2016/08/22 15:41

INTERVIEW : カネコアヤノ

神奈川県横浜市出身のシンガー・ソングライター、カネコアヤノ。ライヴハウスに足繁く通い、TOKYO NEW WAVEから、たま、戸川純、町田康など、幅広い音楽に影響を受けた彼女の音楽は、じわりと胸をつかまれるメロディ・センスと強く光る詞のセンスに溢れている。伊豆のスタジオでレコーディングされた2ndアルバム『恋する惑星』をリリースしたばかりの彼女が、2015年11月25日(水)、OTOTOYの定期イベント〈オトトイのススメ!〉vol.4に出演を果たす(※終了しました)。それを記念し、カネコアヤノへのインタヴューを掲載。これを読んで少しでも気になった方は、ぜひ会場へ遊びにお越しいただくことをオススメします。本当にドキドキする1日になること、間違いなし!!

待望のハイレゾ配信スタート!

カネコアヤノ / 恋する惑星(24bit/48kHz)
【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC
>>ハイレゾとは?

【配信価格】
単曲 249円 / まとめ購入 2,000円(税込)

【Track List】
1. コンビニ
2. 銀河に乗って
3. ホームシックナイトホームシックブルース
4. 恋のしかた
5. キスをしよう
6. マジックペンと君の名前
7. 恋文
8. 週明け
9. こころとことば
10. 恋文-OUTDOOR Ver.-
カネコアヤノ / 銀河に乗って
カネコアヤノ / 銀河に乗って

それくらい命をかけていることはそれまでの人生にはありませんでした

ーーカネコさんは、Homecomings、おとぎ話、永原真夏+SUPER GOOD BANDを迎えて自主企画イベント〈カネコアヤノのてんごくツーマン〉を行ってきましたけど、3組ともカネコさんが呼びたかった人たちということで、どのようにして彼らの音楽に触れてきたんでしょう?

カネコアヤノ(以下、カネコ) : 高校生のとき、ライヴハウスに通ってる友達がいて、その子の影響で自分でもどんどんライヴハウスに行きだすようになったんです。高校1年生の頃はPOLYSICSが大好きで、そのあと、毛皮のマリーズやSEBASTIAN Xを好きになっていって。シャムキャッツとか東京カランコロンも大好きでした。

ーーいわゆる、TOKYO NEW WAVEと呼ばれていたバンドが好きだったんですか?

カネコ : そうなんですよ! ちょうど高2、3くらいの時にTOKYO NEW WAVEが盛り上がっていて、高校生活よりもライヴハウスに行くことがメインの生活になっていったんです。

ーー学校だったり日常とは違う興奮が、ライヴハウスにはあったってことですか?

カネコ : そうですね。通っていた高校の校則が厳しくて、スカートの丈は膝で白シャツみたいなルールがあったり、高校の入り口に先生がバーって立ってるみたいな感じだったんです。友だちも少なかったから、ライヴハウスに余計入り込んじゃったというか、それくらい命をかけていることはそれまでの人生にはありませんでした(笑)。それで、ライヴハウスで知り合った友達から、はっぴいえんどとか町田康さんとかを教えてもらって、そういう音楽にハマっていったんです。戸川純さんもめっちゃ好きで、高校生の時にLOFTにライヴを観に行ったりしていましたね。

ーーギターはいつから始めたんですか。

カネコ : 中3の時から高1くらいまでバリバリ練習してたんですけど、ライヴハウスに行くのにハマってからまったく練習しなくなっちゃって、全然弾けなくなりました(笑)。なので、本格的には大学で始めました。

ーー大学で軽音部かなにかに入ったんですか。

カネコ : いや、入ってないんですけど、今もバンドでサポートギターを弾いてくれてる濱野夏椰くんが当時同じ大学に通っていて「お前も音楽やってるならちょっと聴かせてみてよ」って言われて。そこでパっと作ったのが「はっぴいえんどを聴かせておくれよ(仮)」なんです。すごく恥ずかしがり屋だったから「全然よくないよ」って言って聴かせたら、「めっちゃいいじゃん!! 」「俺がやりたいわ」みたいになって。彼のお父さんがエンジニアの濱野泰政さんで、結果的に、私と夏椰くんと泰さんで宅録して音源を作りました(笑)。

カネコアヤノ / はっぴいえんどを聴かせておくれよ(仮)
カネコアヤノ / はっぴいえんどを聴かせておくれよ(仮)

ーーすごい話ですね(笑)。

カネコ : だから「はっぴいえんどを聴かせておくれよ(仮)」がすべてのはじまりなんです。それで、彼のお父さんが今のマネージャーを紹介してくれて、マネージャーもめっちゃ気に入ってくれ、「今すぐやろうぜ!!」みたいな感じになって。昔やっていたバンドで作った4曲と合わせて『印税生活』(ミニ・アルバム)を作ったんです。

タオルを持ってギターを弾いているんですよ

ーーそのころから、ライヴもけっこうやっていたんですか。

カネコ : 人前で歌うことが恥ずかしかったので、ライヴはしてなかったんですけど、今の事務所に入って、初めてのライヴをZepp TokyoのSCANDALの前座としてやらせてもらったんです。めっちゃ人がいて、ブルブルブルするし、ギターも超下手だし、最悪でした。もちろんその時できることはやったんですけど、あとで2ちゃんねるを見たら悪口みたいなことが書いてあって(笑)。

ーーそのコメントを見たとき、どんな気持ちだったんですか? 僕だったらかなりヘコみそうですけど…。

カネコ : 普通に笑いました(笑)。2ちゃんねるに書かれた!! やば!! みたいな感じで、逆にテンションが上がりましたね。パワーが違う感じの人とやらせてもらったから、色んな受け取り方の人がいて当然だなと思ったし。

ーー逆に、ステージに立つことの楽しみもありました?

カネコ : 気が動転していたからあまり覚えてないんですけど、今だったら100倍いいライヴができると思っていますし、それを思い続けながらここまで来たのはありますね。最初にあれだけひどいライヴをしたから、もっといいライヴできるのに、ってことをふと思い出してライヴをしています。

ーーちなみに、そのときはどんな編成でライヴをしたんですか。

カネコ : その時は、私と濱野親子の3人で出演しました(笑)。その体制で1、2年くらいやっていたんですけど、今のベースの木村拓磨くんがライヴを観て衝撃を受けたらしくて、誘ったらやりたいって言ってくれて今の4人に固まったんです。だから、『来世はアイドル』のときは木村くんは1曲しか参加してないんですよ。泰さんはプロのベーシストでもあってドラムも上手なんで、無理矢理ドラムもやらせて(笑)。だから『来世はアイドル』はめちゃめちゃ大変で、泰さんがベースも自分で録り、エンジニアもやって、ドラムも叩いています(笑)。

ーー(笑)。今作『恋する惑星』で、プログラミングとその他の楽器を担当されている川口圭太さんはどんな感じの人なんですか?

カネコ : アイデアがポンポン出てくる人で、アレンジャーさんってすごいなって思いました。普段だったらこんな音絶対入れない音を深夜に1人でコツコツ入れたりしていて。「マジックペンと君の名前」は、タオルを持ってギターを弾いているんですよ。それを言い出したのもカワグチさんで、デモのオケを作ってきたときに、これタオルで弾いているんだって言っていて(笑)。コーラスも全部考えてきてくれて、歌の部分もちゃんとプロデュースしてくれたので、すごくやりやすかったですね。一緒にお酒もすごい飲んだし、ふざけたこともよく言ってたし。

ーーレコーディング、ミックス、マスタリングは、濱野泰政さんがしているわけですよね。てっきりカネコさんに合わせて集められたメンバーと思っていたんですけど、そうじゃなくて必然的なチームだったんですね。

カネコ : そうですね。今作はベースも木村くんが全部弾いるし、ほんとアットホームで録れました。ご飯も毎食みんなで食べて、テレビを観て。そろそろ録るよみたいな(笑)。事務所のスタジオが伊豆にあって、私もめっちゃ気に入っているんです。もう伊豆スタじゃないと録りたくないくらい(笑)。

ーー伊豆スタジオは、どんなところなんですか?

カネコ : 本当にくつろげるストレス・フリーな場所ですね。今作は6日くらい篭ってレコーディングしたんですけど、集中力が切れて外に出たら海もあるし、崖とかに登ったりして(笑)。周りが森なので、外に出るだけで空気が気持ちいいし、リフレッシュできるんです。レコーディングしていて、気分転換に外に出たときにビル街とかだと、うんざりしちゃうと思うんですよね。そういう部分でも単純に身体に合ってるっていうのは感じます。時間の流れも東京と違ってすごくゆっくりだし。そういうところがリラックスできます。

やっぱり負けたくないし、やる側のプライドみたいなものが出てきている

ーー『恋する惑星』に入ってる曲は、アルバムに向けて作った曲なんですか?

カネコ : いや、曲がたまってきて、そろそろ出したいねっていう話になって録りました。作っているなかで「恋の曲多くない?」ってことに気がついて、タイトルも決まりました(笑)。

ーー前作と今作で、曲のつくり方も変わってきましたか?

カネコ : 前よりは練って作ることも増えましたけど、ライヴで絶対にやるっていう曲は1日で作っちゃうもののほうが多いですし、そのほうが自分の中にハマることが多いですね。練ったりとか考えたりして作ると、次の日聴いたとき、うーんまたちょっと微妙だなって保留ってなっちゃうことが多くて。私は性格的に、すごくめんどくさがり屋だから、一気に作った方が集中力が続くんですよね。1回集中力を切っちゃうと次に集中するまで時間がかかっちゃうから、今も一気に作ります。

ーーわりと、ひらめきみたいな部分を大切にしているんですね。

カネコ : そうですね。なんとなくギターを持ったらできちゃったみたいなことが多いかもしれないです(笑)。

ーー曲を作るとき、何から着想を得ることが多いと思いますか?

カネコ : なんだろう? 日常的に外に出かけたり、電車で人の話をめっちゃ聴くんですけど、そのなかで気に入った一言を元にして作っていったりします。すごく気に入った文字の並びがあったら、それをメインに妄想とか体験とかを交えて作ることもありますし、大学のとき、ゼミで詩を読んだりしていたので、そこから湧いてくることもあります。そう考えると、最近は何から作ってるんだろう(笑)。大学を卒業してから学ぶことをしなくなっちゃったから、ほんとに強制的に本とか詩とかもっと読みたいですね。そういうことをしないとバカになってく気がして…。

ーーあははは。でも、自分がライヴハウスに通って観ていたミュージシャンと一緒のステージに立って、意識も変わってきたんじゃないですか。

カネコ : 意識は変わりましたね。曲を作り続けて演奏しているなかで、一緒にできたり、お客さんが来てくれるってことは本当に嬉しいなと思います。逆に、いままで行っていたライヴとかはあまり観なくなりました。

ーーへえ、それはなんでなんでしょう。

カネコ : よくないのかもしれないですけど、ピュアな気持ちで観れなくなってしまったところもあるんです。同じくらいのキャパのライヴハウスでやっている人のことを、単純にいいなって気持ちだけでは観れなくてしまって。やっぱり負けたくないし、わたしもやる側のプライドみたいなのが出てきてるんだろうなと思います。その意識はちゃんと持っていたいですね。

簡単な言葉で心をぐっと掴んでくる詩が好きです

ーーカネコさんは、どういう活動をしてくのが理想ですか?

カネコ : 最終的には、みんなに私の音楽を聴いてほしいです。だから、音楽に繋がることなら、演技も、モデルも、なんでもやりたいですね。表舞台に立つ以上、エンターテイナーになりたいんです。今年、夏フェスで椎名林檎さんを観て、衝撃を受け過ぎちゃって。音楽を超えてるなと思ったんです。テレビにも出ているし、大きいステージにも立ってるから、エンターテイメント性があって当たり前なんですけど、ミュージシャンの中のミュージシャンって感じがほんとに素晴らしいなと思っちゃって。そういうところで、私もしっかり振り切りたいですね。これからはもっと華を持ってやりたいです。

ーーカネコさんって、インディ・ミュージックに精通してる反面、大衆性も持ち合わせている雰囲気もあって、不思議なバランス感覚があると思うんですよ。それが魅力的だなと僕は思っています。

カネコ : 私は本当にインディーズが好きだし、いい音楽を好きにやってたらいいんじゃない? って私自身思っていたんですけど、だんだんそうじゃなくてなってきていて。その理由の1つとして、働きたくない(笑)。だったら売れて音楽だけで勝負するしかないでしょって(笑)。

ーーすごくシンプルな考えかたでいいですね(笑)。

カネコ : 最近新しい家に引っ越したんですけど、1週間で「うるさい」って苦情を言われて(笑)。絶対に2年後にはもっといい家に住んでやると思って(笑)。音楽でやってやると思ったんです。

ーーあははは(笑)。カネコさんの楽曲って、じわじわと掴まれていく曲が多いんですよね。今作だと僕は「恋のしかた」が好きです。摑みどころがないなと思っていると、急にメロディが盛り上がってグッと掴まれる。そういうポイントが各曲に散りばめられてるってところでいいなと思います。

カネコ : それは嬉しいです。歌詞も本当にいいものを書きたいですね。

ーーまた、詩とかを読んだらいいんじゃないですか?

カネコ : そうですね。大学のとき、詩はけっこう読んで吸収してましたね。なので、詩をちゃんと読みたいです。いま、私、古本屋で働いていて、すぐ手に取れるところにいるのに読めてないから(笑)。

ーーそれはもう、自分の気持ちしだいだと思います(笑)。特に好きな詩とかあるんですか?

カネコ : 岡真史っていう人の詩は、本当に好きですね。12歳で亡くなってしまった人なんですけど、「僕たちのからだの中には悪いものが溜まっていて、ため息つくと全てが出ていってすっきりする」みたいなことが書いてあるんですけど、「ため息つくなよ」って言われるじゃないですか? その詩を読んだときに、ため息は誰でもつきますよね、みたいに思えて。「はー」ってやるだけで、からだが澄み渡ることがあるって、言われると分かるじゃないですか。この人は12歳だからそういうことがピュアに書けて、悪意もなく書いているんだろうなっていうのに衝撃を受けたんです。あとはまど・みちおとか、簡単な言葉で心をぐっと掴んでくる詩が好きです。

ーーそれはカネコさん自身の歌詞にも心がけていることですか?

カネコ : そうですね。ほんとうに簡単な言葉で綺麗におさめたいです。簡単な言葉なんだけど、こんなこと言えないわ、みたいなことを書くのが理想です。そういう意味で、ラッキー・オールド・サンの歌詞って、本当にすごいなと思っちゃうんです。〈強がりや優しさだけでは大事な人は守れない〉っていう歌詞があって、なんていい歌詞なんだって(笑)。

ーーできるだけシンプルでわかりやすいものを目指していると。

カネコ : 詩でいったら、あとはスピッツが最高ですね。言葉とかすごい好きです。

ーーじゃあ、まずは古本屋さんで詩を手にとるところからですね。

カネコ : とりあえず詩を読むことからはじめます(笑)。

インタヴュー : 西澤裕郎
写真 : 大橋祐希

オトトイのススメ! vol.4

日時 : 2015年11月25日(水)@TSUTAYA o-nest
開場 : 18:30 / 開演 : 19:00
料金 : 前売 : 2,500円 / 当日 : 3,000円(1drink別)※終了しました。
出演 : BELLRING 少女ハート / 0.8秒と衝撃。 / カネコアヤノ
問い合わせ : o-nest

主催・企画制作 : オトトイ株式会社 / ATFIELD.inc.
連絡先 : ticket@ototoy.jp(担当 : 西澤)

PROFILE

カネコアヤノ

1993年1月30日生まれ。神奈川県横浜市出身のシンガー・ソングライター。

高校在学中に「はっぴいえんど」「たま」「町田康」などの音楽に影響を受け、ギターを始め、作詞作曲も始める。
2012年5月にミニアルバム『印税生活』を制作。同年6月にはSCANDALのツアー東京公演のオープニングアクトを務め、その後も東京都内を中心にライヴ活動を行なう。
2013年2月には西田シャトナー原作の舞台『ソラオの世界』に主人公ソラオの幼少期役として出演。
2014年5月初の全国流通盤『来世はアイドル』をリリース。
また「MOOSIC LAB 2014」市川悠輔監督作品「恋文X」に主演・主題歌が決定するなど、音楽活動だけでなく多方面に活動する。

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