2013/04/21 22:09
Photo : 柴田恵理
4月21日、日曜日の朝。目覚めると、昨日から降り続けている冷たい雨の音。正直、「この天気で野音…」と思ってしまった自分を、数時間後には猛省。“日比谷野音のフラワーカンパニーズ”には天気なんて関係なかった。むしろこの悪天候だからこそより一層燃え上がるパッションがバンドを駆りたてたのだろうか、ベテラン・バンドの人間力・包容力を感じさせる幸福なライヴとなった。
〈ワンマン・ツアー「ハッピーエンド2012-2013」追加公演〉と題しておこなわれたこの日の日比谷大音楽堂でのライヴ。昨年秋からのライヴハウス・ツアーの集大成となるライヴだが、会場が屋外なだけに数日前からフラカンのブログでは、グレートマエカワ、鈴木圭介ともに天気予報に関するエントリーが綴られ、圭介に至ってはてるてる坊主(若干不気味)を作って(http://6109.jp/flowercompanyz/ ?cate=116)晴天祈願するなど、やきもきしていた様子。
Photo : 柴田恵理
幸い、気温は低いものの午後には雨もあがり、会場には多数のファンが集まった。今年1月23日に渋谷WWWでおこなわれたシングル『ビューティフルドリーマー』リリース記念のプレミアム・ライヴ(http://ototoy.jp/news/73126)では、「深夜高速」がバンドの楽器演奏無し、サポートのストリングスとピアノ、アコースティック・ギターの演奏のみで歌われる等、来年25周年を迎える大ベテラン・バンドにして新境地を開拓する攻めの姿勢が新たなファンも獲得しているのだろう、若いファンの姿も多く見られた。
Photo : 柴田恵理
口々に「雨上がって良かったね~!」と声を交わすファンたち。オープニングSEが流れステージ上に登場したメンバーを大歓声で迎える観客の白い息がたち昇る。ボーカル鈴木圭介が「ヒビヤ~!」と叫び、オープニングの「なれのはて」。グレートマエカワはさすがにオーバーオールは着ていない(笑)がぶっといベースラインを響かせる。野音独特の地鳴りのような低音がお腹にまで届く。続けて「煮込んでロック」。サイケデリックなギターと、間奏の圭介のブルース・ハープが一気にロック色を強める。〈恥ずかしい話ですが~〉という歌詞の連呼に共感してしまう「SO LIFE」へ。モニターに足を乗せマイク・スタンドを傾けて歌う圭介が実に絵になる。ここまで昨年発売のニュー・アルバム『ハッピーエンド』からの曲を続けて披露。「恋をしましょう~!」と叫んで「恋をしましょう」へ。満員の観客が一斉に手を左右に振って盛り上がる。ここでMC。「雨上がりました~!」とグレートマエカワ。「今からオーバーオールに着替えてこようかな?」に大喝采。「舞い上がってます。二年ぶりなんで(笑)」と圭介。「最後まで楽しんでいってください!」と「人生GOES ON」へ。こういったシンプルなロックこそバンドの真価が問われるが、楽器隊3人の息の合った演奏は一糸乱れること無く一体となって疾走していた。続く「切符」で飛び跳ねる観客。
Photo : 柴田恵理
徐々に陽がくれてきた日比谷野音。この少しずつ夜に変わっていく野音ライヴの雰囲気が好きだ。気温も下がっているはずだが、逆に寒さは感じなくなってきた。最新シングル「ビューティフルドリーマー」に続き「トラッシュ」。ステージを左右に観客を煽る圭介。早口でまくし立てる曲調と演奏が一瞬レッチリを思わせるパフォーマンスだった。MCで「久しぶりにトラッシュという曲をやりました。20代に作った曲だけど、あと数日で44歳です!東京に出てきて20年、鳴かず飛ばず!(笑)」という圭介のMCにマエカワが「さすがに鳴いてはいるんじゃない? 飛ばないだけで(笑)」といつもの軽妙なやりとりを。「それにしてもヒートテック着てライヴやったの初めてだよ(笑)まあ冷えると腰も痛いしね」と年齢相応のMCから「元少年の歌」へという上手い流れでライヴ再開(笑)。
Photo : 柴田恵理
「ロックンロール」の演奏が終わり「寂しいとかもう~」と歌い出すと歓声が上がり、「吐きたくなるほど愛されたい」へ。歌詞の内容は決して明るくないのだが近くを見ると小さな子供と一緒に踊ってる家族連れの姿も。「前回野音でやったのは2年前、震災直後でした」というMCから圭介がモズライトのギターを手に「246」へ。暗くなってきたステージにメンバーの影が大きく映ってライヴが後半に差し掛かったことを知らせてくれる。
Photo : 柴田恵理
ゲストキーボードにスキマスイッチの常田真太郎が登場して曲は「エンドロール」へ。真摯な歌詞とボーカルがすっかり陽がくれた会場を静まり返らせる。常田のピアノに合わせて、「東京タワー」へ。会場中がサビのメロディに合わせて拳を上げる。 全身で歌う圭介。曲が終わると改めてゲストの常田を紹介。名古屋の先輩後輩の仲ということでステージ真ん中に招いて3人でMC。「フラカン、やっぱりMC長いっすね~!(笑)」と言ってステージを後にする。ここでフラカンもメンバー紹介。「4人揃ってフラワーカンパニーズです!」と曲は「脳内百景」へ。じっとMCを聴いて笑っていた観客が一斉に踊り出す。ソリッドな竹安のギター・ソロにテンションがあがる。激しくSGを掻き鳴らし、「NUDE CORE ROCK'N'ROLL」、「チェスト」と続けざまにロックン・ロールを投入。
Photo : 柴田恵理
「ラストー!」と叫んで「YES,FUTURE」へ。パンキッシュなサウンドと圭介のハープが絡んで最高にかっこいい。マエカワもステージ端まで行って煽りまくる。ラスト数曲を一気呵成に駆け抜けてバンドはステージを降りる。
あまり間を空けずにアンコールに登場して、ゆっくりと歌い出したのは「天使」。アルバム『ハッピーエンド』のラストを飾る曲だ。今日の演奏の中でも、一際叙情的で、夜空に昇って行くようなディレイをかけたギターの音色と幻想的な照明もあいまって非常に印象的だった。思わず夜空を見上げて雲の切れ間から顔を覗かせる月を眺めて聴いていた。対照的に続く曲は「はぐれ者讃歌」。続けざまに「踊れるかー!?」と「真冬の盆踊り」で一気に野音爆発! まさに真冬の寒さとなった今夜にふさわしい曲だ。両手をかざして踊りまくり圭介のジャンプに合わせて全員ジャンプ、ジャンプ!
再びステージを後にしたバンドだが、ダブル・アンコールに登場。なんと、グレートマエカワはついに裸にオーバーオールで登場(笑)!。この日1番の(?)の大声援に「なんだこの盛り上がりは!? 今までやってきたことはなんだったんだ」とおかんむりの圭介(笑)。マエカワの「NOオーバーオール!」に「NO LIFE!」と観客が応えるコール&レスポンス(笑)の後、ガラっと雰囲気を変えて曲は「深夜高速」。「ずっと昔からやってる曲ですけどまだまだやり続けます」というMC。もちろんこちらもまだまだ聴かせて欲しい。今日も最後のギターのビブラートまで耳を澄ませてしまう名演だった。最後は「サヨナラBABY」でライヴは幕を降ろした。
Photo : 柴田恵理
心配された雨が開演前に上がり、まさにツアー・タイトル通りのハッピーエンドとなったこの日のライヴ。普通の暮らしを送る人々の喜怒哀楽を全て聴かせ、見せてくれるようなフラワーカンパニーズのライヴを、もっと多くの人に観て欲しくなるような、そんな一日だった。(岡本貴之)
Photo : 柴田恵理
〈フラワーカンパニーズ ワンマン・ツアー「ハッピーエンド2012-2013」追加公演〉
2013年4月21日(日) 東京日比谷野外大音楽堂
〈セットリスト〉
1. なれのはて
2. 煮込んでロック
3. SO LIFE
4. 恋をしましょう
5. 人生GOES ON
6. 切符
7. 永遠の田舎者
8. ビューティフルドリーマー
9. トラッシュ
10. 元少年の歌
11. ロックンロール
12. 吐きたくなるほど愛されたい
13. 246
14. また明日
15. エンドロール
16. 東京タワー
17. 脳内百景
18. NUDE CORE ROCK'N'ROLL
19. チェスト
20. YES,FUTURE
アンコール
21. 天使
22. はぐれ者讃歌
23. 真冬の盆踊り
ダブルアンコール
24. 深夜高速
25. サヨナラBABY
●フラワーカンパニーズ ライヴ情報
下北沢GARDEN
出演 : 子供ばんど、フラワーカンパニーズ
〈CLUB Que 夏ノ陣 2013 "RETURN TO NATURAL VS SPECIAL"〉
下北沢CLUB Que
出演:フラワーカンパニーズ、THE TON-UP MOTORS
下北沢GARDEN
出演 : 子供ばんど、フラワーカンパニーズ
〈CLUB Que 夏ノ陣 2013 "RETURN TO NATURAL VS SPECIAL"〉
下北沢CLUB Que
出演:フラワーカンパニーズ、THE TON-UP MOTORS
・フラワーカンパニーズ オフィシャルサイト
http://www.flowercompanyz.com/