新たなステップへとあゆみ出すライヴ・トライアルングル──D.A.N.ツアー・ファイナル・リポート

左から市川仁也(Ba)、川上輝(Dr)、櫻木大悟(Gt,Vo,Syn)

待望の2ndアルバム・リリース間近のD.A.N.。5月よりUK公演を挟んで行われたツアー〈DELTA〉。日本全国9都市を回り、そしてツアー・ファイナルは、これまでからワンステップ大きな会場となる赤坂MYNAVI BLITZにて行われた。OTOTOYでは、去る6月15日に行われた、この、D.A.N.〈DELTA〉ツアー・ファイナルの模様をレポートでお届けします!


7月18日(水) 2ndアルバム・リリース! OTOTOYでもハイレゾ配信予定



D.A.N. / Sonatine
【Track List】
01. Start
02. Chance
03. Sundance
04. Cyberphunk
05. Debris
06. Pendulum
07. Replica
08. Borderland
09. Orange

詳細はバンド公式ページにて

LIVE REPORT : D.A.N. Tour 2018 “DELTA” @赤坂MYNAVI BLITZ

文 : 稲田真央子
写真 : Yosuke Torii


2015年のデビュー以来インディー・シーンの最重要アクトとして確かな存在感を放つ3ピースバンド、D.A.N.。ジャンルの制約を軽やかに無化する研ぎ澄まされた感性を持って、まさに新世代のアイコンとなっている。そんな彼らは、7月に待望の2ndアルバム『Sonatine』のリリースを控えている。そんなアルバム・リリース直前、5月下旬から敢行したのが、ツアー〈DELTA〉である。間にUK公演を挟みつつ全国9都市を回り、6月15日に東京・赤坂MYNAVI BLITZにて最終公演を迎えた。単独公演の会場としてはキャパシティ1200人と最大規模。それにもかかわらず、ライヴのひと月以上前にチケットはソールドアウトし、その求心力を明確に示した。一足飛びに上を目指すこともできただろうが、この3年間渋谷WWW/WWWXやLIQUIDROOMのような規模での都内公演、全国各地でのフェス出演を着実に積み重ね、まさに満を辞して新たなステージに乗り出した感がある。今回の公演に先立って公開されたインタビューで彼らは「バンドとしての体幹が強くなった」と力強く答えたが、実際この日のパフォーマンスはアルバムの先行視聴のような性格を持ちつつ、その言葉に相違ないステージングとなったのではないか。

当日は梅雨の中頃ということもあって冷えた雨天の金曜日だったが、開場時間になると次々と観客がフロアに流れ込んだ。19時を過ぎ、青い照明が落とされるなかメンバーが登場、歓声につつまれる中アンビエントなシンセが静かに流れ始めた。観客の熱っぽい緊張感がひそやかにフロアを満たし、叙情的なメロディーが心を掴む「Chance」で本編は幕を開けた。「意味もなくあなたといたい」というシンプルながら切実な情感に満ちたリリックとトランシーなグルーヴが熱を放ち、会場を底から浮かせるように桜木(Vo.)のファルセット・ヴォイスがあたりに広がった。壮大に描き出された情景に続いたのは、公演当日に配信が開始された新曲「Sundance」。グルーヴィなベースが身体に響き、感傷的な歌詞とは裏腹にオーディエンスを高揚させる、まごうことなきダンス・ミュージックである。そこから場面はきらめくシンセと青いライティングが連れ出す夜のフィクション、「SSWB」へ。そしてアレン・ギンズバーグのサンプリングが始まりを告げる不動のキラーチューン「Ghana」が続き、フロアはハイに沸き上がった。

昨今長尺曲が増えていることもありD.A.N.の楽曲は音源で聴くと一見無邪気な実験志向が先行しているようにも感じられるが、そうした印象はステージングを目の当たりにすることで覆される。あらゆる試みはあくまでフロアにおけるオーディエンスとの呼吸を意識して繰り広げられており、それを身をもって感じさせてくれるのが彼らのパフォーマンスの1番の魅力だろう。それほどまでに彼らの曲に揺れながら歌詞を口ずさむ瞬間は心地良い。また「Ghana」のような初期から馴染みある曲がこの大きな舞台で堂々と映える姿は、当初から透徹されていた美学がまさに今結晶化しつつあることを予感させると同時に、楽曲そのものの強度にあらためて私たちに思い知らせた。

ひと呼吸置いて、青く降る照明の下で始まったのは「Navy」。ギターがイントロを鳴らした瞬間にオーディエンスから歓声の上がるこの人気曲から、場面は徐々に内省的な色合いを帯びた。4人体制では披露されることの少なかったEP収録の「Morrison」とナイーヴな「Replica」が続き、プラネタリウムを思わせる照明がめぐるなか、ベッドルーム感のあるゆるんだ孤独を滲ませた。後者にはD.A.N.のリリックで好んで用いられるSF的なモチーフが散りばめられ、ベッドルーム的な日常風景を異化させながら、宇宙空間へと拡張していくような効果を引き出す。ロマンチックに広がった闇を怪しく深めるシンセが新アルバム収録の「Pendulum」を導き、スペーシーに描き出されたイメージを引き継ぎつつ、映画音楽さながらの不穏さと重厚さであたりに鬱蒼とした色味を付与させた。深まる闇はオーディエンスをさらなる酩酊と内省へと連れ出す、ミニマル・グルーヴを纏った「Tempest」へ。そして、どっぷりとインナーマインドに誘い出された上で、新曲「Boarderland」をもって本編はクライマックスを迎えた。コラージュ的に場面が配され、張り詰めた男女の駆け引きから、理性と熱情のあわいを揺れるもどかしい心情描写、そして来世、記憶を持たない恋人たちが再びめぐり会うという物語は甘やかかつ映像的である。リズム隊のグルーヴが時間軸を錯綜させ、愛おしい恋人の姿を次なる運命の上に浮かび上がらせる。後半、こっくりと深められた本編はこのスケール感あるラブストーリーで幕を閉じた。

もちろんアンコールを求める拍手が鳴り止まず、3人は再登場。和やかなMCが展開された。ここで「東京のお客さんはクール」と述べていたが、それは新曲群と対峙するオーディエンスの真摯さを表す、敬意あるアティチュードだったようにも思える。明るく終わろうという声でアンコールには新アルバム『Sonatine』から「Orange」が選ばれた。メロウかつチルアウトなメロディーがそっと胸のうちをつぶやくような歌詞を乗せてさざめき、本公演は温かに締めくくられた。

青く燃えたセルフタイトルから、鮮やかに拍動する橙のソナチネへ。結末の読めない青年たちの一編は、タイトルから当日のライティングにまで三角のモチーフが散見されたこのツアーをもって、次なるスパンを迎えたことは確かだろう。新曲を中心に大きく組み替えられたセットリストは彼らの意志ある過渡、試行錯誤を無言のうちに私たちに伝えている。The xxやJames Blakeといったアーティストのオープニングアクト、積極的な海外公演といった諸活動から、彼らが切り拓こうとする航路は紋切り型なサクセスストーリーに当てはまらないことは自明である。柔軟で限界を知らない若き感性の行く末に期待を寄せつつ、まずは新アルバム『Sonatine』の到着を心待ちにしたい。

SET LIST

D.A.N. Tour 2018 “DELTA” @赤坂MYNAVI BLITZ
01. Chance
02. Sundance
03. SSWB
04. Ghana
05. Navy
06. Morrison
07. Replica
08. Pendulum
09. Tempest
10. Borderland
ec. Orange

D.A.N.過去作もハイレゾ配信中!

『TEMPEST』ハイレゾ配信中

D.A.N. / TEMPEST(24bit/48kHz)

【Track List】
01. SSWB
02. Shadows
03. Tempest
04. Tempest (Neutral edit)
05. SSWB (AOKI takamasa Remix)

歌詞カードPDF & デジタル・オンリーのボーナス・トラックとしてAOKI Takamasaの「SSWB」リミックスも収録。

【配信形態 / 価格】
24bit/48kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 260円(税込) / アルバムまとめ購入 1,200円(税込)


1stアルバム『D.A.N』ハイレゾ配信中

D.A.N. / D.A.N.

【Track List】
01. Zidane
02. Ghana
03. Native Dancer
04. Dive
05. Time Machine
06. Navy
07. Curtain
08. Pool

【配信形態 / 価格】
[左] 24bit/88.2kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 251円(税込) / アルバム 1,800円(税込)

[右] 16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 200円(税込) / アルバム 1,500円(税込)

アルバムまとめ購入で歌詞ブックレットPDFが付属!

LIVE SCHEDULE

D.A.N. presents Timeless #3
2018年7月18日(水)@SHIBUYA WWWX
出演 : D.A.N. / Guest : jan and naomi
時間 : 開場 19:15 / 開演 20:00
料金 : 前売 ¥3,500(+1Drink)

2018年7月28日(土)@FUJI ROCK FESTIVAL’18

China Tour
2018年9月05日(水)@成都
2018年9月06日(木)@深圳
2018年9月07日(金)@北京
2018年9月08日(土)@上海

※秋頃に開催予定のアルバム・リリース・ツアーは国内はもちろん、上記の中国ツアーをはじめ、台湾、バンコク、香港、韓国、ヨーロッパ・ツアーを予定、後日発表。
詳細はバンド公式ページにて

D.A.N. profile

2014年8月に、櫻木大悟(Gt,Vo,Syn)、市川仁也(Ba)、川上輝(Dr)の3人で活動開始。様々なアーティストの音楽に対する姿勢や洗練されたサウンドを吸収しようと邁進し、いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求したニュージェネレーション。2014年9月に自主制作の音源である、CDと手製のZINEを組み合わせた『D.A.N. ZINE』を発売し100枚限定で既に完売。2015年7月にデビューe.p『EP』を7月8日にリリースし、7月末には〈FUJI ROCK FESTIVAL ’15 “Rookie A Go Go”〉に出演。 2016年4月20日に待望の1sアルバム『D.A.N.』をリリースし、CDショップ大賞2017の入賞作品に選ばれる。7月には2年連続で〈FUJI ROCK FESTIVAL’16〉の出演を果たす。また、〈FUJI ROCK FES’17〉のオフィシャルアフタームービーのBGMで「Zidane」が起用される。2017年2月にJames Blakeの来日公演でO.Aとして出演。自主企画〈Timeless 2〉で、LAからMndsgnを招聘し2マンで共演を果たす。4月には新作ミニ・アルバム『TEMPEST』をリリース。11月に初の海外公演をロンドンで行い称賛を浴びる。また、滞在中にFloating Pointsのスタジオで制作活動を行い、ジャイルス・ピーターソンのラジオ番組〈Worldwide FM〉に出演。スタジオライブが後日オンエアされる。帰国後、全国7箇所でのワンマン・ツアーは各地ソールドアウトで幕を閉じる。2018年2月には、The xxのJAPAN TOUR東京公演@幕張メッセでO.Aを務め称賛を浴びる

D.A.N. Official Web Site
Twitter