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2022/06/04 00:00

 

【ライヴレポート】小林私、清 竜人を迎えて味園ユニバースで初ワンマン敢行

 

小林私が、2022年5月21日(土)大阪・味園ユニバースにて初のワンマンライヴ〈舞台では支配の力は諸君に宿る〉を開催した。

このライヴは、3月9日に配信、3月30日にCDでリリースされた2ndアルバム『光を投げていた』発売記念として開催されたもの。ゲストとして、初のコラボ楽曲「どうなったっていいぜ」をプロデュースした清 竜人も出演して行われた。

冒頭「あ、小林私です。よろしくお願いします」と自己紹介して歌い出したのは、『光を投げていた』収録曲「冬、頬の綻び、浮遊する祈り」。オリジナルではストリングスが入ったアレンジで歌われていたこの曲は、シンプルなコードストロークで歌うことで、メロディの良さがより際立って聴こえる。ライヴで初めて聴いたが、とても力強く魅力的で、改めて名曲だと感じた。曲の終わりに間髪入れずに「リブレス」を歌い出して、早口に言葉を畳みかけていく。

暗がりのステージに浮かび上がる照明の中で歌われたのは「スープが冷めても」。〈スープが冷めても 温め直せばいいやって それがどんなにこんなに難しいんだ〉と、“スープが冷めない”距離感でいた関係性の綻びを思わせる歌詞がじんわりと胸に沁み込んでいく。小林の歌は、難解だが想像力を駆使して自分なりに置き換えて聴けるところが、味わい深い。新曲と言わずに披露された新曲「繁茂」(はんも)もまた、そんな雰囲気を纏っていた。

この日のゲスト、清 竜人について、「普段は全然MCをやらないらしいんですけど、僕のゲストに出てくれたということで、ちょっと喋ってくれました」と、清 竜人のライヴを受けて感謝。ところが、コラボ曲「どうなったっていいぜ」は「コードが難しすぎて、今日やらないんですが(笑)。勘弁してくださいっていうぐらい難しくて諦めました」と断念したことを明かして観客に了解を求めた。

激しくも軽やかなストロークで歌う「目下」では真っ赤な照明が興奮を煽る。混沌としながらも、クリアなサウンドが心地良い。久しぶりに歌うという「朝は暗くて透明」では一転して群青色に染まる背景で歌の世界に没入させる。続く「biscuit」ではそれらの照明が交互にステージを照らすなど、照明の演出が曲の一部のようになっているのが興味深い。この日の音響はzAk、照明は平山和裕によるもので、小林の楽曲とボーカルをしっかりサポートしつつ世界観を構築して増幅していた。曲が終わるたびに、大きな拍手が小林に向けて送られているところを見ると、観客は歌の世界にグッと引き込まれているようだ。

合間のMCでまくしたててつつ、「曲をやります」と歌い出すギャップに客席から笑いが起こる。ゆったりとしたテンポの抒情的な「花も咲かない束の間に」、こぶしの聴いた節回しが耳に残る「後付」を歌い上げると、「残り2曲になりました。いつものようにアンコールはありません」と、ライヴが終盤であることを告げる。

「Two man cell」では、音数の少ない演奏に乗せたヒップホップな歌い回しから、途中「ポエトリーリーディング的に」喋る小林。最後のMCでは、なぜか漫画『トリコ』について熱弁してから規制退場を呼び掛けて、勢いよく曲名を叫んで「サラダとタコメーター」を披露。ブレスする暇もないほどの言葉の羅列に圧倒された。「本当にどうもありがとう!マジでうがい手洗い消毒だけは忘れずに帰ってー!」と、呼びかけてステージを去って行った。

シンプルなアコースティック・ギターの弾き語りながら、歌と音響、照明が三位一体となり表現された世界観に惹きつけられるライヴだった。6月11日には、東京・Zepp Hanedaにて〈舞台では支配の力は諸君に宿る〉の東京編が行われる。

取材・文:岡本貴之
PHOTO:ERINA UEMURA

ライヴ情報
小林私 東阪ワンマンライブ〈舞台では支配の力は諸君に宿る〉
2022年5月21日(土)大阪・味園ユニバース
ゲスト:清 竜人
〈小林私セットリスト〉
1.冬、頬の綻び、浮遊する祈り
2.リブレス
3.スープが冷めても
4.繁茂
5.目下
6.朝は暗くて透明
7.biscuit
8.花も咲かない束の間に
9.後付
10.Two man cell
11.サラダとタコメーター

ライヴ情報
小林私 東阪ワンマンライブ〈舞台では支配の力は諸君に宿る〉
「舞台では支配の力は諸君に宿る」
ゲスト:清 竜人
2022年6月11日(土) 東京・Zepp Haneda
イープラス チケット先行
https://eplus.jp/watashikobayashi/

アーティスト情報
・小林私 Twitter
https://linktr.ee/kobayashiwatashi

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