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2019/09/24 00:40

 

【ライヴレポート】 BiSH、BiSHチームは、これからも伝説となる会場をうめていく所存です

 

でかい。ただただでかい大阪城ホール。ちなみに大阪は地場のものを応援する力が強く、東京発のアーティストが集客するのはけっして簡単な都市ではない。にもかかわらずBiSHは12,000人を見事にソールドアウトさせた。

公演スタート前に渡辺淳之介が「BiSHはつねに伝説と言われるライヴハウスでやってきました。そして今日は大阪城ホールです。長い道のりだったけど始まったばかりな気もします。BiSH、BiSHチームは、これからも伝説となる会場をうめていく所存です。そしてBiSHは、あなたたちがこの場所にいたことを誇れるようなライブをしてくれるでしょう。BiSHは皆さんの悩みを解決はしてくれはしないけど、一緒に悩みながら、みんなで一緒に進んでいきましょう」と清掃員に伝え、会場の緊張感が一気に増した。

スクリーンに映し出された映像にて60からカウントダウンが始まり、公演タイトル『And yet BiSH moves.』が映し出され、バンド・メンバーと白いガウンのような衣装に身を包んだBiSHが現れライブがスタート。一曲目は「BUDOKAN かもしくはTAMANEGI」。大阪に12,000人も集客するにも関わらず、まだ叶わぬ武道館に立つその思い。もはやこの曲はBiSHが初心を忘れないための決意表明ソングだ。And yet BiSH moves.= BiSHは止まらない。いきなりの強いメッセージに一曲目から涙腺がもっていかれた。

そして「GiANT KiLLERS」「MONSTERS」「DEADMAN」と非常に激しい曲たちばかりが続くが、ヴォーカルはしっかり聴こえるし、それぞれの楽器もとても良く聴こえる。つまり音がめちゃくちゃ良い。これはバンドとメンバーが即席ではなくライヴを重ね、息がぴったり合っているからこその賜物である。またよくライヴの最後の方に出てくる特効と言われる特殊効果演出を最初3曲で惜しむことなく使い、炎が燃え盛り、観客のテンションは一気にMAXまで持っていかされた。

そして「PAINT it BLACK」「MORE THAN LiKE」「HiDE THE BLUE」「I am me.」と繋いでいく。個々のダンスは揃っており、しっかり声も出ているし、何よりスクリーンに映ったそれぞれの表情がとても自信に満ちている。

びっくりしたのは9曲目の「SHARR」。羽織っていた白いガウンのような衣装を脱ぎ捨て真っ赤な衣装に早着替え。同時にメンバー後方のスクリーンが横幅いっぱいの全面スクリーンとなった。これはまさに幕張メッセでも見せた山田健人(yahyel)とのコラボレーションの為に用意されたものだろう。彼の炎と水がぶつかり合うような強烈に歪んでいるのにそれでも美しい映像と、アイナ・ジ・エンドとリンリンのシャウトが重なり、過去に見たことのないほどの激しい「SHARR」を魅せつける。

その映像美は、「OTNK」「NON TiE-UP」「stereo future」「FOR HiM」と各曲の雰囲気に合わせて移り変わる。最高だったのは「NON TiE-UP」。9月27日が誕生日のハシヤスメ・アツコを祝い会場中の清掃員が彼女のソロ・パートでスマホライトを点灯して祝福していた光景はとても綺麗だった。多分アツコは気づいていなかっただろうけど...

もうお決まりとなったハシヤスメ・アツコとメンバーの寸劇の後、「DiSTANCE」「FREEZE DRY THE PASTS」「My landscape」と後半戦も山田健人の映像、舞台演出、バンド、そしてBiSHがコラボし圧巻のステージが続く。特に「FREEZE DRY THE PASTS」のリンリンの表現などは、普段よりもより一層妖美だった。この曲が終わると拍手よりも先に清掃員から感嘆の声があがったのは、息をのむほど素晴らしかったことを証明していた。

セントチヒロ・チッチが、「清掃員と重ねた時間はとても愛おしくて、生きる力になっています。1人残らず包み込むので、ぶつけてきてね」と伝え、モモコグミカンパニーが「これからも色んなものをなくしたり、変わることを恐れずに、一歩ずつ前に進んでいくのでついてきてください」と言いラストスパートへ。「Nothing.」「SMACK baby SMACK」「オーケストラ」「プロミスザスター」、そしてラストは「beautifulさ」で締めくくった。特にギターのアレンジを変えたアルペジオとチッチの歌声で始まった「オーケストラ」は、バンドを率いたBiSHの集大成といっても過言ではない素晴らしい出来だった。

アンコールでは、アルバム『CARROTS and STiCKS』のラスト・ソング「GROUNGE WORLD」が演奏された。「また何か始めるんだろう」と連呼する本曲。公演タイトル、渡辺やモモコの発言、全てに共通している「進み続ける、変わり続ける、やり続ける...」そんな簡単なようでもっとも難しいそのメッセージは終始一貫しており、BiSHの未来を期待せずにはいられない。そして最後は「BiSH-星が瞬く夜に-」、ダブル・アンコールで「ALL YOU NEED IS LOVE」と大合唱の大団円で締めくくった。

このライヴのなによりも特筆すべきことは、魅せるライブだったことだ。アイナがインタヴューで「個々人が今ものすごく成長しているから楽しみにしていてください」と言っていたのだけど、一人一人が『LiFE is COMEDY TOUR』、そして夏フェス、ソロやバンド、執筆などの個人の活動を経て急激な成長を遂げていた。アイナに頼るのではない歌、バンドに負けない勢い、演出に負けない表現力、そして山田健人に負けない存在感。そうそう、あの下手くそだったMCでさえ今や楽しみにしちゃうくらい面白い。もはやBiSHがもっていた隣の女の子感は消えた。完全に個々の素晴らしいアーティストが集ったBiSHだったからこそ、我々は何度も何度も魅入ってしまったのだ。

BiSHが掲げた『And yet BiSH moves.』とは、「一人一人を伸ばしながら、圧倒的な世界観を魅せ続けていくこと」と今僕は解釈している。そのためにはBiSHだけじゃなく、BiSHチームとしての成長、そしてプロデューサーの渡辺の成長にもかかっている。渡辺の最初の「BiSH、BiSHチームは、これからも伝説となる会場をうめていく所存です」は、彼なりの決意表明だったのだと確信している。

そんなことを考えながら大阪城ホールを出て駅に向かって歩いていると、その決意表明があまりにも眩しくて僕は涙が止まらなくなった。しかも外で売っていたものすごい精巧なドラえもんのどら焼きがやたら旨くて... 僕は今日魅せてもらった景色とこの味を一生忘れることはないんだろう。

文・構成 : 飯田仁一郎

■〈And yet BiSH moves.〉セットリスト
M1 BUDOKANかもしくはTAMANEGI
M2 GiANT KiLLERS
M3 MONSTERS
M4 DEADMAN
M5 PAiNT it BLACK
M6 MORE THAN LiKE
M7 HiDE the BLUE
M8 I am me.
M9 SHARR
M10 OTNK
M11 NON TiE-UP
M12 stereo future
M13 FOR HiM
M14 DiSTANCE
M15 FREEZE DRY THE PASTS
M16 My landscape
M17 Nothing.
M18 SMACK baby SMACK
M19 オーケストラ
M20 プロミスザスター
M21 beautifulさ

ENCORE
EC1 GRUNGE WORLD
EC2 BiSH -星が瞬く夜に-

W.ENCORE
W.EC 1 ALL YOU NEED IS LOVE


【全国ホールツアー】
〈NEW HATEFUL KiND TOUR〉

2019年10月5日(土) 埼玉 サンシティ越谷市民ホール
2019年10月13日(日) 熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
2019年10月14日(月・祝) 福岡 福岡サンパレスホテル&ホール
2019年10月18日(金) 京都 ロームシアター京都
2019年10月22日(火・祝) 静岡 沼津市民文化センター
2019年10月27日(日) 香川 レクザムホール
2019年11月3日(日) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
2019年11月4日(月・祝) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
2019年11月14日(木) 東京 オリンパスホール八王子
2019年11月16日(土) 山口 周南市文化会館Z
2019年11月17日(日) 広島 上野学園ホール
2019年11月23日(土) 石川 本多の森ホール
2019年11月24日(日) 長野 ホクト文化ホール・大ホール
2019年11月29日(金) 神奈川 相模女子大学グリーンホール
2019年12月4日(水) 東京 東京国際フォーラム
2019年12月7日(土) 北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
2019年12月13日(金) 宮城 仙台サンプラザホール
2019年12月14日(土) 岩手 盛岡市民文化ホール(大ホール)
2020年1月10日(金) 兵庫 神戸国際会館こくさいホール
2020年1月11日(土) 大阪 オリックス劇場
2020年1月18日(土) 栃木 宇都宮市文化会館
2020年1月22日(水) 東京 NHKホール
2020年1月23日(木) 東京 NHKホール

※ダイブ・リフト・サーフ禁止
チケット情報 : w.pia.jp/t/bish/

BiSH Official HP : https://www.bish.tokyo
BiSH Official Twitter : https://twitter.com/bishidol


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