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2014/04/07 21:00

 

クラフトワーク、カン――クラウト・ロックの伝説的バンドの初期ライヴ映像が発掘される

 

クラウト・ロックの2大重要バンドとも言える、クラフトワークとカン。このふたつの巨星、活動初期のライヴの全貌を捉えた貴重な映像が発掘され話題となっている。

もはやポスト・ロックやエレクトロニック・ミュージック以外にも多大な影響を与えている70年代のドイツの実験的なロック・バンド=クラウト・ロック。メロディ、コード進行のわかりやすい展開というある種のロック~ポップ・ミュージックの骨格から逸脱し、現代音楽、コラージュ、電子音楽やミニマル・ミュージックなどの要素を取り入れ独自のサウンドを作り出していたドイツのロック・バンドの一群をそう呼ぶ。

そのなかでも、その作品アーカイヴ自体が、もはやクラウト・ロックの主たる作品と言っても過言ではないふたつのグループのライヴ動画、しかもフルサイズと思われるライヴ動画がYouTubeにアップされ話題となっている。

クラフトワークのライヴ動画は、1970年のテレビでのライヴ中継より。編成は、現在の中心人物ラルフ・ヒッターと、2008年脱退までグループの中核を担ったフローリアン・シュナイダーの2人のクラフトワーク創設メンバーに加えて、ドラマーに、その後、ミヒャエル・ローターと共にノイ!を結成するクラウス・ディンガーが参加している。良く知られている「テクノ・ポップの元祖」的な存在となる1974年リリースの『アウトバーン』以前のスタイル、強いて言えば1970年リリースのファースト・アルバム・リリースの頃のスタイルが垣間みれる映像だ(ちなみに『アウトバーン』前のファーストからサードまではメンバーの以降により廃盤状態。クラフトワークの公式YouTubeチャンネルで試聴はできる)。
電子変調したフルートや発信器、ギター、そしてディンガーのハンマー・ビートというスタイルで、まだまだ「人間の臭い」のするある種の「ロック・バンド」らしさがまだ少々あるころの貴重な映像だ。

対してカンの映像も同時期のテレビより。日本人ヴォーカリストのダモ鈴木在籍時のもので、時期的には1970年の『Soundtracks』の頃で、さらには「Oh Yeah!」など1971年の『Tago Mago』収録楽曲を演奏している。そのキャリアにおいて最も勢いのある最初期の頃のライヴを収録したものだ。しかも80分というヴォリューム。

これまで断片的な映像は上がっていたが、これらふたつのバンドの、ほぼフル尺と見られるライヴ映像は非常に貴重な映像と言えるだろう。特にクラフトワークは現在とは全くもってコンセプトの違うバンド(とはいえ、機械的な反復など全く変わってないサウンド・コンセプトもある)で、それ故に、そのスタイルがいまの音楽とも逆に通じる部分もあったりでおもしろい。
(河村祐介)

初期クラフトワークのライヴ映像

カンのライヴ映像

[ニュース] Can, NEU!

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