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2013/10/30 16:15

 

〈みそパニッククーデター〉でみせた4組のバンド共演——大阪便り

 

今回は、10月19日、神戸「太陽と虎」にて開催された〈みそパニッククーデター〉の模様をお届けする。

名古屋出身の5ピース・バンド、みそっかすによる恒例企画なのだが、今回は10月9日にリリースされた彼らの3rdミニアルバム『三次元への回帰』のリリース・パーティでもあった。デストロイはるきち(Gt.Vo)が、かっこいいと思って競演者に選んだ4組のバンドと共に熱いライヴが繰り広げられた。

1番手は神戸出身のフレデリック。「スキマに入れば怖くない」からライヴはスタート。どこか怪しげで、不協和音のように感じる音が、私たちを彼らの音世界へ引き込んでいく。赤頭(Ba)がステージギリギリまで来てお客さんをどんどん煽り、「一バンド目から踊っていきましょう」と三原(Gt.Vo)がフロアへ声をかける。「秘密のお花畑」「ふしだらフラミンゴ」と、連続投下。「あなたのダンスを見せてください」と話した後に演奏されたのは「プロレスごっこのフラフープ」。軽快なリズムに乗せ、フロアは勿論のこと、ステージ上では、三原兄弟が超至近距離まで近づいて笑いあったり、フロアを煽りにいったりとメンバーも自由に楽しむ姿がみえた。ラストは「SPAM生活」。原曲の倍以上のBPMが心地よく体を揺らしてくれた。

続くは、夜の本気ダンス。一度きいたら耳に残るギターリフと四つ打ちのビートが鳴らされ「Bitch」で演奏スタート。彼らを初めてみる人も多いのか、最初から大盛り上がりではないが、徐々に手を挙げる人が増えていく。ドラムのビートを止めることなく、熱量そのままに「Japanese style」へ。サビではお客さんのジャンプを誘いライヴハウスを揺らした。後半にガラリと表情を変えるこの曲、テンポを少し落とし、ベース・リフ・メインで同じ四つ打ちでもどこか妖艶さを感じさせる。「fuckin' so tired」では、もはやお馴染みの光景だが米田(Gt.Vo)がフロアでお客さんとダンス・タイムを満喫し、同時にフロアを熱狂の渦にしてステージを去った。

中盤戦、東京から来た、バックドロップシンデレラ。爆音が鳴らされ、フロアが異様な高揚感に包まれ、「歌わなきゃジャクソン」の高速ドラムのフレーズと小気味よいギターを合図にそれぞれのダンスで踊り狂うフロア。実は彼らも10月9日に5thアルバム『スゴい! 君!』をリリースしており、自分たちもレコ発であるはずが、そのようなアナウンスが一切されていなかった、と嘆く場面もあった(笑)。新作からも「魔界にはがっかりだ」「カンフーライフ」を連続投下。攻撃的に躍らせてきたかと思えば「6人のおっさん」で、カラフルなライトがマッチする一気にピースフルな空間へと変えた。しかし最終的には「池袋のマニア化を防がNIGHT」で、冒頭の荒ぶるドラムに地鳴りのような声援が飛び、容赦なく繰り出されるスカのリズムにフロアは大いに揺らされた。

トリ前に登場したのはBrian the Sun。ギターのハウリング音を十分に鳴らし、1曲目「Baked Plum Cake」へ。この日の出演バンドの中では飛び道具のように目立った手法を使わない純粋なバンド・サウンドであり、メロディー・センスの高さ、それを効果的に聴かせる構成力を持っている。「Noro」ではハンドマイクとなり森(Gt.Vo)がお客さんの目の前まで顔を寄せて歌う場面も。続く「藍色に」では爆音の中に響く透明感を感じさせるギターと、森の少し癖のあるヴォーカルが楽曲のアンニュイな雰囲気を見事に表現していた。「Sister」では心地のいい”キメ”が要所に散りばめられており、その度にステージ上のメンバーがそれはもう楽しそうに音を合わせる姿がみられた。満開の笑顔で叩く田中(Dr)の元へメンバーが集まっていき、グルーヴ感を加速させていた。会場に爽やかな空気を残し、彼らはステージを後にした。

満を持して登場したみそっかす。登場SEの山口百恵の美声は爆音と共にかき消され、ライヴ・スタート。キーボードが鳴らしたのは「SEXY DYNAMITE」のメインリフ! ドラムのツービートがフロアをモッシュの嵐に変えていく。かと思えば、サビになればキレのある裏打ちで私たちを躍らせる。パンクもスカもダンス・ミュージックも1曲数分の世界の中に見事に組み込まれている、これこそが彼らの音楽なのだ。続く「エスニック☆ナイスガイ」では、地鳴りのようなバスドラムにギター2本が奏でるユニゾンが響き、まるでメタル・バンドかのよう様相を魅せる場面もあり、フロアを大いに沸かせた。「お前ら全員、みそまみれになっちまえよ!」とデストロイはるきち(Gt.Vo)が叫び、ハンド・マイクで客席最前線へ向かい演奏されたのは「ファッキンポリス」。重たいギター音に加えシンセ全開のダンス・ミュージック、サビでは一転煌めくシンセが軽やかに皆の笑顔を誘い「ファッキンポリース!」の大合唱となった。「一年前にも同じ企画をやったけど、お客さんはこの十分の一くらいでした(笑)。ほんとうに感慨深いです」とはるきちが語った。新作からの選曲が続いたが本編ラストには、ライヴではお馴染み「キャデラック」。フロアもステージも暴れまわる人続出の大団円となった。

今回は微妙にファン層が異なる5バンドだったが、この日、新鮮な出会いを体験した人も多いはず。現代においては簡単に共通項を提示してくれるネットのおかげで似通った音楽はすぐに見つけられるが、少し趣向を外したものを見つけるのは意外と難しい。そのスキマを狙ったともいえるこのラインナップ。はるきち自身がおもしろい=かっこいいと思える音楽に対して常にアンテナを張っていることで実現したのだろう。みそっかすのリリース・パーティということではあったが、そこだけに留まらずしっかり現在のシーンを牽引していくバンドまで私たちに深く印象づけていった。(佐藤ワカナ)

[ニュース] Brian the Sun, みそっかす, バックドロップシンデレラ, フレデリック

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