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2020/07/24 18:30

 

“青春の日々、ありがとうBLITZ!” 忘れらんねえよ、無観客配信ワンマンで感謝の大熱演――OTOTOYライヴレポ

 

忘れらんねえよが7月23日(木・祝)に無観客有料配信ワンマン『さよならブリッツ -マイナビバイトであざす〜!-』を開催。配信ライヴならではの趣向を凝らした内容で、ライヴを待ちわびていたファンたちを楽しませた。

この配信ライヴは、忘れらんねえよが7月23日(木・祝)に開催を予定していた『がんばる柴田ワンマンツアー』マイナビBLITZ赤坂公演中止に伴い企画されたもの。アーティスト・スタッフの健康と安全の確保を最優先に、「ライブホール・ライブハウスにおける新型コロナウィルス感染拡大予防ガイドライン」を遵守した上で開催された。

今年9月に閉館が決まっているマイナビBLITZ赤坂は、忘れらんねえよにとって、2014年3月19日に開催された初の無観客ワンマンライヴに始まり、数々のライヴを行ってきた思い出がつまった会場。ファンにとっても思い入れのある会場に違いない。その締めくくりが再び無観客で開催されることになるとは、誰にも想像ができなかったことだ。そんな会場での最初で最後の配信ワンマンライヴは、視聴者がZOOMで参加できる企画も実施されるなど、ファンとの思い出作りが盛り込まれたものとなった。

配信開始の18時になると、アコギを抱えた柴田隆浩(Vo.Gt)が画面に登場。「こんばんは、忘れらんねえよです!今日は、みなさんがSTAY HOMEっていうことで、僕はBLITZの楽屋から弾き語りをしたいと思います」と、「夜間飛行」を歌い出す。途中、「ああ~間違えたー!」なんて言いつつ歌うところに、忘れらんねえよにとってのホーム・BLITZでリラックスしている様子が伺える。歌い終わり、「サンキューセックス!」と楽屋を出ると、「BLITZに出るバンドマンしか見れない場所を紹介します!」と、トイレをはじめとするBLITZならではの(?)設備を紹介。カメラは普段ファンが見ることができないバックステージの様子を伝えつつ柴田を追って移動していく。「で、バンドマンは緊張しつつこの階段を降りるとですよ、すげえ緊張してるとですよ」と、熊本弁で話す素の柴田。熊本から上京してきた少年・柴田隆浩がいつの間にかバンドマン・忘れらんねえよの柴田隆浩になって、ステージに飛び出して行った。

ステージに姿を現した柴田は、「忘れらんねえよ、さよならブリッツ始めてもいいですかー!」と画面の向こうに呼びかけて、「バンドやろうぜ」でライヴがスタートした。サポートメンバーのロマンチック☆安田 (Gt/爆弾ジョニー, HOT CAKE )、イガラシ(Ba/ヒトリエ)、トミタタカユキ(Dr/ THEラブ人間)を紹介すると、「もう1人は菅田将暉でお送りしています!」と、観客がいないのをいいことに虚偽申告。昨年末の〈ツレ伝オールナイトフェス〉では初めて「ヴォーカルは柴田隆浩!」と自己紹介したので感動したのだが、やっぱりイケメン偽装に戻っていた。恒例の時事ネタコール&レスポンスも、この日は配信仕様。「DASH!」のコールに、ファンは「村!」とチャットでレスポンス。斬新な取り組みにロックの歴史が覆った。マイナビBLITZ赤坂に欠かせない曲「戦う時はひとりだ」は、冒頭の歌詞 “君も失ったろ 僕も失ったよ” がこれまで以上に耳に引っかかる。後半で“マイナビバイトで探せー!”と、CMソング「マイナビバイトの歌」バージョンで披露された。序盤からバンドの突っ走る荒っぽい演奏が溜まりに溜まったライヴ欲を感じさせた。曲が終わると、「今日俺たちいい感じだよ」(安田)「いいよ!衣装いいよ!」(柴田)「柴田さんカッコイイ!」(安田)と、無観客だけにバンド内でお互いを称え合い盛り上げるメンバーたち。柴田は、「おいBLITZ!ここで大好きな先輩と出会って2マンやったり大好きな友だちと出会って2マンやったり、最初にやった無観客ライヴの何年か後に、満員のお客さんと出会いました!青春の日々だよ、ありがとうBLITZ!今日は最後だから俺らなりの今できる最高のライヴをやるから!」とBLITZに語りかけた。

ドラムが軽快なリズムをたたき出し、「北極星」へ。サビになると思わず大合唱したくなるのは、会場にいなくても同じはず。初期からの忘れらんねえよの真骨頂だ。間奏で安田がギター・ソロを流麗に披露すると、レゲエ調のリズムに合わせて背後にスクリーンが降りてくる。真っ暗になった会場に心細くなった柴田に対し、なんと柴田のご両親がスクリーンに映し出され、励ましのメッセージを送る。両親の姿をバックに炸裂するパンクサウンド。こんなのはじめてだ。親孝行な柴田が次に歌ったのは「喜ばせたいんです」。優しいメロディが誰もいない場内を包み込む。BLITZで初めて披露されるこの曲のテーマが、過去と現在の忘れらんねえよを繋いでいた。

フラカン先輩直伝の“よさほい”から、「ばかばっか」 が始まった。溜まっていたエネルギーを放出するように爆発する4人の演奏と歌。間奏でギターを置いた柴田は、フェイスガード&手袋を装着して「犬ジョッキ」に入ったビールを持ち会場後方で待つP青木の元へ。いつも柴田を支えている観客がいないため、ステージから竹馬に乗ってビールを受け取りに行く。一気に飲み干すと、帰りも竹馬でステージに生還。その間、音をぶつけ合うサポート陣3人のグルーヴがすごい。観客がいようがいなかろうが関係ない、空間を興奮の坩堝に叩き込むド迫力の一曲だった。

ミラーボールが回る中で歌われた「花火」では、前のめりな演奏に合わせて溢れる想いを次々と言葉にして重ねる柴田。続くMCでは故郷・熊本の大雨に触れ、「地震の時もそう思ったけど、みんなつらいことがあってもきっと良いことがあるって立ち上がって一生懸命生きてんのに、悔しいなって……。熊本のために作った歌があるんですけど、九州全体、あの大雨でしんどい思いをしてる人たちに喜んでほしいなと思って、歌います。「うつくしいひと」という曲です」。しっとりと丁寧に歌いかける柴田に安田が寄り添うようにオブリガードを挟む。曲が終わった瞬間にすかさず始まったのは「別れの歌」。かつてBLITZライヴ直前にバンドから離れたオリジナルドラマー、酒田のことを歌った曲だ。あれから5年経った今、柴田はどんな想いを抱きながら歌ったのだろうか。歌い終わったひと言によると「最高だー!お客さんがいない方が上手くやれる説!」と思いながら歌っていた模様。

熱いメッセージソングが続いた後は、ZOOMにより参加したたくさんのファンたちがスクリーンに映し出された。Tシャツを着たりタオルを持っていたりとライヴさながらに盛り上がっているファンと共に、Zeppライヴで好評だったというメドレーコーナーへ。ニルヴァーナ風リフの「紙がない」、コードがどんどん上昇していく刹那的な「明日とかどうでもいい」、ノリの良さと込み上げるメロディが合体した「タイトルコールを見てた」、疾走感とスケールの大きさがある「いいひとどまり」、バカバカしさとラウドさで混沌としたダンスチューン「みんなもともと精子」と、時期ごとの忘れトレンドな楽曲を楽しむことができた。「みんなもともと精子」でイガラシが弾くウネウネしたベースは精子を表現しているらしい。

「STAY HOMEの時代にこの曲やらないわけにはいかないでしょ!今日のために生まれたような曲ですよ!おまえら部屋で踊れ!」とハンドマイクを持った柴田が踊り歌う「踊れ引きこもり」 へ。毎回見せ場となる終盤のバラード・パートのゲストには、ZOOMでオメでたい頭でなによりのヴォーカル・赤飯が出演。黒で統一された、本人曰く江角マキコスタイルなファッションでシュッとスクリーンに姿を現した赤飯は、ZOOMによりリアルタイムでステージとコラボ歌唱。最後は柴田が無人のフロアをスタッフと追いかけっこ。安田が「新時代的なカオス」と自画自賛する画期的なコーナーだった。

「今、みんな色々我慢してると思うんですよ。行きたいところに行けない、会いたい人に会えないとか。色々あって辛くなってると思うんですけど、俺はそういう人はすごくカッコイイなって思っていて。だってそれって、誰かを傷つけないために自分が苦しんでるわけでしょ。コロナなんて、ワクチンができたらすぐ消え去るから、みんなが今苦労してることなんて必ず解消されるから。やりたいこと、会いたい人、必ず叶うから。それまで頑張りましょうよ。俺らも、少しでも楽しいことをやれるように考えて行くんで」(柴田)

胸に迫るラブソング「だっせー恋ばっかしやがって」に続き、“絶対 俺変わったりしないから”と歌う「俺よ届け」。久しぶりのライヴで聴ける言葉としてはファンにはたまらない力強い歌詞だ。BLITZのステージ上から画面の向こうのファンに、“俺よ届けー!”と絶叫が飛んでいった。本編最後に歌われたのは「この高鳴りをなんと呼ぶ」。何度もBLITZで歌われ、ライヴのハイライトとなってきた代表曲だ。“明日には名曲が その部屋に生まれんだ”と、歌詞を変えて歌う柴田。イガラシがトミタのドラムセットに近づいて一体となって太いビートを作り、安田がエモーショナルなギター・ソロでドラマティックに曲を高めていく。“最後の言葉を探してる” 忘れらんねえよの青春が詰まったライヴハウス・BLITZへの惜別が込められた本編ラストとなった。

アンコールでは、無人のフロアに向けて両手を振りながら笑顔でステージに戻ってきた柴田とメンバーたち。「こんな大変な時期にありがとうございます。BLITZも開けていただきありがとうございます」と、スタッフとBLITZへの感謝を述べると、「行きたい場所に行けない、会いたい人に会えない……俺もありますよ。そういう曲です」とのMCから、最新アルバム『週刊青春』収録のピュアなラブソング「なつみ」を歌いあげる。そして、2時間に渡る無観客配信ライヴの最後に歌われたのは「忘れらんねえよ」。再びZOOMで参加しているファンたちがステージ背後のスクリーンに映し出される。演奏中、背後のスクリーンを見上げながら、「すげえ!」と呟く柴田。それぞれの場所、シチュエーションから届く映像とBLITZのステージ上が繋がり大合唱のエンディングとなった。同じ空間にいなくてもみんなが歌ってひとつになれるこの曲は、こんなときによく似合うと思った。

メンバーがステージから姿を消すと映像が流れ、2020年12月18日(金)に中野サンプラザでのワンマンライヴ『僕の大切なもの』が開催されることが発表された。バンド初となるホールでのワンマンライヴで忘れらんねえよがどんなライヴを行うのか?これからの日々を頑張って生きていくエネルギーをもらえる明るいニュースだった。無観客有料配信ワンマン『さよならブリッツ -マイナビバイトであざす〜!-』は、7月26日(日)23:59まで視聴可能なアーカイブチケットが販売中(購入は7月26日(日)18:00まで)。リアルタイムで見逃してしまった方は今度こそお見逃しなく。

ライヴ写真:岩佐 篤樹
取材・文:岡本貴之

〈セットリスト〉
OP:夜間飛行(楽屋弾き語り)
1. バンドやろうぜ
2. 戦う時はひとりだ
3. 北極星
4. 喜ばせたいんです
5. ばかばっか
6. 花火
7. うつくしいひと
8. 別れの歌
9. メドレー(紙がない/明日とかどうでもいい/タイトルコールを見てた/いいひとどまり/みんなもともと精子)
10. 踊れ引きこもり(ZOOMゲスト・赤飯)
11. だっせー恋ばっかしやがって
12. 俺よ届け
13. この高鳴りをなんと呼ぶ
EN1. なつみ
EN2. 忘れらんねえよ

配信ライヴアーカイブ情報
2020年7月23日(木・祝)無観客有料配信ワンマン『さよならブリッツ -マイナビバイトであざす〜!-』
アーカイブチケット販売中
チケット販売:7月26日(日)18:00まで
アーカイブ視聴:2020年7月26日(日)23:59まで
▼チケットはコチラ
https://eplus.jp/wasureranneyo723/ 

ライヴ情報
忘れらんねえよ中野サンプラザ 初ワンマン『僕の大切なもの』
2020年12月18日(金)中野サンプラザ
開場 18:30/開演 19:00
チケット:全席指定4,300円
▼チケット先行受付中
http://w.pia.jp/t/wasure/ 

・忘れらんねえよオフィシャル・ウェブサイト
https://www.office-augusta.com/wasureranneyo/ 

[ニュース] HOT CAKE, THEラブ人間, オメでたい頭でなにより, 忘れらんねえよ, 爆弾ジョニー

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