
Wyolica / Castle of wind 収録曲 : 全13曲
HQD価格 : 単曲 : 300円 / アルバム : 2600円
【TRACK LIST】
1. 明日へのノクターン / 2. 月夜に咲いた恋 / 3. 恋の幻 / 4. 逢いたいから(Album Ver.) / 5. 君にありがとう / 6. Sha la la feat.Junpei Shiina / 7. サヨナラ / 8. Everything is gonna be alright / 9. TRUNK / 10. MUSIC RIDER / 11. 僕は忘れない / 12. 会いたくて / 13. 微笑みのサルサ。
Wyolicaライヴ・レポート@9月29日(水) TOKYO CULTURE CULTURE
「世界で一番優しいラブ・ソング」と「世界で一番優しいR&B」、結局どっちだったのだろう。インタビューでAzumiは「ずっと前のお酒の席でso-toがそんな音楽をやりたいとこぼしていた、そしてその言葉が印象的で今でも覚えている」と話してくれた。けれど、その最後の単語がどちらかがどうしても思い出せないらしく、当のso-toに至っては話したことすら覚えていなかった。きっと、相当酔っぱらっていたんじゃないかな。お酒を片手にそんな音楽談義に花を咲かせていた二人を想像するとなんだか微笑ましい。
9月29日(水)、Wyolicaは実に7年ぶりとなるオリジナル・フル・アルバム『Castle of wind』をリリースした。そしてその記念にと彼らが試みたのは、Ustreamでライヴを生中継し、Twitterでリクエストを募り、その場で演奏する曲を決めるというリクエスト・ライヴだった。会場はライヴ・ハウスでもコンサート・ホールでもない、少し洒落たカフェ・レストランのような場所で、みんな席についてご飯を食べながら、お酒を飲みながら、彼女らの登場を待っていた。日常の音にすっと溶け込む癖のない彼女らの音楽には、これぐらいゆっくり見れる場所の方が合っているのかもしれない。ライブが始まる前はそんな風に思っていた。

客席の間から二人が現れ、最初に今作の一曲目「明日へのノクターン」の演奏が始まる。聴きながら、さっきまでの考えを改めていた。音源での彼女らの音はさらりと流れ耳に優しいのだが、ライヴで聴く音は優しさはそのままに、存在感がものすごく強い。インタビュー時、アルバムごとではなく、Wyolicaという活動の中に一貫したコンセプトを持ち続けていると話してくれたが、大きな変化を求めず、ずっと同じ音楽に向き合ってきた11年間の貫録がその音の中にはあった。そしてAzumiが「恋する乙女に捧げます」と言うと、「月夜に咲いた恋」「逢いたいから」が続いた。
彼女らの後ろにあるプロジェクターにはTwitterから絶えず送られてくるリクエストが映されていた。ニュー・アルバムからの3曲を演奏し終えると、さて次は何をしようかと二人は後ろを見ながら相談し始める。「悲しいわがまま」など初期の作品が多くリクエストされる中、彼女らが最初に選んだ曲は去年リリースされたミニ・アルバム『balcony』から「in the rain」。くもっていて温かいギターの音色が、喫茶店で雨宿りしているようなまどろんだ気分にさせてくれる。その後も歌っては後ろを見て、また歌っては後ろを見て、「Azumiちゃんかわいい」というツイートをAzumi本人がにこにこと拾いつつ、リクエストにワン・コーラスだけ答えたり、一度カヴァーしたという「もののけ姫」を口ずさんで笑ったり(やはりこういう曲の方がAzumiの歌唱力が際立つのか、少し鳥肌が立った)、和やかなムードでイベントは進む。

話す時の明るい笑顔と演奏時の真剣な顔が交互にころころと変わるのを見ながら、Azumiはやはり歌い手であると同時に女優でもあると確信した。曲によって声と表情を演じ分け、「Mercy Me~いつか光を抱けるように~」などの切ない曲では身振り手振りも加わる。明るい曲では人を外へ連れ出す先導者となり、失恋の曲では誰よりも気持ちを汲んでくれる理解者となる。それを、歌だけで表現する。
そして「最後にあと2曲ぐらいやろうか」と言い、多くのリクエストが来ていたデビュー曲「悲しいわがまま」に続き「are you missin’ me?」を演奏する。ここでso-toのギターを聴きながら「世界で一番優しい???」の言葉を思い出した。その実、ラブ・ソングでもR&Bでもどっちでもいい。こんなに優しくて温かい影のないギターの音は他に聴いたことないのだから。Azumiが女優なら、彼は彼女のいる優しい音世界をつくる演出家だ。
2曲を演奏後、2人は一度ステージから降りるが、もちろんお客さんたちはそんなに簡単には終わらせてくれない。「Wyolicaにとってとても大事な曲を」と言い、「ありがとう」が始まる。こちらの方こそこんな優しい空間を「ありがとう」! なんて、あの場に居たどれぐらいの人が同じことを思ったか。そして「さあいこう」の合唱で会場は一体となり、世界一優しい音楽を目指す2人はその瞬間、世界一優しい空間を作り、ここでUstreamの放送は終わる。実はその日会場に来た人のためだけにあと2曲アンコールに応えてくれたのだけど、それについてはあの場に居た人達だけの秘密にしておきたい。それぐらい特別な時間だったということ。(text by 水嶋美和)

>>>Wyolicaのインタビューはこちらから
OTOTOY独占 Wyolicaライブ音源『Live at The Globe Tokyo』
2009年12月13日に東京グローブ座で行われたWyolicaのワンマン・ライブの音源『Live at The Globe Tokyo Vol1~3』を配信限定でリリース! 本作は、Wyolica初のオフィシャル・ライブ音源。配信形式は、HQD(24bit/48khzのWAVファイル)。切なくて温かいWyolicaのライブにゆっくりと耳と体を預け、ダイナミクスと感動を味わってみてください。
Live information
ソニック・フェスティバル
11月13日(土)@新潟LOTS
OPEN : 16:00
料金 : 前売3,000- / 当日3,500-(スタンディング)
出演 : Wyolica / ent / predawn / HIFANA
DJ : MakotoSavanna / Tate / TAWARA
空間演出 : CandleJUNE
FORK SOUL NIGHT IN KYOTO
11月25日(木)@京都SOLECAFE
OPEN : 19:00
料金 : 前売り3,500- / 当日3,800-
Wyolica profile
個別に活動していたAzumiとSO-TOが、それぞれ同時期に別々に応募したsony musicのオーディションをきっかけに知り合い、1997年春にユニットを結成。ユニット名をWyolica(「草原の民」という意味の造語)に決定し、1999年5月21日デビュー。優しく透明感のあるヴォーカルと、穏やかで切ない歌詞・メロディーを核に、振れ幅のある、かつオリジナリティー溢れるアイデンティティーを披露。