ち、照明の目潰しから、一気にダウンピッキングでラスサビを激しく聴かすアレンジ。バンドならでは、ライブならではで会場のテンションは最高潮に。そして本編ラストは、“STEP by STEP”で大盛り上がりで終了した。コロナ禍に清掃員(BiSHのファンの総称)に向けて書かれた“STEP by STEP”だが、今日来てくれたお客さんに「また一緒に夢を見ましょう」という彼女の気持ちの現れだと解釈している。

万雷の拍手の後、三度目の着替えを行ったアイナが現れる。アンコールは、彼女が初めて作った曲“きえないで“、そして最後は「こんな幸せな夜もあるんだな」という彼女の気持ちを書いた“サボテンガール“で締めた。ZEPP TOURも決まっている彼女は、何度も何度も「また会おうね」と言いながら名残惜しそうに去っていった。

彼女のお客さんへの思いが多く封じ込められた今回のセットリストには心を掴まれたし、2021年のワンマンの時よりもショウに振り切った今回のライブは本当に楽しかった。そしてワンマン・ライブという形で久しぶりに見せてくれた元気な彼女の姿は、BiSH以降に明確に表現者として成長を遂げた姿であった。力強い歌にダンスに、移り変わる表情に、最高の笑顔、鬼気迫る姿と儚さ... それらに感情が揺さぶられまくった。人はまだこんなに変化(成長)できるのかと何度も驚き、BiSHロスを喰らった2023をふっきり、2024年、彼女とまた一緒に夢を見ようと思った。そう決心させてくれる一夜だった。

取材&文 : 飯田仁一郎
構成:西田健
Photo by sotobayashi kenta

セットリスト
アイナ・ジ・エンド〈BACK TO THE (END) SHOW〉
at 東京 LINE CUBE SHIBUYA

01 帆
02 ZOKINGDOG
03 NaNa
04 華奢な心
05 アイコトバ
06 キリエ・憐れみの讃歌
07 家庭教師
08 Red:birthmark
09虹
10 あぁ揺れてる
11 静的情夜
12 彼と私の本棚
13 リズム
14 ペチカの夜
15 STEP by STEP
EC1 きえないで
EC2 サボテンガール

Photo Gallery

[ニュース] Kyrie(アイナ・ジ・エンド), アイナ・ジ・エンド

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